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日本語教師になるには?
はじめに
「日本語教師になりたいけれど、どうしたら良いか」という問い合わせを何件かいただきました。私は結婚して子供を育てながら日本語教師をして来ましたので、一生の職業として選択する場合については、詳しいことはわかりません。大学の日本語科を専攻し、国際交流基金や青年海外協力隊に参加するなど、いろいろな方法があると思いますが、それについては本や雑誌、あるいはこのインターネットでも日本語教師や日本語教育で検索をかければ、かなりの情報が得られると思いますので、割愛させていただきます。ここでは経済的な問題は二の次として、自分の生き甲斐のために日本語教師になりたいと言う人向けに、私の経験とそれに即した情報を書いてみたいと思います。
日本語教師になるために必要なことは、まずそのためのトレーニングを受けることです。日本人が少ない外国では、日本語が話せると言うだけでトレーニングを受けていない人が日本語を教えることもありますが、一度教えてみるとそれがどんなに無謀かわかると思います。
日本語教師養成講座
ではどこでどのようにトレーニングを受けるか。私の場合、まず日本語教師養成講座を受講しました。今から15年ほど前の話で、当時養成講座は数えるほどしかありませんでしたが、それでも手に入る限りのパンフレットを取り寄せて、講師陣と時間数、授業料を検討しました。今は絶対と言うわけではありませんが、一応教員と認められるために420時間の講義を受ける必要があります。ですが当時そんな決まりはなく、2、3週間で終わりと言うところもあって、授業料もピンからキリまであったように記憶しています。講座の中でもっとも授業時間数が長くいろいろな講義が選べたのは、国際基督教大学の研究生になるものでしたが、授業料と入学金は学部の学生と同じだけ必要で、通学時間もかかったため断念しました。
次に講座が充実していると思われたのは新宿にあるアサヒカルチャーセンター(TEL 03-3344-1941)の日本語教師養成講座でした。私はここを選びましたが、受講時間は210時間くらいで、授業料は20万円を超えたと思います。今はもちろん420時間の講義が受けられますが、そのかわり授業料も数十万円かかります。講師陣は国際基督教大学や筑波大学の教授、国立国語研究所の先生方でした。入学前に語学(英語、フランス語、中国語などから一つ選択)と論文のテストがあり、三分の一くらいの志願者が入学できませんでした。ここはどの講座も大変アカデミックでしたが、日本語を教える実習の面では、練習台になってくれる人の確保がむずかしかったのか、実際に外国人相手に教えることはできませんでした。外国人対象の日本語クラスで授業の見学はしましたが、今は見学もあまりできないようです。
今民間の日本語学校で、日本語教師養成講座を開講しているところは少なくありませんが、選ぶ時に通学距離や授業料の他、上記の実習について調べることと、講師もどんな人が教えているのかチェックを入れたほうが良さそうです。経験豊富な優れた教師や有名大学の教授陣は、それだけ経営者側が支払う講師料も高くなりますし、人数も限られています。そのため中には、日本語を教えた経験もあまりない日本語教師が、間に合わせの授業をしている場合があります。私の同僚の中にもそういう仕事を頼まれた経験を持つ人がいますし、経済的な理由から、無理を承知でそれを引き受けている人もいます。特に受講生の数が少ない所は要注意です。
通信教育
近くに養成講座がなかったり、あるいは海外で日本語教師を志している方にはアルクの通信教育がお勧めです。経済的にも時間的にも効率的に勉強できますが、きちんと勉強する意志と根気が必要です。それと養成講座のような人間関係ができないことが欠点です。今振り返ってみると、養成講座で知り合った仲間や先生とのつながりによって、私の日本語教師としての活動の場は、大きく広がりました。日本語学校や個人授業で教師が不足した時、お金をかけて新聞広告を出さなくても、人柄や能力がわかっている仲間を紹介しあって喜ばれましたし、また卒業後今まで続いている月一回の日本語研究会では、本を二冊出版しました。(「日本語、こんなときどうする? VOL.Ⅰ,Ⅱ」日本語構文研究グループ)
と言ってもそれぞれの出会いやきっかけで、どういう広がりができるかは未知数ですし、日本語教師になってしまえばこうした仲間は養成講座出身でなくても自然にできますから、通信教育を選んでも悲観するには及びません。
日本語教育能力検定試験
さて最後に、日本語教師になるためにそんなにお金も時間もかけられない、でもどうしてもなりたいと考えている人へ、とっておきの方法を一つ御紹介しましょう。養成講座にしても通信教育にしても、修了したあとクリアするべき難関が一つ待ちかまえています。日本語教育能力検定試験です。この試験をいきなり受けてパスすれば、それだけで420時間の講義を受けていなくても日本語教師としての資格が一応認められます(もちろん養成講座を修了していて、この試験にも合格していれば、それにこしたことはありません)。試験科目は、言語学、音声学、比較言語学、日本語の文法と歴史、教授法など広範囲に渡り、合格するには気合いを入れて受験勉強をしなければなりませんが、中には受験勉強の得意な人がいて、特別なトレーニングを受けなくても独学で合格する人がいます。もちろん合格しただけでは教えられませんから、この後で実習だけさせてくれる講座を受講すれば、費用も期間も少なくてすみます。日本語教育能力検定の願書は十月下旬に締め切り、試験実施は一月下旬です。夏休みを過ぎると、大きな書店で願書が販売されますから、注意していてください。
就職のチャンス
ここにいたるまでに、運が良ければ最初の仕事の話が舞い込んで来るかもしれません。もしそういうチャンスがあったら、とにかく少しでも経験を積んでいることが大切なので、少々の不都合があっても引き受けてください。知識がどんなに豊かでも、実際に生身の人間に教えるのは、また別の話です。しかし現在日本語教師の需要はそう多くありませんから、養成講座を修了し検定試験に合格した後でも、まだ仕事が見つからない場合も多いでしょう。養成講座によっては、修了後仕事を紹介してくれるような書き方をしている所もありますが、学生数と教師の数を考えると、確率的にはほとんど可能性がないと思っていた方が賢明です。
私の場合、既に書いたように、たいていの仕事は養成講座の仲間か同僚の紹介で得たものですが、初めに経験を積んだのは新聞の求人広告を見て応募した日本語学校でした。今新聞の求人広告はほとんどありませんが、それでも注意しているとたまにあります。また、日本語教育関係の書籍を専門に扱う凡人社や創学社(TEL 03-3219-2511)は、いつ行っても掲示板に求人広告が出ています。都内、あるいは東京近郊にお住まいでしたら、何回か通っているうちに、うまく仕事が見つかるのではないでしょうか。ちなみに私の勤める日本語学校でも教師が不足した時はまず仲間の紹介を優先し、それでもみつからない場合は凡人社に求人をお願いしています。
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