~怪談~(毎日ずつスレを掲載)
『見えてしまう奴の 話』私は、某自動車製造メーカーに勤めるごく普通のサラリーマンです。
私には、霊感などというものは全くなく、
もちろん、そういった経験などないのですが、
私の同期入社の中に 霊感の非常に強い奴が一人います。
今日は、彼についての話をしたいと思います。
便宜上、仮に I と呼ぶことにします。
I は 私が、名古屋の方に長期で出張をしていたとき
同じ仕事で、出張をしていた奴です。
これは、週末に関東へ戻るとき 東名高速を走る、車の中で聞いた話です。
I は、最初 会社の寮に入っていました。
引っ越してきたその日に、ほかの入居者に言ったそうです。
『ここ、何かいるよね。』
その寮は、新築で今までに噂があったというわけでは無いのですが、
I は、一歩入ったときに 嫌な雰囲気を感じたそうです。
確かに、入社 1年くらいしてから うわさ話を聞くようになっていました。
例の寮のことなのですが、夜中の2時頃に、何人もの人の足音が ホールに響くそうです。
ちなみに I は、今ではアパートを借りています。
入居者の中で、一番最初に寮を出たのが彼だそうです。
ついでに、もう一つ
私は、行っていないのですが 設計部内の スキーツアーに I が出かけたときの話です。
I は旅館に入った瞬間におかしいと思ったそうです。
『ここ変じゃない?』
と言って押入を 開けると 壁一面に お札が張っていたそうです。
もちろん、部屋を変えてもらったそうです。
これは、I 本人からではなく 同行していた一人に 聞いた話です
『絵』
物に魂がやどるってよく言いますよね。
髪が伸びる人形が有名ですよね。
この話は私が高校生の頃、同級生に聞いた話です。
その同級生というのは美術部に所属してまして、
絵を描いているんですよ。
この話は、その同級生が3年の先輩から聞いた話だそうです。
先輩が2年生の時、
部長さんが、かなり絵の実力がすごいらしく、
何回か有名な大会で賞をもらっていたそうです。
で、次の作品は人物画ということになり
部長は自分の彼女を描くことにしたんですよ。
ところが、彼はデッサンを書き終えたところで、
交通事故で亡くなってしまいました。
彼の遺作となってしまった絵を、モデルをしていた彼女が譲り受けた。
彼女との仲を知っていた遺族が是非ともといってくれたんですね。
その部長が亡くなってから一月がたったころ、
その彼女がおかしな事を言う。
毎日、夢の中に死んだ彼氏がが出てくるって...
よっぽど部長のことが好きだったんだなって思いました。
それからしばらくして、彼女学校にこなくなったんです。
先生の話によると、原因不明の熱で倒れて入院したらしい。
お見舞いにいったんですよ。
思ったより元気そうだったんで、安心しました。
そしたらね、彼女変なことを言うんです。
あの絵が完成すればあの人に会えるんだって。
変なことを言っちゃだめだよっていったんです。
そしたら彼女、あの人がそう言うんだよって...
さすがに何もいえませんでした。
次にお見舞いに言ったのは一週間後でした。
そしたらね、彼女 信じられないぐらいやせちゃってるんです。
まるで、骨と皮だけ。
また言うんです。
もうすぐ、絵が完成する。
私は彼女のご両親に話をして、
彼女の部屋に入れてもらいました。
絵は、彼女の勉強机の上にシートをかけてありました。
驚きましたよ。
彼女が絵を譲り受けたときには、確かに下書きしか出来てなかったのに
絵の中の彼女はみずみずしい唇をして、
頬はうっすらとピンク色に染まっていました。
私は、黙ってその絵を持ち出し、
学校の焼却炉でゴミと一緒に燃やしてしまいました。
それからしばらくして退院した彼女は
にっこりと笑って何も言いませんでした。
もしかしたら、彼女が自分の手で色を塗っていたのかなって
最初は思っていました。
でも、あの淡い色の使い方は確かに部長のものだったって。
きっと、部長は絵を完成させたかったんでしょうね。
その執念が自分の彼女を連れていこうとしたんだって。
先輩はいってたそうです。
『ツーリング』
バイクメーンの友人から聞いた話です。
山本さんは 高校の時に免許を取り、
オートバイとつきあい始めて10年以上たつというバイク好きな人です。
普段は一人で峠を走らせる事が多く、
会社でも特につるむということもあまりない。
そんな彼に、後輩が出来た。
その高橋と言う男は人なつこく、
もともと面倒見のいい山本さんは 彼をかわいがるようになった。
ある日 昼食をとりながらバイクの話になった。
『ぼく、バイクって乗ったことないんですよ。\
乗ってみたいなあ』\
と、高橋が言うので
琵琶湖の方へツーリングにつれていくことにした。
『ひえー』
カーブの度に高橋は妙な悲鳴をあげる。
初めてバイクにのる高橋はしがみつくように山本さんの
腰にしがみついた。
琵琶湖を1周するうちに、
いつの間にか日が暮れていた。
ライトをつけて、右に左に続くカーブをクリアしていく。
高橋のしがみつく手にも力が入る。
車が一台しか通れないようなトンネルにさしかかり、
対向車を気にしつつ中にはいると、向こうから対向車のライトが!!
ハンドルを取られそうになりながらも、
何とか体勢を立て直した。
高橋の腰にかかる手に力が入る。
しばらく走っていると高橋が不意に言う。
『大切な物を落としちゃいました。
さっきのトンネルまで戻ってください。』
トンネルの入り口にたどり着くと、
ヘルメットが転がっている。
ああ、ヘルメットが脱げたのか。
近くまで行くと
後ろの高橋が言う。
『おいてかないでくださいよ』
変な感じだったそうです。
そして、気づいたんです。
道路の上のヘルメットから聞こえるんです。
目を凝らして見ました。
『ぎゃあ!!』
山本さんは瞬間悲鳴を上げた。
ヘルメットの中には首だけになった高橋が、
悲しそうな目でこちらを見上げていた。
おいてかないで...
肩越しに振り返ると、
首のない胴体だけが必死にしがみついていた。
『道案内』
私は現在、普通のサラリーマンです。
この話は、私が大学に通っていた頃に体験した出来事です。
私が大学生だった頃、
あまり、学校には行かずにアルバイトばかりしていました。
そして、念願かなって 中古の車を買いました。
大学の友人に言うと
急遽、お披露目ドライブに行こう
ということにになりました。
メンバーは 4人
助手席には、るみちゃん
後ろの席に 関口君 とゆかちゃん。
4人は時間がたつのも忘れて遊び回りました。
あたりは真っ暗になり、そろそろ帰ろうということになりました。
ゆかちゃん以外の3人は、大学のちかくにアパートを借りていたので、
みんなでゆかちゃんを送ることにしました。
最寄りの駅に向けて走らせると
後ろの席から ゆかちゃんが
『そこの道を右』
と言うので、
後は彼女の言うとおりに車を進めました。
しばらくすると、市街をぬけて 山の細い道に入っていました。
あたりに明かりはなく、
真っ暗で対向車も通らない。
自分の車のライトだけが道を照らしていました。
『次は?』
と聞くと 彼女は
『後はずっとまっすぐ』
アクセルを踏み込み、車を加速させると
正面が少し明るくなってきた。
瞬間に、私はブレーキを踏み込んだ。
まっすぐその先は崖でした。
そして、男のように とても低い声で
『.....ちきしょう.....』
後ろの席から聞こえました。
私は
『なにいってんだ』
と 彼女の方に怒鳴りました。
彼女は汗びっしょりで
『ここどこ、危ない運転しないでよ』\
それから、彼女を家まで送りました。
来た道と 反対の市内へ向けて...
次の日、学校に言っても
昨夜の ドライブの話は誰もしませんでした。 『三輪車』
昔、友人と一緒に体験した出来事を話します。
今から12年ほど前
まだ高校生だった私は
友達の家で試験勉強をしていました。
勉強といいながらも、わいわい無駄話をしながらで
気がつくと時計は11時をまわっていました。
私の家まで 歩いて帰るには遠いので、
友達の自転車で二人乗りで送ってもらうことになりました。\
私は出来るだけ早く帰りたかったので、
近道を行ってもらうことにしたんです。
そこは、周りをたんぼで囲まれた一本道で、
車一台 やっと通れるかどうかという道でした。
周りには家もなく、自転車のライトだけが頼りです。
自転車をこぐ音以外は、
カエルや虫の鳴き声だけでした。
その時、自転車をこいでいた友人が、
『あっ 犬だ!!』
って言いました。
私は後ろから身を乗り出して、\
前を見てました。
すれ違いそうになったとき、
自転車が急ブレーキをかけたんです。
私も気づきました。
犬だと思っていた影は、全く違う物でした。
三輪車に乗った小さな女の子なんです。\
地面まで届く長い髪の毛をずるずると引きずりながら、
三輪車をこいでいるんです。
その女の子は赤い服を着ていて、
異様に白い顔が暗闇の中で浮かんでいました。
私たちがたちすくんでいると
その女の子は、私たちをなめるように見つめて
にやって笑ったんです。
笑顔なんて呼べる代物じゃなかった。
とてつもなく不気味でした。
凍り付いたように動けない私たちの横を
女の子はキーコキーキと三輪車をこいで
暗闇の中に消えていきました。
しばらくの間私たちは後ろを振り返ることが出来ませんでした。
何かとんでもない物を見てしまいそうで....
そのあたりには人家は全くなく、
こんな夜中に女の子がいるのは絶対におかしい。
そして、何よりも
地面にまで届くような長い髪。
どう見ても3,4歳くらいの女の子が
生まれてからのばし続けたとしてもあんなにのびるものでしょうか。
それ以来、その道は通っていません。 『長い髪の少女』
僕が高校生の時に、実際に体験した話です。
今から4年前、都内の高校に通っていた僕はサッカー部に所属していました。
いつも放課後は遅くまで練習に励んでいました。
うちの学校は、校舎の下に正門があって
そこをくぐると校舎に囲まれた校庭が広がるという
だいぶ変わった構造をしています。
つまり、どの校舎の教室からでも校庭を見渡すことが出来るんです。
いつものように練習に励んでいると、
友達が声をかけてきました。
本館の3階を見てみろって言う。
言われた通りに見てみると
女の子が窓枠に肘をついて、頬杖をついてこっちをのぞいていました。
それからです。
サッカー部が校庭で練習していると、
いつも、彼女が教室からのぞいていました。
そのうち、誰かに気があるんじゃないかってうわさになりました。
彼女はいつもきまった教室からのぞいているのだが、
今は使われていない教室で、
いったい何年生なのか、どこの組なのかも分からない。
ある時、確かめようということになって、
運が悪く、僕が行くことになりました。
本館の3階にあがると、例の教室の前まで来ました。
窓から覗いて見ると、
いました。
彼女が、肘をついて校庭を眺めている後ろ姿が見えました。
長い髪をしていました。
手前の机が邪魔で肩までしか見えませんでしたが、
いすに座っているようです。
緊張して、なんて声をかけようなどと
考えながら、戸を開けました。
戸を開ける音に気づかなかったのか、
彼女はさっきと同じように外を眺めていました。
『あのうー』
声をかけると同時に僕は気づきました。
肩から垂れ下がる長い髪...
その肩から下には何もありませんでした。
そこには、コンクリートの壁が見えていました。
パニックに陥った僕が固まっていると、
彼女がゆっくりと振り向きました。
真っ白な顔で、唇だけが血のように真っ赤でした...
目の表情は全く変わらずに、
口だけが にやっ と笑っていました。
『うわあー』
ようやく我にかえると
教室を一目散に飛び出しました。
廊下を走っていると
『ずず... ずずず.....』
なにかを引きずるような音に気づきました。
走りながら肩越しに後ろを振り返ると、
3,4メートル後ろから 彼女がすごい勢いで肘ではってくるんです。
僕は今度は後ろを振り返らずに
一目さんに校庭まで逃げました。
部員達に話しましたが
誰も僕の話を信じてはくれませんでした。
その日から、彼女は3階の窓から現れなくなりました。
『樹海でおばあさんが』
去年の夏、私が体験した話をします。
私たちは数名の友人と
河口湖へブラックバスを釣りに行くことにしました。
メンバーは全部で4人。
前日の夕方に湖まで移動してキャンプをはって泊まり、
朝からつりをしようという計画でした。
東名高速の御殿場インターを下りると
道は予想よりだいぶすいていて、
河口湖に着いたのは夕方の7時頃でした。
キャンプとはいっても
夕飯はコンビニで買ってきた弁当とお菓子。
ビールを飲みながらわいわいと話をし、
楽しく過ごしていました。
あたりは真っ暗で、虫の鳴く声が響いている。
まさに、怪談話をするにはもってこいという環境で
話は自然と怪談話へとなっていきました。
一通り、話が終わると
ふいに、仲間の一人が
『怪談ツアーしようぜ』
と言いました。
ここから青木原が樹海まではすぐだったし、
みんな酒も入っていることもあって行こうということになりました。
車でしばらく走ると
道の脇に看板が見えてきました。
自殺をやめるように説く看板でした。
その看板のすぐ後ろに車を止め、あたりを見回すと樹海に入る道を見つけました。
みんなで道ぞいに樹海の中に入って行った。
懐中電灯の明かりだけで
あたりは本当に真っ暗。
私はビールを飲んでいたためか
用を足したくなりました。
友達に待っていてもらい
道のすぐ脇で用を足していたんです。
そして、何気なく前をみていて気づいたんです。
10メートルくらい正面にひとまわり大きな木があって
その木の下で何かが揺れているんですよ。
暗がりの中で目を凝らしてみると、
揺れているのはロープに垂れ下がった人間のように見えるんです。
場所が場所だし、
私はいやな想像をしました。
一瞬で酔いが醒めましたよ。
私は友達に声をかけ知らせました。
懐中電灯を向ける気にもなりませんでした。
なるべく、その方向を見ないようにして、
車に向かいました。
誰もしゃべらなかったですね。
あたりは虫の声だけ。
で、あまり歩かないうちに
どさっ
って 何かが落ちる音がしました。
結構、大きな物が落ちた感じでした。
そう...ちょうど、首をつった人間が
吊っていたロープが切れて落ちる音。
多分、みんな同じ事を想像したんですね。
その音を合図にみんな走り始めました。
ようやく車にたどり着き、
エンジンをかけて車をスタートさせると
みんな一安心しました。
ところが、後ろを振り返ると
何か黒い固まりが追ってくるんです。\
間違いなくおばあさんでした。
そのおばあさんが追ってくるんです。
道ばたをはいながら追ってくるんです。
ぞっとしましたよ。
私はアクセルを思い切り踏み込み
車を加速させました。
猛スピードで車を走らせ、湖の周辺までたどり着くと
恐る恐る、後ろを確認しました。
何も見あたりませんでした。
絶対に見間違いではありません。
4人ともおばあさんだったと言っています。
もう、怖い目に遭いたくないので
面白がってそういう場所に行くのはやめようと思います。 『赤ちゃん』
今夜は私の友人から聞いた話をします。
その友人というのは、今はだいぶ落ち着いてはいますが、
大学生の頃はバンドを組んでいて、担当はボーカルだったということもあり
かなり もてていたみたいです。
ほおっておいても もてるものだから
かなり遊んでいたそうです。
そんな彼が、ある日彼女から言われたそうです。
『子供が出来た』って
その時あいつは冷たいことに
育てられないからおろしてくれと、平然と言ったそうです。
そのまま彼女と別れて数ヶ月がたち、
あの後どうなったかは全然気にしていなかったそうです。
そんなある日、いつものようにバイトをして帰ってくると
真夜中になっていました。
こたつに入り、コンビニで買ってきた弁当を食べていると
こたつの中から
『みゃうー』と
猫の鳴き声がしたんです。
よく猫がこたつに入り込んでいることはあるので
全く気にせずに弁当を食べていたそうです。
すると、
猫がこたつの中で
もがきながら彼の足の上を
よじ登ってくる。
別に気にせずにいると、
『みゃうー』
猫が鳴く。
でも、ちょっと雰囲気が違う。
『みゃうー』
また、なく。
よく聞くと違う。
『あうー』
猫じゃない?
気になってこたつの中に手を突っ込んで猫をさわってみた。
ぬめっ濡れている。
こたつから手を出してみると、
手は血で真っ赤だった。
思い切って、こたつをはねあげると
そこには血だらけの赤ん坊が
黒目だけの目でこっちを見ていた...\
彼はそのまま気を失った。
気がつくともう朝になっていた。
弁当も手つかずで残っている。
きっと疲れていたから寝ちゃったんだなって思ったそうです。
顔を洗おうと思って洗面所に行ったんです。
鏡に映った自分を見て愕然となりました。
彼が着ていたトレーナーや顔じゅうに
小さな血の手形がべっとり付いていたそうだ。 『マイカー』
僕が大学の友達と共に体験した話です。
たしか、大学2年の冬だったと思うので
今から2年前の出来事です。
大学で自動車部に所属していた僕は、
学校の授業なんかそっちのけで
日夜、ガソリンスタンドのアルバイトに明け暮れていました。
車の免許はとったし、早く自分の車を持ちたくてたまらなかったんです。
そんなとき、同じ自動車部のF島が
先輩のつてで安い車を見つけてきた。
(こういう話はけっこうある)
『86』といえば 車に興味がある人は
すぐ ピン とくるはずです。
だいぶ年式も古い車だし、事故車の多いタイプなので
ぼろぼろだと思っていたら、
多少、ボデーにへこみがあるくらいでぴかぴかだった。
足まわりとかマフラーも変えているし
内装関係も多少くたびれてはいるが
ていどのいい車だった。
試しに試乗させてもらったのだが\
エンジンも快調で、ブレーキもクラッチも問題はなさそうだった。
はっきり言ってこの車を2万円というのは安いと思う。
(この車は未だに根強い人気で専門店があるくらいなんです。)
F島は早速手続きをして自分の車にしてしまいました。
早速、走りに行きました。
全く、快調そのもので
早く僕も自分の車がほしいなんて思っていました。
すると、突然
うう...
何か聞こえたんです。
カセットをかけていたんですけど
歌声の合間に聞こえてくる。
そんな感じでした。
気持ち悪いんでカセットを止めると
今度はもっとはっきりと
うう....
間違いなく車内から聞こえる。
ラジオをつけているわけでもないし、窓も閉めている。
走っている車の中で、女の声が聞こえるはずはない。
古い車なんで、どこかこすれている音だということにしました。
二人とも、少し気味悪い位しか思っていなかったんです。
まだ、走り足りなかったけど
いやな雰囲気になったので
早めに帰ることにしました。
早めといってももう夜中の1時をすぎていました。
横で車を運転しているF島が言うんです。
『やけに窓ガラスがくもるなあ』 って。
デフをかけてもどんどん曇っていく。
いったん車をとめて、窓を拭こうとしたんですよ。
ところが、室内からいくら拭いても曇りはとれない。
それどころかどんどん曇っていく。
『え?』
F島が声を上げました。
僕も気づきました。
窓ガラスが曇っていたのは水滴なんかじゃなかったんです。
指紋がべっとり。
窓ガラスに人の手形がついていたんです。
小麦粉かなんかに手を突っ込んで
押し当てたみたいな手形。
それが、窓ガラスにどんどん浮かんでくるんです。
外の景色はもうほとんど見えません。
窓という窓は真っ白になっていく。
そして、今度ははっきりと
ああーっ...
女の悲鳴が聞こえた。
僕らは我先にと外に飛び出した。
ドアなんか開けっ放し。
そして、恐る恐る振り返ると、
みたんですよ...
さっきまで僕が座っていた助手席がぼおうと光っているのを...
女の人が座っていて前をじーっとにらみつけているのを...
自動車部の後輩に携帯で電話して迎えに来てもらいました。
F島はというと、さすがに乗り続ける気にはならなかったらしく
そのあとすぐに、業者に売ってしまいました。
ただ同然で手に入れた車を結構な値段で買い取ってもらったんで、
よかったよなんてF島は言っていました。
正直言って
平気であの車を売ったF島の根性のほうが
僕は怖いなと思いました。 『手に残る感触』
東京の大学に進学して
そのまま東京の会社に就職した私は、
数年ぶりに実家に帰省しました。
残り少ない休日を、
高校の友達と遊んだりしてぶらぶらしていました。
車で帰省したのは初めてだったので、
実家の近所を車で走り回っていました。
そして、あの日 友達を送っての帰り道
ふとしたことから、知らない山道に入り込んでいました。
東京と比べると田舎のことですから、
あたりにあかりは全くない。
時刻は夜中の2時をとうに過ぎているから対向車も走ってこない。
そして、民家を見かけなくなってから10分くらいしてから、
それを感じました。
カーステから流れる音楽に混ざって
『がさがさ』
音が聞こえてくる。
はじめはノイズが入っているんだと思っていました。
別に気にもとめずにそのまま車を走らせていると、
どうやら、後部座席のほうから音がしていることに気づいた。
何も積んではいないし、おかしいなと思いはしたんです。
それでも、やっぱり
『がさがさ』
音はやまない。
ちょうど、トンネルに入った直後に
一段と音が大きくなったので、
運転しながら片手を後ろに伸ばしてみました。\
その時の感触は今でもこの手にはっきりと残っています。
髪の毛...鼻...
人の頭でした。
私はそのままガードレールに激突したようです。
次に気がついたときには病院のベッドの上でした。