ことば

小牧洋子

駄駄(だだ)をこねる
[注記] 「駄駄」は足をばたばたさせること
幼児が親などに甘えてわがままを言い張る。
「駄駄をこねて親を困らせる」
類(るい)は友(とも)を呼(よ)ぶ
同じ傾向や志、趣味を持った者は、自然にお互いに呼び寄せ合う。善良な人のところには善良な人が寄り、悪人は悪人同士で集まる。「類を以(もっ)て集まる」と同じ。
[参考] Birds of a feather flock together.〔同じ羽の鳥はいっしょに集まる〕
竹(たけ)の子(こ)生活(せいかつ)
家計が苦しいため、竹の子の皮を一枚ずつはぐように、衣類などを少しずつ売りながら暮らしていく生活。特に、第二次世界大戦直後の窮乏生活を言う。
「終戦直後の竹の子生活を思うと、世の中も変わったものだ」
レールを敷(し)く
順調に物事が進むように、前もって対策を立てたり準備をしたりする。
「和平交渉実現へのレールが敷かれる」
[類句] 路線を敷く
内股膏薬(うちまたごうやく)
[注記] 内股に付けた膏薬は右足に付いたり左足に付いたりすることから
その時々の都合で、無定見・無節操にあちらに従ったりこちらに従ったりして、態度のはっきりしないこと。また、そのような人。
「あの男は内股膏薬だから、当てにはできない」
[類句] 二股(ふたまた)膏薬
舌耕(ぜっこう)
[出典] 〈拾遺記(しゅういき)・六〉
講義や演説などによって生活をすること。農夫が田畑を耕して食糧を得て生活するのと同じく、弁舌でもって生活のもとを得ることを、耕すといった語。
[原文] 「賈逵(かき)、……門徒の来(きた)り学ぶ者、万里を遠しとせず。……贈献(ぞうけん)する者、粟(ぞく)を積みて倉に盈(み)つ、或(ある)ひと云(い)う、賈逵(かき)は力耕の得る所に非(あら)ず、経を誦(しょう)して口(くち)倦(う)む、世に所謂(いわゆる)舌耕なり、と〔賈逵(かき)は、弟子達の来り学ぶ者が万里の道も遠しとしなかった。謝礼として贈られた穀物が倉にいっぱいになっていた。ある人が言った、賈逵は力を出して耕作して得たものではなく、経書(けいしょ)を読んで口がくたびれているのであり、世にいうところの舌で耕すというものである〕」
[参考] 「筆耕」は、報酬をとって字を筆写すること。また、それによって生活することをいう。
口(くち)が悪(わる)い
人をけなすようなことを遠慮なく言う様子。
「あの人は口は悪いが、根はいい人なんです」
冷水(れいすい)を浴(あ)びせる
相手の気分が高揚している時や物事に夢中になっている時などに、その気持ちを一気に冷ましたりくじいたりするようなことを言う。
「彼の冷水を浴びせるような鋭い指摘で、それまで自分たちの案に有頂天だった我々は一気にしょんぼりしてしまった」
木(き)の実(み)は元(もと)へ
なった木の実はその木の根元に落ちる。物事はすべてその起こった元に返る、ということ。
山(やま)をかける
相手の出方などに大体の見当をつけ、そこにねらいを定める。
「カーブに山をかけていたら、直球で攻められた」
[類句] 山を張る
罰(ばち)が当(あ)たる
神仏の懲らしめが下されるの意で、悪事や思い上がりを戒める言葉。また、災難にあったことは、当然の報いであるという意で用いる。
「あんなに世話になった人の悪口を言うなんて、罰が当たるぞ」
いい目(め)が出(で)る
[注記] さいころ賭博(とばく)でねらい通りの目が出る意から
運が向いてきて、自分の思い通りの事態になる。
「苦労のかいがあって、やっといい目が出てきた」
顔(かお)を利(き)かす
その社会で名が知られていることを利用して、無理を押し通したり、事を有利に運んだりする。
「先輩が顔を利かして、就職の斡旋(あっせん)をしてくれた」
耳(みみ)をつんざく
耳の鼓膜を突き破る意で、突然途方もなく大きな音がする様子。
「突然、耳をつんざくような爆撃音が聞こえたので、さっと地面に伏せた」
いい仲(なか)になる
男女が相思相愛の仲になる。
「ふとしたことがきっかけで、二人はいい仲になった」
是非(ぜひ)も無(な)い
好ましくない結果に至ったことも、それなりの事情があってのことで、認めざるを得ない様子。
「子供なのだから、分からないのは是非も無いことだ」
様(ざま)は無(な)い
どうにもかっこうが付かない、の意で、みっともない有り様をののしって言う言葉。
「いつも他人の深酒をしかっておいて自分がそんなに泥酔しているんじゃ、様は無いね」









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