青空文库(http://www.aozora.gr.jp/)里有不少好的文章可以拿来做阅读资料。但由于著作权的问题,更新一点的佳品则很难从网上免费看到。在此推荐一篇文章。我每每读的时候都很感动。和文中的作者有种共鸣感。也算练习打字,与大家共享。 6 n6 u' x+ z" d+ d$ ^2 \
+ l, `5 J, H% p8 m1 G( \/ g( j 这篇散文的作者是森まゆみ(1954 ~ ),东京都出生,作家。本文摘自「読書休日」。+ E- h% W0 `( T; M1 {' \4 `
0 K6 B: h/ R2 ~9 Y$ W はじめの一冊, k, r' y9 {6 Y" T& C
森まゆみ2 }0 T5 Q1 u, O& N6 J6 }( ]
- Y% j( c5 x& M6 `+ f; N3 H ある晩、酔った父が『フランダースの犬』の絵本を土産に帰ってきた。6 D0 _$ k; P! k4 z) Q
. c" E; m! D, g3 r6 v0 J" e 「開けてみなさい。」と言ったくせに、開けて喜ぶ私の顔を見るや、「もう寝なさい。読むのはあした。」と二階に追い払われた。私と妹はたいてい八時になると自分で着替えて、「おやすみなさい。」を言って寝ることになっていた。大人には大人の時間があるらしかった。もっとも父が寿司折りなどを土産に遅く帰るとき、「起きといで。」と母に体を揺すられ、深夜の饗宴となることもあった。それは夢のような時間だった。きっとこの日も、喜ぶ顔だけが見たくて無理やり揺り起こされたに違いない。
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3 X3 u1 ?, N# \ 翌朝、私はうんと早く目が覚めた。それでも明るかったから、きっと夏であったのだ。東側の窓からは朝の光がさしのぞいていた。枕元には『フランダースの犬』。本をそうっと布団に引っ張り込み、寝ている家族を起こさないように静かに絵本を眺めた。3 G, B; c' K* N$ \7 r8 I% E
3 `$ T% G9 K1 A ネロとパトラッシの物語。大きな銀色のミルクの缶を載せた荷車、フランダースの村はずれから、壊れかけた風車の見える小麦畑の牧場を越えて、木靴を履いた少年と犬は力を合わせて牛乳を運ぶ。目指すはアントワープ。(注:Antwerp ベルギー北西部の港湾都市)& ]- x% ~( m) b0 {: K/ r) y6 G
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そこにはフランダース出身の偉大な画家ルーベンスの聖画が教会堂に飾られている。ネロはその絵が見たい。だけれど絵には覆いがかけられ、観覧料を払わないと見られないのだ。「ああ、ぼく、あれがみられさえしたら、死んでもいいんだがなあ。」
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* | V3 R5 V; @& L ネロの切望、これは子供だけに許された生きることへの熱望である。がむしゃらに、一つことに向かって子供は突っ走る。これがしたい、あれが見たい、読みたい、食べたい、と。: I0 A- y% D7 }2 q" }- i
その願いがかなえられない。私はネロと一緒になってルーベンスの絵が見たいと焦がれた。なろうことなら私はアンドワープに行って、ネロのために白い布を引きはぐって見せてあげたい。
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入ったばかりの幼稚園で、先生が、『フランダースの犬』の紙芝居を読んでくださっていた。話は大体分かっていたのだけれど、父の買ってきた絵本は、それよりずっと絵も細かく、筋も詳しかった。裕福な粉屋の娘アロアにはちょっと嫉妬した。アロアに自分を感情移入するよりは、ネロをめぐる恋敵のように感じたのだ。0 W. R/ |* O2 H
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幼児がそんなことを考えるのか、と思うかもしれない。でも私はページュ色のスモックを着て刺繍つきのハンカチを胸にぶら下げた幼稚園のH君に恋情を抱いたのもはっきりと覚えている。遠足で手をつないだり、長い滑り台をつながってすべり、小さいな運動靴のカカトが触れてドキドキしたことも。図書室の、裏が緑のラシャで表が黒いサテンのカーテンに隠れた私を、いつ彼が見つけてくれるかと待ち受けていたことも。" W( O, B; V7 |6 [
3 J2 _$ r9 u7 G( a2 G" H& \# A4 T つぶらな黒い瞳の、首筋の細そうなネロは、彼に似ていたのかもしれない。あんなに絵が上手なのに、絵の具が買えないなんて。黒と白でしか絵が描けないなんて……。こういうとき女の子の読み方はすぐ母性的、無限包容的な読み方になってしまうのか、と今思うとうんざりするくらい、私はネロに同情した。前後九年目に生まれた私には少なくとも、ネロのような物質の不足やつらい労働は縁のないものだったが、本で出会って想像することはできた。
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胸が痛む、とよく形容するけれども、こんなときは本当に胸のあたりが痛くなるものだ。アロアの父コゼツ氏に放火犯人と間違われたネロ、それなのに彼の財布を拾って届けたネロ。そして、絵のコンクールにはねられたネロは、ついにパソラッシとルーペンスの絵を見るのだ。そして幼稚園の紙芝居によると、絵を見た喜びに満足したネロとパトラッシは疲れてすやすやと眠り、翌朝、目覚めてまた元気に木の車を引っ張って、ぬらに帰るはずであった。たしかそうなっていた。
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な、なんということだろう。
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5 |4 @! S+ F$ b' u: Q 「とうとう見たんだ!おお、神さま、十分でございます。」- p* |2 ]# A% T0 Y1 s1 j
月の光のもとキリストを描いた憧れの名画が一瞬浮かんだとき、ネロは叫ぶ。そして犬の体をかたく抱く。
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「ぼくたちはエスさまのお顔を拝めるだろうよ――あの世で。そしてエスさまも、ぼくたちも離ればなれにはなさるまい。」
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+ ]4 I- h$ m1 ~. f' T0 R! R あくる日、アントワープの人々は、教会堂の中で凍え死んだふたりを見つけた。ネロは青ざめた顔をし、口もとにはほほえみさえたたえていた。死んでも二人は離れず、村の人々は一つの墓に葬った。* g1 `6 g" L2 h; v, R6 @0 x
* R; c# w# q j) Q7 o1 e7 z! v ワッと私は泣いた。
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嘘じゃないか。死なないことにした紙芝居の作者もめでたしめでたしの結末を口をぬぐって読んでくれた幼稚園の先生も嘘つきだ。私はわんわん泣いた。家の人がびっくりして起き出し、そして夏の一日が始まった。 |