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作者:市川保子
K. N* @& r* h. |6 X今回は「漢字が読める」「一人で行ける」のような可能形を使った文(可能文)文を勉強します。 8 ]) o9 W, ]! X4 ~! \3 j% ?* o
可能文のポイントは3つあります。 5 u/ x, i* m) ]9 j3 F, A" e
一つは可能形そのものの活用形の問題、2つ目は可能文における助詞の問題、3つ目は可能文の意味用法の問題です。
2 W0 D, X1 Q0 @: ^; W. \まず、可能形の活用から見ていきましょう。
- y9 j; i8 D6 D: G" i! m3 c! Zすべての動詞が可能形になるのではありません。可能形にできるのは「食べる」「行く」「勉強する」などの意志動詞だけです。(「あく」「しまる」「つく」「消える」などの無意志動詞は可能形にできません。) 4 h$ l" a& T6 \& ^5 e& @4 C* B
) x: ~3 b* n7 L+ x可能形はⅠグループ動詞が「行け」「飲め」などの命令形、「行けば」「飲めば」の「ば形」と似ています。また、Ⅱグループ動詞、Ⅲグループ動詞が受身形、尊敬の形と同じです。学習者の活用形の混乱が見られ始めるのが、可能形あたりからです。
$ N( a- U' u/ p+ P# h
+ A6 V) O, _/ M' w( Z( ^
- ^) e8 r! S5 _ }4 n7 _" E4 \1 R) j+ {
; C3 y* }3 b1 p3 J+ @0 x1 ^% O A. W. y/ w, Q# H7 y
( l2 a( p2 Q$ n; B
" |' q ~0 H( D& _) N
Ⅰグループ動詞 - @- D- s. H! W
( a0 n$ |9 w1 o1 NⅡグループ動詞
% z( `- d% y. f m2 K; f, v' q7 W+ x/ [$ {
Ⅲグループ動詞 5 w9 ^% R+ B: j8 d2 j! ]# @
S1 i; z# }( g) k0 e
8 H$ Y' n: f) @3 r/ p行く ikeru 行ける
! L' L+ t9 h5 x) ~9 T( I! K7 x/ E* P* p" _2 b& R2 M
食べるtaberareru 食べられる
5 I4 Z8 X" e+ B! E0 b
0 e7 F/ ^3 F4 ~" Z2 B) A" Q/ aくる korareru こられる
2 `/ A+ `, G3 o9 _& ?! X; J' M+ W5 b7 x+ T- v
" T6 q( H- X- v) H飲む nomeru飲める
) A0 }4 Q: ?+ m3 w* {: g/ j2 |
6 v4 B9 I: i# V7 B5 nいる irareru いられる ' G3 d, @7 c+ u. S8 n) w
1 o' @! Z/ f* kする suru できる 9 w+ M% v9 E. _9 t5 ]+ [3 |
( z" e+ L/ g2 k: K3 `
& J( r2 C- q$ ^/ `' e1 f/ Q' [
遊ぶ asoberu遊べる ; B; u4 [/ p$ t- ?
3 _1 u& r& m* u+ n5 M6 h: r1 K$ }* F
% |4 o& x) o6 l7 ^" {7 H; w7 d- N5 Q' M- s
7 T1 f( ]6 t: H# E
帰る kaereru帰れる
8 X& p9 X- O6 U5 }5 l7 K* M9 S0 M+ O2 h$ d* b" `# P8 n+ j
5 m: Y* b- M5 S/ z会う aeru 会える : x* U3 W" |1 b' H* B/ ]
z3 ]2 v0 B! j% N z% T$ J! X" V4 v3 }: G" H0 c/ I
話すhanaseru話せる
* }5 J3 E* t* `/ M) K+ g3 ?
' J! S4 `8 m' u1 u" S* s「する」の可能形は「できる」です。したがって、「理解する」の可能形は「理解できる」になります。学習者はcan understandのつもりで、「わかる」を「わかれる」や「わかられる」と可能形にしようとしますが、「わかる」自体の可能形はありません。 . S0 U) _5 P6 v$ Q+ G% }& c. k
, K$ I, A! L" I, A: _! S
可能文に関わる助詞の問題は2つあります。1つは「できる」目的(対象)に「が」をとるか「を」をとるかということです。 & i# Y$ i/ J, d8 e- F8 A/ g
$ q$ V4 E5 A; [! m8 d/ e% @
(1)私はドイツ語が/を話せる。 ' w+ n, o" E a4 v0 R% n# a" q& e M+ G
) f/ Z9 e0 B# P& L9 C- k
可能形は基本的には「漢字が書ける」「英語の新聞が読める」のように「が」をとりますが、「が」をとるか「を」をとるかはゆれている部分もあり、新聞などでも「を」を使っているのを見受けることがあります。 : ]; P- E3 {& Z* @0 i& }. J
「食べる」「飲む」「書く」など日常生活の動詞は「を」より「が」の使用が好まれるようです。 1 H- W8 J8 U$ M' N- Y$ [; }
「が」より「を」が使われやすいのは次のような場合です。 , Z7 k1 d0 C; h0 w( P
% d% n+ r) o( C- A* A5 `. e1)主語か対象か混乱が起きる場合
' L4 Z& `5 N% K% v% r (2)?彼は息子が引き止められない。 ' N0 T- R8 H+ t9 B7 A9 q
2)他動性の動詞、また、それ自体が長い音節をもつ動詞
1 T9 @: b/ ] [% A! H2 J (3)?あの柵にこの犬が結び付けられない。
( a+ B" u7 s" n) O5 `3 X% p" ]3)従属節(連体修飾節、副詞節など)の中 , m& K/ D3 [/ C$ v/ F' J2 J& T
(4)好きな字を書き込める装置を開発した。(新聞記事より) " S# d5 X% M% U" u
(5)節約をできる階層は限られている。(〃)
. t9 }/ Q4 H1 u5 Y6 z$ L $ Y- _2 U. s0 V- ?# E
可能形に関わる、もう1つの助詞の問題は「できる」主体に「に」をとれるのはどんな場合かということです。
8 Q" [7 c% @" N) f% s) o . E9 u1 G4 e- g1 U8 A
(6)?私にドイツ語が話せます。 ; q1 ?: }, ^% X# \
(7)○私にはこれ以上話せない。
: {3 U( k5 I( b4 \6 n" ?0 L (8)あの人にできるのに、どうしてあなたにできないの? 0 k( F3 x( [ f* @3 k
4 y0 p; g5 X" W- o6 y- s7 a8 J(6)の文は不自然ですが、(7)のような否定の文、(8)のような他者との比較の文では「に」が現れることがあります。(6)(7)に共通して言えることは、対比的な意味合い(否定文もそうです)のときには「に」が付くことが多いです。。 2 H3 A9 f( I5 P, P
; c& f( ?- C. Q! P+ H" B可能形は大きく「能力可能」と「状況可能」の2つに分けられます。 + c9 B7 h1 q( I9 P9 O8 Y" H( i2 A
9 \, R2 ~& ^( a# }, l$ B. t (9)私は漢字が書ける。(能力)
/ ^' r2 G: t# W0 X3 F( Y* i (10)手術中は中に入れません。(状況1) # ~ i9 j5 Q3 z6 m. R0 j+ b9 m( b
(11)この水はくさくて飲めない。(状況2)
: L/ R" H! O+ l% u4 }3 Y % s @* G! u6 i2 ~+ G
「能力可能」は主体にとってそのことができる能力があるかどうかを表します。一方、「状況可能」は(10)のように状況が許可されるか否かの可能性(状況1)、また(11)のように対象物が持っている状態・性質によってその可能性が関わる場合(状況2)です。 % e2 l; F9 u0 R% x) ?* c4 e; r
学習者の母国語には、「能力可能」と「状況可能」を違う表現を使う国語もあるので、日本語の可能表現の特徴は説明しておく必要があります。
) `' X$ \5 m/ j; A " B( |; f! s, C$ }1 G+ h
可能形は自動詞、自発動詞、「許可表現」などと絡んできます。 5 r; l5 }* F1 K F
% c9 [6 \& c& I9 k& s( z$ N7 r
(12)プラスチックのコップは落としても割れない。
/ X2 z' B5 s! j7 S (13)ピアノを移動したいが、重くて動かない。
# |. u: p% }9 K+ d- r
# q, d$ C I# S" e「割れる」「動く」は自動詞(他動詞は「割る」「動かす」)ですが、学習者は可能形にしたがり、「割られない」「動けない」などとしてしまいます。
3 A! I/ P# D3 m9 O$ t; A& `( a5 T 4 Q/ N1 Y- c: q. q$ ~! J" w3 w7 B
可能形と同じ形をもつ自動詞には次のようなものがあります。 4 b U% u% ~& q4 r( \( L g1 p
他動詞 可能形・自動詞
, S- _" y7 {0 M& y1 x: M* t% o皿を割る 皿が割れる ' t3 M' }* @- H( |
棒を折る 棒が折れる
, n Y- G+ _6 Q5 P$ [4 }) G紙を破る 紙が破れる 0 W/ _9 U8 }1 p
米をとる 米がとれる
+ X( f# O8 n0 I) C本を売る 本が売れる
& V5 I& I. X/ n- q* E, r( d # b# j/ {0 T1 ^. d4 ~; }0 Y% Q, z4 S* s
可能形と同時に提出される項目に「見える・聞こえる」があります。厳密には自発動詞と呼ばれるものですが、可能表現と重なる部分もあるので、可能形のところで提出されているようです。
8 V m4 @" y) i C& qしたがって、「見える・聞こえる」に関しては、「見られる・聞ける」という可能形との意味・用法の違い問題になります。 # h7 |9 V) t0 H' O- G( P% [
! W2 k) S+ Y$ ~% J, g; g$ A (14)ここからアルプスが見える
( z( M6 }) `! x4 S0 v! M (15)笠間美術館へ行くと、ルノワールの全作品が見られる。
* ]' {( b( m" M3 {8 t; V : q6 n& u- k/ L, g1 C
(16)車の音が聞こえる。
9 l7 W2 O: D! K8 c (17)千円も出せば、一流のオペラが聞ける。 : C8 |7 e; D( d, W: ], s; K- E
2 o/ F, M; s( L3 p
「見える・聞こえる」は自発動詞なので、(14)(16)のように「自然と目の中に入ってくる」「自然と耳に入ってくる」という意味になります。一方、「わざわざ行く」とか「お金を出す」などの人間の意志と手間が入ると、(15)(17)のように「見られる」「聞ける」が使われます。 , ]0 F t8 A- w6 X
3 L* P: V! F4 e, `+ _可能形「書ける」「行ける」は、多くの場合「書くことができる」「「行くことができる」と言い換えることができます。では、可能形と「~ことができる」は同じ意味・用法を持つのでしょうか。また、使い分けがあるのでしょうか。 9 c! ?$ ?: V( x1 N9 y" f' b
結論から言えば、可能形と「ことができる」は意味・用法は同じ場合が多いです。 / y: c5 u- o8 p5 E8 i
両者の特徴をまとめると、次のようになります。 / P1 Q1 a2 u: ~/ S/ w0 G" y
$ X% r* |: o/ f$ a
【可能形】 - @. c$ T2 S( R" V5 v
ⅰ 話しことばによく使われる。
/ m, u* {" T# f: b% W ⅱ「飲む・食べる・買う」などの日常生活に頻出する動詞に使われやすい。
4 b5 ]& B- C i【ことができる】 ' m: ]( y+ h( c' c+ V
ⅰ 書きことば的である。 h/ t) V1 J, a& Z8 U2 l) f
ⅱ 論理的な動詞(「述べる」「まとめる」など)に使われやすい。
' j' L0 O, p/ q; T6 X% ~ ⅲ 2グループ動詞(一段動詞)では、可能形と受身形が同じ形なので、混同 " v* t0 `# S" T! C& @
を防ぐために「ことができる」が使われることがある。 / @* O4 p3 ^$ S* _! X# }
iv 他動詞や動詞の使役形で「せる」で終わる動詞に使われやすい。 # |( V. d' s/ P' C6 k
早く済ませられる←→早く済ませることができる |
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