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作者:市川保子
* S6 }& D; T3 L' v' k 海外の学生さんや日本語の先生から文法についての質問がいくつか来ています。今回はそのうちの一つを取り上げたいと思います。 - M& ?, L a& j2 S5 T% f
次の手紙をお読みください。(市川が文を適宜訂正)
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# k( }9 U4 `5 X2 Iはじめまして。日本語についての質問を聞きたくてメールを差し上げます。
6 B+ T/ ?' n. f# O0 F# Z7 D日本語の仮定条件には「と、ば、たら、なら」があります。その違いが明らかになってないようで、母語の日本人は感覚的、自然に使うことができますが、外国語の学習者にとって、かなり難しいものです。
! X( S& a: q% Y2 i* `3 B& K①今日できな[ければ/かったら]明日でもいいです。
- |* q# Q$ x2 h. D: J②明日、天気がよ[ければ/かったら]花見に行きます。 $ R. z! Q0 |( _( q) ]4 x0 ?
③お金があ[れば/ったら]旅行に行きたい。
9 U Z6 t _1 [' Z) [
$ v5 P6 x% B5 h 以上の用例において「ば」と「たら」が置き換え可能ですが、どちらを使っても同じように言えるのかというと、そんなことないだろうと思います。絶対何かニュアンスの違いがあると思うのですが、日本人はこの二つの形式を使うとき、どう感じますか? ) k/ b4 k" Z s# h
また、次の④~⑥ではどれが最適ですか。「田中さんが来てくれないとしたら、困るなあ」という意味を表す時、自然に頭の中に出てる文はどれですか?それはなぜですか?
. i1 p" f- t4 y④田中さんがきてくれないと困るなあ。 ! q: m- h* L9 O5 L
⑤田中さんがきてくれなければ困るなあ。
$ b! _( a* d- Y9 w⑥田中さんがきてくれなかったら困るなあ。
+ p# N; c: W. l, V0 _$ t0 Y9 }' X$ o9 _9 t4 R# ^& G' q9 h
一体、日本人はどういうイメージで「と、ば、たら、なら」を使い分けるのですか?
E. s' f2 e: x! _5 \5 Hもう一つ。仮定条件の明確な定義はなんですか? 教えていただけませんか?
7 z. N+ W8 U& y1 X5 a
3 z, t2 o5 s0 ]; m1 H8 U1 u私は次のように返事しました。
+ D( ?* G- f& g: W+ E4 x. m! z
, F: j" v# a, ~: ~2 h【ご質問Ⅰ】 ①-③について ; ~$ q7 g4 t2 R. {$ ?+ Q( [5 P" k
一言でお答えすると、「ば」でも「たら」でもほとんどニュアンスの違いはありません。どちらを使っても大丈夫です。(ただし、「たら」のほうが口語的で、「ば」のほうが丁寧な印象を与えます。) $ V# V. \+ `# q. @
あえて説明を加えるとすると、やはり「ば・たら」の基本的な特徴が関係しているかもしれません。「ば」は「前件に焦点のある条件文」で、「たら」はどちらかと言えば「後文に焦点のある条件文」だということです。
% O. U3 O, V0 \: Qしたがって日本人がそれぞれの前件だけを聞くと、後件には次のような文を想像
: K( u% m6 S$ O; R& W; D2 kしやすいと言えます。 ( M4 ~, f; }% a5 u
(1)a.今日できなければ、(・・私も困ってしまいますね。)
! h4 H3 j# f! [1 w* s! l) { b.今日できなかったら、(・・明日は必ずやり終えてください。) $ n' d3 d2 l. V) V: T
! ]* i4 |6 L2 L2 {% E0 k- \9 ~
(2)a.明日天気がよければ、(・・布団でも干したいですね。) % {" i4 A3 d! U9 _4 g' Y
b.明日天気がよかったら、(・・ドライブにでも行きませんか。) ( Z ?7 ?* S: M2 }0 S! q, |
' F8 W5 L$ E* r2 H8 l* W" D1 T: ?(3)a.お金があれば、(・・借金が返せるんだけど。) $ X( X3 Q$ s) m e1 C/ m6 ]
b.お金があったら、(・・世界一周したい。)
7 N0 z6 @3 R7 N. M5 @0 K9 b
- t/ n9 G3 G0 A0 C+ jaとbのニュアンスの違いがわかりますか。正直なところは、a、bどちらも「ば」でも「たら」でも大差ないのですが、無理をして違いを表せば上のようになります。
6 A0 U7 I5 ]: n& H6 B(1)-(3)では、aの後件に情報量の低い文が、bの後件には情報の量の高い文が来ているのがわかりますか。 ) ^. x2 T9 W% [) @; l2 u
つまり、「ば」の場合は、前件に焦点があるから、前件が問題になるのであって、後件に情報の高い内容は来にくく、一方、「たら」は後件に情報の高い内容が来やすいと言えます。 3 G) ?. ~) g3 F
* t) K! I: L j* l; J【ご質問Ⅱ】④-⑥について ) N5 k0 b4 ]1 L- e
日本人のintuitionから言うと④です。その理由は、「と」の前件と後件の結び付きの強さです。「・・しないと困る」という言い方はかなり一語性を持っています。 8 G% {- G# F+ m/ F+ @0 _% Y
質問Ⅰと同じように考えれば、「ば」の場合は、「田中さんが来てくれなければ」に焦点が置かれるので、後件は「何もできない」「話にならない」また、「困る」もいいと思います。一方、「たら」の場合は、後件に焦点が当たるので、「田中さんが来てくれなかったら」、「ほかの人に頼もう」とか「会は取り止めだ」のような内容になるでしょう。
) ]* K. s H8 ]6 g( P4 o
1 d) W1 r6 C# e5 I【ご質問Ⅲ】一体、日本人はどういうイメージで「と、ば、たら、なら」を使い分けるか?
7 ~5 w2 A- C6 C7 `) M3 L : H3 Y( ^2 y" K n& {- o2 w' h9 m) P3 E5 o
私自身は、「と・ば・たら」と「なら」を区別し、「なら」はいわゆる仮定的な条件を、「と・ば・たら」は前件と後件で時間の前後関係があり、仮定的な条件だけでなく、一般条件(例:太陽が昇ると明るくなる)、確定条件(ドアを開けたら、男が立っていた)なども表すと分類しています。そして、文体では「たら」が会話的、「ば」が書きことば的、また、前件と後件の結びつき(依存関係)から言うと、「と」が一番強く、「たら」が一番弱いととらえています。ですから、「たら」の後件はmodalityの高い文末表現がとれるのです。 $ |; Q2 ^) o; K
% A! X0 q4 J! a& `" q【ご質問Ⅳ】仮定条件の明確な定義 ; b0 U" G' o5 p/ L
仮定条件のとらえ方は研究者によって微妙に違うようですが、『日本語文型辞典』くろしお出版の説明を挙げておきます。
`) B- I2 b8 C6 p7 v6 ~「特定の事物・人物について「Xが成り立てばYが成り立つ」という関係を表す。Xは未実現の場合と、すでに実現している場合があるが、Yは常に未実現のことがらを表す。」 4 C- y% u$ _5 b; d0 M$ R: \; z
Xが未実現の例文は「もし」を付けることができる文で、例えば「手術をすれば助かるでしょう」。Xが実現している文は、例えば「こんなに安ければ、もっとたくさん売れると思う」のような文です。 5 N- |7 H j4 n9 |4 r
以上です。くろしお出版の『日本語文法セルフマスターズシリーズ7 条件表現』がお役に立つと思います。 9 c/ d8 A) Q. J# L$ ~2 Q
6 c) d; p0 y. U
これに対して、更なる質問が来ました。それは次回にご紹介しましょう。
) u+ z( M) p, R+ T私の説明は間違っていないでしょうか。皆さんのご意見をお待ちしています。 ! Z, s- M1 N9 T$ R8 A& F1 @7 q
(1)-(3)の例は、あまり良くなかったようです。質問者の方にはわかっていただけなかったようでした。 |
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