徳山ダム―何のための半世紀だった
德山水库---修建计划为何历经半个世纪
ため込む水は浜名湖の2倍という日本最大のダムが、岐阜県の山奥にまもなく完成する。いま最後の貯水試験の最中だ。
蓄水量比浜名湖大1倍、日本最大的水库不久将在岐阜县山中竣工。现在正在进行最后的蓄水测试。
徳山ダム。構想から50年余り、満々と水をたたえる人造湖を見て感じるのは、むなしさである。
这就是德山水库。看过这历时50余年、蓄满水的人造湖后,我觉得它毫无意义。
多目的ダムというのに、発電の施設もなければ、水道水や工業用水を取り込む設備もないままだ。「洪水対策に役立つ」というが、それだけならもっと小さなダムでよかった。
名为多功能水库,却既没有发电设施,也没有配备取用自来水和工业用水的设备。说是“利于防洪”,但仅为防洪的话修建更小的水库岂不更好。
総事業費は3500億円。神戸空港がもう一つできる金額である。
修建这个水库共花费3500亿日元,这足可以再建一个神户机场。
このダムのために、一つの村が完全に水の底に沈められた。1500人の住民は全員、村の外へ移った。イヌワシやクマタカが舞っていた環境はすっかり変わってしまった。
为这个水库,一个村庄完全被沉于水底,1500名村民全部移居村外。山鹰与角鹰的栖息
环境也已完全改变。
なぜ、こんなことになったのか。時代が移り、電力や水の需要が予想ほどには増えなくなったのに、引き返すことなく、過去の計画をそのまま進めたからだ。費用と効果のバランスを考えず、役所の都合ばかりを優先した日本型公共事業の典型といえる。
为什么会变成这样呢?因为时代改变后水、电需求并没有预期增长,但以前的水库修建计划依然有效,并没有被取消。这可以说是典型的日本型公共事业建设,不考虑费用效果比,只优先考虑政府的意愿。
これまで計画を改める機会は何度もあった。水力発電の必要性が薄れた60年代。用地買収の交渉が難航した80年代。水需要が伸びなくなった90年代。旧建設省や国土交通省がいずれかの時に立ち止まっていれば、こんなことにはならなかった。
此前,曾有过几次可以修改修建计划的机会。分别是在水力发电需求小的60年代,土地收购谈判进展缓慢的80年代及用水需求没有增长的90年代。原建设省和国土交通省当时如果制止计划实施的话,也不至于出现今天这种局面。
とりわけ残念なのは、90年代以降の動きだ。公共事業への批判にさらされ、河川行政の転換を図った。費用対効果の検証を徹底するなどして、全国で100以上のダム建設を中止した。
特别令人遗憾的是90年代以后修建计划的进展。当时,国家陷于公共事业建设的批判中,谋求转变河川开发的行政体系。彻底检验费用效果比,中止了全国100多个水库的建设。
だが、徳山ダムは計画を手直ししただけだった。同じように大規模な八ツ場ダム(群馬県)や川辺川ダム(熊本県)も建設を続けている。
但是,德山水库计划只是进行了部分修改而已。同样,大规模的八场大水库(群马县)和川边川水库(熊本县)也在继续修建之中。
長い年月、多額の費用をつぎ込んだがゆえに途中でやめにくいということだろう。だが、それでは無駄なものをつくり続けることになりかねない。
因为投入了长年时间与巨额费用,中途停止修建应该很难吧?但即便如此,也不能继续修建没有用途的建设项目。
自治体の責任も大きい。愛知、岐阜両県と名古屋市は、水需要が伸びなくなったのに、計画に同意し続けた。そのツケは大きく、今後、水道などの利水分の建設費用1500億円を払っていかなければならない。それはけっきょく住民の負担になる。
在这件事上,地方政府的责任也很大。爱知、岐阜两县与名古屋市的用水需求量并没增加,但还是同意并继续修建水库。修建费用非常大,今后还必须支付1500亿日元的自来水管道等疏水工程的建设费用。这些费用最后还是要由居民来负担。
国交省は徳山ダムに関連し、さらに900億円を投じて取水のための導水路をつくろうとしている。渇水のときなどにダムの水を使おうというのだ。だが、渇水対策なら、ふんだんに水を持つ農業用水と調整すればいい。
国土交通省还计划向德山水库投入900亿日元,用于修建取水口。据说,干旱时可以使用水库里的蓄水。但是说到防旱,调用蓄水丰富的农业用水不就可以解决了吗?
発電、利水、洪水対策、さらには渇水対策。そんなふうに看板を次々にかけ替えて公共事業を守るのは、もうやめてもらいたい。そして、こんなお役所仕事が半世紀もの間、なぜ許されてきたのか。そのことも突きつめて考えたい。
名为发电、疏水、防洪甚至防旱,实为不断更换名头以求保护公共事业建设,希望相关部门停止这种做法。此外,这样一个政府工程持续了近半个世纪,何以获得批准?希望能探明究竟。 |