每日磨磨耳1月1日（面影橋Ⅷ あけまして、おめでとうございます）

浪迹的小鱼

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   僕は、ふと思い立って、彼女の家の方に行ってみることにした。別に訪ねるつもりはないが、あの家がどうなっているか

ちょっとだけ見てみたい気がしたのだ。

　ところが、記憶の中の地図に従って歩いても、あの家を見つけることは出来なかった。もともとごみごみした界隈なの

で、______________________________________________________________________________________

　あの家があった一角には、瀟洒なマンションが建っていた。造りから見て、築後十年ちょっとといったところだろうか。同

じ敷地内にあった工場もなくなっていた。たぶん残された母娘は、工場ごと敷地を売ってどこかに引っ越してしまったか、あ

るいはこのマンションを経営しながらここに今も住んでいるかなのだろう。どちらかは分からなかったが、いずれにしろそこは

すっかり変わってしまい、あの家の面影はもうどこにもなかった。あの時少しだけ大人になった顔を見せていた彼女は、そ

の後どんな人生を生きているのだろうか。幸福な家庭を築いているのだろうか……僕がそれを知ることは、永遠にないだろ

うと思った。

　日が暮れかけていた。僕は、少しの間そこに佇み、口笛でそっと「亡き王女のためのパヴァーヌ」の旋律を吹いてみ

た。彼女があの日そうしたように、わざとところどころ少しつっかえながら……

　その日僕は、本当にしばらくぶりに荒川線に乗り、町屋までの短い距離を、チン?チンというあの独特の音を聴きながら

帰った。僕が今住んでいるところは、そこから地下鉄の千代田線に乗り換え、少し行ったところにあるのだ。

[ 本帖最后由 浪迹的小鱼 于 2009-1-1 00:30 编辑 ]

浪迹的小鱼

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