たまたま家族がみんな出かけてしまった日曜日など、なぜかひとりで留守番というかっこうのとき、電話の鳴るたびにのこのこ立っていくのがおっくうで ― だいたい私あての電話は少ないのだ ― 断固無視してやろうとは思っても、リーンリーンリーンと鳴り続けるあの音に対して居留守を使うにはよほどの図太い神経がいるらしく、ためしに意地を張って見ると、けっきょく、いちいち席を立つよりも、無視しとおすほうがよほど心の疲れは大きいのであった。
(佐藤信夫「レトリックの記号論」)
*居留守を使う:本当はいるのに、いないふりをすること。
問:「よほど心の疲れは大きいのであった」とあるが、それはなぜか。
1. 電話が鳴るとでなくてはいけないと思ってしまうから。
2. 日曜日にはひとりで留守番をしなくてはいけないから。
3. 期待して出ても自分にきた電話ではないことが多いから。
4. 電話が鳴るたびにいちいち立っていくのがおっくうだから。 |