帰省(美丽心情)ーーー中島美雪 
 
遠い国の客には 
笑われるけれど 
押し合わなけりゃ街は 
電車にも仱欷胜 
 
まるで人のすべてが 
敵というように 
肩を張り肘(ひじ)を張り 
押しのけあってゆく 
 
けれど年に二回 
八月と一月 
人は はにかんで道を譲る 
故郷(ふるさと)からの帰り 
束(つか)の間(ま)人を信じたら 
もう半年頑張れる 
 
機械たちを相手に 
言葉は要らない 
決まりきった身振りで 
街は流れてゆく 
 
人は多くなるほど 
物に見えてくる 
ころんだ人をよけて 
スクランブルを渡る 
 
けれど年に二回 
八月と一月 
人は振り向いて足を止める 
故郷からの帰り 
束の間人を信じたら 
もう半年頑張れる |