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2011.06.19
ベトナム日本センターの所長をつとめた故堀添勝身さんの『ベトナムで生きてみた』によれば、この国を「アメリカに勝った」と称(たた)える日本人は多い。だが聞いたベトナムの人は平然とこう答えるそうだ。「負けなかっただけだ。われわれが米国を攻めたわけじゃない」。
曾任越南日本人才协力中心所长的已故堀添胜身先生的著作『我住在越南』里提道,许多日本人赞扬这个国家「赢了美国」。然而,据说听到这句话的越南人却很平静的回答:「只是没有输而已,我们又没有去打美国」。
▼地政学的に重要な位置にあるベトナムは常に外国勢力の攻勢にさらされてきた。相手は米国だけでなく、隣国中国やフランスだった。だがその都度、巧みに、あるいは勇敢にこれと戦ってきた。その経験からくる「自信」のように受け取れた。
地缘政治上处在重要位置的越南经长受到外国势力的侵犯,对手除了美国之外还有邻国中国及法国等。然而每回越南总是巧妙地或者是勇敢地与其对抗。也因为这样的经验而有了「自信」。
▼特に中国との抗争の歴史は長い。13世紀末には日本への元寇のように、元の大軍が海から押し寄せた。このときは干潮時、海辺に杭(くい)を打つなどで元の船をうち破った。1979年の中越戦争では陸の国境での必死の戦いで中国軍をはねつけている。
特别是与中国抗争的历史尤长。就好比13世纪末的元寇,元朝的大军从海袭来,当时正值退潮时,(日方)在海边设桩等把元朝的船击沉。(而越南)在1979年的中越战争时,在两国边境上抵死奋战,击退了中国大军。
▼そのベトナムと中国との間がまた、きな臭くなってきた。中国が南シナ海での覇権拡大に動く中、資源調査を行っていたベトナム探査船のケーブルを中国監視船が切断した。ベトナムの漁船に対し中国艦船が自動小銃で威嚇発砲する事件もあったという。
此一越南与中国之间又再度弥漫着紧张诡异的气氛。据传中国在扩张南海霸权的一环中,巡逻舰切断了越南进行资源调查的探勘船的缆线,以及中国的军舰发射机关枪威胁越南渔船等。
▼むろんベトナムのことだから、黙ってはいない。海軍が自国沖で実弾演習を行ったほか、衝突にそなえて32年ぶりの徴兵令も公布した。中国の動きに対してはフィリピンも反発しており、資源豊かな南シナ海はまさに一触即発の海と化している。
越南也不是省油的灯,不会默不作声,除了海军在自国的海域进行实弹演练外,为防备冲突发生,时隔32年再度颁布了征兵令。菲律宾也对中国之举进行抗议。资源丰富的南海严然已成一触即发的海域。
▼それにしても、他国のケーブルを文字通り「一刀両断」というのは大国の態度とは言えまい。日本にとっても人ごとではない。だが、ベトナム戦争で米国をあれほど非難した日本の文化人や大方のマスコミが、中国へは一言も文句を言わないのである。
即便如此,对他国的缆线采取如字面之意「一刀两断」的做法,实非泱泱大国的姿态。对日本来说这并非事不关己之事。然而,对越战严厉批评过的日本的知识分子及大众媒体却对中国一个屁都不放。 |
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