梦十夜(九)

华南虎

第九夜 　世の中が何となくざわつき始めた。今にも戦争が起りそうに見える。焼け出された裸馬(はだかうま)が、夜昼(よるひる)となく、屋敷の周囲を暴れ廻ると、それを夜昼となく足軽共(あしがるども)が犇(ひしめ)きながら追かけているような心持がする。それでいて家のうちは森(しん)として静かである。 不知怎么的世道变得动荡不安，竟像要爆发战争似的。给人的感觉，就好像有从火灾中逃出来的光背马，昼夜不停地围着房屋狂奔乱跳，同时，一群士卒也是不分昼夜地在拼命地追赶着马匹一样混乱。而与此相反，屋内却是寂静无声。 　家には若い母と三つになる子供がいる。父はどこかへ行った。父がどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。床の上で草鞋(わらじ)を穿(は)いて、�い頭巾を被って、勝手口から出て行った。その時母の持っていた雪洞(ぼんぼり)の灯(ひ)が暗い闇に細長く射して、生垣の手前にある古い檜を照らした。 屋内是一个年轻的母亲和一个年仅三岁的小孩子。孩子的父亲是在一个无月的夜晚出门的，也不知去了哪里。他是在屋里穿上草鞋，披上黑头巾，从后门离家出走的。那时，孩子母亲手中的纸罩蜡灯，在茫茫的黑夜里射出一束狭长的亮光，照亮了矮树篱前面的一株古柏。 　父はそれきり帰って来なかった。母は毎日三つになる子供に「御父様は」と聞いている。子供は何とも云わなかった。しばらくしてから「あっち」と答えるようになった。母が「いつ御帰り」と聞いてもやはり「あっち」と答えて笑っていた。その時は母も笑った。そうして「今に御帰り」と云う言葉を何遍となく繰返して教えた。けれども子供は「今に」だけを覚えたのみである。時々は「御父様はどこ」と聞かれて「今に」と答える事もあった。 孩子父亲从此就再也没有回来过。孩子母亲每天都要问三岁的孩子：“爸爸呢？”。孩子一声不吭。过一阵子，孩子才学会了说：“那儿。”。母亲问：“爸爸什么时候回来？”，孩子也只会笑着说：“那儿”。于是母亲也跟着笑起来，然后反复地教孩子说：“就要会回来了。”。可是孩子只记得住“就要”这两个字。有时问孩子：“爸爸去哪里了？”，孩子也回答说：“就要”。 　夜になって、四隣(あたり)が静まると、母は帯を締め直して、鮫鞘(さめざや)の短刀を帯の間へ差して、子供を細帯で背中へ背負って、そっと潜(くぐ)りから出て行く。母はいつでも草履を穿いていた。子供はこの草履の音を聞きながら母の背中で寝てしまう事もあった。 每当夜深人静之后，母亲便重新理好腰带，并在腰带上插上一把鲨鱼皮鞘的短刀，再用窄带将孩子驮在背上，悄无声息地躬身从小门溜出去。母亲总是穿着草鞋。孩子有时听着草鞋的脚步声，就在母亲的背上睡着了。 　土塀(つちべい)の続いている屋敷町(やしきまち)を西へ下って、だらだら坂を降り尽くすと、大きな銀杏(いちょう)がある。この銀杏を目標(めじるし)に右に切れると、一丁(いっちょう)ばかり奥に石の鳥居がある。片側は田圃で、片側は熊笹(くまざさ)ばかりの中を鳥居まで来て、それを潜り抜けると、暗い杉の木立になる。それから二十間ばかり敷石伝いに突き当ると、古い拝殿の階段の下に出る。鼠色に洗い出された賽銭箱(さいせんばこ)の上に、大きな鈴の紐がぶら下がって昼間見ると、その鈴の傍に八幡宮(はちまんぐう)と云う額が懸っている。八の字が、鳩が二羽向いあったような書体にできているのが面白い。そのほかにもいろいろの額がある。たいていは家中(かちゅう)のものの射抜いた金的(きんてき)を、射抜いたものの名前に添えたのが多い。たまには太刀(たち)を納めたのもある。 穿过土墙相接、房屋鳞次栉比的街市往西走，走到缓坡的尽头，有一株高大的银杏树。在这棵银杏树处向右拐去，往里一百多米处有座石牌坊。走过一边是农田，一边尽是山白竹丛的小径来到此石牌坊下，穿过石牌坊是一片黑森森的杉树林。再沿着三十多米长的石板路走到尽头，便来到了一座古殿的台阶下。在一个经日晒雨淋已呈灰白的香资柜的上方，一条大铜铃的粗绳垂挂下来，若在白天，则可见铜铃旁悬挂着一个写有“八幡宫”（注：祭奠八幡神的神殿。八幡神被称为弓矢•武道之神）的匾额。那个“八”字的写得就像是两只面对面的鸽子，生动有趣。除此以外，还有许多各种各样的挂匾。其中较多的是家将在比武时射穿了的金靶，上面还写着射手的名字。偶而也有表示敬献长刀的匾额。 　鳥居を潜ると杉の梢でいつでも梟(ふくろう)が鳴いている。そうして、冷飯草履(ひやめしぞうり)の音がぴちゃぴちゃする。それが拝殿の前でやむと、母はまず鈴を鳴らしておいて、すぐにしゃがんで柏手(かしわで)を打つ。たいていはこの時梟(ふくろう)が急に鳴かなくなる。それから母は一心不乱(いっしんふらん)に夫の無事を祈る。母の考えでは、夫が侍であるから、弓矢(ゆみや)の神の八幡へ、こうやって是非ない願(がん)をかけたら、よもや聴かれぬ道理はなかろうと一図(いちず)に思いつめている。 不论何时从石牌坊下走过，都会惊起杉树枝头上的猫头鹰的叫声。还有就是母亲那旧草鞋的踢拖踢拖的声响。当草鞋声在神殿前停下后，母亲会先拉响铜铃，再蹲下身子击掌合十。通常在这时，猫头鹰的叫声会嘎然而止。母亲专心致志地祈祷着夫君的平安。母亲深信不疑：丈夫是个武士，因此来到这被称为弓矢武道之神的八幡大神作此不得已的求拜，难道还会不应验吗？ 　子供はよくこの鈴の音で眼を覚まして、四辺(あたり)を見ると真暗だものだから、急に背中で泣き出す事がある。その時母は口の内で何か祈りながら、背を振ってあやそうとする。すると旨く泣きやむ事もある。またますます烈しく泣き立てる事もある。いずれにしても母は容易に立たない。 孩子常被铃声惊醒，睁眼看到四周一片漆黑，有时就会在背上突然放声大哭起来。这时母亲便一边嘴里祷告，一边耸着背哄孩子。这么一来，孩子有时就不哭了，可有时反而哭得更厉害。不管怎么样，母亲都不会轻易放弃祷告而站起身来的。 　一通(ひととお)り夫の身の上を祈ってしまうと、今度は細帯を解いて、背中の子を摺(ず)りおろすように、背中から前へ廻して、両手に抱きながら拝殿(はいでん)を上って行って、「好い子だから、少しの間、待っておいでよ」ときっと自分の頬を子供の頬へ擦りつける。そうして細帯を長くして、子供を縛っておいて、その片端を拝殿の欄干に括りつける。それから段々を下りて来て二十間の敷石を往(い)ったり来たり御百度(おひゃくど)を踏む。 母亲为丈夫祈祷完毕后，会解开背带，把背后的孩子放下，抱到胸前，再登上神殿，用自己的脸颊抚摩孩子的脸颊，哄着孩子说：“乖孩子，稍等一会喔。”。然后用细长的背带将孩子捆上，带子的一端拴在神殿的栏杆上。最后走下台阶，来到三十多米长的石板路上，来来回回地踏百度（注：日本参拜神殿的一种方式。在一段路上反复地走，每走到一端扣一次头，以示虔诚）。 　拝殿に括りつけられた子は、暗闇(くらやみ)の中で、細帯の丈(たけ)のゆるす限り、広縁(ひろえん)の上を這い廻っている。そう云う時は母にとって、はなはだ楽な夜である。けれども縛った子にひいひい泣かれると、母は気が気でない。御百度の足が非常に早くなる。大変息が切れる。仕方のない時は、中途で拝殿へ上って来て、いろいろすかしておいて、また御百度を踏み直す事もある。 被拴在神殿上的孩子，在黑暗的走廊上，尽着带子所能伸展的长度到处爬动。这时，对母亲来说是心情极为舒畅的夜晚。但只要拴着的孩子一啼哭，母亲就心神不安了。踏百度的步伐也变得非常急促，上气不接下气。实在受不了的时候，也只得中途回到神殿上哄一哄孩子，然后再下去重踏一百次。 　こう云う風に、幾晩(いくばん)となく母が気を揉んで、夜の目も寝ずに心配していた父は、とくの昔に浪士(ろうし)のために殺されていたのである。 　こんな悲い話を、夢の中で母から聞いた。 其实如此让母亲夜不能寐，牵肠挂肚的父亲，早就因为是没有主人的浪人而被人杀死了。 这个悲哀的故事，是在梦中听母亲讲的。

qr_zhao

不知何故，社会开始变得骚动不安，随时都有可能引发战火。心里乱成一团，仿佛因火受惊，失去了主人的裸马昼夜绕着房子姿意疯狂，兵卒们像潮水一般白天黑夜地在后面紧紧追赶。在这种境况下，家中的气氛森严而又寂静。 家里有一位年轻的母亲和一个三岁的小孩。父亲离开了家庭，是在某个深夜离开的。他坐在床铺上穿好草鞋，裹上黑色的头巾，然后从厨房走出去了。离开的时候，母亲端着有灯罩的煤油灯。灯光在黑暗的夜色中发出细长的光影，照亮了树篱附近的老桧。 父亲离开家后再没有回来，母亲每天都问三岁的孩子：“爸爸呢？”孩子什么也不回答。过了半晌才说：“那边”，母亲又问：“什么时候回来？”孩子仍然笑着回答：“那边。”这时母亲也跟着笑起来，接着一遍又一遍地教孩子：“马上就回来。”可是孩子职记住了一个词“马上”。有时候问孩子：“爸爸在哪能儿？”偶尔也回答：“马上。” 到了夜晚，附近安静下来。母亲系好腰带，把带有鲛鞘的短刀插入腰带里，用细带捆住孩子，背在背上，从腰门悄悄走出来。母亲总是穿着草鞋。孩子有时就听着草鞋的声音在母亲的背上睡着了。 沿着土墙连着土墙的住宅区向西顺路而下，走完那段缓坡，接着有一棵大银杏。以这棵银杏为目标向右走过去，在百米左右的前方立着一座石头做的牌坊。牌坊的一侧是田圃，另一侧是个小竹丛。从小竹丛来到牌坊，从下面钻过去就是黑色的杉树林。离开杉树林，顺着敷石四十米左右来到尽头就到了古老拜殿的台阶下面。香钱箱经日晒雨淋漂成了鼠色，它的上方吊着一口钟，钟上连着一根细绳。在白天可以看到钟的旁边有一块匾写着八幡宫。八字写得像鸽子张开的翅膀，煞是有趣。此外还有各式各样的匾，多数是将家中人射穿的金色箭靶挂在射箭人的姓名下，偶尔也有挂长刀的。 钻过牌坊，经常有猫头鹰在杉树的枝头上叫着，还有破草鞋叭喳叭喳的声音。草鞋的声音在拜殿前面停下来，母亲首先拉响了钟，接着跪下来拍手拜神。大抵就在这个时候，猫头鹰的叫声嘎然停止。拜完神后，母亲坐怀不乱地祈祷丈夫平安无事。在母亲心中只有一个念想：丈夫是武士，这样虔诚地来向弓矢八幡许愿祈求平安，应该灵验的。 孩子经常被钟声弄醒，看到四周都是一团漆黑，于是兀自在背上哭泣。这时，母亲一边在口中念念有词，一边摇晃身体哄着小孩。这种方法有时很管用，有时却弄得孩子哭得更厉害；但不管是哪种情况，母亲决不轻意站起来。 将丈夫的平安大致祈祷了一遍，接下来就是解开细带，像是把孩子拖下来似地，从背上转到胸前，用双手一边抱住一边向拜殿登去。“乖孩子，再等会儿吧。”说的时候，她总是把自己的脸紧贴在孩子的面颊上，而且把细带拉得长长的，一端捆住孩子，另一端系在拜殿的栏杆上，然后拾级而下，在四十米的敷石上走过去，来回地走一百遍。 系在栏杆上的孩子在黑暗的夜色中，只要细带的长度允许，就在宽廊上到处乱爬。对母亲来说，这样的夜晚是非常快乐的。可是，被捆的孩子一旦哇哇大哭，母亲的心就像被揪起来似的，来回走的速度开始变得飞快，快得叫人喘不过气来。有时饶不过便中途停下，登上拜殿，百般地哄好孩子，接着又重新在敷石上来回地走一百遍。 就这样，不知有多少个夜晚，母亲忧心匆匆，彻夜不眠地惦记着父亲。可是，远方的父亲却在老早以前被当作浪迹天涯的武士遭人杀害了。 这个悲惨的故事是我在梦中听母亲讲的。

Doreen6

恩~翻译的真好