1.走り出す美女
カチッという音が聞こえた。
万年筆のキャップをはめた音だったらしい。その若い女性は、細身の赤い万年筆を、静かにテーブルにおくところだった。
そして、そっとため息をついたのだ。
「いいなあ.....」と、その女性を眺めていた奈々子もため息をついた。
「何が?」カウンターの中でコーヒーカップを洗っていた店のマスターが、奈々子のため息を聞きつけて、訊いた。
「え?ああ、あの窓際の女性」
「美人だね」と、マスターは見もせずに言う。
译文:1开始行动的美女
喀的一声传来,好像是钢笔笔帽扣上的声音。女人刚刚将红色的细钢笔静静的放在桌子上。
然后,轻轻的叹了口气。
“真不错啊”正在观望美女的奈奈子也叹了口气。
“什么不错?”正在柜台中洗咖啡杯的老板听见奈奈子的叹息问到。
“啊?哦,那个窗边的女人。”
“美女吧。”老板看也没看的说到。
「へえ、ちゃんと分かてんだ」
「もちろん。店に入って来た時から気が付いてるよ」
もう五十がらみで、大分髪の白くなりかけたマスターは、この店を開いて二十年近い。客が入って来たのを気付かないなんてことはないのだろう。
「ああいう美人がため息をつくと、風情があっていいわね」
「奈々ちゃんだって、悪くないよ、消化不良みたいで」
「澄まして残酷なこというだから、二十歳のうら若き乙女に」と、奈々子はマスターをにらんでやった。
まあ、浅田奈々子自身も、自分がため息の似合うような繊細さ感じさせるタイプでないことは承知している。丸顔、どっちかという少し下ぶくれのふくよかな顔、そして方の張った、かっしりした体格。
でも、こうしてジーパンはいて、大きなエプロンをして立ち働くには、誰にも負けないくらい向いているのだ!
「ーすみません」
窓際の女性が、囁くような声で言った。
こんな小さな喫茶店だから聞こえるけどね、もって広くて、BGMをガンガン流している店だったら、とてもその声はカウンターまで届かないだろう。
译文:
“诶,你都知道?”
“当然,进店的时候就注意上了。”
已经快要50岁,大部分头发变白的老板,经营这个店差不多20年了。
不可能客人进来了都不察觉吧。
“正如所说,那美人的叹息真有一种风情呢。”
“就是奈奈子也不差啊,不过有点像消化不良。”
“不要装模作样的对才20岁的少女说那种刻薄的话!”奈奈子瞪了老板一眼。
当然,奈奈子自己也知道,自己不是那种适合纤细叹息的类型。圆脸,要说哪就是下半部还比较丰满的脸型。而且,伸展肩膀,是种健壮的体型。
但是,这样穿着牛仔库,带着大围裙努力工作,是不会输给任何人的。
“打扰下。”窗边的那位美女,低声的说了一句。
这么小的声音,虽然能够听到,但是再宽敞一点,播放音乐的环境下,这种声音怎么也传不到柜台那边去吧。 |