養老の滝

inshuuyou

　　ずっと昔、とてもお父さん思いの若者がいました。若者は毎日山へ焚き木をとりに行き、その日その日、一日分のお米を買って暮らしていました。
　　若者は自分が食べなくても、体の弱いお父さんにはおなかいっぱい食べてもらいたいと思っていました。それにお父さんはお酒が大好きでした。けれど、お米を買うのもやっとでしたから、お酒などめったに買ってあげられません。
　　「ああ、美味しいお酒を飲ませてあげたいなあ」
　　若者はいつもそう思って、山に登っていました。そんなある日のこと。焚き木をとっているときに、どうしたはずみか、足を滑らせて、若者は谷底へ転がり落ちてしまいました。
　　若者は頭を打ち、気を失ってしまいました。しばらくして、若者ははっと気がつきました。そして、怪我をしていないかどうか、体を確かめてみました。
" V# O/ u, i  J! S, e　　「好かった。怪我をしていたら、しばらくは山へ来られなくなる所だった」
　　ほっとしていたら、急に水が飲みたくなりました。耳を澄ますと、すぐ近くで水の流れる音がします。若者はよろよろと歩いていきました。岩の間から綺麗な水がキラキラと輝きながら、一筋の滝になって落ちています。
　　若者はその小さな滝の水を掬って飲みました。その水はほんのり甘くていい香りがします。
- w5 R6 K/ M6 [$ {% j　　「これはもしかして」
) X% w% y% d6 h　　若者はもう一回水を掬って飲みました。
9 |$ t# t0 {1 F* I+ t) b/ W　　「もしかして、これは、お酒…」
　　もう一回、もう一回、と飲むうちに若者の体が温かくなっていくようです。
       「やっぱり、これはお酒だ。それの上等なお酒だ」
2 {. V3 [7 G0 R/ G6 H　　若者は腰につけた瓢箪にたっぷり滝の水を入れて、急いで帰りました。
　　家では帰りの遅い若者を心配して、お父さんが布団から身を起こして待っていました。
　　「お父さん、今日はとてもいい土産があるんですよ。どうぞ一口飲んでみてください」
　　若者が差し出す瓢箪を口に当てて、一口ぐいっと飲むと、お父さんは驚きました。
) J' I0 k( I: z/ e- w　　「これはお酒じゃないか。それも上等なお酒だ」
　　若者は山であったことを話しました。すると、お父さんは目に涙をいっぱいためて若者の手を握りました。
　　「それはきっと、天の神様が父親思いのお前に、ご褒美を下さったんだよ。ありがたいことだ。ありがたいことだ」
　　若者はあまりにお父さんが喜んでくれたのでやっぱり嬉しくて涙ぐみました。次の日から山へ行くと必ず険しい道を降りて、お酒の出る滝へ行きました。そして、瓢箪いっぱいお酒を汲んで帰りました。この話を都の天子様も知り、とても感心して、年号を養老とし、滝の名前を養老の滝としたそうです。
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- O7 g/ X5 p# wたきぎ
焚き木　：烧火用的柴
はずみ：瞬间
足を滑らせる：脚下打滑
0 c. F2 K" O4 z4 @. `& j気を失う：失去知觉
確かめる：确认
耳を澄ます：侧耳倾听
; h% ~6 ~2 X9 T3 A3 {! J8 [よろよろ：蹒跚
ひとすじ
一筋： 一条 一根
3 k' s2 `! f- k, [' q' x! dひょうたん
瓢箪  ：葫芦
" q. b) k; H: d4 W& d3 L1 mほうび
褒美： 奖赏
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