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『笑ったサチの海』
「お母さん! メルだいじょうぶっ!」妈妈,梅儿没事吧。
さちこは玄関をかけあがり、ろうかをつっぱしって、庭にとびだしました。
幸子跑进大门,穿过走廊,飞奔到院子里。
小さな白い犬小屋の前で、お母さんがしゃがみこんでいます。悲しそうな目でさちこのほうを向くと、静かに首を横にふりました。
幸子的妈妈蹲在白色狗屋前,伤心的望向幸子,轻轻的摇了摇头。
メルは小さな白い犬です。さちこが生まれる前から、ずっとこの家でかわれてきました。だからもうすっかりおばあさん犬でした。
梅儿是一只白色的个头不大的狗。幸子出生前它就一直在这里生活,现在的梅儿已经上了年纪,可以当奶奶了。
そのメルが三日前から元気がなくなり、今朝はもうぐったりとしてちからなく舌をだしていました。だからさちこは心配で、学校が終わると急いで家に帰ってきたのでした。
梅儿从三天前开始打不起精神。今天早上精疲力竭、无力的吐着舌头,所以幸子很担心,一放学就急着赶回家来。
庭にとびだしたさちこは、今にも泣きだしそうです。
这时,飞奔进院子的幸子快要哭出来了。
「メル… 眠ってるみたいでしょ。でも、もう…どんなにゆすってもめをさまさないのよ…」お母さんは、つぶやくようにそう言うと、細い涙のすじをながしました
幸子的妈妈,她的脸上挂着泪痕低声自言自语:“梅儿好象睡着了,可是怎么摇也摇不醒。”
「えっ! メル… メル… エーン!」
哎! 梅儿… 梅儿… 嗯…!
さちこは大声で泣きました。そして動かなくなったメルの体を、何度も何度もゆすりました。幸子一边大声哭一边摇着一动不动的梅儿。
お父さんが、いつもより早く会社から帰ってきました。まだ夕方前です。お父さんもメルのことがとても心配だったのです。
幸子的爸爸还不到晚上就回来了,比往常早多了。爸爸也在担当梅儿的事。
お父さんは、メルの小屋の前で泣きじゃくっているさちこをみつけ、すべてわかりました。メルがどうなったのか。
爸爸看着站在狗屋前哭泣的幸子,明白是梅儿死了。
お父さんはさちこに近づき、そっと肩に手をおきました。しばらくの間、何も言わずに、ただそうしていました。
爸爸走近幸子,轻轻的把手放在幸子的肩头,好长时间什么也没说。
さちこはやっと顔を上げると、ぽつりとつぶやきました。 「メル… 死んじゃった…」
终于,幸子抬起头,抽抽噎噎的说:”梅儿…死了…”
お父さんはゆっくりうなずきます。 「そうだね。もうずいぶんおばあさんだったから… とにかくサチ、メルをどこかにうめてあげよう。お墓を作ってあげるんだ」
爸爸轻轻地点点头:”是啊。梅儿老了…。我们把梅儿埋了吧,给它挖个墓吧”
さちこはその言葉に小さくうなずいて、ほほに流れる涙のつぶを、手のこうでぬぐいとりました。お父さんは動かなくなったメルの体を、やさしくそっとだきあげます。
幸子点点头,用手背擦去止不住往下流的眼泪。
続き |
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