▼水木しげるさんが青森の地蔵堂を訪ねた時のことだ。堂内には、軍帽や学生服を着けた異様な地蔵たちが並んでいた。漫画界の妖怪博士は、生者でも死者でもない、そこはかとない物悲しさを感じ取る。「一種の霊気」のようなものだった(『妖怪画談』岩波新書)
这是水木茂先生在访问青森的地藏堂时的事情。在堂内,并列排着带着军帽和穿着学生服的各种这样的地藏王们。漫画界的妖怪博士感觉那里,既没有生者也没有死者,没有过渡悲伤。有【一种灵气】一样的东西。(《妖怪画谈》岩波新书)
▼水木さんが世に出した鬼太郎は、髪を妖気のアンテナとし、忍び寄る不吉な事物を察知できる。その怪しい「気」は、漂う時と場を選んでこそ物語の起点となる。ところ構わず噴き出しては、趣もへったくれもなかろう
水木先生的成名作鬼太郎是,头发作为妖气的天线,能够察觉暗暗到来的不吉利的东西。那个奇怪的【气】是,正因为选择了露出的时间和地点才成为故事的起点。不管地点随便冒出的话,什么有趣没趣的,都没意思了。
▼有毒ガスの硫化水素を使った自殺が続いている。なにぶん姿もなく小穴を抜ける気体のこと、巻き添え被害が後を絶たない。おととい少女が亡くなった高知県香南市の市営住宅では、80人が病院に赴く騒ぎになった
使用有毒气体的硫化氢自杀的事情还在持续着,一种无形的透过小孔的气体,确实很多被害人卷了进来。前天,在有少女死亡的高知县香南市的市营住宅,有80个人送去医院的大骚动。
▼硫化水素による自殺はこの春、一気に増えた。日用品からガスを生む手法がネット上に出回り、そうした願望に捕らわれた若者らに広まったらしい。ネットの教え通り、戸口などに「毒ガス発生中」の張り紙をして事に及ぶ者も多い
用硫化氢自杀,在这个春天一下子增加了。从日用品产生气体的方法网络上正在流传,被这样愿望所捕获的年轻人好像正在不断扩大,按照网络上教授的方法一样,在门口处张贴了一张【有毒气体产生中】的纸头的人很多。
▼ネットでまず浸透したのは、練炭で一酸化炭素を発生させる手だった。「気」をかえ品をかえ、死への執着は模倣の輪となり、新しい地蔵様が増えていく。知識を得んとキーを打ち、注意を促す紙を出す。「つながりたい」思いと手間を、なんとか生きる力に転じられないものか
通过网络首先浸透的是,用蜂窝煤挥发出一氧化碳的手,换【气】换东西,对于死的执着变成了模仿的车轮,新的地藏王菩萨增加了。得到知识打键盘唤起注意而贴出纸张。【希望连接】的想法和时间,生的力量没有转换吗?
▼逝く者とこの世を最後に結ぶのが毒の気とあっては切なすぎる。張り紙で駆けつける善意の人を筆頭に、近隣にこれ以上の仕打ちはない。肉親の悲嘆が倍加するだけだ。
逝者和这个世界连接的毒气遭遇太苦闷了。跑来善意的人在笔头,在近邻没有这样的动作。亲人的悲伤就更胜了。 |