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古い時代の中国の詩人、陶淵明に「桃花(とうか)源記(げんき)」という散文がある。ある男が山深い渓谷をさかのぼるうち、世の塵芥(じんかい)を隔てた桃源郷に迷い込む話だ。桃源郷から帰った男は再び訪ねようとするが、その道は二度と見つからない
古代中国的诗人陶渊明曾经创作过《桃花源记》。讲述的是一名男子迷路在深山的溪谷之中,误入与世隔绝的桃花源。而当从桃源乡归来的男子想要再次回到那里的时候,却无论如何都无法找到回去的路了。
▼昨日の小欄でも触れたが、北京五輪の開会式は桃源郷さながらだった。一夜明けても北京っ子は興奮さめやらない。壮観な出し物は中国のナショナリズムを大いに刺激し、ナルシシズム(自己愛)をくすぐったようだ
在昨天的专栏之中也曾经提到,北京召开的奥运会开幕式就宛若一个桃源乡。即便经过了一夜的时间,北京人民依然沉浸在昨日的兴奋之中。壮观的开幕式给中国人民的民族热情带来了极大的鼓舞,每个中国人都自我陶醉起来。
▼だが、威信をかけたスペクタクルも、主役である選手の行進にはかなわなかったように思う。砂漠の熱、スコールの白雨、草原の風。様々な風土があり、文化があり。雰囲気をまとう各国選手の姿が、世界の多様さへの想像を膨らませてくれた
不过,虽然开幕式文艺演出场面异常豪华,身为主角的运动员选手们却更加引人注目。沙漠的炎热,一阵一阵的疾风骤雨,草原的暖风。各种各样的风土人情,各种各样的文化。围绕在各国选手身上的本国文化,使人对于世界的多样性产生出无限的联想。
▼その祭りに水をさすように、黒海のほとりから戦火の煙が上がった。137番目に入場したロシアと、153番目のグルジアとの武力衝突だ。空爆や地上戦で市民の死者が多数出ているという
可是,就好像是在给这次的盛会泼冷水一样,黑海的旁边燃起了战火的狼烟。第137号入场的俄罗斯与第153号入场的格鲁吉亚发生了武装冲突。据说因为空袭与地面交火,有很多无辜的市民遇难。
▼この日の北京には各国首脳が集っていた。ロシアのプーチン首相から「戦争が始まった」と聞いたブッシュ米大統領は、自制を促したと伝えられる。だが戦火は広がりつつある。「一つの世界、一つの夢」を演出した「鳥の巣」を一歩出れば、現実の世界は生々しく、きな臭い
近日各国首脑齐聚北京。听到俄罗斯的首相普京说出“战争开始了”的美国总统布什,要求普京保持克制。但是战火依旧蔓延开来。从正在演出“同一个世界,同一个梦想”的“鸟巢”之中走出来,现实的世界之中在演出的却是战争的焦臭。
▼「桃花源記」を陶淵明が書いたのは1600年ほど前。その心中には、戦乱の続く世への幻滅もあったらしい。グルジア大統領は「戦時状態」を宣言した。遠い時空を隔てて、戦う性(さが)を克服できない我々の姿が浮かび上がる。
陶渊明写下《桃花源记》是在1600多年前。在他的心中所希望的是拥有一个没有战争充满和平的世界。格鲁吉亚总统宣布进入“战时状态”。隔着遥远的时空,浮现出无法克制战争性的我们人类的身影。 |
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