[wma]http://www.piekee.com/paipai/zjpp082812263318866/audio/paipai_audio_204608383581552_88012.mp3[/wma]
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実際に行ってみると、その橋は、想像していたものとはずいぶん違っていた。なんとなく、夕暮れ時に恋人のことを思い浮かべながら美しい女のひとが佇んでいるような、石造りの古い橋を想像していたのだが、それは別に何ということはない、ただ本当に川を渡るためにだけかけられたような、風情も何もない橋だった。広い新目通りと、その横を流れる神田川をまたいでここの通りを結ぶ、ほんの十数メールくらいの鉄とコンクリートの小さな橋で、都会のどこにでもあるごくありふれたものだった。しかし欄干の柱には、確かに「面影橋」と書かれている。周りの風景も僕をがっかりさせた。そこは、喧噪のなかにある何の変哲もない街角であり、唯一の取り柄と言えば、神田川沿いに並んだ桜の木くらいだった。結局、そこは歌の舞台でも何でもなく、面影橋という名前が惹起するイメージだけが、_____________________________________
その荒川線に乗って、家庭教師先の家まで通っていたことがある。大学は新宿区にあるのだが、授業が終わった後、裏手の停留所から乗車して、終点近くにある荒川二丁目の駅までを、景色を見ながらのんびりと都電の揺られた。途中、線路は池袋のサンシャインビルを見上げながら豊島区を北上し、花見で有名な北区の飛鳥山を通り、東に進路を変えて、下町の荒川区を弓なりに横断する。ちょうど半円形を描きながら、都区部の北半分をぐるりと回っている感じだ。
[ 本帖最后由 浪迹的小鱼 于 2008-12-28 09:01 编辑 ] |