恋、形式上だけの恋をしているとしても、傍目に二人が影の形に添うごとく親しく見えるが、実は、その所謂恋がもうとっくに味気のないものになってしまった。中身にもう人情味がなくなったからだ。こうした恋がひょっとしたら、そのはじめから愛情のない形で進んできたかもしれない。或いは、最初のころは、確かにプレッシュの恋愛の感じがあってお互いに魅了していたかもしれないが、時間の立つにつれて、知らず知らずのうちにだんだん薄れて、無味乾燥のものになってしまった。
だが、つまらないものになってしまっても、その恋がまだ実のない名で維持されていく。その原因こそ勘所だと思う。もしかすると、外界からの刺激に迫られるとか、先方の地位や権利、富、または美貌だけを企んでいるとかかも知れない。いずれにしても、ただ一種の変質した恋が続いている。
もし、恋愛というものは人と人との間柄に限らず、その意味を拡大し、ことのほか身近い関係の代名詞としたら、君はそんなばかばかしい恋をしているだろうか。君は果たして就職のために本当に好きでない科目を学んでいないだろうか、君ははたしてパンのために気乗りのしない仕事をしていないだろうか、それとも君は果たして外界の圧力や束縛で慣行のようなことを毎日実行していないだろうか。
もし、そうだったら、今からすぐやめましょう。
自分の情熱と霊感の涌いてくることをしよう。
天下に、独立した人間としての自由宣言をしよう。
このたった指を一回弾くほどの一生を無駄にし、好かない、いやなことにへばり付くものか。とんでもない話だ。
人の一生は恋のごとく過ごすべきだ。
今、自分のやっていることに自分の本物の感情が溢れるということを確かめてください。 |