[B]第4回 
                               WWWについて… 
                      あんあことや、こんなこと(その1) 
                   -WWWスクリーンショットの掲載- [/B] 
 
時代の寵児 WWW 
 今や日本の新聞各紙が、「インターネット」の話といえば飛びつき、そして、「インターネットといえば WWW」みたいな記事を書き連ねる時代となりました(その割には、インターネットアドレスまで書いてくれている記事が少ないので、アクセスするときに、http://www.ntt.jp/ のお世話になることが多いのですけれども)。  
 もちろん、WWW だけがインターネットではありませんが、(私の場合でも、ビジネスでは、やはり、E-Mail の利用が 90% ぐらいです)、それでも、WWW がたいへん魅力的なコミュニケーション手段であることは、私を含めた多くのネットワーカーたちが認めていることと思います。  
 
 さて、「時代の寵児」ともいうべき WWW ですが、従来の法律の立場からはいろいろと難しい問題もあるようです(私のホンネは、従来の法律の立場をかたくなに守ることではなく、「造反有理!」ですけれどもね)。  
 
 思いつくままに、いろいろと考えていくことにしましょう。  
 
Q: WWW のスクリーンショットはサーバーを紹介する目的なら権利者の許可なく雑誌に掲載できるか? 
 
WWW の画面は著作物 
 う~む、これは、読者からの質問じゃなくて、編集部からの質問のような気がしますネ(アヤシイ)。  
 例えば、あなたがどこかの WWW サーバーに接続したとしましょう。そうすると、あなたは、さまざまな画像(絵や写真や文章、それにロゴなども入っていることが多いですね)を見ることができます。この画像の1つ1つ(とりあえず、「WWW の画面」と呼んでおきましょう)は、法律的には、どんな性格をもっているのでしょうか?  
 
 「WWW の画面」は、人間がこんなふうに構成しようとデザインを考えて作ったものです(例外的に、人間の手がまったく加わっていないものがあるかもしれません。しかし、極めて例外的な話は、今日のところはふれないことにします)。ということは、「WWW の画面」は「著作物」になるはずです。著作権法で「著作物」の定義を見てみましょう。  
 
!著作権法第1条第1項第1号  
 
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。  
 
 さて、人によっては、「ほんとうに WWW の画面に思想又は感情を創作的に表現したものなのかな?」とか「WWW の画面って、ふつうは、文芸でも学術でも美術でも音楽でもないんじゃないの?」と疑問を持たれるかもしれません。けれども、法律の規定の意味を必ずしもその言葉どおりに受け取るわけにはいかないのです。私たちは、法律の規定が「現在どのような意味を持っているか」を知るために、裁判所の解釈にあたってみなければならないことが多いのです(この裁判所の解釈そのものも時代とともに変わってきています。それでは法律を読んでも本当のことはわからないじゃないか、といわれるかもしれません。それはそれでごもっとも。でも、法律を年中変えなくても、裁判所が解釈によって、そのときどきの社会環境に応じて、時代遅れの法律で人をしばることを防いでいるという見方もできるのですよ)。  
 
 最近の裁判所の考え方によれば、「思想又は感情」といっても、「およそ思想も感情も皆無であるものは著作物でないという程度の意味であって、人間の精神活動全般を指す」のです。また、「創作」といっても「完全なる無から有を生じさせるというほどの強い意味ではなく、外から読みとれる表現に作者の個性が現われていれば十分だ」といわれています。さらに、「文芸、学術、美術又は音楽」といっても、「知的、文化的精神活動の所産すべてを含み、著作物がどの分野に属するかを考えてもはじまらない」といわれています(例えば、東京地方裁判所が 1994 年 9 月 28 日にビデオゲーム「パックマン」の著作権侵害に関して出した判決を参照。判決の内容は、例えば、ニフティサーブから TKC 判例データベース LEX/DB にアクセスすることにより見ることができます。興味のある方は、トライしてみてください)。  
 
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