日经春秋 20110606 重拾未来

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重拾未来
2011-6-6
　「梅雨どきは忙しくなる」。そんなことを書いていたのは作家の檀一雄だったか。この時期、スーパーや八百屋に青梅やラッキョウが並び始める。料理好きで「檀流クッキング」なる本まで著した人なら、見逃がすはずもない景色だった。
　　“梅雨时节就开始忙了”。这句话好像是作家檀一雄写的。这个时期，超市和蔬果店里青梅和藠头就开始上架了。爱好美食，甚至写了本《檀家菜》的檀一雄先生自然是不会错过这道风景的。
　季節を五感に受けとめながら、梅酒や梅干しをつくり、ラッキョウは塩や酢で漬け込む。そうした営みを毎年繰り返す人にとっては、忙しさがまた楽しい。時がたてば、出来栄えに品評を加えつつ「我が家の○年物」を味わうことができるのだから。仕込むとは、未来を信じることとほとんど同義という気がする。
　　用眼耳口鼻舌来感受季节的同时，制造梅酒和话梅干，用盐和醋腌制藠头。对于每年都重复这一工作的人来说，忙碌就是一种乐趣。因为几年过去后，可以边对制成品评头品足边品尝“我家某某年的产品”。酿酒腌菜，我觉得就等同于对未来有信心。
　宮城県石巻市で、真新しいコンクリートの基礎をのぞけば跡形もなくなった住宅のわきに転がる広口瓶を見つけた。赤い蓋はギュッと締まり、中に琥珀色（こはくいろ）の液体が半分ほど、梅もたっぷり残る。梅酒を仕込んだ去年の今ごろは、念願かなって新居に越した一家の未来は疑いようもなかった、などと想像してしまう。
　　在宫城县石卷市，除了崭新的水泥地基外一切都已荡然无存的一幢民宅边，发现了一个倒下的宽口瓶。红色的盖子拧得紧紧的，里面有半瓶左右琥珀色的液体，还有数量不少的梅子。可以想象去年这个时候酿梅酒时，全家人对如愿以偿搬入新居后自家的未来是充满信心的。
　きょうは二十四節気の芒種（ぼうしゅ）。イネの類いの穀物の種をまくころ、の意味だ。昨今の季節感だとむしろ田植えの時期だが、被災して田植えができぬ田んぼでは、放射性物質や塩分を除く効果を期待して、ヒマワリやトウモロコシの種をまく動きが広がっているそうだ。種をまく。まさしく未来を取り戻す営みである。
　　今天是二十四节气中的芒种。意思就是到了稻米类的庄稼要播种的时候了。要说这个时节的季节感应该是插秧的时候了，但据说在受灾地，人们正在那些无法耕种的水田里播洒向日葵和玉米的种子，期望它们能发挥去除放射性物质和盐分的功效。播种，正是重拾未来的工作。