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「誰が殺したんだろう?」とずいぶん後で彼は言った。
「さあね」と僕は言った。「ああいう商売をしてればいろんな相手に会うことになる。いろんな事が起こり得る。お伽噺ばかりじゃない」
「でも、あのクラブは身元が確かな人間しか相手にしないんだぜ。それにきちんと組織が仲介してるから、調べれば誰が相手だったかはすぐにわかる」
「その時は多分クラブを通してなかったんだろう。そういう気がするね。仕事抜きの個人的な相手か、あるいはクラブを通さないでアルバイトをしていたかどちらかだよ、きっと。どちらにせよ、選んだ相手が悪かった」
「かわいそうに」と彼は言った。
「あの子はお伽噺を信じすぎたんだ」と僕は言った。「あの子が信じていたのはイメージの世界だ。でもいつまでもそういうのが続くわけはない。そういうのを続かせるにはきちんとしたルールが必要なんだ。でもみんながルールを尊重して守ってくれるわけじゃないからね。相手を間違えるとひどいことになる」
「不思議だったんだ」と五反田君は言った。「どうしてあんな綺麗で頭の良い子が娼婦をやってるんだろうってね。不思議だった。あれくらいの子ならもっと上手い生き方が出来るはずだ。きちんとした仕事につくこともできただろうし、金持ちの男を見つけることもできたはずだ。モデルにだってなれる。どうして娼婦なんてやってるんだろう?たしかに金にはなるだろう。でもあの子はそれほど金に興味があるわけじゃないんだ。たぶん彼女は君の言うそのお伽噺を求めていたんだろうな」
「たぶんね」と僕は言った。「君と同じように。僕と同じように。他のみんなと同じように。みんなそれぞれ求め方が違う。だからときどきすれ違いや誤解が起きる。そして死ぬこともある」
僕ほニュークラントホテルの前に車を停めた。
「ねえ、今日は君もここに泊まっていかないか?」と彼は僕に訊いた。「部屋は取れると思うんだ。ルーム?サービスで酒をとって、少し二人で飲みたい。これじゃどうせすぐには眠れそうにないから」
僕は首を振った。「酒を飲むのはまた今度にしたいな。僕もいささか疲れてる。できたらこのまま家に帰って何も考えずに眠りたい」
「わかった」と彼は言った。「送ってくれてどうも有り難う。僕は今日はずっとろくでもないことばかり言ってるみたいだね」
「君も疲れてるんだ」と僕は言った。「死んだ人間のことなら急いで考えることはないよ。大丈夫、ずっと死んでる。もう少し元気になってからゆっくりと考えればいい。僕の言うことわかるか?死んでるんだ。非常に、完全に、死んでるんだ。解剖されて冷凍されてるんだ。君が責任を感じても、何を感じても生き返らないんだ」
五反田君は肯いた。「君の言うことはよくわかる」
「おやすみ」と僕は言った。
「いろいろと有り難う」と彼は言った。
「今度ガスバーナーに火を点けてくれればそれでいい」
“会是谁杀她呢?”在很久之后问道。
“那个呀。”我说。“因做那样的业务会见到各种各样的人物。易引发多种事项。只是那不会是童话。”
“可是,那个俱乐部对合作方绝对要确定身份。是很严密的组织在做中介,只要一调查的话,马上就会明白对方是谁。”
“那个时候大概也并没有通过俱乐部。我注意到了这一点。工作之外的个人的朋友或者没有通过俱乐部自己在打工什么的。到底是哪一种呢,反正所选的人不好。”
“有点可怜呀!”他说。
“她真诚地相信童话了。”他说。“她所信奉的是抽象世界。可是那不是连续的。为了能让持续制定规则还是有必要的。可是大家并不都遵守规则。选错对象麻烦就很大。”
“真是不可思议。”五反田说。“那么漂亮且头脑好使的女孩为什么做成娼妇呢?不可思议。那样的孩子应有更好的生存方法。应该寻找一件好的工作或找一位有钱的男的。也可以成为模特。为什么会做起娼妇?这能变成钱。可是她对钱也并不是那么看重。大概她正如你说的来追求童话吧。”
“应该是。”我说。“和你也好,和我也好,和其他人也好,大家的追求方法不一样。所以容易引起各种错误和误解。甚至就会发生死亡事件。”
在新クラント宾馆前我把车停下来。
“那个,今天你也住在这里如何?”他问我。“也可以要个房间。在房间可以弄到酒,二人稍微喝一点。这样状态下页不能快速地睡觉。”
我摇了摇头。“这次也想喝点酒,我也已经累了。所以就这样回家什么也不想赶快睡觉。”
“明白了。”他说。“把我送过来非常感射。今天我一直在胡说八道。”
“你也很累了。”我说。“已经是死人之事不要那么用心地想了。没什么关系,已经死了。等你稍精神一点再想也不迟。我说的意思你明白了?已经死了。已经非常地完全地死了。被解剖冷冻着。你即使有责任,能做什么她也不能再生。”
五反田点头。“你所说的我完全理解。”
“晚安。”我说。
“非常感谢。”他说。
“现在若给我点一次燃烧灯该多好呀。” |
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