仕事が一日中やっていて、一体どうすればいいだろうと迷っていた時に、前に勤めた会社の上司から電話をかけてきた。久しぶりの電話だった。時間の経つにつれて、もう部下であった私のことが忘れられたかと悲しく思っていた。忘れられても当たり前のことだとも思っていた。そう思っているうちに、電話を受けて、驚く以上嬉しかった。
「元気」など安否を問われてから、「今日はどんな日か覚えている」と思いがけなく聞かれた。それを聞いたら、私はボンとどう返事すればいいかと迷っていた。「一年前、君と会った日ですよ」と上司が自分で答えた。「一年前」だった。もうまる一年だった。上司はその日までも覚えていただいて、感謝の気持ちが胸にいっぱいだった。すっごく感動された。
「一年前」!私は今まで振り返って見たことがなかった。その一年間一体どんな人と出会って、どんなことをしたのか、または「どんな輪を画いたのか」はぜんぜん振り返って考えたことがなかった。
全くどこにいるかわからなく、どこへ行こうと知らないながら、海上で旅をしている者のようだ。ここまでどんな道を辿ってきたかに気を配らず、これからどんな道に辿って行こうかもわからない私だ。
ここまでのことを気に配り、これからの事をよく考えながら、仕事や生活をしたほうがいいだろうと考えている  |