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楼主 |
发表于 2006-4-18 15:02:54
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第4章
手渡された封筒は、開けられた形跡が一切ありません。
私は、急いで空けたい思いを押し込めて、ゆっくりと丁寧に開けます。
中には、淡い青色の便箋が入っています。
すっと、取り出すとその字に目を落とすことにしました。
なごみ へ
覚えているかな?
僕のことを好きだ。と言ってくれた日のこと。
僕は鮮明に覚えている。
僕は、君を好きだ。
あの時、君がくれた言葉より、以前から好きだった。
でも僕は、君に「好き」と言えるような人間じゃない。
言ってはいけない。そう思う。
だから、せめて、その訳を書こうと思う。
今から5年前の冬。
僕は「過ち」を犯したんだ。
5年前の冬。
僕は「かえで」という子と付き合っていた。
高校3年生だった。
いつも一緒に、下校したりしてた。
帰りにファーストフード食べて帰ったり、
そんな、どこにでもいる2人だった。
けれど、ある日。
たまたま「かえで」が委員会で遅くなるから、
と言って、僕1人だけ、先に帰った日だった。
今、思えば。
何で待ってあげなかったんだろうか?
そう思う。
いつもの様に一緒に帰るから待つ。
そう言ってあげれば、良かった。
「後の祭り」とは、本当に辛いものだ。
「かえで」は、その日、帰りが遅くなった。
「かえで」は、どれだけ寂しかったろうか?
「かえで」は、寒い道を1人歩いていた。
「かえで」は、そこで、そこで「暴漢」におそわれた。
僕は、何度か携帯電話に連絡しても、
返事がないことに心配したころには、もう遅かった。
駆け足で、あの田舎町を駆け回って、見つけたころには、
「かえで」は泣いていた。
「かえで」は、それでも僕を抱きしめてくれた。
何も出来なかった僕を責めたりはしなかった。
ふるえる背中で、震える身体で、僕を頼ってくれた。
なのに、何も出来なかった僕。
僕には、どうしようもない、やり場のない怒り。
そして、ふがいない自分への嫌悪感が残った。
僕は、なんとしても「かえで」を悲しませた男を探し出そうとした。
「かえで」は決して、男が誰だったか?言わなかった。
だけど、僕は必ず突き止める。
その思いが届いたのだろうか。
その後も「かえで」に、何かと「影」がついていることがわかった。
同級生の「男」だった。
僕は、すぐさま、その「男」を呼び出した。
「かえで」に手をだしたのは「お前」か? と、
すると、その「男」は、開き直ったように大笑いをして、
「だから?だから、どうした?」と、笑いつづけた。
僕には、一瞬のためらいも無かった。
僕の右手にあったナイフは「男」の左胸に突き刺さった。
何度もは刺さなかった。
思いっきり、突き刺した。
そして、その身で「警察」へ向かった。
その後。
僕は思った。
「本当の『後の祭り』は、これだった」のだと。
こんなことしても、
「かえで」は喜ばない、いや、彼女のことだ。
きっと、悲しんでくれるに違いないだろうと。
ならば、僕は彼女をまた悲しませてしまった、と。
でも、自分勝手かもしれないが、
「かえで」を悲しませた「男」は居なくなった。
僕を含めて、2人、目の前から居なくなった。
そう、思った。
けれど、そうではなかった。
僕は「施設」を出たあと、バイトをして、大学に行くことが出来た。
そうして「なごみ」と会うことが出来た。
本当に、普通の大学生のように過ごすことが出来た。
ある意味では、感謝して、
またある意味では、こんな日々を暮らしていいものか?
僕は、自問自答した。
過去にひとつのあやまちをおかした者が、
まるで、当たり前のような・・・。
普通の暮らしをしても良いのか?と・・・。
そんな、ある日。
「影」の存在がふたたび、僕の前に現れた。
「男」は、生きていた。
生きていた。
先週の月曜日だった。
「男」が僕の家にやってきた。
ちょうど、僕は大学の講習でいなかったから、
「男」は何もせず「書置き」を残していった。
「お前。覚えてるか?「かえで」を」
「かえで」を悲しませた「男」がその文字に滲んでいた。
僕は、とっさに嫌な予感がした。
このままでは「なごみ」にも、悲しい思いをさせる。
そんなことだけはしたくない、と。
だから、僕は君のそばからいなくなった。
そして、僕は「かえで」に会いに行った。
「かえで」には、あれから一度も会っていないから、
一度は、一度だけは会っておきたかった。
もしかしたら「かえで」にとっては、必要ない「人」だったとしても。
一言だけ、謝っておきたかったから。
「かえで」に会えた僕には、もう思い残すことはない。
「なごみ」
本当にごめん。
もう、人を悲しませたりしたくなかったけれど・・・。
ごめん。
そして、ありがとう。
僕は「なごみ」が大好きだった。
こんな僕のことを、ほんの一瞬でも好きでいてくれたこと。
僕は嬉しい。
君のことを守れなかったこと。
君の笑顔を抱きしめてあげられないこと。
許して欲しい。
君がそばに居てくれたこと。
それがどれだけ、僕に勇気をくれただろう。
君にはずっとずっと、微笑んでいて欲しい。
とても、わがままな願いだけど、
それが、それだけが、僕の望み。
「好きだ。なごみ」
「ありがとう」
で
エピローグ
今。私は彼の前に居ます。
今。彼は私の目の前に居ます。
目を閉じた彼は、ごく自然に眠っているように見えます。
私は、彼の手を握り締めます。
いつの間にか、頬を涙が伝って彼の手にこぼれます。
拭っても、拭っても、溢れます。
私は「彼」にとって、どんな存在だったのでしょう。
「彼」は「かえで」さん を守れなかったことを悔やんでいましたが、
私は「彼」を守れなかった。
私も「彼」を助けてあげられなかった。
そう思うと、私は情けなくて・・・。
あとからあとから、涙がとめどもなく流れてきます。
彼は、自分を傷つけてでも、
私のために・・・。
私を守る為に・・・。
私を守ってくれたのです。
あんなに「守れない」と、言っていたのに・・・。
でも、私は思います。
「守ってほしいなんて、思わないから・・・。
守ってくれなくて良いから、そばに居て欲しい」
私は「彼」が好きだから。
その思ったその時でした。
私の頬からこぼれた涙が、握り合った2人の手と手にこぼれた時でした。
「・・・!?」
私は強く、強く、彼の手を握りしめました。
END
あとがきへ。
も、
「守るべきもの」 あとがきのようなもの
お読みいただいて、ありがとうございます。
今回は、読み物.netを始めて以来、
初の「ちょっとシリアス」な話を掲載しました。
どうでしたでしょうか?
しかも、めずらしく。
女性の一人称で語る。という手法で書いてみたのですが・・・。
いかがでしょうか?
この「守るべきもの」は・・・。
「罪を犯した過去のある人物」を描こうと思って書き始めました。
「罪」を犯した過去のある人物。
その事を知らぬまま、彼を慕う彼女。
2人にとっての「過去」はどういうものになるだろうか?
そう考えて書いてみました。
タイトルの「守るべきもの」には、2つの意味を込めてみました。
1つは、守るべき「人」という意味。
何があっても、守るべき人っているのだろうか?
いたとしたら・・・。
守ることって出来るのだろうか? ということが、まず一つ。
もう1つが、守るべき「規則」という 意味。
守るべき「規則」ってどんなものだろうか?
それには、守らねばならない理由があるとして、
どんな理由があるだろうか? ということが、もう一つ・・・。
この2つの意味を込めてみました。
この話は、「犯罪」ということに焦点を合わせて書いたつもりです。
過去に犯した犯罪が、例え理由があったとしても、
犯罪は犯罪であって、犯罪者としてずっと生きていかねばならないこと。
それは、被害者によるものもあるかもしれないが・・・。
一番は、彼を取り巻く環境や社会なのではないか・・・。
そんな思いで書いてみました。
僕自身は、死刑廃止論者ではありません。
どんなに酷い違反をしても、極刑がなければ・・・。
抑止力の低下が否めないからです。
ただ、無期懲役を宣告されても、
恩赦などで社会に出てくるのがおかしいともいえます。
例えば、無期なんて無くして・・・。
350年服役。。等という手も可能ではないか? とは、思います。
また・・・。
犯罪者としての刑期を終えた人物が社会に復帰したとき。
社会は、彼らをどういう風に受け入れられるのでしょうか?
社会に復帰したとなれば、彼らは犯罪者ではないのです。
けれど、 犯罪を一度犯した人物は、
なかなか本当の意味での「社会復帰」が出来ません。
それ自体は、ある部分では仕方の無いことなのかもしれません。
たった一度でも、罪を犯したのだから・・・。
やむをえない・・・そういう部分もないとは言えません。
では、何故。彼らを社会に復帰させるのでしょうか?
社会は受け入れてくれないのを知っていながら、復帰させるのでしょう?
犯罪を過去に犯したものの再犯率が高いのも、こういった背景がある気がします。
社会復帰とは名ばかりで、
復帰しても、職がない。 お金がない。生活できない。
結局、犯罪を犯してしまう。
どうやって、この「どうどうめぐり」を解消すればいいのでしょう?
「犯罪」に、正当性なんてものがあるか?どうか?
それは、わかりません。
ルールを破った、正当な理由が存在するのか?
それは、僕にはわかりません。
でも、この「守るべきもの」のような場合。
秩序を守らなかったものは、どちらなのでしょう?
どちらも守らなかった・・・。のかも知れません。
個人的には、この「守るべきもの」で気に入った台詞が一箇所あるんですが・・・
それはまたの機会ということで。。
ちょっと、あとがきにしては長すぎました。
この辺にしておきます。
何かお気づきの点や、ご意見ご感想など。
メールでくだされば、返信をご希望の方にはかならず返信しますので、
こちらまで。どんどんお寄せください。
メールではこちらでお待ちしておりますし、 (必ず返信いたします)
掲示板形式でしたら、こちら(掲示板)でおまちしております!(書き込んでいただけばレスします!)
宜しくお願い致します。 Sugarpot
その安堵よりも、ますます彼が心配になるようでした。
けれど、彼が探さないで欲しいのなら。。。
私はそうするより他がありませんでした。
たとえ、探したくても・・・。
今、何処に居るか?一つの手がかりもないのですから。。
それから、幾日が経った朝。
私は彼の身を案じてはいましたが。
一度あったメールで少し安心してしまったのでしょうか?
その前までの日々に比べ、彼のことを考える時間は減っていました。
そんな時、一本の電話がかかってきました。
「皆元さんのお知りあいですか?」
「はい。そうですが・・・それが・・・」
「そうですか。今すぐ、暑まで来ていただけますか?」
「!?」
私は電話を切って、すぐに言われたとおりの場所にある「警察署」に行きました。 |
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