鶏鳴狗盗けいめいくとう
どんな人物が役に立つかわからない
斉の国の王族「孟嘗君(もうしょうくん)」は賢明な指導者。
彼の周りには有名な学者もいれば、なぜか犯罪者もたくさん集まってきた。
彼は、身分や過去を問うことなく、すべての人々を同じように待遇した。
隣国の秦の昭王は、彼の人望の厚さに脅威を感じ、殺してしまうつもりで捕まえた。
孟嘗君は、昭王の愛人に、なんとか釈放してもらえるように、と頼んでみた。
彼女は「狐の白い毛皮」を要求したが、実は、それは昭王が蔵の中に大切に保管しているものだった。
困っていると、なかまから見下げられていた、盗みの上手な者が
狗(イヌ)のように宮中の蔵に忍び込んで、白い毛皮を盗みだし、孟嘗君を救った。
無事に釈放された孟嘗君だが、昭王は釈放したことを後悔して、再び追っ手を向けた。
逃げた孟嘗君は、朝にならなければ通ることができない関所まで来た。
あせっていると、いつもなかまから見下げられていた、ものまねの上手な者が
鶏の鳴き真似をして、役人に朝だと勘違いさせて、無事に通りぬけることができた。
孟嘗君がこの二人をなかまとして迎えたとき、人々は納得していなかった。
しかし、力量を見抜いて待遇していた孟嘗君の眼力に、みんな感服することとなった。
だれでも、キラリと光る個性を持つことができます。
あなたにしかできないことが、星の数ほどあるはずです。
人の価値は、生まれや生活ぶりで決まるわけではありません。
人を選ぶ者は人から選ばれることになるでしょう。
いざというときだけの都合のいい人間関係など成り立つはずはありません。
みんなに平等に与えられた命の重みを知り
お互いを尊重しあることができたなら
どれほど素晴らしいことでしょう。
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