「目のやり場に困る」と言うけれど、下手な役者は「手のやり場」にも困るらしい。手を持て余してサマにならない。そんな大根役者にはたばこを吸わせるのが手っ取り早いと、いつか演出家に聞いた覚えがある。
有这样一句俗语“眼睛不知往哪儿看好”,不过差劲的演员似乎连手往哪放也不知道。无谓地摆弄着手全没个样子。这样蹩脚的演员,如让他吸烟,倒是手脚麻利。这是什么时候听某个导演说到的。
▼日常生活でも手が無聊(ぶりょう)をかこつことがある。そんなとき、喫煙者の手はたばこに伸びるようだ。食事のときも、箸(はし)を置いたとたんに手持ち無沙汰(ぶさた)になると見える。近くの席の「大根役者」にモクモクやられ、こちらの食事が台無しになった経験は一度や二度ではない
日常生活中,有时也会碰到闲的手不知往哪搁的时候。这时,吸烟者似乎会自然将手伸向香烟。吃饭的时候,也会一放下筷子立即看上去手足无措起来。在餐厅,一顿美食被附近桌上的“蹩脚演员”浓烟滚滚地吸着烟所糟蹋,如此遭遇也不是一次两次了。
▼いまや飲食店は受動喫煙の最大の舞台になった感がある。製薬会社のファイザーが調査したら、煙で不快な経験をした人は非喫煙者の約9割にのぼっていた。喫煙者も、半数近くが他人の煙でいやな思いをしたことがあるという
如今,饮食店已经成了被动吸烟最集中的地方。据Pfizer制药公司调查,约有9成的不吸烟者曾经有过被动吸烟的不快经历。吸烟者中,也有近半数的人对他人吸烟感到不快。
▼それが「他山の石」となればいいのだが、モラル頼みは限界がある。吸うことを前提に禁煙席を置くのではなく、吸わないのを当たり前として喫煙席を設ける。全面禁煙は難しくても、せめて意識の反転が店の側にほしいものだ
如果这份调查能作为“它山之石”倒也罢了,但道德约束作用有限。不应该以允许吸烟为前提设置禁烟席,而应该理所当然认为不应该吸烟才设置允许吸烟席。虽说全面禁烟比较难,但至少希望饮食店能将这种意识转换过来。
▼酒好きだった作家の山口瞳が、下戸を気の毒がって「人生を半分しか生きていない感じがする」と書いていた。たばこ好きにも言いたいことはあろうが、受動喫煙の害は隠れもない。他人の人生を縮めるようでは、紫煙の趣を説いてもむなしいばかりだ
好酒的作家山口瞳在其作品中对不会喝酒的人充满同情地写道“觉得他们只拥有一半的人生”。嗜好吸烟的人大概也有想说的话吧,但被动吸烟的危害是不争的事实。一边在缩短别人的人生,一边又说什么吸烟的乐趣纯属胡扯。
▼日本禁煙学会によれば、わが国の受動喫煙防止への取り組みは先進国中最低レベルという。近くに「大根役者」が座らぬように祈るしかないとなれば、楽しい食事もギャンブルさながらである。
据日本禁烟协会称,在所有发达国家中,我国是防止被动吸烟措施水平最低的。目前,看来只能祈祷“蹩脚演员”别到餐厅用餐了,而我等要想享受美食也只能靠赌赌运气了。
词汇:
目のやり場に困る:(惯用语)眼睛不知道往哪看
様になる:像样、够样子、有模有样
大根役者:[だいこんやくしゃ] 蹩脚的演员、演技拙劣的演员
手っ取り早い:(てっとりばやい) 1,迅速、麻利 2,简洁明了、直截了当
かこつ(託つ):发牢骚、抱怨、托故
手持ち無沙汰(てもちぶさた):何もすることがなくて暇をもてあますこと。所在ないこと 无事可干闲的无聊
もくもく:(浓烟)滚滚
台無し[だいなし] :糟蹋、弄坏、断送
下戸[げこ] 不会喝酒的人、酒量小的人 |