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木村拓哉「ギャツビー」CMのCG処理
テレビCM
マンダム「GATSBY(ギャツビー) ムービングラバー」CM
出演:木村拓哉
キムタクが、CGとしか思えないようなくねくねぐにゃぐにゃとしたダンスを披露するCMです。
(※2008年11月19日、記事の下のほうに図解を追加しました)
木村拓哉 GATSBY CM
(YouTube動画へのリンクです。別窓で開きます)
■木村拓哉本人が踊っている?
上半身のみを映したカット(0分8秒と0分21秒)はCG合成なしの木村拓哉本人だと思います。(詳しくは後述します)
全身を映したカットは、David Elsewhereというダンサーの体に木村拓哉の顔を合成しているそうです。
この全身のカットから受ける不自然な気持ち悪さ(「サイレントヒル」に出てくる怪物的な怖さ)は、David Elsewhereのぐにゃぐにゃダンスが原因ではなく、首から上をCG合成していることが原因です。
David Elsewhere本人のダンスは人間離れしたものすごい技ですが、ギャツビーCMの「首から上だけが独立した生き物」的な気持ち悪さはありません。
(YouTube動画へのリンクです。別窓で開きます)
David Elsewhere
舞台上でダンスを披露するDavid Elsewhere。ところどころでギャツビーCMと同じ動きをしています。
(腕だけ独立したような動きなど。0分57秒では、ギャツビーCMの0分3秒~0分8秒と同様の、つま先で立ったまま曲げた膝を左右に大きく動かす様子が見られます)
Dave Elsewhere - Kollaboration All Stars 2005
舞台上でダンスを披露するDavid Elsewhere。すごいの一言です。
iPod ad with David Elsewhere
David Elsewhereが出演するiPodのCMです。
■上半身のみが映るカットは木村拓哉本人です。
上半身のカットと全身のカットとでは、体に対して頭の大きさがちがいます。
(クリックで拡大します)
左:0分10秒 中:0分14秒 右:0分21秒
中央の画像だけ異様に頭部が小さいです。
■全身が映るカットは合成です。
肩と首の繋がりに注目して動画を見てみてください。
体が前のめりになっても、木村拓哉の顔は不自然に正面を向いています。CGで顔を「貼り付けている」のがわかります。
なんだか不自然に見えるのは、肩と顔の間にあるはずの首の奥行きが再現されていないからです。
更に、カメラと木村拓哉の顔との距離がいつも同じです。
真っ直ぐ立っても、顔を突き出してカメラと顔との距離が近くなっても、木村の顔の大きさが変わりません。
木村はその場に直立、または椅子に座って撮影されたことが伺えます。
合成する都合で、キムタクは頭の位置が上下に動かないように撮影しているため、David Elsewhereの体が上下に動く際に頭部の動きに違和感が出ています。その代わり横移動ではあまり違和感がありません。
David Elsewhereの体+木村拓哉の顔(~0分8秒)
↓
全身木村拓哉(合成なし)(0分8秒~0分11秒)
というようにカットごとに胴体が別人のものに変わっている訳ですが、「あ、踊り手(体)が別人になった」とはパッと見ではわからないくらいキムタクが上手く踊っています。
見た感じでは木村の上半身のみが映るカットはCG処理されていません。
それにしてもとても丁寧に作られています。質感・照明の当たり具合・カメラまでの距離などが顔と体でここまで一致していることに驚かされます。
David Elsewhereのぐにゃぐにゃ具合がすごいので、CG合成された首の不自然さが目立たない点も面白いと思います。
■体(David Elsewhere)の動きも少しCG処理が加えてあるように見えます。
上のDavid Elsewhere本人の動画を見ると、彼の動きはCMほどCG的ではなく、自然です。脚だけや、腕だけに独立した動きをさせる際、支点となる肩などの部位がつられて自然に動いています。
一方ギャツビーのCMでは、体のパーツパーツが完全に独立した動きをしています。
撮影後にCG処理を加えたのでしょう。
映像の早回しもしています。CMの0分17秒くらいのところがわかりやすいです。
早回しによって動きと動きの間を詰めたり、緩急を付けたり、一つ一つの動作をより高速でスムーズなものに見せたりしています。
すごいダンサーとCG処理が合わさって、見たことのない不思議な映像に仕上がっているのですね。
とても目を引く面白いCMだと思います。 |
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