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山口 瞳(やまぐち ひとみ)

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发表于 2004-12-19 22:09:35 | 显示全部楼层 |阅读模式
山口 瞳


小説家、随筆家の山口瞳は大正15年(1926)東京に生まれました。国学院大学卒業。働きながら大学を卒業し、河出書房に入社しますが、数年で倒産したため、寿屋(現、サントリー)に入社します。同僚に開高健、柳原良平らがおり、宣伝部で「洋酒天国」の編集をし、コピーライターとしても活躍します。昭和29年、奥野健男、吉本隆明らがいる「現代評論」の同人となります。昭和36年から翌年まで「婦人画報」に連載された「江分利満氏の優雅な生活」で、第48回直木賞を受賞し、作家生活に入ります。代表作に「マジメ人間」「居酒屋兆治」「血族」「家族」などがあります。また、軽妙なセンスで日常生活の哀歓をつづった「男性自身」シリーズは、昭和38年から「週刊新潮」に32年間連載され、1614回を数えました。ほかに、隣人愛や人情を描いた「わが町」や日本各地を放浪するユーモラスな紀行文「なんじゃもんじゃ」があります。平成7年 (1995)68歳で亡くなりました。

 鎌倉には、昭和20年に長谷の川端家の隣に家族とともに移り住み、23年東京に転出しました。昭和21年には、三枝博音、吉野秀雄、高見順らが教師をしていた鎌倉アカデミアに入学し「小説吉野秀雄先生」では詳細に当時のことを語ってます。

『江分利満氏の優雅な生活』
山口氏の昭和37年(1962年)の直木賞受賞作。主人公の江分利満氏は、東西電気の宣伝部員で、妻と一人息子の庄助とともに東横線沿線の社宅に住んでいる。その江分利の生活を、さまざまなテーマの切り口で浮き彫りにしていく傑作。

山口氏はこの作品で、昭和に生きる人々の喜怒哀楽を、地に足の付いた鋭い視点でえぐっていきます。個人や個々の家庭の相違はありつつも、昭和の時代の雰囲気、すなわちその時代を生きている人々に通底する考え方の基盤のようなものを、鮮やかに描き出す腕はただただ素晴らしいと言わざるを得ません。

我々のわずか2~3世代前は、電気すらない江戸時代に生きていたわけで、文明の急速な進歩とともに、人々の生活スタイル、生活のペースがガラッと変わったのが、ここ100年くらい ! まり昭和の時代だったのでしょう。その激変の奔流に飲まれながらも、時代の要諦にたくましく適応して生き抜いてきた日本人のしたたかさが読んでいて伝わってきます。

同時代小説としても、賞を取るくらいなのでもちろん絶賛されたのでしょう。しかし、当時の雰囲気を余すところなく汲み取っている、という意味で、時代が変わることによってさらに価値を増す小説なのではないでしょうか。

『居酒屋兆治』


兆治と、兆治が営む小さな居酒屋に集う人々を主人公にした連作短編。兆治の名前は元ロッテの村田投手からとったとのことです。
今回6年振りに読みましたが、最初に読んだ時よりもっと楽しめました。兆治の心根をしんみりと共感できるようになったからだと思います。
会社勤めを辞めて、実直的な規則正しい生活、客そして岩下という幼少からの友人達との交わり。生活できるだけの収入に満足して いれば、何の問題もない。と言っても、それだけで世間はすべてうまくいく、という程甘いものではなく、 兆治にも店の立ち退き問題という悩みがあります。
このしっとりとした縄のれんの店でのストーリィ。カラオケ狂いとなった井上や、河原、サラリーマン、警察官、タクシーの哕炇证桥郡讼攘ⅳ郡欷壳锉镜取
様々な人の物語がカルテルのように混じり合って、この小説は出来上がっています。やはり小説というのは、こうした面白みを持っていなくては!と思う、そんな作品です。
今までとは違う観点から読めた気がします。
それは、“幸福”ということ。兆治が留置場から釈放された後、幸福について考える場面があります。
茂子は妻として申し分なく、二人の娘は健康で素直、岩下を初めとする友人、 客達も親切。山口瞳さんの底辺にある人生観が、この短い部分にしっかりと表されていると思います。
それなら、伝吉(兆治の本名)とさよはどうだったのか。
伝吉は、二人の内一人が幸福になればそれで良い、と思ったと言います。結果的に、一人は幸福になった。でも、それはさよではなく、伝吉の方だった。
人生の難しさ、ささやかな幸福であってもそれを勝ち得ることの難しさを語る、一篇だと思います。
古くは長屋物語といったものを、現代の生活の中に蘇らせたかのような作品です。


『酔いどれ紀行』
面白く、かつ楽しめた紀行文です。
時間、およびお金をふんだんに使い、食べるものにも贅沢をする。それにも拘らず、本書において倉敷、小樽、長崎へ行こうとも、要は食べ歩き小説に他ならないのです。
まったく、いい加減な行動とも思うのですが、一方でそんな過ごし方が心地よく、羨ましくも思えてきます。
一度くらい、こんな旅もしてみたいものです。


『やってみなはれ みとくんなはれ』(開高健・共著)  

サントリー株式会社・社史「やってみなはれ サントリーの70年1」(昭和44年刊)に収録された2篇の文庫化。
かつてサントリー(旧・寿屋)東京支社・宣伝部の社員だった、芥川賞作家・開高健、直木賞作家・山口瞳という2人の作家による社史=創始者・鳥井信治郎の伝記というのですから、今から思えば贅沢なものです。
それは読者にとっても同じこと。サントリー創業の歴史を知ると同時に創業者・鳥井信治郎の人となりを知ることができる。それも、開高健・山口瞳という2人の名筆を文庫本一冊で楽しむことができるというのですから、これはもう堪えられません。
創業ストーリィというのはどれも興味深いものですけれど、この2人の筆によるのですから、小説のような興奮、面白さがあります。
とにかく熱気溢れる会社だったこと、宣伝に卓越していたこと、自由奔放なところがあったこと、それらが伝わってきます。

「青雲の志について」は戦前、赤玉ポートワインの大成功のこと。「戦後篇」は戦後、ウィスキーへの挑戦・大成功から、次男・佐治敬三によるビール市場への挑戦のこと、が語られています。
サントリーオールド全盛時代にそれを飲んでいた世代としては、それなりの感慨が生じます。
本書で嬉しいのは、同社広報部に当時在籍の斎藤由香さん(北杜夫氏長女)の後書きが添えられていること。後日談として、楽しく読めるあとがきです。

『人生論手帖』
単行本未収録のエッセイをまとめた一冊。
「人生論」などという題名がつくととかく身構えてしまいがちですが、本書はそんな偉ぶったものではなく、いつもどおりの山口瞳・エッセイ本。
山口さんが亡くなってだいぶ経つこともあり、山口瞳エッセイを読むのは久しぶり。改めて読んで、その味わい深さを再確認する思いです。
山口瞳エッセイの味わい深さは、ひとえにその哀感にあります。軽妙でコミカルな語りですけれど、それは意図してそうあるものではなく、生真面目にかつ真剣に生きてきた結果に過ぎない。山口さんには失礼ながら、それ以外に道のなかった小人という故に共感を覚えるのです。
それを象徴するような山口さんの文章が本書中にあります。
「私には、軽みの才能がない。小説でも随筆でも、ウンウン唸りながら書く」
読んでいると、山口さんならではの人生作法が感じられます。それが「人生論手帖」と題名された所以でしょうか。


  
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