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14 不吉なカーブ再訪(2)
僕は来た時と同じように草原のまんなかを横切った。足もとで雪がざくざくと音を立てた。足あとひとつない草原は銀色の火口湖のように見えた。振り返ると僕の足あとが一列に家まで続いていた。足あとは意外なほど曲っている。まっすぐ歩くのは簡単なことではないのだ。
遠くに離れてみると、家はまるで生きもののように見えた。家が窮屈そうに体をよじると、駒形根から雪がふるい落とされた。雪の塊りが音を立てて屋根の傾斜をすべり、地面に落ちて砕けた。
僕は歩きつづけ、草原を横切った。そして長い長い白樺林を抜け、橋をわたり、円錐形の山に沿ってぐるりとまわって、嫌なカーブに出た。
カーブに積った雪はうまい具合に凍りついてはいなかった。しかしどれだけしっかりと雪を踏みしめても、奈落の底にひきずりこまれてしまうようなあの嫌な気分から逃げれることはできなかった。僕はぼろぼろと崩れる崖にしがみつくようにしてそのカーブを歩ききった。腋の下が汗でぐっしょりと濡れた。まるで子供の頃に見た悪夢のようだ。
右手に平野が見えた。平野もまた雪に覆われていた。そのまんなかを十二滝川が眩く輝きながら流れていた。汽笛(きてき)が遠くに聞こえたような気がした。素晴らしい天気だった。
僕は一息ついてからリュックを背負い、なだらかな下り道を歩いた。次の角を曲ったところに見覚えのない新しいジープが停まっていた。ジープの前にはあの黒服の秘書が立っていた。
和来的时候一样我横穿草原的中间。脚下发出沙沙的踩雪声。没有脚印的草原看得像银色的火口湖那样。回头望去我的脚印一串连接到那房子。脚印连线弯曲得离奇。要想直直地走路并不是那么简单的事情。
远离后看去,那房子简直就像个活物。房子在变小在扭动着身体,雪从屋顶上抖动掉落下来。雪块发出声音在倾斜的屋顶上滑动,然后落到地面上摔碎。
我走着横跨草原。然后穿过长长的白桦林,跨过桥,沿着锥形的山转过去,走到了那讨厌的弯道。
在弯道上积的雪并没有结冻情况还不错。但是无论多么用力地踩那雪,仿佛都不能从那种深陷到底的讨厌的状态中逃离出来。我紧紧抓住破碎崩塌的悬崖一步步走着弯道。腋下因为出汗都湿透了。简直就像是孩子年代看到的恶梦那样。
在右侧已看到平原。那平原也被雪覆盖着。十二瀑布河从其中间闪闪流过。听到汽笛从远处传来。多么美丽的天气呀。
我喘口气之后背起旅行包,行走在平稳的下坡道上。转过一个角度之后有一辆没有见过的新的吉普车停在那里。那位穿黑衣服的秘书站在吉普车的前面。
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