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「馬鹿みたい」とユキは赤くなって言った。「私、結婚式なんてあげないもの」
「結構。僕だって結婚式なんか出たくない。下らないスピーチを聞かされて、作り損ねた煉瓦みたいなケーキを土産に持たされる。大嫌いだ。時間の消耗だ。自分のだってやらなかった。だからこれはあくまで譬え話だよ。僕が言いたいのはこういうことだ。友達は金では買えない。ましてや経費では買えない」
「そういうテーマで童話でも書いたら」
「素晴らしい」と僕は言って笑った。「実に素晴らしい。君はだんだん会話のコツを習得してきた。もう少し上達したら僕と二人で立派に漫才ができる」
ユキは肩をすぼめた。
「ねえ」と僕は咳払いをして言った。「真面目に話をしよう。もし君が僕と一緒に毎日遊んでいたいんなら、毎日遊んでもいい。別に仕事なんかしなくてもいい。どうせ下らない雪かき仕事だ。そんなのどうでもいいんだ。でもこれだけはひとつはっきりしている。金をもらって君とはつきあわない。ハワイのことは例外だ。あれは特別イベントだ。旅費もだしてもらった。女も買ってもらった。でもおかげで君の信用まで失いかけた。自分が嫌になった。もうああいうことは二度とやらない。おしまいだ。これからは僕のペースでやる。誰にも余計な口は出させない。金も出させない。僕はディック?ノースとも違うし、書生のフライデーとも違う。僕は僕で、誰にも雇われてはいない。つきあいたいから君とつきあう。君が僕と遊びたいんなら、僕は君と遊ぶ。君は金のことなんか考えることない」
「本当に私と遊んでくれるの?」とユキは足の爪のマニキュアを眺めながら言った。
「構わないよ。僕も君も世間からずるずると落ちこぼれてるんだ。今更気にすることもないだろう。のんびり遊んで暮らせばいい」
「どうしてそんなに親切なの?」
「親切なわけじゃない」と僕は言った。「やりかけたことを途中で放り出せない性格なんだ。君が僕と遊びたいっていうのなら、気が済むまで遊べばいい。僕と君が札幌のホテルで巡り合ったのも何かの縁だ。やるからにはとことん気の済むまでやろう」
ユキはしばらくサンダルの先で地面に小さな図形を描いていた。四角い渦巻きのような図形だった。僕はそれを眺めていた。
「私はあなたに迷惑をかけてるのかしら?」とユキは言った。
“真是混蛋。”雪脸红了说。“我,并不举行结婚仪式什么的。”
“那太好了。我可不想出席结婚仪式。让听那低级的致词,让领走受损的像砖头那样的西洋点心。真是讨厌这些。还消磨时间。自己也不曾做。这些话只是比喻。我想说的是这样的事。朋友,是用钱买不来。更何况经费也买不来。”
“把这些话题,写到童话中如何。”
“太壮观了。”我说着笑了起来。“实在是太壮观了。你逐渐地提高了交流的本领。若是再稍微提高一下,我们二人就成了很高级才能的相声人才了。”
雪耸耸肩。
“那么,”我咳嗽一声说。“说句有趣的话。假如你想和我每一天都一起玩,每天玩也不错。不做其它的工作也行。都是些铲雪之类的不高雅的工作。那样怎么处理都可以。但是有一点是明确的。领了钱也不能与你交往。夏威夷则是例外。那是比较特别的事件。从你爸那里领到了旅费,还买到了女人。可是对你失去了信用。我成了被讨厌的人。所以那样的事不能再做了。已经结束了。然后按着我的节点来做。对谁也不必多说,也不用出钱。我和ノース不同,和书生同性恋不同。我就是我,也不被谁雇佣。想交际的话就和你交际。你若想和我玩的话,我就和你玩。你不用考虑钱之事。”
“你真的能跜我玩吗?”雪看着脚指甲油说。
“这样不可以。那样的话我和你就会从社会上很痛快地脱离开。事到如今也不会再用心了。还是放松游玩为好。”
“怎么会那么亲切了呢?”
“并不是亲切。”我说。“我性格并不是说将正在做的事而半途而废。只要你说出想和我玩,还是玩到满足为好。我和你在札幌的宾馆相识也是有什么缘份的。只要开始做就要做到彻底。”
雪用凉鞋尖在地面上画了一个小图形。像是四角形的漩涡那样的图形。我看着那个图形。
“我是不是给你带来麻烦了?”雪说。 |
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