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男女の会話  その1  「君の名は?」% \. u- y9 h+ q# r+ i 
 
/ o( a7 i( b& \0 I+ n& ~' k* @女:あ、石川さん、先日はお手紙どうもありがとうございました。0 W7 ~& E+ t# S" \ 
男:い、いいえ。突然、あんな手紙をさしあげたりして、すみませんでした。" [6 \; W  k9 w" J% q* i7 g; q 
女:とんでもありません。石川さんが、ずっと私のことを思っていてくださったなんて。 
& Q; v+ i( y3 s1 X7 \  o1 i男:あ、もうそれ以上何も言わないでください。恥ずかしいから。- J7 z2 q: S2 m! W6 S 
女:でも一つだけ、言いたいことがあるんです。 
9 d7 _: d. B3 }* z- u+ g男:言わなくてもわかっていますよ。ジュンコさんの、僕に対する気持ちは。 
+ q5 \/ D/ n" @) e女:そうじゃなくて。* s5 P  u( R2 E: Q* e. F5 I4 f; x 
男:えっ。僕のこと嫌いなんですか。 
6 ^. X+ ?1 h3 _女:だから、そんなことじゃなくて。 
% @5 i0 w5 y( J; i* r% x男:何なんですか。 
+ ^2 v! Y0 g. ~+ t! R' D女:名前がね、私の名前が間違っていたんです。 
- y  `: V$ [) {, Y+ k男:だって、林ジュンコさんでしょ。 
; _+ \' g& Z1 t) E& h& w- Y女:そうなんですけど。ジュンコのジュンは「順番」の「順」じゃないんです。 
, ?$ V# ^0 ?7 \6 I  A: F男:あ、そうでしたっけ。「順番」の「順」じゃないとすると、「ジュンジョ(順序)」の「ジュン」かな。 
* C" l6 h+ E6 X$ u" M. f" E女:それは同じ字です。6 ~( o% x. e3 \" P) V0 w/ x 
男:そ、そうですよね。僕もそうじゃないかなあ、とは思ったんですけど。じゃあ「純粋」の「純」? 
+ U/ G! c% p4 F: Q9 a$ a女:ブー。クイズをやってるんじゃないのよ。 
' Q5 P' N9 o+ Q' q3 h- y/ ^% i男:どういう字だったかなあ………。 
: H8 S. ^* P8 f$ ?女:もう、困った人ね。「うるおう(潤う)」っていう字よ。 
9 C* B6 ]# A' M5 n: u1 d男:あ、「うるおう」か。 
, s5 v1 n( \+ v, b9 ]% R- x女:「潤う」子と書いて「潤子」。 
2 E3 b( ]& U) y( ]男:「うるおう」子ね。「うるおう」……。ね、「うるおう」ってどういう字だったっけ。ちょっとこの紙に書いてくれない? 
/ M& m, U: h& v: Y( `9 U8 y, h女:もう、あなたって最低。 
: K+ f0 G+ c9 T 
% Z2 \9 e' J: l/ t8 X         男女の会話  その2  「ほめたつもりが…….」9 h. \4 Y: F! ~  x! M* a 
) ^5 O6 r; X) Q! h$ r+ S$ w/ K 
男:あれっ、髪の毛、切ったの。5 N5 v+ D  X+ F) ? 
女:どう、似合う? 
) b( k& D; w) V& Y9 s男:う~ん。$ Z, y) \) Q3 b+ Z2 @5 P+ N9 ^4 [" [7 i 
女:う~んっていうのは何よ。まるで短くしないほうがよかったのにっていってるみたいじゃない。1 {; {4 ?+ P  g6 B( g 
男:そういうわけじゃないけど。人をほめるのもたいへんなんだから。 
% X5 p$ O, s1 S2 r女:そう?8 ~' t9 y2 X3 c! W- s) B* T- y" s 
男:そうさ。高校のとき、同じクラスだった岡本って覚えてるだろ。* O  M4 q: W1 k7 s, R 
女:岡本くん? 
3 n; M5 F# k1 c- l6 K4 ^0 d! S男:ほら、今、千代田銀行に勤めてる。 
* i: |1 M6 V4 p; p女:あのまじめな人ね。 
! e+ v) g$ B! @* w0 J$ M男:あいつ、まじめな人って言われるの好きじゃないんだってさ。, l5 t$ d$ k7 P( x 
女:でも、「まじめ」っていう言葉は、「まじめに仕事をする」とか「まじめな態度」とか、いい意味使うことが多いわよね。: U5 T) i3 p3 r! X; L 
男:そう、「本気」とか「真剣」っていう意味でね。 
' ^, h6 w) F$ W# o- m0 m$ X  W女:じゃあ、なんで「まじめな人」って言われたくないのかしら。  R1 @- t9 S8 _, Y- h* ` 
男:まじめすぎる人は、冗談が通じないし、いっしょにいてもおもろくないからね。 
' w- u3 Z) {8 f+ ~7 e3 c) G女:そうかなあ。 
4 P5 q! m- |! M/ @, A# z( |男:つまり、「まじめ」には「つまらない」っていうニュアンスもあるんだよ。 
0 _; u7 O% L' t) E女:でも、あなたみたいに、みんなから「不まじめ」だっていわれるのもねえ…..。 
0 m. x$ c/ m' m) ]. v男:それって、ほめられてるのかなあ。: m& ^, D0 H) I 
女:そんなわけないでしょ。. v9 f: a; y, E! e% b+ m/ { 
男:やっぱり。でも、君の短い髪もすてきだね。/ W2 I+ s6 E; c$ N/ R 
女:もう遅いわよ。まじめさが足りないんだから。 
' G" v7 S1 y: k, U% _% |! q; k+ Q, Y5 f3 z; j5 Q 
         男女の会話  その3  「かけてください」 
" W+ m+ m- Q+ t4 X( b/ s& {5 F7 k6 ]. f6 l# S. T- x 
男:日本語ってさあ、むずかしい言葉もむずかしいけど、むずかしくない言葉もむずかしいよね。 
  |8 O0 Y6 \' ]$ C' o) s$ X& n5 n# `) ~女:何いってるの。 
8 ]) C( q; c  e- n8 R" T, u男:いや、僕の大学の後輩がね、会社の面接試験を受けたときのことなんだけど、とっても緊張したんだって。 
) `, f" L& \* f1 e! g* f0 G( f" u女:ふうん。' v7 \% y$ K8 E5 G5 c, o0 X 
男:で、いよいよ自分の順番が来て「鈴木さん、どうぞ」って呼ばれてね。8 J) ?/ ^) G% o0 b. ~ 
女:部屋に入ったんだ。 
/ E  w7 [* P. n$ u男:そう。そうしたら偉そうな人が10人くらいいて、もっとどきどきしっちゃったんだって。 
8 D# `4 q. V0 L( U# o* }* L$ x女:気が小さいんじゃないの、その人。 
5 B2 V/ e. C) Y# f# j男:そうかなあ、まじめな人だよ。部屋に入ったら「かけてください」って言われたそうなんだ。 
" Q- e1 _! H; N/ \0 D! Y- P女:立ったまま面接するわけにはいかないもんね。 
! a- X. U( y5 I* d3 S! D男:そうだろ。「かけてください」っていうのは「座ってください」っていう意味にとるよね。でもそいつは、いきなりいすの周りを走り始めちゃったんだって。' X0 p$ p3 F+ H9 H& a$ P 
女:ばかじゃないの、その人。9 T( X6 @+ k2 }( ]" E2 p6 _ 
男:でもさあ、緊張してたんだから仕方ないさ。「かける」っていう言葉には「走る」っていう意味もあるし、「めがねをかける」とか「心配をかける」とか「声をかける」っていう言い方もあって、簡単そうな言葉ほど案外むずかしいんだよ。; P$ Q3 F# A; w: | 
女:で、その人、会社の面接はどうなったの。 
9 m7 M5 E' X* [8 k' n6 j* d% e男:合格しちゃったんだよ。珍しいやつだっていうことでね。 
- J- r$ D6 ]1 O9 [, g' _, i女:へえ、大丈夫なの、その会社。 
+ ?4 f$ P) q1 `2 ?男:大丈夫だよ、僕の会社だもん。( z; B$ J+ c3 n, G5 S/ A3 S- d 
+ v& V& H. T' o. S% C5 E3 } 
         男女の会話  その4  「猫に小判」* g+ D  c1 Z; A. r" O1 @ 
 
1 U- ^5 }/ e9 A/ ?' C  h" E女:ねえ、うちでも猫、飼わない?' M" X7 c4 q0 m( H$ ?" d- @2 o+ w 
男:だめだよ。君も僕も働いていて、昼間はうちにだれもいないんだから。それに僕、猫は嫌いなんだ。 
$ N3 B$ d2 O5 n; t女:あら、どうして。4 @5 n- ~1 H+ {( |2 F3 c, H/ x 
男:犬は人の役に立つけど、猫なんて価値のない動物だからね。 
: G8 `. D) w, B# ^" m: j% h2 w女:私は犬より猫のほうがいいな。, j' T8 l4 v% g, c, h! Y. k/ c 
男:昔から「猫に小判」って言うだろ。' r, \) [: ~, Q" U5 z 
女:古いのよ、あなたの考えは。最近じゃ「猫に小判」じゃなくて「猫にごはん」って言うのよ。 
# n0 U+ q8 E: N0 X# G+ A$ v男:何だい、それ。+ ?3 M* z8 F* ?4 J! q4 ?" | 
女:「猫にごはん」っていうのはね、猫にごはんを作ってあげる優しさと生活のゆとりを持ちましょうということなの。 
  P6 E3 L7 ~4 k* w' a5 H% }男:変なの。6 i) J6 ~$ l7 |- a9 G 
女:「猫に今晩は」っていうのもあんのよ。 
$ z, B# U6 p1 ^- _/ x- X& ^: f男:「猫に今晩は」?  e  o0 v& {4 C- W6 V& z* T 
女:そうよ。知らない猫にでも「今晩は」ってあいさつをしましょうっていうこと。動物を大切にする気持ちね。1 A1 ]5 F; w$ \8 o( r 
男:君が勝手に作った言葉だろ。 
7 F3 r2 ?0 L; D& n女:いいでしょ、何だって。 
3 G4 a3 u9 D- U; \: B" z/ z男:じゃ、こういうのはどう。「猫に交番」。 
' ^+ y$ Q1 e2 ^  B/ |1 y女:どういう意味? 
8 C- U8 @9 e; d* ^男:猫に交番の場所を聞いてもわからないっていうこと。つまり、猫は役に立たない動物だという意味。2 L% j5 Z. {+ b* E* Z' A 
女:まあ。 
9 d8 m2 ~3 b  ]: y1 ?6 k! |男:もう一つできた。「猫に留守番」。猫に留守番を頼んでも、猫はどこかに行ってしまうからむだだという意味。/ \9 N/ A9 g' I2 m6 @ 
女:結局あなたは猫が嫌いなんでしょ。 
7 o1 ~5 d+ g& x! k; r5 ?男:そう、大嫌い。9 w4 Q: G. B& s' w! _5 P 
+ P4 n. c- n. v" i8 L4 O 
        男女の会話  その5  「カタカナ言葉は正しく」 
5 u) I( c/ j( P  G: l& c9 g; c! C$ @& k 
男:結婚する前の僕らは純粋で、プルトニウム(plutonium)ラブだったね。% v/ f& h2 d3 M5 O 
女:それを言うならプラトニックラブ(Platonic love)でしょ。 
, b( X; W0 y& N4 [$ Q+ {男:そうそうプラトニックラブね。…..君って案外思ったことをはっきり言うんだね。& O- A& d1 J* Z; P/ _. Z  a 
女:そうかしら。 
% C0 r- K3 i5 c- W" T$ x  X( h男:僕はこう見えても心がバリケード(barricade)だから、けっこう、傷ついているんだよ。0 C" k; z' h1 ~& W" R& j 
女:心がデリケート(delicate)でしょ。 
1 U  t  d" w, \6 z男:あ、デリケート、デリケート。. z* O2 O* X9 ` 
女:………..。4 q2 ^1 Z. X5 _1 l 
男:ところで君の作る料理はいつも量が多くて、バリウム(Barium)があっていいね。4 c) N% x- r) u) p" P: c; d 
女:バリウムじゃなくてボリューム(volume)じゃない?7 t- t- D3 d) j 
男:あ、ボリュームね。……でも、僕、卵料理は食べられないんだ。卵のエネルギー(Energie)だから。 
; j: E% k8 @% ~9 p  T- i女:卵のエネルギー? 
# d2 b0 T* L" m$ b; X男:そう、卵エネルギー。エネルギー体質なんだ。 
5 w: P5 B4 K7 \$ N; F5 C0 o& y女:それはエネルギーじゃなくてアレルギー(Allergie)体質。% H" v/ m, u# c2 T6 r8 I. m7 S5 l 
男:エネルギーじゃなくてアレルギーか。冗談だよ、冗談。 
) h; ?! P3 [2 y5 Z女:わかってるのかしら。この人。 
: d3 }, l6 N4 a$ G9 W% C男:わかってるさ。君の専門は英文学だから、外国語に強いんだろ。僕の専門は日本文学だから、同じ文学でもジャングル(jungle)がちょっと違うわけさ。6 ^: k$ j. Y( o 
女:それを言うならジャンル(genre)でしょ。) |$ w" y9 Q; t9 F& r$ d 
男:ジャンルだっけ。 |   
 
 
 
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