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 楼主 |
发表于 2004-4-6 23:00:00
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□ あるレストラン?表 
  
 中から出てきたのは、天、健太郎とみどり。 
  
 
みどり 「センセ、ご馳走さま」  
 
健太郎 「ありがとうございます」  
 
天 「どういたしまして」  
 
みどり 「じゃ、次、カラオケ」  
 
健太郎 「えー、カラオケ?」  
 
みどり 「金太郎はいいよ、帰っても」  
 
健太郎 「(ムッと)いいよ、帰るよ」  
 
天 「俺も帰るぞ」  
 
みどり 「ダメ、センセ」  
 と、天に腕を絡ませる。 
  
 
□ カラオケボックス?入口フロア 
  
 天、みどりに引っ張って来られる。 
 
健太郎も当然ついて来ている。 
 
みどり、あれ? となる。 
 
めぐみが自販機で煙草を買っていたのだ。 
  
 
めぐみ 「(気づいて)あら、“AVA”さん........(天に愛想よく)こんばんは」  
 
天 「........今晩は」  
 
みどり 「(笑顔)えーッ、ここよく来てるんですか?」  
 
めぐみ 「そうなの。よかったら合流しません?」  
 
みどり 「しましょうしましょう!」  
 天と健太郎、顔を見合わせる。 
  
 
□ 同?一室 
  
 健太郎とめぐみが仲良くデュエットしている。 
 
みどりと祐子が野次っている。 
 
雨音は天を意識して歌本を見たり。 
  
 
天 「(呆れ顔で)元気いいなァ」  
 
雨 音 「(自分に話しかけられたと思い)え?」  
 歌がウルサくて聞こえない。 
 
天、雨音との距離を詰めて―― 
  
 
天 「ストレス解消はカラオケ!?」  
 
雨 音 「ええ........」  
 雨音、天から離れようと体をズラす。 
  
 
天 「........(やれやれ)」  
 健太郎たちの歌が終わる。 
 
雨音たち、拍手する。 
  
 
みどり 「センセ、歌って下さいよ!」  
 
天 「一番発散したい人に歌わせてやれよ」  
 と、雨音を見る。 
 
雨音、!? 
  
 
めぐみ 「そうよ、歌いなさいよ」  
 
天 「みどり、俺、帰るから」  
 と、財布を出そうとする。 
  
 
みどり 「援助してくれるんですか?」  
 
めぐみ 「あ、結構です。今日は彼女の奢りですから」  
 
天 「........?」  
 
祐 子 「昼間のこと、彼女が悪いんじゃないんです」  
 
めぐみ 「課長が責任なすりつけたんですよ。それで、慰謝料もらったんです」  
 
みどり 「へえ、そうなんだ」  
 
雨 音 「........」  
 
天 「(雨音を見て)........」  
 
□ 天のマンション?全景 
  
 ――昼間。 
  
 
□ 同?玄関 
  
 天がドアを開けると―― 
 
佳織が立っている。 
  
 
佳 織 「こんにちは。仕事中?」  
 
天 「まあね」  
 
佳 織 「面白いミュージシャン見つけたの」  
 と、持参のCDを見せる。 
 
天、道を開ける。 
  
 
□ 同?室内 
  
 曲が流れている。 
 
天と佳織、聞いている。 
 
終わって―― 
  
 
佳 織 「どお?」  
 
天 「........面白いね」  
 佳織、立ち上がって―― 
  
 
佳 織 「天のラブソングも聞きたいな」  
 
天 「........まだだよ」  
 天、!? 佳織、仕事部屋を覗き込んでいる。 
  
 
天 「悪いけど、仕事部屋には入らないでくれ」  
 
佳 織 「何かヤバいものでもあるの?」  
 
天 「機械をいじられたくないんだ」  
 
佳 織 「(首を竦め)........」  
 
天 「何だよ、この前言いかけたこと」  
 
佳 織 「覚えてた?」  
 
天 「気を揉ませる言い方したじゃないか」  
 
佳 織 「リスナーからね、面白い情報が入ったの」  
 
天 「(コーヒーを淹れながら)何」  
 
佳 織 「リナさんを見かけたって........」  
 天、ドキッと手が止まる。 
  
 
佳 織 「詳しく知りたい?」  
 
天 「........いや」  
 
佳 織 「ホントにいいの?」  
 
天 「何が?」  
 
佳 織 「リナさんのこと」  
 
天 「........」  
 
佳 織 「“アッシュ”が解散したの、彼女がいなくなったからでしょ?」  
 
天 「........」  
 
佳 織 「天との恋愛が原因なの?」  
 
天 「........どうしてそんなこと聞くの」  
 
佳 織 「聞きたいから」  
 
天 「(軽い調子で)嫉妬かよ」  
 
佳 織 「まさか。過去のことに嫉妬したってしょうがないでしょ」  
 
天 「だったら聞くなよ」  
 
佳 織 「時々虐めたくなるのよね、天。私に弱みを見せないから。どんな時にも冷めてる。ほんの少し動揺するのはリナさんの話の時だけ」  
 
天 「........」  
 
佳 織 「(ニッと)その顔が見たかったんだ。じゃ........」  
 と、玄関へ向かう。 
  
 
天 「待てよ」  
 
佳 織 「見かけた場所は羽田空港」  
 
天 「――」  
 
佳 織 「ただし二年ほど前。ごめんなさい、情報としては古すぎるわね」  
 
天 「........」  
 
□ フラッシュ 
  
 都会の海。 
 
沈む夕陽に、キスする天とリナのシルエット。 
  
 
リナの声 「........地球のどこかにあるよね........私のいないとこ」  
 二人の頭上を、轟音とともにかすめるように離陸してゆく飛行機  
 
3) 
  
 
□ 雨音のアパート?全景 
  
 ――休日の朝。 
  
 
□ 同?室内 
  
 洗濯機が回っている。 
 
    ×      × 
 
雨音、パソコン画面を見ている。 
 
新規メールが読み込まれている。 
 
画面を見る雨音、困惑の表情になる。 
  
 
□ パソコン画面 
  
 新規メール――題名と本文はなく、添付書類のみである。 
 
添付書類、【so long】とタイトルがついている。 
  
 
□ 室内 
  
 
雨 音 「so long........さようなら?」  
 雨音、音楽ファイルをクリックする。 
 
リリカルなメロディとは別の、もの悲しいメロディが流れる。 
  
 
雨 音 「(困惑して)........どうして?」  
 
  
 □ 天のマンション?室内 
  
 寝起きの天が電話に出ている。 
  
 
電話の声 「私だけど........」  
 
天 「ああ、社長........」  
 
英子の声 「よかったよ、so long」  
 
天 「........どうも」  
 
英子の声 「いきなり恋の終わりの歌が出来てくるとは思わなかったけど」  
 
天 「........」  
 
□ 同?仕事部屋 
  
 入ってくる天、ターミナルアダプタの点滅に気づく。 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
hataさん 
 
 
 
so long は、さようならという意味ですね 
 
それに、胸が痛くなるほど切ない曲です 
 
もうメールは書かないということですか? 
 
 
 
               てるてる坊主 
 
 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
てるてる坊主さん 
 
 
 
違います 
 
ただの曲の題名です 
 
 
 
                  hata 
 
 
  
 
□ 雨音のアパート?室内 
  
 雨音、ホッとなってメールの文面を見ている。 
 
雨音、【返信】をクリック。 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
よかった 
 
 
 
でも、誰に聞かせるために作ったんですか? 
 
小学校で子供たちと一緒に歌う曲には思えないんですけど 
 
 
 
                 てるてる坊主 
 
 
  
 
□ 天のマンション?仕事部屋 
  
 天、メールを見ている。 
  
 
天 「(フト)小学校?(思い出し)ああ、hataは小学校の先生だったな」  
 と、苦笑する。 
  
 
□ 雨音のアパート?室内 
  
 雨音、掃除機をかけている。 
 
電話が鳴る。 
  
 
雨 音 「(出て)はい、村上です」  
 
電話の声 「吉田です」  
 
雨 音 「――」  
 
吉田の声 「もしもし?」  
 
雨 音 「(困惑して)........はい」  
 
吉田の声 「実は近くまで来てるんです。ちょっと出てきてもらえませんか?」  
 
雨 音 「――」  
 
□ 同?近くの公園 
  
 吉田、ブランコに仱盲皮い搿 
 
雨音がブ然とした表情でやって来る。 
  
 
吉 田 「(笑顔で見迎えて)すいません、お休みなのに。取引先のホームパーティがこの近くで........」  
 
雨 音 「........お返しします」  
 と、履歴書と健康远蠒蚣铯送护訾埂 
  
 
吉 田 「あ、見ていただけました?」  
 
雨 音 「........何故、私なんですか」  
 
吉 田 「え?」  
 
雨 音 「........私より魅力的な人、たくさんいるじゃないですか。私なんか相手にしなくても、吉田さんを好きになる人、たくさんいるんじゃないですか」  
 
吉 田 「........そうなんですけどね」  
 
雨 音 「........」  
 
吉 田 「雨音さんがいいんです」  
 
雨 音 「――」  
 
吉 田 「まず名前。僕は晴彦。雨と晴れできっと縁があります」  
 
雨 音 「(ムッと)冗談はやめて下さい」  
 
吉 田 「(首を振り)本当にそう思ったんです」  
 
雨 音 「........」  
 
吉 田 「それに、合コンの時に王様ゲームや猥談を嫌がりましたよね」  
 
雨 音 「........」  
 
吉 田 「お勘定の時にめぐみさんたちはトイレに行ったけど、雨音さんは割り勘にしましょう、と言って財布を出そうとした。ポーズじゃなくて本当に払おうとした。そういうところに惹かれました」  
 
雨 音 「........」  
 
吉 田 「僕も馬鹿じゃないですからね、こんなアプローチの仕方は嫌われる可能性があることぐらい判っています。本当はもっと時間をかけて雨音さんを知り、僕を知ってほしかった。でも、僕には時間がないんです」  
 
雨 音 「(怪訝に)時間?」  
 
吉 田 「ただ好きだ嫌いだで付き合いたいと言ってるんじゃないんです。雨音さんが嫌がるのでしたら指一本触れません。僕と結婚を前提に付き合って下さい」  
 雨音、驚いて吉田を見る。 
  
 
吉 田 「(真顔で)本気です。だからこれ(履歴書など)を見ていただいたんです」  
 
雨 音 「........」  
 
吉 田 「結婚はもちろん、付き合っていてお互いうまくいかないな、と思ったら別れましょう、恨みっこなしで」  
 
雨 音 「........私、本当にいるんです」  
 
吉 田 「はい?」  
 
雨 音 「めぐみがいないって言ったそうですけど、いるんです、好きな人」  
 
吉 田 「(微笑で)だったら会わせて下さい」  
 
雨 音 「――」  
 
吉 田 「........どうしてそんなに頑ななんですか。どうしてそんなに男を信用できなくなったんですか」  
 
雨 音 「........」  
 吉田、雨音を瞶めている。 
 
雨音、困惑して―― 
  
 
□ 雨音のアパート?室内 
  
 雨音、パソコンの前に座っている。 
 
パソコンのデスクトップに、hataからの音楽ファイルが二つ。 
  
 
雨 音 「(見て)........」  
 雨音、新規メールを打ち始める。 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
hataさん 
 
 
 
本当はもっと早くこのメールを書くべきでした 
 
私は逃げていました 
 
 
  
 
□ 室内 
  
 
雨 音 「(手を止めて)........」  
 再びキーボードを打ち始める。 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
私は同じ銀行の人と付き合っていました 
 
生まれて初めて、これが恋愛なんだ、と実感できる付き合いでした 
 
同じ時間を共有し、体を重ね 
 
これほど深く自分以外の人間を理解したことはない 
 
そう思っていました 
 
 
  
 
□ 天のマンション?仕事部屋 
  
 天、そのメールを読んでいる。 
  
 
天 「........」  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
でも、彼は私に横領の手伝いをさせようとしました 
 
その時、私の中ですべてが崩れてゆきました 
 
私は裏切られたのです 
 
それが、誰にも話していない、彼と別れた理由です 
 
 
 
>何ひとつわかりあえなかったのは 
 
>体を重ねたせいかもしれない 
 
 
 
hataさんのメールの言葉が胸を貫きました 
 
 
  
 
□ 仕事部屋 
  
 
天 「........」  
 
□ 音楽スタジオ?ミキシングルーム 
  
 CM音楽の録音作業。 
 
天、ミュージシャンに指示を出している。 
 
健太郎、見ている。 
 
ドアが開いた気配に何気なく目をやる天。 
 
みどりが差し入れを持ってきた。 
 
みどり、天にニコッ。 
  
 
天 「........?」  
 
□ あるレストラン?全景(夜) 
  
 
□ 同?店内 
  
 雨音、めぐみ、祐子がお茶を飲んでいる。 
 
めぐみたち、入口を気にしている。 
  
 
雨 音 「(その様子に)誰か来るの?」  
 
祐 子 「吉田さん」  
 
雨 音 「――。どういうこと?」  
 
めぐみ 「雨音、吉田さんに対する気持ちは変わってないわね」  
 
雨 音 「え?」  
 
めぐみ 「吉田さんに諦めてもらいたいんでしょ?」  
 
雨 音 「(頷く)........」  
 
めぐみ 「(ニッと)いい手を考えたのよ」  
 雨音、!? 
  
 
めぐみ 「(出入口を見て)あ、来た」  
 雨音、ドキッと振り返ると―― 
 
天、みどり、健太郎が入ってきた。 
  
 
雨 音 「(意外で)........?」  
 
天 「(も、事情が飲み込めてなくて)........」  
 
めぐみ 「(天に)そういうことなので、よろしくお願いします」  
 
天 「何のこと?」  
 
めぐみ 「(その様子に)みどりちゃん、まだ話してないの?」  
 
みどり 「(頷き)センセ、彼女、しつこい男につきまとわれてるんです。撃退したいので恋人の振りをしてあげて欲しいんです」  
 
めぐみ 「もうすぐその男が来るんですよ」  
 
雨 音 「めぐみィ........」  
 
天 「(呆れて)クダらないことやってるなあ」  
 
雨 音 「........」  
 そこへ、吉田がやって来る。 
  
 
めぐみ 「(天に)あ、じゃ、お願いしますね」  
 
雨 音 「(混乱して)........」  
 
天 「........」  
 
吉 田 「(いつもの調子で)なんだか大人数ですね」  
 
めぐみ 「あの、ご紹介します。(天に)互洋物産の吉田さん。(吉田に)雨音が付き合ってる、長谷川さんです」  
 
雨 音 「――」  
 
吉 田 「初めまして。吉田です」  
 
天 「長谷川です」  
 
吉 田 「彼女とは、遊びですか」  
 
天 「キミは?」  
 
吉 田 「結婚を前提に付き合ってほしい、と申し込みました」  
 
天 「(笑って)そりゃいい。(雨音に)この人と結婚した方がいい。キミは結婚に向いてるよ」  
 と、言い捨てて出ていこうとする。 
  
 
雨 音 「――」  
 
吉 田 「雨音さん」  
 
雨 音 「(吉田に)申し訳ありません、吉田さんとはお付き合いできません」  
 
吉 田 「........」  
 
天 「(雨音に)それでいいんだな」  
 
雨 音 「........(頷く)」  
 天、雨音に歩み寄る。 
 
雨音、怪訝。 
 
天、雨音を抱きすくめ、キスする。 
  
 
雨 音 「――!」  
 吉田、! 
 
めぐみたちもア然となっている。 
 
雨音、思いがけない出来事に呆然とキスを受ける。 
  
 
天 「(唇を離し、吉田に)申し訳ない、ちょっと喧嘩しててね。キミのお陰で関係修復出来そうだ」  
 と、呆然としている雨音を引っ張って店を出てゆく。 
 
吉田たち、呆気に取られている。 
  
 
□ 同?表 
  
 天、雨音の腕を取って歩いてゆく。 
  
 
雨 音 「(抵抗して)離して下さい」  
 
天 「いいから」  
 と、ズンズン行く。 
 
吉田、ポカンと見送っている。 
 
天と雨音、角を曲がってゆく。 
  
 
□ 同?近くの道 
  
 雨音、天の手を振りほどく。 
  
 
雨 音 「何なんですか!?」  
 
天 「(ムッと)こっちの台詞だよ。猿芝居なんてスグにバレるんだ。俺はキミの名前も知らないんだから」  
 
雨 音 「........ヒドい(と、唇を押さえる)」  
 
天 「人をクダらない恋愛ゲームに巻き込んどいてヒドいはないだろ」  
 
雨 音 「巻き込んだのは私じゃありません」  
 
天 「そう、悪いのはまわりの友だち、キミは優等生だもんな」  
 
雨 音 「(見据えて)........」  
 
天 「この前もそうだった。俺は会社勤めしたことないけど、上司に責任転嫁されて我慢しなきゃならないこともあるだろう。だけど、それを金に変えちゃうっていうのはどうなんだよ。あれで発散したことになンのか!?」  
 
雨 音 「あれは........」  
 
天 「(皮肉に)あれもお友だちがやったことですか」  
 雨音、一瞬絶句するが―― 
  
 
雨 音 「あなたに言われたくありません! 私、知ってるんです。見たんです、この前ホテルで。仕事の立場を利用して女の人と........」  
 
天 「(思い出し)ああ、この前の歌手ね」  
 と、苦笑する。 
  
 
雨 音 「(嫌悪して)不潔」  
 天、ニッとなり、雨音にキスしようとする。 
 
雨音、! 思わず天の頬をひっぱたいた。 
  
 
天 「(ニヤッと笑い)冗談」  
 
雨 音 「――」  
 雨音、顔を歪め、走り去る。 
 
天、その後ろ姿を見据えている。 
  
 
□ 雨音のアパート?洗面所 
  
 雨音、うがいをしている。 
 
嫌悪の表情で何度も何度もうがいをする。 
  
 
雨 音 「........サイテー」  
 自分に言っている。 
  
 
□ 天のマンション?室内 
  
 天、ベッドに転がっている。 
  
 
天 「(ため息で)........」  
 
□ 雨音のアパート?室内 
  
 雨音、パソコンに向かっている。 
  
 
雨 音 「........」  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
hataさん 
 
 
 
毎日の暮らしの中で、近くにいる人たちとの関係が、表面的で希薄なものに感じられます 
 
たわいもない会話、くだらない噂話、仕事上のトラブル.......自分の身に起こったイヤなこと、イヤな自分........そちらの方が現実なのに........ 
 
こうしてパソコンに向き合って、hataさんにメールを書いている時間だけが本当の現実のように思えます 
 
 
  
 
□ 室内 
  
 雨音、キーボードを打つ手を止める。 
  
 
雨 音 「........」  
 雨音、再びキーボードを打ち始める。 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
hataさん 
 
 
 
私は、被害者ではなく、加害者です  
 
4) 
  
 
□ 天のマンション?仕事部屋 
  
 天、パソコンに向かっている。 
  
 
天 「........」  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
hataさん 
 
 
 
私は、被害者ではなく、加害者です 
 
 
 
自分では何も出来ないくせに、自分のことしか考えてなかった 
 
いつも他人のせいにして、逃げてきた 
 
 
 
昔の恋人が私を利用しようとした時、私は裏切られたと感じて別れました 
 
でも、彼は本気で横領を考えたのではなかったかも知れない 
 
一時の気の迷い、魔が差しただけなのかも知れない 
 
それを判ろうともせず、私は自分の身を安全なところにおいたのです 
 
 
 
>何ひとつわかりあえなかったのは 
 
>体を重ねたせいかもしれない 
 
 
 
私はhataさんの言葉に共感する資格などありません 
 
私は、判ろうとしていなかったことに気づきました 
 
 
 
               てるてる坊主 
 
 
  
 
□ フラッシュ 
  
 ――大都会のビルの屋上。 
 
ベンチに横になり、微睡んでいる天。 
 
リナもまた、天の胸にしなだれかかって微睡んでいる。 
 
天、リナの髪を優しく撫でる。 
 
リナ、天の心臓の音を子守歌にしている。 
 
平和な時間が流れてゆく。 
  
 
□ 仕事部屋 
  
 
天 「........」  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
てるてる坊主さん 
 
 
 
私も、被害者ではなく加害者かもしれません 
 
 
 
【so long】は、昔の恋人のことを想って作った曲です 
 
彼女とは一緒にバンドをやり、一緒に生活し、お互いにわかりあっていた........つもりでした 
 
でも、ある日彼女は私とバンドの仲間を放り出し、いなくなってしまった 
 
彼女が残していったのは【so long】と書かれた、てるてる坊主 
 
 
  
 
□ フラッシュ 
  
 テーブルの上に、てるてる坊主。 
 
天、怪訝に手にとって見る。 
 
天、! 
 
てるてる坊主に文字が書かれている。 
 
“so long” 
  
 
□ 仕事部屋 
  
 
天 「........」  
 
□ 雨音のアパート?室内 
  
 雨音、愕然となっている。 
  
 
雨 音 「........てるてる坊主」  
 雨音、スクロールし、隠れている文面を呼び出す。 
  
 
□ パソコン画面 
  
  
 
彼女が突然いなくなった理由が判らないのは、鈍感なだけではないのか 
 
あれだけ一緒にいて、どうして彼女の痛みや苦しみが判らなかったのか 
 
 
 
彼女がいなくなって、私は変わった 
 
もう誰にも、何も期待しない、されたくもない 
 
誰も愛さないし、愛されたくもない 
 
そんな自分がつくづくクダらない人間に思える 
 
他人を非難する資格なんてない 
 
 
 
てるてる坊主さんが、それを教えてくれた 
 
だから........ 
 
 
  
 
□ 天、リナとの思い出の場所を彷徨う 
  
 
天 「........」  
 
□ 大都会の海 
  
 天、携帯電話をかけている。 
 
呼び出し音、途切れて―― 
  
 
電話の声 「はい、“AVA”の古川です」  
 
□ 東京オペラシティ?“AVA”?社内 
  
 英子、携帯電話で受けている。 
 
――誰もいない社内で一人仕事を片づけていた。 
  
 
英 子 「あの曲をボツにしたい?」  
 
天の声 「ああ」  
 
英 子 「どうして。いい曲じゃない」  
 
天の声 「........色々と考えたいんだ」  
 
英 子 「........」  
 
天の声 「........」  
 
英 子 「........判った。あなたのCDよ、好きにすれば?」  
 
天の声 「........ありがとう」  
 
英 子 「ただし、【so long】よりいい曲を書いてよ」  
 
□ 大都会の海 
  
 
天 「........ああ、書くさ。(自分に言い聞かせるように)書かなきゃいけないんだ」  
 
英子の声 「(気持ち判っていて)私の言ういい曲って売れる曲って意味だからね」  
 
天 「(微苦笑し)判ってる。恋の始まりから書きたいんだ」  
 
□ 同?仕事部屋 
  
 天、仕事用のパソコンに向かっている。 
 
もう一台のパソコンのデスクトップには、てるてる坊主の絵。 
  
 
□ パソコン画面 
  
 文字が打ち込まれてゆく。 
 
 
 
 
 
もっと、キミのことが知りたい 
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