太吉:(モノローグ)わしの名はイナカ太吉、骨董品を買い集め、それを売るのがわしの仕事じゃ。骨董品の事なら何でも御座れ、わしの目にかかれば、どんな品でも何時何処で作られたか明らかになり、その値段も分かるのじゃ。しかし、世の中には、物の価値が分からないない人間がごろごろしておる、そんな何も知らない者たちから高価な品を安く手に入れる。そして、それを金持ちたちに高く売りつけるのじゃ。今日はあの城で一儲けさせてもらうとするかな。 
 
殿様:おほほほ、そちのおかげでよい品を手に入れることが出来たわい。 
 
太吉:いえいえ。お殿様のようにお目の高い方ばかりだと、私も商売に精の出し甲斐があるというもの。 
 
殿様:掘り出し物が見つかったら、またいつでも城に来られよ。 
 
太吉:ははあ、もったいないお言葉で御座います。これからも是非末永くお付き合いを 
 
殿様:あい、分かった。 
 
太吉:(歩きながらモノローグ)さあ、一稼ぎした事だし、今日はこのぐらいにしてと...おや?あれは。。。ほうこんなところに骨董品屋とは珍しい。どれ、少し覗いてみるか。...思ったより広い店じゃな。。。が...しかし...置かれているものとなると、これはひどい!どれもガラクタばかりじゃ。ふう、とっとと引き上げるか... 
 
店主:いらっしゃい 
 
太吉:ウン? 
 
店主:なんかお探しで... 
 
太吉:いいえ、ちょっと通りが仮に覗かせてもらっただけでして... 
 
店主:そうですか。それじゃ、ごゆっくり。あああ。。。 
 
太吉:(モノローグ)なんだご主人、やる気あるのか。それにしても、こんなガラクタをいったいいくら売っているんだろう。どれ...物は試しじゃ....(店主へ)ご主人、この皿いくらぐらいするのかね。 
 
店主:はあ?お買いなさるか...どれ...これは確か...二十両てな所で... 
 
太吉:に...二十両!? 
 
店主:そう二十両。安いもんじゃろう 
 
太吉:(モノローグ)こ....このガラクタが二十両、なんと高いんじゃ!この主人、骨董の事など少しも分かっておらんのじゃないか。こんなんでよく店など開いておられるもんじゃの。 
 
店主:買いなさるのかね? 
 
太吉:いや、値段を聞いてみただけで... 
 
店主:そうかい...なら。。。こっちのこの壷はどうですかな。このなら十五両にしてときますがの。。。 
 
太吉:いえいえ結構。本当にただ覗きに来ただけでして... 
 
店主:そうかい、残念じゃの... 
 
 
 
 
 
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