新兵衛:(鎧に菏证茹~丸、兜と太刀を背負ったな格好をして馬を走らせて)おりゃあ!おりゃあ...どけどけどけい!どんな百姓ども!おりゃおりゃおりゃ!おらおらおらどうした、どうした?この臆病ったがりが。俺だ。俺だよ。親兵衛だよ。どいつもこいつも、俺の顔を忘れたのか! 
 
百姓一:何? 
 
百姓二:何だと! 
 
親兵衛:何だ。雁首並べやがってよ。娘っ子呼んで来い、娘っ子を。親兵衛様が帰ってきたんだぜっ。オラッ!オイ、娘っ子、呼んでこい!なんだい、じゃねぇかよ。おう、お前ンとこのよ、お光はどうした?お光は、ええ? 
 
何処さ行ってただ、親兵衛。 
 
親兵衛:知れた事よ。俺ア、戦にいってきたんだい。見ろよ、この馬、鎧、刀! 
 
手柄立ててもらったわけじゃあるめぇ。死人の体から剥ぎ取っただか。 
 
親兵衛:何だと!」 
 
図星だべ、この馬鹿たれが! 
 
親兵衛:この! 
 
百姓は嫌じゃの、待になるの。勝手な熱を上げている間によ、源爺がおつ死んだぞ。 
 
親兵衛:えっ、今なんてった? 
 
捨て子のお前を拾って育てて死に水も取ってもらえねえじゃ、浮かべれねぇな、源爺いも... 
 
親兵衛:やかましいやい、そりゃ!そりゃ! 
 
(源爺の 
 
親兵衛:こんな事ってあるかよ。俺ア、爺っちゃんを喜ばしたかったんだよ。手柄立てて待になりゃ、爺っちゃんも喜んでくれると思ってよ、でも駄目だったよ。俺達雑兵は戦が済みゃお払い箱でよ。爺っちゃんは死ぬは、待にはなり損ねるは、どうすりゃいいんだよ、俺は(人影に気づく)何してんだい!ここは炭焼き小屋だ。食い物なんかねぞ、腹減ってんのか、おめえ。腹減ってんのか!...ほれ。喰えよ! 
 
男の子:ウッ... 
 
親兵衛:がっつきやがって。ほれ。しょうがねえな、おい、焼き米の食い方も知らねえのかい?このどん百姓はよ。おめえ、どっから来たんだい? 
 
男の子;あっちだ。 
 
親兵衛:あっちって、何処だよ。 
 
男の子:あっちだ。 
 
親兵衛:馬鹿か、おめえ。小汚い餓鬼だよ。おい。全部それを持って出てけよ。早くしねえかよ。 
 
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