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[其他翻译] 《梦十夜 9 》

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发表于 2009-12-16 15:20:41 | 显示全部楼层 |阅读模式
第九夜

第九夜


 世の中が何となくざわつき始めた。今にも戦争が起りそうに見える。焼け出された裸馬(はだかうま)が、夜昼(よるひる)となく、屋敷の周囲を暴れ廻ると、それを夜昼となく足軽共(あしがるども)が犇(ひしめ)きながら追かけているような心持がする。それでいて家のうちは森(しん)として静かである。

不知为什么世道变得动荡不安,似乎立刻就像要爆发战争似的。给人的感觉又像是有从火灾中逃出来的光背马,昼夜不停地围着房屋狂奔乱跳,同时,一群士卒也是不分昼夜、吵吵嚷嚷地在拼命地追赶着马匹一样混乱。而与此相反,屋内却是寂静无声。
 家には若い母と三つになる子供がいる。父はどこかへ行った。父がどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。床の上で草鞋(わらじ)を穿(は)いて、黒い頭巾を被って、勝手口から出て行った。その時母の持っていた雪洞(ぼんぼり)の灯(ひ)が暗い闇に細長く射して、生垣の手前にある古い檜を照らした。

屋内是一个年轻的母亲和一个年仅三岁的小孩子。孩子的父亲不知去了那里,是在一个没有月亮的夜晚离家出走的。他在屋里穿上草鞋,披上黑头巾,从后门出去的。那时,孩子母亲手中的纸罩蜡灯,在茫茫的黑夜里射出一束狭长的亮光,照亮了矮树篱笆前面的一棵古柏。

 父はそれきり帰って来なかった。母は毎日三つになる子供に「御父様は」と聞いている。子供は何とも云わなかった。しばらくしてから「あっち」と答えるようになった。母が「いつ御帰り」と聞いてもやはり「あっち」と答えて笑っていた。その時は母も笑った。そうして「今に御帰り」と云う言葉を何遍となく繰返して教えた。けれども子供は「今に」だけを覚えたのみである。時々は「御父様はどこ」と聞かれて「今に」と答える事もあった。

孩子的父亲一去不复返。孩子母亲每天都要问三岁的孩子:“爸爸呢?”。那孩子一声不吭。过一阵子,孩子会说:“在那儿。”了。母亲问:“爸爸什么时候回来?”,孩子也只会笑着说:“在那儿”。于是母亲也跟着笑起来,然后反复地教孩子说:“马上回来了。”。可是孩子只记得住“马上”这两个字。有时问孩子:“爸爸去哪里了?”,孩子也回答说:“马上”。

 夜になって、四隣(あたり)が静まると、母は帯を締め直して、鮫鞘(さめざや)の短刀を帯の間へ差して、子供を細帯で背中へ背負って、そっと潜(くぐ)りから出て行く。母はいつでも草履を穿いていた。子供はこの草履の音を聞きながら母の背中で寝てしまう事もあった。

每当夜深人静之后,母亲便重新扎好了腰带,并在腰带上插上一把鲨鱼皮鞘的短刀,再用窄带将孩子驮在背上,悄无声息地从边门溜出去。母亲总是穿着草鞋。孩子有时听着草鞋的脚步声,就在母亲的背上睡着了。

 土塀(つちべい)の続いている屋敷町(やしきまち)を西へ下って、だらだら坂を降り尽くすと、大きな銀杏(いちょう)がある。この銀杏を目標(めじるし)に右に切れると、一丁(いっちょう)ばかり奥に石の鳥居がある。片側は田圃で、片側は熊笹(くまざさ)ばかりの中を鳥居まで来て、それを潜り抜けると、暗い杉の木立になる。それから二十間ばかり敷石伝いに突き当ると、古い拝殿の階段の下に出る。鼠色に洗い出された賽銭箱(さいせんばこ)の上に、大きな鈴の紐がぶら下がって昼間見ると、その鈴の傍に八幡宮(はちまんぐう)と云う額が懸っている。八の字が、鳩が二羽向いあったような書体にできているのが面白い。そのほかにもいろいろの額がある。たいていは家中(かちゅう)のものの射抜いた金的(きんてき)を、射抜いたものの名前に添えたのが多い。たまには太刀(たち)を納めたのもある。

穿过土墙相接、房屋鳞次栉比的街市往西走,走到缓坡的尽头,有一株高大的银杏树。在这棵银杏树处向右拐去,往里一百多米处有座石牌坊。走过一边是农田,一边尽是山白竹丛的小径来到此石牌坊下,穿过石牌坊就是一片黑森森的杉树林。再沿着三十多米长的石板路走到尽头,便来到了一座古殿的台阶下。在一个经日晒雨淋已呈灰白的香资柜的上方,一条粗绳从大铜铃中垂挂下来,若在白天,则可见铜铃旁悬挂着一个写有“八幡宫”(注:祭奠八幡神的神殿。八幡神被称为弓矢•武道之神)的匾额。那个“八”字的写得就像是两只面对面的鸽子,生动有趣。除此以外,还有许多各种各样的挂匾。其中较多的是家将在比武时射穿了的金靶,上面还写着射手的名字。偶而也有表示敬献长刀的匾额。

 鳥居を潜ると杉の梢でいつでも梟(ふくろう)が鳴いている。そうして、冷飯草履(ひやめしぞうり)の音がぴちゃぴちゃする。それが拝殿の前でやむと、母はまず鈴を鳴らしておいて、すぐにしゃがんで柏手(かしわで)を打つ。たいていはこの時梟(ふくろう)が急に鳴かなくなる。それから母は一心不乱(いっしんふらん)に夫の無事を祈る。母の考えでは、夫が侍であるから、弓矢(ゆみや)の神の八幡へ、こうやって是非ない願(がん)をかけたら、よもや聴かれぬ道理はなかろうと一図(いちず)に思いつめている。

只要有人从石牌坊下走过,杉树枝头上的猫头鹰总会叫。那时,母亲的旧草鞋踢拖踢拖声着。当草鞋声在神殿前停下后,母亲会先拉响铜铃,再蹲下身子击掌合十。通常在这时,猫头鹰的叫声会嘎然而止。母亲专心致志地祈祷着夫君的平安。母亲深信不疑:丈夫是个武士,因此来到这被称为弓矢武道之神的八幡大神作此不得已的求拜,岂有不应验之理。

 子供はよくこの鈴の音で眼を覚まして、四辺(あたり)を見ると真暗だものだから、急に背中で泣き出す事がある。その時母は口の内で何か祈りながら、背を振ってあやそうとする。すると旨く泣きやむ事もある。またますます烈しく泣き立てる事もある。いずれにしても母は容易に立たない。

孩子常被铃声惊醒,睁眼看到四周一片漆黑,就会在背上突然放声大哭起来。这时母亲便一边嘴里祷告,一边耸着背哄孩子。这么一来,孩子有时就不哭了,可有时反而哭得更厉害。可是不管怎么样,母亲都不会轻易地站起身来的。

 一通(ひととお)り夫の身の上を祈ってしまうと、今度は細帯を解いて、背中の子を摺(ず)りおろすように、背中から前へ廻して、両手に抱きながら拝殿(はいでん)を上って行って、「好い子だから、少しの間、待っておいでよ」ときっと自分の頬を子供の頬へ擦りつける。そうして細帯を長くして、子供を縛っておいて、その片端を拝殿の欄干に括りつける。それから段々を下りて来て二十間の敷石を往(い)ったり来たり御百度(おひゃくど)を踏む。

母亲为丈夫祈祷完毕后,会解开背带,把背后的孩子放下,抱到胸前,再登上神殿,定会用自己的脸颊摩挲孩子的脸颊,哄着孩子说:“乖孩子,稍等一会喔。”。然后用细长的背带将孩子捆上,带子的一端拴在神殿的栏杆上。最后走下台阶,来到三十多米长的石板路上,来来回回地踏百度(注:日本参拜神殿的一种方式。在一段路上反复地走,每走到一端扣一次头,以示虔诚)。

 拝殿に括りつけられた子は、暗闇(くらやみ)の中で、細帯の丈(たけ)のゆるす限り、広縁(ひろえん)の上を這い廻っている。そう云う時は母にとって、はなはだ楽な夜である。けれども縛った子にひいひい泣かれると、母は気が気でない。御百度の足が非常に早くなる。大変息が切れる。仕方のない時は、中途で拝殿へ上って来て、いろいろすかしておいて、また御百度を踏み直す事もある。

被拴在神殿上的孩子,在黑暗的走廊上,尽着带子所能伸展的长度到处爬动。这时,对母亲来说就是个轻松的夜晚了。但只要拴着的孩子一啼哭,母亲就心神不宁了。踏百度的步伐也会变得非常急促,上气不接下气。实在受不了的时候,也只得中途回到神殿上哄一哄孩子,然后再下去重踏一百次。

 こう云う風に、幾晩(いくばん)となく母が気を揉んで、夜の目も寝ずに心配していた父は、とくの昔に浪士(ろうし)のために殺されていたのである。
 こんな悲い話を、夢の中で母から聞いた。

其实如此让母亲夜不能寐,牵肠挂肚的父亲,早就被浪人杀死了。
如此悲哀的故事,是在梦中听母亲讲的。
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