2007年11月29日(木曜日)付 x Z6 J: r) M5 G$ @. x ゴルフのルールは自然を尊重する。例えば、モグラやウサギの巣穴に入ったボールは、拾い上げて近くに落とせる。これに対し、穴掘り動物ではない犬が遊びで掘った穴だと救済はない(日本ゴルフ協会)▼欲望の深穴に落ちた人間は、どんなルールでも救いようがなかったようだ。守屋武昌・前防衛事務次官が妻と共に逮捕された。軍需商社の元専務らにゴルフ旅行の接待を受けた、収賄の疑いだ▼疑惑はしかし、ゴルフざんまいの役人夫婦にとどまらない。政治家がうごめく防衛利権の闇を、今度こそ納税者の前にさらしてもらいたい。接待費とはケタ違いの税金が食い物にされている図が、そこにある▼小銃から戦闘機まで、自衛隊が買い入れる装備品は欧米の軍隊より割高だと聞く。なにしろ、性能も価格も素人の手に余るハイテク工業品である。元手は税金だから節約する気もうせ、売る側の言い値が通りやすい。そこに、巨利が生じる▼79年のダグラス・グラマン事件。後に検事総長となる伊藤栄樹は、国会で「捜査の要諦(ようてい)はすべからく、小さな悪をすくい取るだけでなく、巨悪を取り逃がさないことにある」と、政界中枢への波及を期待させた。だが、捜査は政治家に及ばず、防衛予算の森にモグラのように巣くう利権構造は温存された▼大食漢のモグラは、巣穴に迷い込むミミズや昆虫を端から食らう。穴それ自体が巨大な罠(わな)ともいえ、条件が良い巣穴は代々引き継がれるそうだ。検察がたたきつぶすべきは巨悪と、国庫の地下を縦横に走る病巣である。