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发表于 2008-3-20 22:59:12
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天声人語4 S$ g3 S+ k3 V& i- k t5 \& N3 x; Z
2008年03月20日(木曜日)付
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一本目の矢は相手のかたくなな鎧(よろい)にはじき返された。うろたえて二の矢を放ったが、今度はろくに敵陣に届かずに落ちた。下手な弓攻めを見るような日銀総裁人事の混迷である▼とうとう総裁のいすは空席になった。戦後初の事態だという。総裁任期は昨日までと決まっていた。降ってわいた話ではないのに、である。射手がつたないからか、相手が頑迷なのか、それとも矢が粗末なのか、国民には分かりづらい▼二番目の矢、元大蔵事務次官の田波耕治氏の採決にあたって、首相は「良識をもって臨んでくださると思う」と民主党を牽制(けんせい)した。片や民主は、「わざわざ賛成できない人を選んでいる」とそっぽを向いた。理は我に、非は彼に。難じ合いの繰り返しに国民はうんざりだ▼すぐれた政治能力を「より賢く妥協すること」と言ったのは司馬遼太郎さんである。妥協を合意と置き換えてもいいだろう。それには、譲歩を引き出す知恵と、小異にかまけない大局観が必要だ。どちらを欠いても握手は遠のく▼2代前の総裁だった速水優さんは、在任中にデフレと格闘した。ゼロ金利政策、株の買い取り……。大胆な策を矢継ぎ早に放った。「日銀は日本経済の良心でなくてはならない」と、言い続けたそうだ▼政治の思惑に流されず、策をあやまたず。金融政策の司令塔としての戒めであり、自負でもあったろう。その総裁が、米国発の金融危機が風雲急を告げるなかで不在である。荒海の舵(かじ)さばきを任せられる三の矢を、首相はいつ放つことができるのだろうか。 |
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