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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2008-10-13 08:08:15 | 显示全部楼层
2008年10月11日(土)付
  W1 v6 b2 g% K1 w# E0 ~$ t0 a9 H7 i4 I: @1 |* l* V
 頭上にはきのうと同じ秋空が広がるのに、心は沈み、人知れず涙が伝う。挫折をそんな風に引きずると、立て直す努力が遅れて逆境が強まりかねない。経済を覆う空気にも似たところがあって、どこかで切り替えが要る▼株をお持ちであれば、気の重い連休だろう。内外の株価は下げ続け、日経平均は今週だけで24%落ち込んだ。売りが売りを呼ぶ、弱気のらせん階段。3日前に相場格言の「見切り千両」に触れたが、こうなってみれば、あそこで見切る勇気は「万両」に値した▼ニューヨーク発の、冷たい鉄砲水が地球をひと回りするたび、世界経済の体温が下がる。いやはや、グローバル時代の金融パニックは足が速い。市場の動揺が厄介なのは、株や投資に縁のない者まで巻き込むことだ▼トヨタ自動車の利益が円高で何千億円も飛ぶと聞けば、雇用や消費など、経済の本丸への波及を思わざるを得ない。株安のあおりで大和生命が破綻(はたん)した。上場している不動産投信が初めて行き詰まるなど、土地や建物絡みの不振も深刻だ▼市場は、火元米国の政府に「切り替えの材料」を催促している。ぬれ手で粟(あわ)の金もうけと、借金による消費ざんまい。そのツケが海を越えて暮らしを脅かす。なんとも受け入れがたい現実ながら、米経済の危機は突き放すには重すぎる▼古来、投資家たちは「朝の来ない夜はなし」「夜明け前が一番暗い」と己を励ましてきた。この夜、どれほど続くか分からない。連休の予報はおおむね高い空。それなのに、家計のあすも解散の日程も霧の中である。
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发表于 2008-10-13 08:08:35 | 显示全部楼层
2008年10月12日(日)付
; n* g: E: E; |/ j6 j3 e
* a6 w; g) O6 y" w/ |  C 芸術の秋に、ひろしま美術館が所蔵するゴッホの「ドービニーの庭」を拝見した。自殺する直前の作品だが暗さはない。横長のカンバスに夏の庭が美しく広がっている。だが、この絵には長く「謎」があった▼まず、同じ題の付いた、ほぼ同じ絵が2枚ある。その片方、スイスの美術館にある絵には庭を歩く黒猫が描かれている。ところが広島の絵には猫がいない。もともといなかったのか。塗りつぶされたのか。だとしたらなぜ――。黒猫のゆえか、自殺の真相などとも絡んで論争になってきた▼その猫が、絵の具の下から見つかったと、先ごろ報じられた。X線で解析すると、スイスの絵と同じ位置に描かれた猫に、上塗りがされていたそうだ。黒猫を不吉に思ったのか、ゴッホの死後に第三者が手を加えていたらしい▼米国の作家ポーの小説「黒猫」を思い出す。こちらは残酷にも、飼い主に、絵の具ならぬ壁の中に塗り込められてしまう。そういえばポーもゴッホも、破滅型の人生を送った点で相通じている▼ひろしま美術館は3年をかけて絵を調べ上げたそうだ。ナチの時代に「退廃芸術」の烙印(らくいん)を押されたが、米国に逃れてきわどく助かったという。そして、絵の具の下ながら黒猫も生き延びてきた▼本物の横に、元の絵を再現したCGも展示されていた。1世紀ぶりに姿を見せた黒猫は、長い尻尾(しっぽ)を引いて、澄ました足取りで芝生を横切っている。1枚の絵に誕生と来し方がある。静かな秋の日、耳を傾ければ、どの絵もとっておきの物語を聞かせてくれることだろう。
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发表于 2008-10-13 08:09:41 | 显示全部楼层
2008年10月13日(月)付) k" Y7 \4 ]5 B* Q
) b# `4 `9 g) j8 z! e& T4 d1 Q0 ?
 本社のデータベースによれば米国の刑務所にいる郷隼人(ごう・はやと)氏の名が朝日歌壇に初めて出たのは12年前になる。〈囚人のひとり飛び降り自殺せし夜に「Free as a Bird」ビートルズは唱(うた)う〉の一首が載った。「Free……」は「鳥のように自由に」という意味だ▼以来、氏は獄中で歌を詠み続けてきた。悔恨や望郷とともに、異郷の房内の孤独が、その作品ににじむ。魂の叫びとでも言うべき歌の数々を、歌壇の読者はご存じだろう▼置かれた立場は違うのだが、やはり異国の独房で、三浦和義氏の魂は何を叫んだのか、いまは知るすべもない。「闘い続ける」と周りに語りながら、長い拘束で追いつめられていたのか。意外で、後味の悪すぎる結末である▼「ロス疑惑」のうち、知人に妻を殴打させた殺人未遂事件では有罪になった。あれやこれやで5千日以上、拘置所や刑務所にいたという。過去の経験もあってか、映像では、2月の逮捕以降も落ち着いて見えた▼そんな印象に、ロス市警は油断したのだろうか。Tシャツで首をつったというが、監視がしっかりしていれば防げたはずだ。精神状態の把握はどうだったのか。米側の精査はむろんだが、日本政府も経緯の解明をうやむやに終わらせてはなるまい▼「自殺は殺人の最悪の形」という箴言(しんげん)がある。なぜなら「後悔の念を起こす機会を少しも残さないから」だという。自らを消した後悔とは無縁に、主役は法廷を待たずに退場していった。そして、悔やみきれない失態への責任が、ロス市警に重く残された。
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发表于 2008-10-15 18:00:30 | 显示全部楼层
2008年10月14日(火曜日)付
' p0 `1 X8 q" u
' l# k$ {+ o, n( t$ t1 v* |2 |6 I7 e+ x# o$ N+ w

- X5 j$ O: e1 s  o9 E; W8 N0 J, D0 T7 l1 J. Y" N$ h
前日が新聞休刊日でしたので、この日の「天声人語」はありません。ご了承ください
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发表于 2008-10-15 18:01:10 | 显示全部楼层
2008年10月15日(水)付
  ?9 K, B- x0 A- |# y4 s( R# k8 I  r
 〈愛の言葉を波が奪い去るたび、僕は叫び、君は大笑い〉。パット・ブーンの「砂に書いたラブレター」が流行(はや)ったのは半世紀前だ。甘い歌声に間奏の口笛。耳の奥に旋律がよみがえる人もおられよう▼愛の誓いも戯れも、砂に刻んだ文字は波がさらい、風が消し、二人だけの秘め事になる。ところが、場所によってはそうそう甘いことも言っていられない。「時が消す落書き」に、初の罰則である▼きのうの鳥取県議会で、鳥取砂丘での落書きを禁じる条例が成立した。「馬の背」と呼ばれる丘を足で削り、斜面に大きな字や絵を残す観光客が後を絶たないためだ。来年4月から、囲んだ面積が10平方メートルを超える落書きに限り、「作者」に最高5万円の過料と原状回復を命じる▼条例が砂丘観光に水を差す、という懸念もあった。しかし6月以降、数メートル規模の落書きだけで200以上が見つかった。「抑止力」(知事)を求めたくもなろう。プールほどの広さにえぐった「LOVE」やハートマーク。同じ愛でも、私信の「ラブレター」とは逆さまの目立ちたがりに見える▼家族や団体の思い出づくりかもしれない。観光用のラクダまでいる砂丘のこと、あるがままにと、きれい事も言うまい。それでも景色を愛(め)でたい旅人にすれば、その日、その時を目に焼きつけるしかない。砂丘だって一番いい「顔」を見せたいはずだ▼自然が創(つく)り出す曲線の妙に比べ、大書された私信、いや私心の、いかに無粋なことか。思い出を砂に刻むなら、足ではなく、せいぜい人さし指にとどめたい。
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发表于 2008-10-15 18:02:02 | 显示全部楼层
http://www.asahi.com/paper/column.html
$ p: ]5 |' r2 m不用转了,自己去看吧
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发表于 2008-10-16 08:09:29 | 显示全部楼层
还是转吧。大家看着方便。( Y: H; C% D: T

+ J6 G3 `8 k: m4 H+ {- e1 r: e2008年10月16日(木)付# E8 M, q: z  Y/ E) @) P

+ c$ g+ I" X/ E" N2 ? 上方落語の人間国宝、桂米朝さんが、デパートの食堂に通い詰める昔の芸人衆を『米朝よもやま噺(ばなし)』で描いている。注文はといえば、お子様ランチ二つと酒5本。この取り合わせ、なにやら据わりが悪く、並べて聞かされると説明が欲しくなる▼「いろんなおかずがちょっとずつあるんで、飲みながら食べるのにまことに都合がいい。仕上げのチキンライスまであるしね」と師匠の種明かしが続き、合点がいく仕掛けだ▼どう説明されても、落ち着かない取り合わせに出くわした。はなむけと死、である。海上自衛隊の特殊部隊で、日頃の訓練がきつくて隊を離れる男性(25)が、15人を次々と相手にする「格闘訓練」で亡くなった。海自側は「はなむけのつもりだった」と遺族に語ったそうだ▼倒れても引き起こされ、ふらふらで殴られ続けたという。7月には、別の離隊者が16人と闘わされ、歯を折っていた。異動前の集団暴行を訓練と呼び、見せしめを「はなむけ」と称しているかにみえる。外部では通じない言葉遣いだ▼日本海での不審船事件を教訓とした精鋭部隊である。無法国家まで相手にするからには、一対一を含め、厳しい鍛錬は当然であろう。その上で問いたい。味方を死なせてどうする▼はなむけの語源は、旅立つ者の安全を願い、馬の鼻を目的地に向ける所作とされる。国防を担わんとする若者を仲間が冥土に送っては、この言葉が許してくれまい。自殺の多さといい、組織が病んでいるのなら危うい。軍と閉鎖体質。こちらは古今東西、なじみの取り合わせだ。
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发表于 2008-10-23 09:41:40 | 显示全部楼层
2008年10月17日(金)付8 j  ~+ m& a; ]% X" [

. E6 z3 Z' O* p% S; W ハンセン病ほど、でたらめな偏見にさらされてきた病気はない。仏罰、血筋の汚れ、うつりやすい、不治……。恥ずべき差別史は、社会や個々人の「成熟度」を問うてもいる。国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)の企画展「ちぎられた心を抱いて」を見て、胸に手をあてた▼この病ゆえに、各地の療養所に強制収容された子どもたちの記録である(11月末まで)。家族から引き離された心細さ、恐ろしげな白い予防着の職員。震える心が、作文などに滲(にじ)んでいる▼昭和初期、患者の強制隔離が国策となる。各県は「根絶」を競い、少年少女も「すぐに親元に帰れるから」と連れてこられた。所内の学校に通ううち、塀の中で一生を終える定めと知る。いわれなき隔離は戦後も続いた▼絶望の中の至福は面会だった。少女の短文がある。〈お母さんは、私を見ると「千砂」と言ったまま、お泣きになった。私も声を出してわっと泣いた。思って居た事を、言おうとするけれど泣きじゃくって、声が出なかった〉▼離れていても愛されている、と確かめる術(すべ)が郵便だった。千代子さんの、これは詩だろうか。〈てすりにもたれている友/目かくししようと思って/そっと後(うしろ)にまわったら/手紙をもって泣いていた〉▼かるた、ひな人形、運動会の写真。閉ざされた四季が並んでいる。宝物は、肉親と暮らした遠い記憶だったのだろう。康子さんの詩の冒頭を記す。〈思い出は/私の胸の小さな銀の箱にある/そんなものがあるってことも/中に何が入っているかも/誰も知らないの〉
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发表于 2008-10-23 09:42:18 | 显示全部楼层
2008年10月18日(土)付
- r% @. R1 ^& S9 I: Q: a5 V
3 O. [* N6 M+ \ 本紙政治面で、麻生首相の口癖に触れていた。〈きちんと〉〈基本的に〉で明快さを狙うも〈なんとなく〉〈なんてえの〉が水を差し、照れ隠しや逃げの印象が残る。そんな見立てだった。無くて七癖という。「残り」を探してみた▼まずは、例を一つ二つ挙げた後の〈等々〉だ。本当は挙げた例がすべてかもしれないのに、あと三つぐらいある感じになる。説得力の水増し、と勘ぐるのは意地が悪いか▼お次は〈いかがなものか〉。「よくない」を遠回しに言う表現だ。〈等々〉と同じく、長い政治生活の中で官僚の口調が伝染したと見る。役人言葉といえば、国会答弁で〈○○先生よくご存じのように〉も使う。今時、これで矛先が鈍るセンセイは珍しいだろう▼そして、弁舌の端々にのぞく「記憶自慢」である。「決議は確か、現地時間の14日13時46分に出たと記憶しますが」などと、さりげなく挟む。とっさに思い出した風ではあるが、直前に仕込んだ「自信満々の豆知識」にも思える▼麻生節をクサイと感じる人もいよう。それでも、言い回しに心根が透けるのは人間的で、悪くない。時に能面のごとき福田、安倍両氏より、耳を傾ける気は起こる。小泉氏の、ぶつ切り激情型とも違う味わいだ▼その口がいずれ解散を宣言する。総選挙は〈基本的には〉〈なんとなく〉11月後半の雲行きだが、その前に党首討論を聞いておきたい。口癖全開で相まみえてほしい。いやこの注文、出すべき相手は気がありそうな首相ではなく、小沢氏かもしれない。〈政治ちゅうものは〉の。
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发表于 2008-10-23 09:42:45 | 显示全部楼层
2008年10月19日(日)付
3 m# Z5 c" l" M+ H. E
; U1 t! S6 v6 t% C7 O- E* o$ G 日米開戦時の大統領だったルーズベルトの妻エレノアは、いまも敬意をもって語られるファーストレディーだ。その彼女が生前「好奇心を擁護する」と題する一文を書いていたと、先頃のニューズウィーク誌(日本版)で知った▼こんな一節があるそうだ。「母親が妖精に『わが子に最も役に立つものを授けて』と願うとしたら、授けられるのは好奇心であるべきだと思う」。天の贈り物を周囲がつぶしてはならない、というメッセージだろう▼相通じる思いを、ノーベル化学賞を受ける下村脩(おさむ)さんが語っている。「子どもたちにはどんどん興味をもったことをやらせてあげて。やめさせたらだめです」。大人の価値観の干渉を、クラゲの光を追い続けた学究は戒める▼だが当節、好奇心は生息しづらくなっているようだ。「本来みんな持っている好奇心が選択式テストの受験体制ですさんでいる」と、こちらはノーベル物理学賞の益川敏英さん。「いまの親は教育熱心と言うより教育結果熱心」の指摘はなかなか厳しい▼子どもの周囲に、かつてなく「べし」と「べからず」があふれている。少なからぬ人の、それが実感ではないだろうか。たとえば、勝ち組めざしてひた走る勉強は「べし」の象徴だろう。そして、外で遊ぶ姿のあまりの少なさには「べからず」の極みを見る思いがする▼一握りの天才のために教育があるわけではない。とはいえ好奇心はあらゆる可能性の卵。二つの言葉のはざまで窒息させてはもったいないと、わが平凡を棚に上げつつ、受賞にわいた秋に思う。
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发表于 2008-10-23 09:43:16 | 显示全部楼层
2008年10月20日(月)付
% f8 Z5 w; X6 g* ~( \, ~4 e  ?; J( S0 Z- A' y$ h9 M9 i8 w, ?
 去年の春に城山三郎さんが亡くなったとき、五木寛之さんが本紙に寄せた追悼文に、こんなくだりがあった。〈(先に亡くなった)奥さんの葬式にきてくれた浄土真宗の僧侶が、リーズナブルな金額を申しでたうえに、ちゃんと領収書をくれたことを感心して話されていた〉▼そのときの城山さんの表情が五木さんは印象深かったそうだ。ささやかな一コマだが、筋の通らぬことを嫌った故人らしい話だと思って読んだ▼葬儀などの際、包んだお布施に釈然としなかった人は1人や2人ではあるまい。数十万円、ときにはそれ以上が領収書もなく渡される。いまどき政治の世界でもない話だ。「相場」と言われる額の当否も外部には分かりづらい▼不透明さが仏教界への不信を招いているのではないか。憂える青年僧ら約20人が、東京で「寺ネット・サンガ」なる団体を旗揚げした。お布施について、施主に十分説明し、使途も明示するなどして、信頼を得る道を探るそうだ▼代表の中下大樹さん(33)によれば、近年、葬祭業者から仕事を回してもらった僧が、謝礼にお布施の何割かを渡す「キックバック」も見られる。そして戒名は金次第。すべての寺ではないにせよ、あれやこれやの算盤(そろばん)が「葬式仏教」などと批判されて久しい▼「宗教は死者を弔うばかりではなく、生者の心を救うもの」。そう語る中下さんは、これまでにホスピスで多くの人を看取(みと)ってもきた。青年僧たちは、受け取ったお布施を様々な社会貢献にも充てるという。旧弊をゆさぶって吹く、新しい風になれ。
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发表于 2008-10-23 09:43:42 | 显示全部楼层
2008年10月21日(火)付+ Q  w4 c6 T2 F! a0 H: C

. U8 F7 s! E' i" r3 Y 昔の盗人たちは、お宝が眠る土蔵を娘にたとえた。しっくいの白壁を白粉(おしろい)に見立てた発想である。これを起点に、悪党の仲間内で色んな言い回しが生まれる。楽に運び出せた蔵は安産、逆は難産で、戸締まり厳重だと「母親が厳しい」とぼやいた(渡辺友左『隠語の世界』)▼同著によれば、隠語の目的は「集団内部の秘密保持」だ。こそこそと語り継がれてきた言葉が、悪事と一緒にひょいと暴かれたりする。それもたび重なると、隠語が隠語でなくなる時が訪れる▼会計検査院が12道府県の経理を調べたら、もれなく不正が見つかった。使い切れない何億円もの補助金を国に返納せず、文具の大量発注などを装って次年度に持ち越す手口が目立つ。お金は架空発注先の業者にたまるので「預け」と呼ばれるそうだ▼「預け」の言葉は、岐阜県や長崎県で裏金づくりが発覚した06年に紙面をにぎわせた。この広がり、もはや隠語の域を脱し、役所の会計用語として定着した風でもある。ほかに、県費で賄うべき出費に補助金を回す「はり付け」や、関係のない臨時職員の給料に充てた例もあった▼自治体の台所は苦しいが、使い残し、すなわち余分である。少なくとも、その事業のその年度には要らなかった。不明朗な処理は横領や癒着を生むだけだ▼話を土蔵破りに戻せば、公金の管理は「難産」を旨としたい。苦労して引き出した財源なればこそ、立派な事業に育てる気にもなろう。国も自治体も、蔵に収めた大枚はほかでもない、納税者の「預け」だと肝に銘じ直してほしい。
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发表于 2008-10-23 09:44:12 | 显示全部楼层
2008年10月22日(水)付
9 `5 g( U2 o5 t7 V) K) a  [7 E+ j$ O7 ~9 J4 b5 Y1 O
 テレビの前で、お宝の値踏みに付き合うことがある。名高い芸術家の作とされる品は、まだ分かりやすい。本物なら目玉が飛び出し、偽物は二束三文で笑いを誘う。ずっと難しいのが、有名人の持ち物と「名も無き名品」の類だ▼前者は下着に至るまで侮れない。この夏、英ビクトリア女王のブルマーが競売にかけられ、予想の9倍の4500ポンド(約80万円)で落札された。大英帝国の栄華が薫る紋章入りで、胴回りも堂々の127センチ。19世紀末、70代で着用した物らしい▼怪しげな品も紛れる後者は、目利きの領分だ。静岡県で今年、お寺などの仏像計30体が次々と消えた。島田市で盗まれた千手観音像は室町後期の作。近くの競売会で、素性を知らない京都の古物商が49万円で競り落とした▼出品した男が捕まり、余罪を追及されている。狙われたのは住職がいない寺というから、地域で守ってきたご本尊だろう。めったに開帳されず、実物を知らないために通報が遅れた例もあった▼今年、仏像の売買といえば、運慶作と伝わる「大日如来像」である。個人蔵が米国で競売されたのは3月。重文級の海外流出かと文化庁を慌てさせたが、結局、日本の宗教団体が1280万ドル(約13億円)で落とした▼静岡の被害は、博物館よりお堂が似合う仏様だ。檀家(だんか)衆はともかく、文化庁が「流失」に慌てることもない。だが、信仰の対象には市場で決まらぬ値打ちがあろう。毎朝、近所のおばあさんが手を合わせていたかもしれない。「ブルマー」や「運慶作」とは違う、生きたお宝だ。
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发表于 2008-10-23 09:44:40 | 显示全部楼层
2008年10月23日(木)付9 h) o: e, |9 i

. w1 i3 ^- a8 \- h6 h 赤組の先駆けがハナミズキなら、黄組はユリノキだろうか。街路樹の色づきである。住まい近くの「ユリの木公園」でも、金茶の葉を宿した木々が増えてきた。ユリの木と書いてみて、カタカナ、ひらがな、漢字が並ぶ珍名に気づく▼名前より不思議なのが、シャツのような葉の形だ。半纏木(はんてんぼく)という別名の通り、職人さんが着るはんてんを思い浮かべてもらえばいい。やっこ凧(だこ)や軍配にも似るオンリーワンの愉快な姿に、自然の妙技を見る▼「葉(よう)画家」の群馬直美さんは、著書『街路樹・葉っぱの詩(うた)』で、秋風と遊ぶ迎賓館前のユリノキ並木をこう活写した。〈ざざざー。シャララー。ぞぞぞー。葉っぱたちが高い梢(こずえ)で手を振り、拍手しながら、いろんな陽(ひ)だまりの人たちを一所懸命に歓迎している〉▼ユリノキは北米原産で、日本には明治初期に渡来した。新宿御苑では樹齢130年を超す第一世代が、元気に葉を茂らせている。どれも、幹回り3メートルはあろうか。御苑のシンボルでもある巨木たちは、日本中のユリノキの母樹だという▼中でも芝生の広場に寄せ植えされた3本は、根や枝が絡み合い、異形の生命体を思わせる。どの入園者より長生きの三つ子。見上げれば、迷彩柄の「シャツ」はまだちらほらだ。突き抜ける空の下で、緑の大群が「慌てなさんな。ざざざー」と手を振っていた▼きょうは節気の「霜降(そうこう)」にあたる。虫が黙り、北国からは初霜の便りが続く時期。ひと雨、ひと風ごとに秋色は深みを増す。赤組と黄組が抜きつ抜かれつ、山から里へと転げ落ちてくる。
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发表于 2008-11-10 14:05:39 | 显示全部楼层
2008年11月4日(火)付
4 W' q8 Y. Z4 k/ R5 A9 \4 e5 Z' I6 D) c4 x- k1 C  N# L$ [! A
 「ところでワトスン君」と名探偵シャーロック・ホームズならパイプをくゆらせるのだろうか。「この写真から何が分かるかね?」。些細(ささい)なことから真実を見通す、快刀乱麻を断つ推理に世界はあやかりたいところだ▼健康悪化が伝えられる北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記がまた「サッカーの試合を観戦した」らしい。公開された写真の真偽などをめぐって、韓国政府が分析を始めたそうだ。例によって撮影の日時は不明だが、周りの景色は秋が深い▼ホームズよろしく目をこらしてみたが、気づくことはない。ただ、病気にしては以前より恰幅(かっぷく)が良いように思われる。近影だとしても人は本物か? 韓国側も今のところ「事実の可能性がある」と見るにとどまる。健康悪化説以来、真偽の定まらぬ写真の公開は2度目になる▼諸国をめぐる巡行中に死んだ、秦の始皇帝の故事を思い出す。変乱をおそれた随行の高官たちは、さも皇帝が生きているかのように振る舞い、旅を続けたそうだ▼通過する町々では、ふだん通りに皇帝の車に食事が運ばれた。遺体から臭気が漂いだすと、大量の魚を車に積んでまぎらわしたと、司馬遷の『史記』は伝える。死を秘したのは、後継問題もからんでのことだった▼現代の「皇帝」はベールの向こうで、憶測の乱舞を楽しんででもいるのだろうか。いま一度写真を見れば、木々は末枯(うらが)れて、すでに晩秋を告げている。食糧も燃料もとぼしく飢えにおびえる民衆に、間もなく凍(い)てつくような冬が訪れる。独裁国家のこの過酷さは、憶測ではなく、現実である。
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