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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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 楼主| 发表于 2009-1-15 09:40:03 | 显示全部楼层
2009年1月12日(月)付
% B# X4 _- c: I) n印刷
/ q. ~/ ]" c+ X$ p! g% I. 大人と子どもを隔てる一線はいかようにも引ける。夢を見るのが子ども、夢へと動き出すのが大人といった具合だ。大人は○○しない、××するようではまだ子ども、という括(くく)り方もあろう▼酔って道端に転がるとか、電車内で化粧や飲食に及ぶのは大人の所作とは言い難い。言い訳で聞く「誰にも迷惑をかけていない」は、よい子のお約束のレベルだ。ちゃんとした大人は公私の空間をきちんと分けて暮らす▼これも電車での話である。職場仲間らしき男たちが、社内の人物評や娘の趣味を車両中に届く声で「発表」していた。同じように、講義のつまらなさを「広報」している学生グループにも出くわした。聞き流すのも大人の流儀だろうが、酒が入る時間帯でもないのにと嘆息した▼耳は音楽、目はケータイという乗客が多いとはいえ、車内は私的空間の寄せ集めではない。お年寄り同士の大声ならまだしも、公の場で突然始まる「発表会」はつらい。そこで浮かんだのが〈ひそひそ話ができる〉という大人の定義である▼長ずるに従い、小声で話すべきこと、声を落とすべき状況が見えてくる。耳元に寄る、口元を覆うなど、「会話の半径」を調節する技もまた、恥を重ねて会得するものだ▼新成人は式典で、多くは退屈な来賓あいさつへの処し方を試される。ささやいてこその私語であり、壇上から注意されるようなおしゃべりは奇声と変わらない。トークの質はおいおい高めるとして、まずは「声の絞り方」を必修科目にお勧めしたい。自分を外側から見る訓練でもある。
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 楼主| 发表于 2009-1-15 09:40:31 | 显示全部楼层
2009年1月13日(火)付) ]+ e/ v. R+ N" m3 Z5 H7 s
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% N6 S9 [0 K1 A# A" _# d+ p) b- R. あさって1月15日という日付を、相撲好きの人は記憶にとどめているかもしれない。大横綱双葉山が前人未到の69連勝のあと、ついに敗れた日である。1939(昭和14)年のことだから今年で70年になる▼作家の故・吉村昭さんによれば、ラジオは大喚声で何も聞こえなかったそうだ。「勝った」「負けた」というアナウンサーの声がかすかにするだけで、どちらが勝ち、負けたのかも分からなかったという。そうした古い話も思い起こす、横綱朝青龍の初場所の土俵である▼励ましの声援はこれまでになく大きい。初日に押し込まれたときは悲鳴らしき声も聞こえた。「在りての厭(いと)い、亡くての偲(しの)び」と諺(ことわざ)に言う。いるときは憎らしくても、いなくなったら寂しい。引退の二文字に追われる窮地、似たような思いが声援の向こう側にあるのだろう▼憎らしいほど強かった横綱北の湖も、負けが込むと「頑張れ」の声援が飛んだ。引退する少し前のインタビューで「負けが先行すると気持ちが参る。気持ちがダメなら、相撲は取れない」と言っている。不格好でも白星が一番の薬らしい▼ここまで書いて朝青龍の2日目を見ていたら、突き落としで早い勝負を決めた。大きな拍手がわいた。万全ではないが何とか調子に乗れそうだ、とテレビ解説者は見立てている▼双葉山に話を戻せば、さすがの不敗の代名詞も負けて気落ちしたか、翌日、翌々日と連敗した。やはり負けないことが、勝つためには肝心らしい。崖(がけ)っぷちに咲く「もうひと花」を見たいファンは少なくはないはずだ。
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 楼主| 发表于 2009-1-15 09:40:50 | 显示全部楼层
. 先日に続いて万葉歌人の柿本人麻呂に登場願おう。〈東(ひむがし)の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ〉。東の空に日の出前の赤みが射(さ)し、振り向けば西に月が沈もうとしている。名高い歌の光景を、米国民も感じているのではないだろうか▼太陽はオバマ次期大統領、月はブッシュ大統領である。大勢の人が、1週間後に迫った「日の出」を足踏みしながら待つ。そして去りゆくブッシュ氏が一昨日、離任会見に臨んだ。肩の荷を下ろしたかのような笑顔に、内外の目は複雑だろう▼世界を一つの学級に例えてみよう。ブッシュ時代の8年間、米国という腕白(わんぱく)坊主は好き放題をしてきた。国連という「担任」などそっちのけ。腕力にものをいわせて、気にくわない級友を痛めつけた▼他の友達には「味方か、敵か」とすごんだ。周りを混乱させ、反発も招いて、クラスはいっそう険悪になった。おちおち廊下も歩けない、といったところか。「最悪の大統領」とも酷評される理由の一端である▼「米国の威信は落ちていない」と会見では強気だったそうだ。ご本人はテキサスの牧場で余生を送るのだろう。しかしイラク戦争の犠牲者や遺族、火薬庫アフガニスタン、貧困にあえぐ米国民、大不況……と残した負の遺産はあまりに多い▼ブッシュ氏は、大学時代に俳句の授業を取ったのが秘(ひそ)かな自慢だ。人麻呂の歌に似た俳句といえば、蕪村の〈菜の花や月は東に日は西に〉がある。昇りくるのが太陽であれ月であれ、去りゆく氏を継ぐ新しいアメリカを、険しい道が待つ。
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 楼主| 发表于 2009-1-15 09:41:16 | 显示全部楼层
2009年1月15日(木)付" e3 B/ _' z# p8 g+ p
印刷. C7 i# L8 b4 `  P% i
. かわいがっていた犬や猫を失って落ち込む人は多い。「ペットロス」という言葉が当時あったかどうか知らないが、日本中が悲痛な思いでニュースを聞いたらしい。1958年、南極観測隊が15頭の樺太犬を昭和基地に置き去りにしたときだ▼第1次越冬隊と交代する2次隊は、氷と悪天に阻まれて越冬を断念する。犬は鎖につないだまま残された。万策が尽き、やむを得ない決断だったのは、映画「南極物語」などでご存じの方もおられよう▼しかし、帰国した隊員には非難が集中した。脅迫状も相次いだ。身の危険もあったらしく、2次隊の副隊長だった故・村山雅美(まさよし)さんから「警察が家の周りを警備してくれた」と聞いたことがある。こうしたことは、昔も今も変わらない▼置き去られて1年ほど過ぎた50年前のきょう、非難は感動に変わる。タロとジロの生存が、夕刊で大きく伝えられた。極寒を生き抜いて3次隊に再会した。だれもが驚いたとみえ、翌朝の小欄も「英雄的生存」と興奮ぎみの筆を残している▼「タロとジロは英雄になりましたが、死んだ13頭も忘れられません」と北村泰一・九大名誉教授(77)は言う。1次、3次隊に参加し、犬係をつとめた人だ。首輪のまま力尽きていた犬たちは、氷を割って全員で水葬にしたそうだ▼「暗い海へゆらゆらと沈んでゆくさまに、人も動物も変わらない生命の荘厳を思った」と回想する。動物ものの美談に涙しながら、多くの犬猫をガス室に送る今の世。身勝手を憤るタロジロたちの声を、遠く聞くような50年の後である。
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发表于 2009-1-20 18:59:56 | 显示全部楼层
谢谢楼主分享
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发表于 2009-1-21 16:56:23 | 显示全部楼层
功力尚浅~
6 ]3 b+ W( h, [$ G8 V! E继续修行·到时候一定来看楼主的贴
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:43:06 | 显示全部楼层
2009年1月16日(金)付* O6 c# Y0 m, L/ o1 v
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; ?% Q# \3 r9 \/ b
) S+ m1 X% i5 I4 W 〈染みついた鉄のにおいがする髪をとかして思うもはや職人〉。青森県の工業高校3年の女生徒、荒谷夏希さんの詠んだ歌だ。北海道の農業高校3年、田守健太郎君は〈幼き日遊び場だった畑作地今では父と僕との職場〉とうたう▼毎年この季節、東洋大学から届く「現代学生百人一首」を楽しみにしている。急ぎ足で過ぎる青春の日々を、虫ピンで留めたような言の葉の数々。22回目の今年は全国から6万3千首が寄せられた▼入選作のテーマは様々だが、何と言っても人を恋う年頃だ。〈君の名の漢字を辞書で引いてみる心のしおりそうっとはさむ〉高2、宮下唯(ゆい)。〈こんなにもキレイにノートをとるのはね君に「貸して」と言われたいから〉高2、榊原香菜▼そんな胸に、孤独や憂いのさざ波も立つ。〈生も死も書けば一文字十五夜のすすきの中にぽつんとひとり〉高1、安藤弘理(ひろみち)。〈見つけたらいけない気がする何故だろう青い色した幸福の鳥〉高3、鎌田美紅(みく)▼でも頑張る。〈駆け抜ける百メートルをおもいきりいらないものが削(そ)ぎ落とされる〉中3、鈴木花音(かのん)。〈限界は僕が思うほど近くないぶつかるまでは走ってみようか〉高1、村崎(崎は山へんに竒)愛奈(まな)。女の子の使う「僕」が、意外と爽快(そうかい)に響く▼大人に言いたいことだってある。〈平然と使われ続けた汚染米汚れているのは米か心か〉高3、合田(ごうだ)佳祐。そして政治家にも。〈日本にもオバマ旋風巻き起これみんな待ってる頼れる総理〉高1、松村かおり。Yes we can。希望の灯(とも)る世の中を未来の有権者も待っている。
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:43:34 | 显示全部楼层
2009年1月17日(土)付
7 ~6 j  s2 _+ ^& D  g0 ~9 [印刷
% ~; k: T4 O  c5 O# Z
" D3 j0 I8 K  F  { ドラマ「君の名は」で知られる東京の数寄屋橋に、関東大震災の碑がある。惨禍から10年を機に建ち、銅像の台座には公募で選んだ「不意の地震に不断の用意」の標語が刻まれた。十年一昔(ひとむかし)、と言う。風化していく記憶をとどめ、心構えを呼びさます思いをこめての建立だった▼阪神・淡路大震災もすでに一昔を過ぎ、今日で14年になる。起きる地震は止められない。だが被害は、増やすも減らすも人間次第である。時の流れに抗して遺訓を生かす構えが、これまで以上に必要になってくる▼あの日、都市を襲った地震の恐ろしさに誰もが息をのんだ。個人や家族の防災意識は、かつてなく高まった。だが「備え」とは、ゴールの見えぬマラソンのようなものだ。いつしか走るのをやめて座り込んでいないか。家庭で職場で、確かめ合う一日にもしたい▼わが国土の危うさを、ある専門家は「日本列島は現在も、地震をともなって創造中」と表現する。東海、首都圏直下……。あやぶまれる地震はいくつもある。被害の想定は、どれも背筋が凍りつく▼たとえば近畿圏直下型が冬の正午に起きるとする。関東大震災と同じ15メートルの風が吹けば、火災が多発して2万6千人が亡くなる。早朝なら就寝中の倒壊が多く犠牲は4万2千人に。助かるための行動も時と場所で違ってくる▼「忘却とは忘れ去ることなり」は「君の名は」の名文句だった。だがここは教訓を忘れずに汲(く)みつくし、生かしつくしたい。そして14年を経て、なお悲痛の癒えない被災者の多いことも、また忘れまいと思う。
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:43:58 | 显示全部楼层
2009年1月18日(日)付0 `, [3 ]/ t' C, [5 W
印刷( P6 r( `* q2 l

' B8 T1 l+ U5 u  d5 S7 s 生まれて初めて、東京大学の本郷キャンパスに立ち入った。昭和史の舞台の一つ、安田講堂の前に立つ。逸話の重さ、残像の激しさのためか、焦げ茶の建物は意外に小さく見えた▼40年前のきょう、講堂を本丸にして構内に立てこもる学生約700人の強制排除が始まった。出動した機動隊は8500人。学園紛争の天王山、2日にわたる安田講堂攻防戦だ▼学生の演説と警察の退去警告、上空の取材ヘリ。講堂に向けて催涙弾と放水、逆の弾道で火炎瓶と投石が飛び交った。警視庁の担当課長として現場を指揮した佐々淳行(さっさ・あつゆき)さんは、それらが織りなす音の渦を「交響曲不快」と表現する▼先々の不利益を承知でとどまる学生らは、命がけで職務にあたる機動隊員に必死で抵抗した。講堂に籠城(ろうじょう)した島泰三(たいぞう)さんの著にある。「人生の暮れ方に至っても、私は後悔していない。歴史のひとつの局面で、果たすべき義の一端を担うことができたのは、わが人生の欣快(きんかい)である」▼賛成の代わりに「異議なし!」、反対と言わず「ナンセンス!」。全共闘の運動を革命ごっこと嘲(あざけ)るのは楽だが、ベトナム反戦でも大学改革でも、時代と社会に向き合う一途さはまぶしい。その「熱いバトン」を落とした世代の、勝手な感傷だろうか▼テレビの特番で、佐々さんが昨今の青年の冷めようを案じていた。「若者は怒らなきゃ。40度は困るが38度くらいの熱は出してほしい」。あの週末と同じ冬晴れの構内を、センター試験の受験生が埋める。「果たすべき義」に出会える日々、彼らにありやなしや。
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:44:23 | 显示全部楼层
2009年1月19日(月)付( H, S2 G- Y& q" S/ `9 y
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+ ]5 ?. v; {9 i* L  o- A, H( m5 ?4 h+ p
 そう言われれば、という至言に出会うのも小説の楽しみだ。「星は正面から見つめるより、斜めにチラリと見た方が輝きを増す。過ぎた深読みは推理を惑わせ、弱めてしまう」。エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」で、警察を出し抜く探偵デュパンの持論である▼パリの母娘惨殺事件を謎解きするこの短編(1841年)により、本格ミステリーの歴史が始まったとされる。推理・恐怖小説の父が米国ボストンに生まれて、きょうで200年になる▼ポーの40年の生涯は酒と貧困の中で終わったが、同時代と絶縁したかのような作品は輝きを保つ。探偵が活躍する筋立て、科学的な視点は、後の大衆文学に大きな影響を与えた▼日本でも大正期、新進作家の平井太郎が同じ分野を開拓しようと、筆名を江戸川乱歩に改めている。乱歩の明智小五郎はもちろん、ホームズもポアロも金田一耕助も、探偵の先輩デュパンの遺伝子をどこかに受け継いでいるはずだ▼ミステリー小説に関するアンケート結果が、本紙別刷り「be」にあった。約3千人が選んだ「好きな日本の作家」の上位は、宮部みゆき、松本清張、東野圭吾の各氏。生誕100年の大御所と平成の売れっ子たちの「競存」は、この分野の成熟を語る▼構想やトリックはあらかた書き尽くされ、創作には先駆者とは違う苦労があろう。しかも、小説より奇なる犯罪が日々報じられている。とりわけ不可解なのは動機である。「誰でもよかった」とする心の闇は、どんな名探偵が「斜めに」のぞいても暗黒のままだ。
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:44:44 | 显示全部楼层
2009年1月20日(火)付
( J6 G" p1 w/ K: T印刷* ?" m7 d" u  L2 ?% I2 }6 d6 j& O

+ r$ J* o" T2 u+ L# Y3 K 短いコラムを書きながら言うのも気が引けるが、ものごとを簡潔に述べるのは、そう簡単ではない。長い文より苦心することも多い。「今日は急いでいるので長い手紙になってすみません」。そう断って書き出した西洋の賢人がいたのを思い出す▼スピーチにも似たところがある。「1時間の話なら今すぐ始められるが、10分の話は準備に1週間かかる」と、これは米国の28代大統領ウィルソンが言った。ノーベル平和賞を受けた人で、なかなか雄弁家でもあったらしい▼さて、オバマ次期大統領の就任式が明日(日本時間)に迫り、かの地の盛り上がりは最高潮のようだ。祝祭的な華やかさは戴冠式(たいかんしき)を思わせる。そして就任演説を、米国だけでなく世界が耳を立てて待つ。その演説は長いだろうか、それとも短いのだろうか▼長きがゆえに貴からずの模範は、オバマ氏が仰ぐリンカーンのゲティズバーグでの演説だ。「人民の、人民による……」で知られる不朽の演説は272語、わずか3分だったと伝えられる▼直前に登壇した弁士は2時間の大演説をぶったが、こちらはとうに忘れられた。短さゆえというべきか。リンカーンの言葉は言霊(ことだま)を宿したかのように聴衆をゆさぶった。オバマ氏も十分意識しているに違いない▼あのケネディもリンカーンをお手本に就任演説を練り上げた。「私は」ではなく「我々は」を多く用いた若々しい15分は、歴代で何番目かに短く、名演説の誉れが高い。世の憂さはしばし忘れて、これも歴史に残るであろう明日の演説を興味津々待つとする。
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:45:13 | 显示全部楼层
2009年1月21日(水)付
4 U' h1 n1 a1 _5 o$ z, l# I印刷. H1 B# Z6 R+ ?5 a' D( ~

& u% e7 g! Q+ |, _% a 色のとぼしい季節だが、近くの公園を歩くとささやかな黄色が目に入る。枝にロウバイが咲き、地面には福寿草が光る。ロウバイの花に顔を寄せると、ふくよかな香が鼻先に漂う▼福寿草を「日溜(ひだ)まりに寄り合ったカナリヤの雛(ひな)の感じ」と言ったのは俳人の飯田龍太だ。たしかに、眺めていると雛のささやきが聞こえる気もする。その飯田に〈大寒の一戸もかくれなき故郷〉がある。木々が冬枯れて「透明度」を増した村里をきりりと詠んだ名句である▼そんな大寒のきのう、東京は春の陽気から一転、真冬に戻った。だが最近の天気予報は至れり尽くせりだ。朝、外気を体感しなくても、テレビの女性が代わりに寒さに震えてくれる。「厚めのコートを」「マフラーも」。忠告通りの身支度で家を出れば間違いはない▼インターネットの予報はさらに多彩だ。洗濯指数に星空指数、紫外線指数。冬季限定で風邪引き指数、肌荒れ指数。鍋物指数なるものもある。ありがたいが、頼りすぎて人間の「お天気感覚」が退化しないかと心配になる▼民俗学の宮本常一は少年のころ、隣の森を鳴らす風の音と、海の波音で天気を知ったという。北風が低い澄んだ音で森に吹けばきっと快晴。そうした具合で、「森と波は私の気象台でもあった」と回想している▼思えばわが少年時代にも「気象台」はあった。西に連なる山の見え方隠れ方で天気の見当はついた。雪が来るのも予測できた。遠い昔の記憶である。そして新たな「気象台」を身近に見つけるのもいいと、大寒の寒さの中で思った。
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 楼主| 发表于 2009-1-22 10:45:31 | 显示全部楼层
2009年1月22日(木)付- b- G4 [0 v4 X& Y  c
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; R. c' J* Y6 o- d8 Y, |0 U* l# ?) |4 Y$ t: [: B$ C
 モハメド・アリ氏の、選手時代の逸話を思い出した。まだカシアス・クレイの名前だった若いころ、ローマ五輪のボクシングで金メダルを獲得して意気揚々と帰郷した▼祝賀会のあと友人とレストランに行った。だが「黒人はお断りだ」と追い払われる。彼は怒りに震えてメダルを川に投げ捨てた。脚色された「伝説」と言われもするが、オバマ大統領の生まれたころに黒人が置かれていた、隠れもない現実である▼「つい60年ほど前はレストランで食事もさせてもらえなかったかもしれぬ父を持つ男がいま、あなた方の前に立っている」。黒人初の大統領は就任演説で述べた。奴隷制以来の過酷な差別を思えば、「大統領になったことが最大の仕事」の声が上がるのもうなずける▼それは、自由と平等をかかげた建国の理想の体現だった。だがその「大仕事」はきのうで終わり、今日からは容赦のない現実が待つ。膨らむ期待は、世界に満ちる不平、不満、不幸の裏返しにほかならない。さらに不安、不信、そして不穏。「不」が渦巻く荒海への、いわば船出である▼米国の大統領とは、多種多様な国民が、その時代に求める「かくあらねばならないアメリカ」の象徴といえる。首のすげかえといったお手軽な話ではない。そして期待の横で常に、失望が深々と口を開けている▼歴史的な就任式にはアリ氏の姿もあったそうだ。メダルの一件以来、人生をかけて差別と闘ってきた人である。人種問題を乗り越え、さらなる困難に旅立つオバマ氏に、大きなエールを送ったに違いない。
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发表于 2009-5-1 10:44:52 | 显示全部楼层
没了?。。。。。。。。。。。。。。
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发表于 2009-8-21 12:58:33 | 显示全部楼层
阿里嘎多,楼主撒嘛!!!
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