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 楼主|
发表于 2009-1-22 10:45:31
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| 2009年1月22日(木)付 / L" I: \7 |5 I) N, I$ ^) k印刷, F- n! o  h- b: P7 [# ~
 
 , Y& z# O6 Y' ^; q$ E/ K+ l モハメド・アリ氏の、選手時代の逸話を思い出した。まだカシアス・クレイの名前だった若いころ、ローマ五輪のボクシングで金メダルを獲得して意気揚々と帰郷した▼祝賀会のあと友人とレストランに行った。だが「黒人はお断りだ」と追い払われる。彼は怒りに震えてメダルを川に投げ捨てた。脚色された「伝説」と言われもするが、オバマ大統領の生まれたころに黒人が置かれていた、隠れもない現実である▼「つい60年ほど前はレストランで食事もさせてもらえなかったかもしれぬ父を持つ男がいま、あなた方の前に立っている」。黒人初の大統領は就任演説で述べた。奴隷制以来の過酷な差別を思えば、「大統領になったことが最大の仕事」の声が上がるのもうなずける▼それは、自由と平等をかかげた建国の理想の体現だった。だがその「大仕事」はきのうで終わり、今日からは容赦のない現実が待つ。膨らむ期待は、世界に満ちる不平、不満、不幸の裏返しにほかならない。さらに不安、不信、そして不穏。「不」が渦巻く荒海への、いわば船出である▼米国の大統領とは、多種多様な国民が、その時代に求める「かくあらねばならないアメリカ」の象徴といえる。首のすげかえといったお手軽な話ではない。そして期待の横で常に、失望が深々と口を開けている▼歴史的な就任式にはアリ氏の姿もあったそうだ。メダルの一件以来、人生をかけて差別と闘ってきた人である。人種問題を乗り越え、さらなる困難に旅立つオバマ氏に、大きなエールを送ったに違いない。
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