【天声人語】2005年10月30日(日曜日)付 1 K( p/ K' I! w, ~
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9 `1 g' h: K. L7 R! U& A9 }+ e% R( t 81歳の祝いを半寿と呼ぶ。半の字を分解すると八十一になるからだ。将棋界では、将棋盤のマス目の数にちなんで盤寿と呼ぶ。日本将棋連盟は来月、発足81年の節目を大阪市で祝う。, \- P$ z% r2 e4 O+ A3 r
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棋界秋一番の話題は、プロ棋士とコンピューターの実戦が原則禁止とされたことだろう。公開の場で許可なく将棋ソフトと対局しないよう連盟が今月、所属の男女全棋士に通知した。違反すれば除名だという。; N& A( e0 Y) Y* V* M5 f/ ^
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将棋ソフトには30余年の歴史がある。早大生らが74年に開発した第1号はまったくの初心者級で、一手ごとに30分も長考した。年々改良され、今ではアマ六段相当の腕を持つ。おととし静岡県であった将棋祭りでは、ソフトが団体戦を制し、主催者を驚かせた。最近では北朝鮮や英国で作られたソフトが日本製に迫りつつある。1 R( }7 J# t( j! K
1 L' Y& f8 H" [/ {* t コンピューター将棋に詳しい早大教授の滝沢武信さんは「詰めの局面ではもう人知を超えた。高段の数千人しか太刀打ちできないだろう」と話す。羽生善治四冠でさえ、対局後の詰みの確認にはソフトを使う。
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4 N* l) }* ]2 m- Q7 T ただ弱点もはっきりしている。中盤で攻め急がず、わざと定跡を外して指し続けると、ソフトが焦り出す。切り合いなら強いのに、じらされると弱い。武蔵に敗れた小次郎タイプか。
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チェスも将棋も源流は、同じ古代インドの駒遊びと言われる。数千年かけて人類が磨いた技を、チェスではわずか50年でIBM製の人工知能が破ってしまった。将棋でも20年以内に名人が負けるという予測がある。囲碁やポーカーではなお人間が優位と聞くと、少しほっとする。 |