【天声人語】2006年09月10日(日曜日)付 3 T, a/ M- z; U/ Z W
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日航が手持ちのジャンボ29機を、3年かけて退役させていくという。ハイテク化する以前のジャンボは、これですべて消えることになる。
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# [& E* K( }. q9 k$ p4 w ジャンボが日本で初めて就航したのは70年のことだ。それまでの2倍近い客を一度に運ぶことができることもあって、海外旅行ブームに拍車をかけた。しかし時代は変わり、燃費や使い勝手の良さから、大型機より中小型機の方が重宝されるようになった。ベストセラー機の退役もやむを得ないようだ。- w; d( u# s( I5 i7 k$ Z1 D
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新品は1機約260億円だった。約25年使って下取りに出すと、いくらになるのか。これまでの例では、「二束三文にしかならない」そうだ。せいぜい数億円で、米国など海外に売られていく。イスラム教徒の巡礼用チャーター便になるものもある。買い取った航空会社の中には、機内の表示は日本語のままで飛ばしているところも少なくない。$ I1 E; w; L8 [& {: F V1 A
1 E% k& E+ G" n* z6 Q7 R 価値のあるエンジンだけ取り外して再利用し、機体はスクラップにしてしまうことも多い。数億円なら個人の大金持ちでも買えそうだが、燃料代や置き場所の問題もあり、そういう商談は今のところないという。
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# H" K q, j/ _3 |/ m 日航の整備士は入社後、まずジャンボの整備の教育を受けてきた。520人が死亡した85年の墜落事故は、忘れることのできない「負の歴史」だ。ジャンボの退役は社内でも複雑な感情を持って受け止められているという。
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. _8 d/ g8 d* a" J v& \% n7 ] 40年以上飛び続けた国産機「YS11」も今月末、定期路線の就航を終える。最後の3機が、鹿児島空港を中心に飛んでいた。「空の顔」が交代する節目を迎えているようだ。 |