【天声人語】2006年10月08日(日曜日)付 ' x0 c, g! U1 _$ `, Y: s3 N
* O4 M& g0 E6 i: b5 x, o
「伊藤公資料館」は、初代の総理大臣を務めた伊藤博文が生まれた山口県光市にある。97年の開館以来、歴代の総理の書を収集し、展示してきた。これまでに25人分が集まった。佐藤栄作氏以降では、三木武夫氏以外はそろっている。
5 {' g6 Q$ i9 w1 {* J w9 a% K7 q4 o8 Y3 x% ~- H+ |3 p
先月9日から明日までは、「七人の宰相」という特別展を開いている。山口県出身者にしぼった展示だ。今年春に準備を始めたころは、8人目が会期中に誕生するとは予期していなかったという。急きょ安倍晋三氏に依頼したが、間に合わなかった。
5 c( Y( Z$ J2 i. S4 @. k: X, ~4 I2 t& {) X% Y3 y1 V
見学者のおおむねの感想は、「昔の人はうまい」だ。山県有朋も桂太郎も堂々たるものだ。安倍氏の祖父の岸信介氏には、「達者ですなあ」という声が聞かれた。流れるような筆遣いだ。実弟の佐藤氏からは丹念さが伝わってきた。1 U8 K+ J; S2 I- z" B; v& b
8 R$ _% U$ E, [( r いまは山口県勢と小泉純一郎氏以外の書は保管庫に入れられているが、上手な人もいれば、つたない人もいる。ただ、みんな一生懸命書いているように見える。小泉氏の「無信不立」(信なくば立たず)には、勢いは感じられる。
$ H( s- y* q0 Z% r
; h. _3 n% N5 d0 T$ R6 h 永田町の自民党本部の売店にも、安倍氏の色紙はまだ売っていない。下関市の地元事務所によると、支援者の子どもたちには、「夢」や「真実一路」などと書くことが多いそうだ。
6 J: a1 r: V, B
2 q- o( I/ b2 } 父晋太郎氏は竹下登氏に競り負けたため、書は資料館に所蔵されていない。竹下氏の書は「我が道を行く」だ。所蔵品の中で、ひらがな交じりはこれしかない。「美しい国へ」や「しっかりと」が万一寄贈されたとしても、一人だけ浮き上がることにはならない。 |