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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2007-1-10 19:59:47 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月10日(水曜日)付

 7880万。これは、運転免許証を持つ人の05年末の数だ。7921万。こちらは自動車の保有台数で、数の上では1人にほぼ1台となる。狭い国土に車の密度が濃い、日本の車社会の姿がうかがえる。
8 |7 M9 b; x" o: Z+ O, s' E) J* V
/ u2 Q, f' Q) X% v% p8 D8 ~& [ 事故とは常に隣り合わせで、ここ数年は年に90万件以上が発生してきた。ところが昨年は88万件台になり、死者は6352人と前年より500人以上減った。
' M( h9 q9 ?. T( y7 S
  t0 B9 U' o$ U8 t4 ?, a) \3 t 警察庁によれば、6千人台前半にとどまったのは、ほぼ半世紀ぶりだ。昨年は飲酒運転への批判が高まり、取り締まりを強めたことも働いたのだろう。
; X! P  p/ C( V, ]. s3 l
/ T* ~( S7 E: ~  C0 y トヨタ自動車が飲酒運転を防ぐ車を開発するという。運転者の目の動きやハンドル操作などを読み取る装置を付け、飲酒運転と判断したら自動的に車を減速、停止させる。販売台数で世界一をうかがうメーカーにしては取り組みが遅いようにも感じる。いわば、はねられる側の安全にも意を致すのが時代の流れだろう。
+ e7 |. z' q; Z/ ~6 E  L. J; g4 ]( b8 _8 r3 K0 S. K
 ほぼ1世紀前に「未来派」という芸術運動がイタリアに興った。その「宣言」は、当時台頭する車への礼賛に満ちている。「世界の華麗さが新しい美によってゆたかになったことをわれわれは宣言する。それは速度の美だ……咆哮(ほうこう)をあげて機銃掃射のうえを走りぬけるような自動車は、『サモトラケのニケ』の像より美しい」(塚原史『言葉のアヴァンギャルド』講談社現代新書)。
: a* i, r3 R6 q  C7 E7 a' e. C* L3 W6 u* l; Y- h  ~
 ルーブル美術館の至宝のギリシャ彫刻も、古いものの象徴にされてしまった。確かに「速度の美」は世界を豊かにした。しかし、その周りに形作られた影も限りなく濃く、大きい。
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发表于 2007-1-11 22:46:40 | 显示全部楼层
非常感谢xiexie
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发表于 2007-1-12 00:38:49 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月11日(木曜日)付

 「この100日間で、美しい国づくりに向けて、礎を築くことができたと思います」。先週の記者会見でこう自賛した安倍首相は、築けたという礎の最初に、改正教育基本法の成立を挙げていた。その法律をつかさどる伊吹文部科学相の政治団体に、不適切な経理処理の疑いが浮上した。1 b( }: E, [# k. e' a4 I5 Z
2 ^8 p1 c' `- b: |" m- M
 家賃のかからない議員会館を事務所にしながら、年間総額約4700万円を事務所費に支出したと政治資金収支報告書に記していた。このうち1千万円程度は、会食費などに充てていたという。まるで、事務所自身が飲み食いをしていたかのような錯覚を起こしかねない。8 f4 @) V0 D8 B# E% O
+ _. _- ?6 {+ d, f8 z6 K
 この100日余の間に政権を揺るがす疑惑が幾つも発覚し、政府税調会長と行政改革担当相が辞任した。松岡農林水産相についても、議員会館に事務所のある資金管理団体が年間2千万~3千万円の事務所費を計上していたことがわかった。6 p) g& t; R4 A9 `
* X( q4 T- M, b  \7 ?( V
 伊吹、松岡両氏には、国民によく説明する義務がある。「任命者として国民に対し責任を感じている」。行革相の辞任の時にそう述べた安倍首相も、しっかりと把握して報告してほしい。
' a) w7 l$ e1 s$ x/ C
( m# t. @  l% X7 y そもそも政治団体の支出のきまりには、世間では通らないような甘さがあるようだ。事務所費や人件費などの経常経費には、領収書の添付の義務はなく、使い道の明細を報告する必要もないという。
; J- u+ L  m& m& s( D' Q: N0 {" k' |, U' \4 B6 h0 z
 ごまかしはないという前提で作られたきまりかも知れないが、実態はそれほど美しくはないようだ。勝手に飲食し、高い家賃をどんどん請求する。そんな人を食ったような事務所が、他にもないとは限らない。
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发表于 2007-1-12 19:19:20 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月12日(金曜日)付

 繁華街に買い物に出た時のことらしい。サザエさんの背中で、タラちゃんが大きくのけぞっている。傍らの店に立つペコちゃん人形の頭を揺らしたいと、駄々をこねている。
( D8 e  f! R' T, J/ {) i2 Q8 }7 D
* n& l9 B! A# `) u: w" H3 W 仕方無く、サザエさんは自分がペコちゃんのようになって、背中のタラちゃんに押されるがままに頭を揺らしている。本紙に1958年に掲載された「サザエさん」の一コマだ。
( ^+ ^- y2 t: c; Z$ I- a: ?! n2 e$ D/ d
 洋菓子の不二家のシンボルとなったペコちゃんが「誕生」したのは、このマンガが載る8年前の50年だった。『不二家・五十年の歩み』によると、図柄は外国の雑誌の挿絵からヒントを得、人形の第一号は日劇の大道具係に頼んで作ってもらった。名前は、牛の愛称の「ベコ」をもじったという。
* t& C5 j$ R6 X4 [' ]( t4 S8 X( N' s) S: D
 きのう、東京の銀座店では、ペコちゃん人形の脇に社長の「おわび」を記した紙が張り出された。消費期限切れの牛乳でシュークリームを作っていたことが発覚した。当面、全国の約890の直営店やフランチャイズ店で、洋菓子の販売をやめるという。! ?! r6 a4 r. A- t
% ^% p" [) i0 @0 p* N" [; ~, Q
 不二家は100年近く前に横浜で創業し、居留する外国人を相手に洋菓子などを売っていた。やがて東京に進出し、大手の菓子メーカーになってゆく。ペコちゃんは戦後間もなくから、その軌跡を見続けてきた。
/ b  N" i, m) ~8 q- p# \2 y6 z0 q" z8 p( Z+ w. n
 「はじめからソロバンづくでは、製品はつくらない。ただ、よい製品さえつくれば、ソロバンの方は自然と合ってくれるものだ」。創業者の信念だという。よいお菓子は、うまいだけじゃなくて、安心して食べられなくては……。ペコちゃんも、そう思っているはずだ。
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发表于 2007-1-13 20:20:34 | 显示全部楼层
【天声人語】2007年01月13日(土曜日)付
' q3 o; [  @$ F0 |$ e1 S: P9 }% D# r, B* h! n6 u$ C4 Z. s7 T
 米テキサス州のクロフォードといえば、ブッシュ大統領が休暇を過ごす所として知られている。一昨年の夏、その地に赴き、道ばたで座り込みをしながら大統領に面会を求めたのがシンディ・シーハンさんだった。前年に、当時24歳だった息子のケーシーさんをイラク戦争で失った。6 G6 D6 F8 W9 O

" p9 V. Z3 |, j 座り込みの後、ニューヨークの集会で述べた。「もう二度と息子の声を聞くことはないのです……イラクに大量破壊兵器はなかった……何のために戦争をして、何のために息子たちは死ななければならなかったのでしょう」
" u  }# X! y1 T- {5 H0 p
4 ?) O# \0 S3 B( h! d4 G2 E イラク戦争が泥沼化する中、ブッシュ大統領が、兵の増派を柱とする新戦略を発表した。「過ちがあった点については、私に責任がある」と述べた。しかし増派は、シーハンさんのような母や父、妻子らを更に増やすことになりはしないか。9 b3 x3 e1 S% M' U; p

, \, G/ `2 d5 O& y$ i& O 大統領の過ちとは、大統領の言う送り込んだ兵の数ではないはずだ。国際社会の多様な声に耳を貸そうとせず、単独行動主義に傾いて先制攻撃をかけたことが、そもそもの過ちではなかったか。
2 a9 o+ L# _, a7 j& K. n
" q$ r* O: j. h  c% d イラクを攻撃して街や国を壊すことは、軍事の超大国にとって難しくはなかった。一方で、破壊による混沌(こんとん)から秩序をつくり出すことはできず、日々おびただしい命が失われ続けている。
0 D; V, _8 S# |+ }# t' [! Z" E4 x, x
 壊れた街ならば、つくりなおすのも不可能ではない。しかし、壊された命をつくりなおすことは誰にもできない。民族や国籍を超越した生命体を畏(おそ)れる姿勢が、この戦争でも問われている。その問いは、戦争を始めた国だけではなく、同盟諸国にも向けられている。
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发表于 2007-1-15 20:55:03 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月14日(日曜日)付

 きょうとあす、左義長(さぎちょう)の火が各地で燃えることだろう。どんど焼き、とも呼ばれる小正月の祭事である。高く組んだ竹や木に、松飾りなどを結わえて焼く。火に神秘を見た往古の名残か、その炎を「若火」とあがめる地方もある。
- e3 t3 [& o, E0 A8 ]  Q9 q- b3 C; E  B, c1 K4 V0 B
 古人の畏怖(いふ)した火に、東京で野外教育のNPOを主宰する大西琢也さん(31)が魅せられて10年になる。マッチやライターを使わない「原始の火」を求め、きりもみ式の火起こし術を磨いてきた。' R( F2 M( L/ w  A

* S5 {, u/ N$ h. Z! L 地面に置いた木の板(火錐臼(ひきりうす))に鉛筆よりやや太い棒(火錐杵(ひきりきね))をあてがい、手のひらではさんで、押しつけるように回す。続けていると煙が出て、熱く焦げた木くずがたまってくる。ケシ粒のようなそれが「火の赤ちゃん」だ。, A* K4 m! q" A3 q
2 h5 ]3 G9 a6 |( J) P0 {' l
 それで成功、ではない。放っておけば種火はすぐに消える。「赤ちゃん」を麻の繊維でくるみ、指でつまんで大きく腕を回す。こうすることで中に空気を送り込む。すると麻玉はぽっと燃えあがる。炎の誕生である。
% |  S/ x( r! p
! k- t" G, ]6 Y$ k: _7 \, }0 v 力まかせでは火はつかない。大西さんは失敗を重ね、謙虚になった。「木には火が隠れている。人間はそれをいただくだけ」。「起こす」のではなく「いただく」のだと悟ると、不思議に上達した。3年前には空気の薄い富士山頂でも成功した。
. M# d& _3 o8 }& x2 a' L1 O7 y/ N& e- t" n4 U: T4 b( U! T
 「燃す」という随筆を、幸田文はかつて朝日新聞に寄せた。庭で紙くずや枯れ葉を燃やしながら、その熱をいとおしみ、「ものの最後の力だと思うと、その火を惜しまずにはいられない」とつづった。「最後の力」で餅や団子を焼いて食べ、一年の無病息災を願う左義長もある。
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发表于 2007-1-15 21:00:06 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月15日(月曜日)付

 どんなに悲惨なことが起きていても、メディアで報じられない限り、世界の多くの人々にとってはないに等しい。助けも届かない。
. G; j# s/ A2 V. V5 g2 e3 A- Q9 E0 H
 NPOの「国境なき医師団」が「06年、最も報じられなかった10の人道的危機」を挙げている。まず、毎年何百万もの命を奪っている結核、栄養失調がある。それに、人々を生命の危機と恐怖に陥れているスリランカ、中央アフリカ、ハイチなど八つの国での紛争を加えた。2 o  s6 O8 J- J% A! G2 g

/ @; Z& ~. c, q! {. r; }- [ 米国の3大テレビネットワークの夜のニュースは昨年、このうち5カ国での紛争は全く取り上げず、残りも合わせて7・2分間報じただけという。まさに忘れられた危機だ。栄養失調の新しい治療食ができても、やせ衰えた子供たちに届かない。( J' l! l+ A9 i+ P0 L  z+ Y

. G  J( n5 d+ d1 B8 U 英国BBCテレビの記者が報道の量に関して調べた興味深い結果がある。健康へのリスクなどについてのBBCニュースの1年間の本数で、そのリスクによると見られる年間の死者数を割り、記事1本あたりの死者数を概算した。多いほど、危険の割に報道が少ないことになる。
8 p1 e+ u, ^2 b: d3 ^6 e& a8 Q. Y' V5 f- H" b& L+ B* q$ G1 [
 筆頭は喫煙で約8600人、次が肥満で約7500人だった。牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛肉を食べることによる変異型クロイツフェルトヤコブ病は0・5人、エイズは20人だった。喫煙や肥満はBSEに比べるとニュースになりにくい。しかし、健康への影響を考えれば、もっと報じられていい、というのが結論だった。
; H! ^+ O& Y# D, t9 P. @' p3 x) M+ J; a# Y) i) B* N2 K) q# ^# m
 人々の命を脅かすものに対して、メディアは常に敏感であらねば。声なき声を、ニュースを追う者にとっての戒めと受け止めたい。
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发表于 2007-1-16 17:39:52 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月16日(火曜日)付

 古今和歌集の仮名序に、印象深い一節がある。「やまと歌は、人の心を種として、万(よろづ)の言(こと)の葉(は)とぞ成れりける」。和歌は、人間の本性がことばという形にあらわれるものだという(『新日本古典文学大系』岩波書店)。
" j* G# B* ^+ X2 b7 r0 Q. Z- c4 \0 _0 d( @- T
 それから約1100年の時が流れたが、人の本性の発露の器として、和歌は魅力を保ち続けている。東洋大が募った「現代学生百人一首」に、6万首以上の応募があったという。その入選作からは、時代と共に変わり、また変わらない人の本性と営みが垣間見える。
/ \% D4 H! }5 T3 u7 O
! @2 P( H' i- O, B3 P 〈好きだったその気持ちだけで十分と我に思わす六月の青空〉高2・佐々木愛。〈降り立ちて遠くを見れば夕焼けに消えてくバスの孤独な陽炎〉高2・荒井恵。人生の切なさは、いつの世にも変わることはないようだ。6 J* v6 {* [# k& D# w: _
% q" W: f/ _- K+ p1 V
 身の回りのものや仕組みは変わってゆく。〈パソコンで電子の海に組み込んだホームページは僕だけの船〉高3・山崎佳士。〈「このままじゃあんたニートになるしかない」母の辞書に「冗談」は無い。〉高1・大日方駿介。; l8 i- M- E1 O9 W4 o4 y! h+ T& s

) V. y- i( M( v7 \1 f. P( w' ?$ n. K 祖父母に向ける視線には、やわらかさがある。〈ばあちゃんが着ていたパジャマ手にとって毛玉の数ほど思い出あった〉高3・阿部さくら。〈笑み浮かべ稲刈眺む介護5の祖父暖かき陽の中にをり〉高2・穂苅裕毅。" c* f4 r9 K# i0 B
1 P7 y* x0 [/ \9 W
 みずみずしい感性が光る。〈人間って皆個性を主張してなんだか似てる色えんぴつに〉中3・村尾幸帆。〈羽化といふその瞬間の危ふさに力漲る蝶の前足〉大3・花俣明子。羽化を待つような不安と期待とが、若い心には、宿り続けてほしいものだ。
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发表于 2007-1-17 19:45:47 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月17日(水曜日)付

 ひと回り前の亥年だった95年の今日、阪神大震災が起きた。それから流れた12年は、例えば当時の小学1年生が大学生になるほどの長い年月にあたる。あの震災の記憶をこれからどう伝えてゆくのか、懸念する声もあるだろう。/ ^7 q; r: ?# p4 s) e, i

: d5 l/ h: D( Z 日本では誰もが未来の被災者になりうる——。12年前にそんな思いをつづって本紙に寄せ、市民自らが鉛筆やワープロで体験を記録に残そうと訴えたのが、神戸市で被災した高森一徳さんだった。出版社を経営する傍ら「阪神大震災を記録しつづける会」の代表を務め、手記集を毎年出し続けた。3 W& r3 Q! i, Q6 \: Z% k3 l1 I
3 n0 M  \" Y4 |. C, U) t) }+ \. @  U
 目標とした10冊目の「阪神大震災から10年 未来の被災者へのメッセージ」の校正を終えた04年の暮れ、惜しくも心不全のため57歳で急死した。「公の記録から漏れた普通の人のささいな記録を残したい」。この行動の原点は、広島の原爆にあったという。
! D) U9 v# }% g9 Z7 z/ I
+ j% N! S" B0 G8 Q% ?* T 高森さんの父は、45年8月に軍人として広島市に入り被爆した。晩年に被爆手帳を申請する際、太田川の橋のたもとで見た言葉のことを説明した。
# Z  x8 W  e/ l$ m+ d1 m: |3 j4 \# r9 Z/ C- o
 「国破れて山河在り」。誰かがチョークで書き残したこの言葉が別の人の記録と合致し、被爆体験として認められた。「小さなことだが誰かが記録してくれていたおかげ」と、高森さんは生前に語っていたという。0 J+ ~* g! `* ^; W
9 D- e7 c+ E8 W$ F8 t
 12年前の本紙を開く。日を追って死者数が増えてゆく。20日の朝刊に文字だけの見開きの面がある。犠牲者の名前と年齢と住所で、二つの面がすべて埋まっている。戦後最悪となった災害の墓碑銘を、「未来の被災者」への無言の伝言として記憶し直した。
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发表于 2007-1-18 19:11:47 | 显示全部楼层

【天声人語】2007年01月18日(木曜日)付

 「きみ、芥川賞を貰う前に、芥川賞、知っとった?」。遠藤周作に聞かれた開高健は「あたりまえでしょう」と答えた。
" P5 t) B+ r! |$ H, J, y0 K& d8 x
( Y3 Q8 Y9 _' R6 e! R6 Q 「いつ頃、知っとった?」「子供の頃から知っておったですよ」「情けないことだが、ぼくは堀田(善衛)さんが貰うまで、芥川賞って知らなんだよ」(『芥川賞の研究』日本ジャーナリスト専門学院出版部)。: q+ q3 i8 r3 e1 L0 w8 ?

5 N, U5 W/ k! v% ?: l% \) I 40余年前の対談だが、ふたりの醸し出す対照的な雰囲気が伝わってくる。芥川賞は、早世した芥川龍之介と親しく、「文芸春秋」を創刊した菊池寛が直木賞と共に1935年に創設した。「亡友を記念するという意味よりも、芥川・直木を失った本誌の賑やかしに、亡友の名前を使おうというのである」と、賞の構想を述べている。
7 P8 Z) l! }( F3 q, V9 g' L) C$ i' p9 N; Q' X/ b5 c
 136回目の受賞者に決まった青山七恵さんは、23歳の旅行会社員だ。一昨年に文芸賞を受け、2作目で芥川賞を手にした。「ひとり日和(びより)」(文芸秋号)は、初めて親元を離れた20歳のフリーターの女性が主人公で、遠縁にあたる70代の女性・吟子の家に居候する。' M3 S$ A% ~4 i+ y# ]
8 }4 V5 d) g: M4 }( E& A! |6 j" [
 東京の四季の移ろいを背景に、失恋や転職などどこにでもありそうな日常がつづられる中で、やや謎めいた吟子の存在と、その言葉に面白みがある。「型からはみ出たところが人間。はみ出たところが本当の自分」。あるいは「外の世界って、厳しいんだろうね」と問われ、答える。「世界に外も中もないのよ。この世はひとつしかないでしょ」$ c0 D% \, ^9 w" [/ K, v# A# x$ m

8 Q' i. Y- R* y3 Z0 W 世代を超えた会話は、現実には希薄になった。それを、居候が感じ取る「日和」の中に映し出す趣がある。
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发表于 2007-1-19 19:47:23 | 显示全部楼层
【天声人語】2007年01月19日(金曜日)付
9 H3 B' m" N8 d5 x9 @
9 _9 [* Q0 \) A 「浜の真砂は尽きるとも……」は、石川五右衛門の辞世の歌と言われる。「世に盗人の種は尽きまじ」と続く。盗人を、談合と読み替えたくなるほど、公共工事での談合が繰り返されてきた。
; k; n& I) L- n& ], J: I/ u+ z. U
) F& D0 l, X- s$ U2 y0 P 今度の舞台は、国などが発注した水門の工事の入札だ。公正取引委員会は、国土交通省の元課長補佐らが現職当時に大手メーカーの談合に関与したと判断し、官製談合防止法を適用することを決めた。6 e$ ?3 ]% H* k+ ^/ d( C8 K

% }5 G  ~4 q8 ~9 z この法律が、中央省庁に適用されるのは初めてだ。深刻なのは、国が発注する公共工事の予算の多くを握り、談合防止を他の省庁や自治体に要請する立場にある省自身が疑われたことだ。& l# H2 \, l1 G4 g

* l! f6 t8 i1 W" ~6 Z 業者が正当な競り合いをせず、価格をつり上げてうまみを吸う談合は、いわば税金を盗むのに等しい。今回の疑いが事実とするなら、あの「盗人を捕らえてみれば我が子なり」を連想させる。国交省に、ことの真相が解明できるのだろうか。, P- V( w* t! K$ W
: C# \: ^. s+ k4 C) [9 y, _
 この国では、役所と業界との癒着もまた、真砂が尽きるとも……のたぐいに見える。それを支えてきたのは天下りだった。中央省庁の官製談合が指摘されたのを機に、政府全体で天下りの根絶に向けて真剣に動き出すべきだ。それが税を正しく使う道にもつながるはずだ。
! l  V3 {# N! _8 R" z2 Z. e8 d* ^( l, x1 e2 ~" h
 明治の末期、静岡市は印刷物や消耗品の購入を競争入札にしたという。その結果、市会議案書や市報、燃料用松材などが、前年よりも2割から6割安く調達できた(武田晴人『談合の経済学』集英社)。税金を無駄に使わず、予算を節約する精神は、1世紀を経ても学ぶところがありそうだ。
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发表于 2007-1-22 17:41:32 | 显示全部楼层
2007年01月20日(土曜日)付' l/ k) \" b; _& \9 o5 K

$ \# K2 E- e) h" m 「日本銀行は誰のものか」。経済学者だった大内兵衛氏は、「朝日ジャーナル」が創刊された59年に、そんな表題の論文を寄せた。「金融は産業の血液であるが、中央銀行はその心臓である。全国の各銀行はその血管である。金利は、すなわち脈搏(みゃくはく)である」
& K& V0 J( h0 T4 p+ ~
, E6 u, ]. B6 B% n 日銀という心臓が、金利という脈搏を変えないことを決めた。この利上げ見送りという結論は、政治の圧力によるものではないかとの見方があるようだ。
2 A( x6 M- T' l+ d; h  s0 N# i$ _, u1 g$ H( U' Y' z" ?+ X
 確かに、自民党の幹部らが利上げを牽制(けんせい)する発言をしていた。日銀の福井総裁は圧力説を否定したが真相は分からない。+ l- R+ P4 _3 P) S8 a: o
$ Y1 N) e& \3 s) B# O9 @4 X
 旧西ドイツの中央銀行総裁を務め、「ドイツマルクの守護者」とも称されたというフォッケ氏が、次のような趣旨のことを述べている。中央銀行の指導管理を、政治すなわち政府に従属させようとするなら、その政府機関は、通貨や金融問題で中央銀行の当局者より高度の専門知識と実際的経験を有することが必要だ(『健全通貨』吉野俊彦訳・至誠堂)。
$ p9 q9 l' _' P" o' T
* g# M( ^7 T+ q6 I4 e この通りだとすれば、政治や政府が圧力で日銀を指導管理することは、本来は不可能なのだろう。それなのに疑われるのは、やはりあの村上ファンドへの出資があったからか。  \' B3 D) [3 ?0 v  W% L: e2 C

/ a4 w- h, F* O1 l4 p3 F6 c. c フォッケ氏は、中央銀行は各家庭の主婦のささやかな家計や一般大衆預金者に対して責任を負っているとも述べた。福井氏も思いは同じかも知れない。しかしゼロに近い預貯金の金利とはけた違いの利益をあげる出資を、総裁になっても続けていた。そのことへの疑問が、日銀が打ち出した「脈搏」への疑問にもつながっている。
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发表于 2007-1-22 17:42:37 | 显示全部楼层
2007年01月21日(日曜日)付: [! ?1 p* t5 @2 ?
; g) k& W8 j$ m# G0 X3 P0 S8 }3 x, L
 東京の岩波ホールで上映中の「赤い鯨と白い蛇」は地味ながら味わい深い。太平洋戦争中に若い士官と女生徒が交わした約束から、物語は紡ぎ出される。: Y. l- ~; n, A  v$ V% \5 u

+ z) {7 ^2 Y% }! H1 j 若い士官は空襲で家族や縁者をすべて亡くした。天涯孤独となり、淡い思いを寄せ合う女生徒に「自分がこの世に生きたことを覚えていてほしい」と頼んで落命する。女生徒は約束を守って戦後を生きてきたが、老いの身に認知症が兆す。そして、「私が忘れたら、あの人は二度死ぬことになる」と涙をにじませる。
/ ^. @6 v  U8 x& [- i' v" r6 N$ o) Y+ b+ B* C; t6 |) ~0 t( e$ c2 j
 せんぼんよしこ監督(78)は中国の大連で生まれ、香川京子さんの演じる「老いた女生徒」と同じ時代を生きてきた。脚本を読んでいて、「二度死ぬ……」のせりふに引きつけられた。「忘れないで、という願いにつなげた作品を撮ろう」と思った。
. z( _- D6 [* o& ]3 W- l
9 }/ n4 L  R/ J# s/ W. z アフリカのある部族には、死者を二通りに分ける風習があるという。人が死んでも、その生前を知る人が生きているうちは、死んだことにはならない。生者が心の中に呼び起こすことができるからだ。記憶する人も死に絶えてしまったとき、死者は真に死者になるのだという。5 }' R$ @4 ^2 H6 b, |  P( }  \% b

9 f& f' i+ I  `% Q1 \7 \3 Z8 @ 戦後も62年、風習になぞらえれば、戦争犠牲者は続々と「真の死者」になりつつある。映画は、やがては思い出す人もいなくなる死者たちへの鎮魂でもあろう。老境の忘却の悲しみは、いつしか「忘れません」という控えめなメッセージとなって観(み)る者に届く。
1 e: @- ]9 ?% I5 ]* G
6 x) m$ k: W& ^, y2 e! C9 B9 R 戦前生まれの多くにとって、戦後は簡単に「去る者は日に以(もっ)て疎し」とはならなかった。戦後世代はそのことを忘れず、肝に銘じたい。
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发表于 2007-1-22 17:43:15 | 显示全部楼层
2007年01月22日(月曜日)付
! r$ {5 Q$ S1 Z  Y. h7 u' x; f. h1 m1 E# u5 Q. }
 加藤楸邨(しゅうそん)に〈水売(みずうり)や暑さたとへば雲のごと〉という句がある。ミネラルウオーターが冬でもよく売れるようになったのは、ここ10年ほどのことだという。昨年は国産と輸入をあわせ、2リットルのペットボトルにして全国でざっと10億本分が消費された。
5 I3 [$ q) ?1 Z% ], \2 k
# m0 J) f, N/ A5 n: K5 u ミネラルウオーターが日本の家庭に急速に広がったきっかけは、82年に飲料容器にペットボトルが認可されたことだった。それから四半世紀で、この浸透ぶりはめざましい。
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/ O' U( R- t; h, ~" F2 M0 n* ?8 [ 水道の蛇口をひねれば飲める水が出る。それが日本の良さの一つだろう。なのに都会の水は清潔であっても、あまりにまずくなった。リサイクルが難しいペットボトルには抵抗感もあったが、ついに手を伸ばし、「カネで水を買う時代になったか」と敗北感にも似た気分を味わったのはいつだったか。
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  R- ^+ I7 A0 o" K) i) x  } 映画『硫黄島からの手紙』で印象深かったのは、兵士たちが米軍だけではなく、水とも戦っていたことだ。総指揮官の栗林忠道中将は家族への手紙で、渇水のつらさを何度も訴えている。「湧水(わきみず)は全くなく、全部雨水を溜(た)めて使います。それですからいつも、ああツメたい水を飲みたいなあと思いますが、どうにもなりません」(梯(かけはし)久美子『散るぞ悲しき』新潮社)。
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 水との戦いは過ぎ去った話ではない。ユニセフによると、安全でない水が原因で命を失う幼児は世界で年に約180万人にのぼるという。水くみに追われ、学校に通えない子供たちも数多い。7 N7 Z0 A4 R% K) V* {) |3 q/ v
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 水の豊かな国に住み、世界各地の水を消費する。そんな私たちだからこそ、水の大切さを忘れたくない。
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发表于 2007-1-23 17:20:32 | 显示全部楼层
2007年01月23日(火曜日)付
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 何かの物を表す漢字には、その物の形がそのまんま字になったように見えるものがある。「柵」もその一つで、「さく」の他に「しがらみ」とも読む。) b- O: \+ I3 f1 t9 C  N

8 }( D! Y" `$ C  `3 \  F4 Q 川の流れに杭(くい)を打ち並べ、両側から竹や柴(しば)を絡みかけた柵には、いかにも物が絡みつきそうだ。何かを絡め取るには役立つが、人生の柵といえば、ままならなく切ないことを思わせる。- D5 S" c* s1 c# Z1 q

# c/ F: V* n/ `! \/ X+ }  _ 「しがらみのなさ」を訴えて立候補したタレント、そのまんま東さんが宮崎県知事に当選した。前の知事が官製談合に絡んで辞職した後の選挙だった。政党や役所、業界とのしがらみのなさに、有権者が新鮮味を感じたことはあるのだろう。
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 「最終的な目標って何ですか?」。ドラマプロデューサーの小林由紀子さんとの雑誌の企画で問われた東さんが「出身が宮崎県なんで、何か故郷に貢献できたらいいなぁ」と答えたのは、04年のことだった(「日経WOMAN」)。
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 早稲田大の学生になった時は、「誤解を恐れずに言えば、それ(生活ぶり)を“庶民レベル”に落としたんです」とも述べた。タクシーから電車に、寿司(すし)は回転寿司にと変えたという。
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 それなりの準備はあったにせよ、泡沫(ほうまつ)候補とみる人もいたというから、短期間に起きた票の雪崩は大きかった。小泉前首相は、いわば自民党の古いしがらみを断ち切ると訴えて有権者を引きつけた。あの時各地で民意が雪崩を打って小泉劇場に向かったように、今回は東さんの「しがらみ劇場」に流れたのか。統一地方選や参院選でも、候補の取り合わせによっては、雪崩が起きるのかも知れない。
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