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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2007-6-12 08:59:55 | 显示全部楼层

2007年06月12日(火曜日)付

 学校の先生に理不尽な文句をならべる「モンスター親」について先週書いたら、いくつか便りをいただいた。学校ばかりでなく、いたる所に同類の横行があるらしい。
! n  Z8 |- o+ D# R+ K  r" S1 H0 w1 q1 V6 W$ X- }) c
 ある薬局の薬剤師は客に処方する際、話し方が気に食わないと怒鳴られた。心ならずわびつつ、口まで出かかる「何様ですか」をのみ込むことが、最近は増えているそうだ。「会社万葉集」(光文社)にあった切ない歌を思い出した。〈わたくしの正しき事は主張せず客の激しき言葉に耐へゐる 山口英子〉。
  x0 Y* Z& m* v  v* C; ^& o7 B7 Q
2 u* r; r' h1 P 「感情労働」という言葉を、最近、耳にすることがある。自分の感情をひたすら押し殺して、相手に合わせた態度と言葉で対応する。きびしい自制心を求められる仕事のことだ。「肉体労働」「頭脳労働」に並ぶ言葉らしい。; Y4 H& k9 P) ]% [
% M6 Z* i2 H' j, J0 J! ^5 k
 かつては旅客機の客室乗務員が典型とされていた。だがここにきて、看護や介護を含むサービス業全般に、その要素が広まってきた。身勝手がはびこり、多くの人が「堪忍袋」の酷使を強いられている。- U. J+ n9 p: R/ q' U) w" W" ^

$ `5 L2 t$ G, K+ t  ?1 \ スーパーのレジに1日立てば「いま」が見えますよ。そんな便りも届いた。しかし、客として理不尽を言う人が、仕事では客に理不尽を言われる立場にいることもあろう。そしてまた、その客も……。弱い立場の者をストレスのはけ口にする、やるせない「堂々巡り」が透けて見える。6 K0 Z- g0 I, w  [

0 Z0 n- |: Y! x: z& S' c1 O0 s いまを称して「いちゃもん化社会」と呼ぶ学者もいる。堪忍袋の緒には限度がある。感情労働者の「燃え尽き」も心配されている。お互いに「モンスター」にはなりたくないものだ
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发表于 2007-6-13 12:22:00 | 显示全部楼层
2007年06月13日(水曜日)付
  c0 K# H7 N4 B- }7 N: Z+ L* p8 G4 q2 ^9 W0 n8 i
 19年前にコムスンを創設した榎本憲一さんは、福祉がまだ「施し」だった時代に、お年寄り本位の介護を先取りした。03年に亡くなる前、親交のあった人に「惜別の言葉」を残している。# L+ H' ]/ u- P: q; D( k1 p

  q0 e% E9 T: ?' d$ ]# v 「保険料という拠出で、連帯と共生によって(介護を)行うことは、日本国民の優しい英知であろう」「介護という仕事が、人を支え励まし、誇りある人生の結実に役立つことを信じています」。短いが、介護事業への「志」がこもる内容だ。
6 c, K. D; U# ~/ i; j* b; S8 S+ y- j% i: {
 コムスンを継いだ折口雅博氏は、どこで舵(かじ)を切ったのか。その思い描く介護は「志」から離れ、いつしか「金のなる木」になっていった。ある社員は、利用者一人ひとりを「業績」としてしか見ない幹部に幻滅し、今年退職した。; y  x7 s( k% [* `
5 L1 b5 j+ b- d- V8 p: M  g
 介護もビジネスチャンスに違いない。しかし介護報酬の不正請求などが次々に明るみに出ては、「国民の優しい英知」を罠(わな)にかけたようなものだ。批判の中、氏の率いるグッドウィル・グループは介護事業から退場する。
! u: D# J! O. a3 W1 _. p6 @. G, L
) a* U8 B3 |0 l4 ~' Y% d 人が人を支えるのは、やはり尊いことだ。千葉県の池下和彦さんは、ヘルパーの力も借りて認知症の母を自宅で看取(みと)り、その日々を「母の詩集」(童話屋)に編んだ。〈たまに/ほんの数秒/母に正気の時間が与えられることがある/母は顔色を変え/訴える/迷惑を掛けてすまないと……与えられた正気の時間を/母は感謝の言葉に充ててしまう〉。& w" i$ O$ p6 i# x) G6 @

' n( U# S1 N$ r  D 派遣先での感謝の言葉に、誇りを感じる介護スタッフは多いことだろう。初志を忘れてしまった耳には、もう聞こえないのかもしれないが。
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发表于 2007-6-14 11:50:43 | 显示全部楼层
2007年06月14日(木曜日)付; o3 S; n+ S3 {% z' y4 b; m+ G
5 ]5 I* e- Y8 t6 t) m
 作家の檀一雄が、太宰治と屋台でウナギを食べたことを回想している。タレをつけて焼いた頭に檀がかぶりつくと、大きな釣り針に噛(か)み当たった。
4 m8 |! I3 P! Q2 D1 v% ~9 d  h- M) _1 z, g( `+ u5 Z+ K- z5 B
 天然ものは、当時も珍しかったとみえる。太宰は手をたたき、「人生の余徳というもんだ」と愉快がった(「檀流クッキング」)。近ごろは深読みも必要らしい。「針が残っているかもしれません」などと客に言いつつ、「天然」の含みをもたせる店もあるように聞く。
/ C3 Q+ r" {' `2 ?1 T
3 A' M. m$ {5 T/ U- P1 [& M) v 相変わらずの「天然信仰」だが、たやすく口には入らない。99.5%を占める養殖ものが日本人の腹を満たす。その一部を担う欧州産稚魚の取引が規制される。そんなニュースが先日届いた。欧州の稚魚は中国で育てられ、「中国産」と表示されて日本の食卓にのぼっている。
  F. c  V; z1 \! g) W  i, j5 v( k3 _( L: T9 o% d- R/ E7 e  Q- r/ j
 かつて、ウナギは特別なごちそうだった。それが、いつしかお手頃になっていった。並行して欧州では稚魚が激減する。80年代の1~5%というから深刻だ。今度の規制は、野生動植物を保護するワシントン条約の対象になったからである。
7 w: M  g) H+ Q$ v" e  G% i  Q4 j) R* ~8 {; q- Y1 w& {( u
 古くからウナギは夏やせの妙薬とされてきた。〈恋痩(やせ)に鰻さかせる筋ちがい〉と、戯れ歌も残る。江戸時代には食通を夢中にさせ、相撲よろしく、かば焼き屋の番付表も作られた。そしていま、世界の需要の7割を胃袋に収めるウナギ大国である。0 O4 k0 w% U7 ?) X4 O& H; B
$ A! g" V, I3 }3 U- `5 g
 幸いというか、中国の養殖池では、これまでに輸入した稚魚が育っている。すぐに値が上がることはないという。とはいえ、香ばしい煙も少々気になる「土用の丑(うし)の日」にはなりそうだ。
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发表于 2007-6-15 09:42:06 | 显示全部楼层

2007年06月15日(金曜日)付

 行動派で知られる作家の小田実さんは、50年代に、船で米国へ留学した。途中、初めての外国であるハワイを踏んだ。「いよいよ英語を話さなくてはならない」。武者震いを覚えたと、著書「何でも見てやろう」で回想している。
3 x+ X. B2 w6 d: [8 R1 n7 ]* N8 r: o/ L
 今は手軽になったとはいえ、「留学」の言葉にはなお、遠くの空を仰ぐようなあこがれがこもる。淡い憧憬(しょうけい)に、身近な「駅前」を重ねたキャッチコピーは、名案だった。「駅前留学のNOVA」として、たちまち英会話学校の最大手に上り詰めた。
) T; V+ q' h5 C, y' \8 G
8 s( N( [( k! K! v- t0 |) }: \ その最大手が不正の山を築き、経済産業省から業務の一部停止を命じられた。勧誘の際に「入学金が無料」などとうそを言った。受講の予約が取りにくいのに、いつでも取れるかのように説明した……。法律に反する行為は18種類におよぶ。
6 o0 C! U7 J& t* \* ?+ l" k3 H1 Y* W1 v  s  ?8 z
 ここ数年は急速に教室を増やしてきた。なのに講師は減らしていた。解約に応じないといったトラブルが多発しては、英語力を高めたいという受講者の向上心を、食い物にしていたようなものだ。
  K) r* L% d1 r" i. p2 v. S( S
" C! L  u* S0 k+ o 英語は戦時中、敵性語として追放された。だが敗戦のわずか1カ月後には「日米会話手帳」が出版される。人々は飛びつき、空前のベストセラーになった。以来、英語ブームの波は寄せては返し、その何度目かをとらえてNOVAは成長した。6 J: a- n) ?- u* Y$ L7 F

2 E( Q, {/ K0 ^% g4 A 英語不如意で渡米した小田さんの信条は、磊落(らいらく)に「まあなんとかなるやろ」だった。猿橋(さはし)望社長は低頭し、「誠意を持って対処する」と言う。「なんとかなるやろ」と姑息(こそく)にかわすような対応は、受講者が許すまい。
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发表于 2007-6-16 14:35:24 | 显示全部楼层
2007年06月16日(土曜日)付! o* ]1 q! x# Q: E$ v8 x
7 r1 A3 T5 u( W7 S' r2 _' F
 例年より遅れながら、梅雨前線が北上してきた。「梅雨入りお見舞い申し上げます」と、新聞に広告が載っていた。さわやかな気分からは遠い。けれど、煙る雨の奥に、盛んな生命の営みを感じる季節でもある。6 {0 U7 l1 e! g: D! H! B

# _: [% N: ~; N2 g8 X9 i0 n! W 湿気の中から生じるものには「嫌われ者」が多い。〈梅雨茸(つゆだけ)の咎(とが)あるごとく踏まれけり 田村コト〉。いまごろのキノコを、俳句では総じて梅雨茸と呼ぶ。生き物なら、ナメクジあたりが筆頭だろう。昭和の名人、落語家の五代目古今亭志ん生の半生記「なめくじ艦隊」を思い起こす。
- U! k& @% y: i; L$ j6 \. S5 G  S
% v% d: m" ~4 g' _; w0 b 志ん生一家が5人で暮らす貧乏長屋には、大小のナメクジが艦隊よろしく押し寄せた。塩をまいても参らない。夜になるとピシッ、ピシッと鳴いて、大きいヤツがカミさんの足の裏に吸い付いたというから、すさまじい。毎朝、炭入れにいっぱい取って川にうっちゃっていたそうだ。9 K6 e: y6 J9 [7 o+ V: p

+ B# F  C% h( C4 K 〈滑らかに生き居ることを憎しとし蛞蝓(なめくじ)は女に塩まかれたる 斎藤史〉。呼び名の「ナメ」は滑らかという意味だが、「クジ」には定説がないと聞く。水回りに出没しては主婦の不興を買ったが、都会ではもう目にすることはまれだ。$ D! w4 {8 ?6 U+ Y* w7 r

5 f5 {+ T; ?8 w$ M1 ^: w% f! r, x& n この時期には、鉢植えの下に潜んでいることが多い。夜になると艦隊を組んで出撃し、柔らかい芽を食べてしまう。植物の葉に銀色の「航跡」を見つけたら、園芸好きな人は要注意である。2 _4 T- Y. L* z" b: @9 q  a

  x+ G" I+ Z- \& D$ }7 r& x どうにも敵が多いけれど、やさしい目を向ける人もいる。〈なめくぢも夕映えてをり葱(ねぎ)の先 飴山實〉。なべて生き物に命あり。雨も光も、へだてなく万物に降り注ぐ。
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发表于 2007-6-17 10:24:01 | 显示全部楼层
2007年06月17日(日曜日)付
+ g, h* }& H+ e* S, o) x' s3 g& S  s5 u4 @2 `" M; _
 サッカー仏代表のジダンは、ワールド杯決勝でイタリア選手に頭突きし、退場になった。その瞬間を腕の汗まで鮮明にとらえた写真がある。動画では「物語」に埋もれていた細部を、止まった時が見せてくれる。ジダンは右手を握りしめ、目を閉じている。
* C! |3 j  ]  n9 y- w  y" w1 ]9 I$ A6 m; p, f9 i
 50回目となる世界報道写真展がきのう、東京都写真美術館で始まった(8月5日まで)。「ジダンの退場」など、06年にメディアをにぎわせた素材が、時を止めて並ぶ。8 |  b9 c" f4 H0 C
* l1 S5 B8 E/ K! q: E1 k
 約8万点から選ばれた大賞は、紛争の中の日常を切り取った一枚。イスラエル軍に爆撃されたベイルート市街を、赤いオープンカーで走り抜けるレバノンの若者たちだ。この赤い車は数秒、頭突きは1秒の出来事だった。報道写真は偶然に左右される。" v# Y4 P9 ^" e- x1 d7 `; V

( P- h; k  O  r1 Y& N+ F8 ` 46年前の同じ写真展で大賞をとり、日本人初のピュリツァー賞に輝いた作品もそうだった。60年10月12日午後3時4分、日比谷公会堂で撮られた「右翼少年に刺殺される浅沼社会党委員長」だ。3 z6 Y* H5 b7 a$ J) z) T
- }, t2 g. a' T4 U7 U
 毎日新聞の長尾靖さんが戦後史の瞬間を刻めたのは、ずぼらの功用だという(沢木耕太郎『テロルの決算』)。報道陣の多くは、浅沼の演説をやじる客席左側の右翼を気にしていたが、長尾さんは舞台下の記者席を動かず、右手から駆け上がった少年を新型カメラで追えた。最後の一コマだった。7 q5 Z' n+ b" i7 j7 E' g9 _
: A2 Z! P5 }: g8 z7 ?2 O- W2 @; m
 優れた報道写真は時に、動画より多弁になる。前に起きていたこと、後に起きたであろうこと、裏に隠されていることまで考えさせる力があるからだ。無論、強運を絵に残せる腕と機材があっての話である。
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发表于 2007-6-18 11:31:41 | 显示全部楼层
2007年06月18日(月曜日)付( T, u6 s" ~3 u$ i7 A! T5 ?
, ^$ y4 z! o, P5 ?9 u5 |! Y# y% j; t
 梅雨が本物になる前に、鎌倉を歩いてきた。青空を惜しむ人で大層なにぎわいだ。JR北鎌倉駅から明月院に向かう。あじさい寺は各地にあるが、ここの境内は日本古来種のヒメアジサイが薄青に染める。牛歩の列から「人が多すぎる」と声がもれた。
& N2 H7 U+ E: g2 Q
: @; L% S, \1 b+ `+ v& N1 {/ ? その先の建長寺は五山一位の禅院。くぐれば心が清まるとする三門の下で、子どもたちが休息している。誰にもそれと分かるウグイスの声を乗せて、初夏の風が一陣、方丈を抜けた。3 b+ H/ {& t: u

+ Z/ |; Y8 e4 e  S: x0 N! n 若宮大路を東に折れ、妙法寺に足を延ばす。名高い、苔(こけ)むす石段。深緑の重なりの上で、昼下がりの木漏れ日が遊んでいる。散策路に人影はなく、わびもさびも独り占めである。歩けば歩いただけのことはある。
! L5 G4 j( t7 G% O9 O7 N( ^$ I5 _" G- j+ R! t: k" o0 Q
 四季を愛(め)で、歴史や仏教を知り、静寂に浸る。老いも若きも、鎌倉の味わい方は人それぞれだ。明月院、建長寺、妙法寺とも拝観料は300円。それで得られる満足のほどは、何を見に来たかにもよろう。* [: e: k  R( K! [$ r
- ~  U* }4 t' x$ e. Q
 鎌倉市や神奈川県は3年後を目標に、この地をユネスコの世界遺産にすべく事を進めている。このうえ鎌倉に能書きが必要なのかと問えば、歴史と緑を守るためだという。例えば、行政指導に頼る建物の高さ制限(15メートル)を、きっちりルール化しやすいそうだ。4 G, k( ~) u, S3 G6 S

7 w; _2 E: H$ P$ j+ z8 X4 y すでに世界遺産に登録された京都や奈良との違いとして、鎌倉は武家の文化を強調する。サムライ、ショウグンの源流である。ただし、いびつに国際化し、拝観料が高いだけのカマクラになるくらいなら、「世界」の看板は無用だ。武士は食わねど高楊枝(ようじ)でいい。
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发表于 2007-6-19 12:37:43 | 显示全部楼层
2007年06月19日(火曜日)付, w: n8 k2 w! Q
  E& E: X: E" t: K
 わが家から駅への途中、歩道に沿ってケヤキの大木が9本並んでいる。目測だが背丈は20メートルを超す。いまの季節、緑の枝を存分に広げて、威風堂々たるものだ。木々があるとないとでは、毎朝の趣は随分違うだろう。
+ i% Y) ~  E. T: S* \4 ~6 U3 h8 U6 }0 M7 Z6 I$ S$ j& w3 Z
 そう思ったのは、杜(もり)の都・仙台市が、ケヤキの処遇をめぐって紛糾していると聞いたからだ。青葉通のケヤキ並木といえば街のシンボルである。223本あるうち50本が、地下鉄駅の新設のために撤去される。これを伐採するか、よそに移植するかで市民の意見が割れている。
; c5 X% ]* ]% v8 l5 Q, e4 w! }# T
 伐採なら1本60万円だが、移植だと320万円かかる。親しみ深い樹木でも、5倍以上となれば考え込む人は多いのだろう。先日、市民1万人にアンケートをしたら、回答者の半数強が伐採を支持した。「非常に悩ましい」と移植派の市長は困惑しているそうだ。
, ^" f: B  }1 N" l( u0 H1 f* p- H0 A8 ]
 岐阜県の「荘川桜(しょうかわざくら)」を思い起こす。60年代初め、御母衣(みぼろ)ダムの建設で水没する村に、2本の桜の巨樹があった。それを40日がかりの移植で救った。いま、村の記念樹のようにダムのほとりで毎春花を咲かせる。
3 ?. N: s: H( ^. i7 d& R; v9 C" `1 ^( o/ B7 O8 v
 難事を決行したのは、電源開発の初代総裁だった高碕達之助である。そのときの心情を「この巨樹が……青い湖底に、さみしく揺らいでいる姿がはっきり見えた」と述べている。
9 i, Y& R, n( d! }- P7 P/ {: H% _5 B7 q. @0 {2 ?$ D( [* T& e6 E4 O% o+ s
 地方の財政はどこも厳しい。「感傷」に予算を割く余裕などないのかもしれない。だが50本のケヤキを救う物語は、杜の都なればこそ、語り継がれる市民の財産になるようにも思う。仙台市は、秋までには結論を出すそうだ。
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发表于 2007-6-20 10:27:55 | 显示全部楼层
2007年06月20日(水曜日)付
& O, A4 I& O+ T9 U- Q, A" v+ @3 ]2 {4 ^
6 @: |8 x/ ~0 J+ s$ o 大手時計メーカーの調査によれば、仕事の電話を保留にされて、気持ちよく待てるのは「30秒以内」らしい。それを過ぎるとイライラする。保留どころか一向につながらない社会保険庁の電話は、どれほどの不満を国民にもたらしただろう。% f$ d+ H1 E9 J+ b9 O: h
- ]' [6 j/ M+ Z3 v* H
 それも一因かどうか。本社の世論調査で安倍首相には厳しい結果が出た。「最後の一人に至るまでチェックし、年金はすべてお支払いする」。首相のこの発言を「信用できない」という人は67%を占め、「信用できる」の25%を大きく引き離した。
* C0 i' @. `+ ~) Z; g' K* |5 ~& X1 \# U. _8 i3 c$ c
 「言葉は翼を持つが、思うところには飛ばない」。英国の作家ジョージ・エリオットの至言は、首相の身にしみるだろう。不安を一掃すべく繰り出した決意表明だが、国民の胸には届いていなかったようだ。; h2 x  e- e: @- T6 _

6 Y$ B( n) u: { 内閣の不支持率も51%と、初めて5割を超えた。参院選への暗雲と見てとれる数字である。憲法や教育など、理念の高みを仰ぎ見るうちに足をすくわれた形だ。一転して年金対決となった土俵から、「記録照合は1年」「責任を徹底的に調べる」……と首相の大声が飛ぶ。
5 T, p# x: y2 f3 f: X1 g% O; }4 Y8 E0 X' ~6 W9 [
 待たされればいら立つが、時の流れは早いものだ。時のもたらす忘却を、荷物をまとめて去っていくサーカスに例えた人がいる。責任をめぐって、自民党内には早くも「選挙が終われば『何のこと?』になる」とタカをくくる声があると聞く。" z8 m& Y; U* b6 v. [# z) `, o

# i3 x8 t% D: b7 g% B 選挙が済めば、サーカスの人波が引くように幕、とは問屋が卸すまい。国民に約束した言葉である。あらぬ翼が生えてどこかに消えることなど、ないとは思うが。
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发表于 2007-6-21 09:41:36 | 显示全部楼层
2007年06月21日(木曜日)付) u0 E! ~/ `- m

" z( g" V$ I  M' s 日本の地図を眺めてみる。無味乾燥な記号が多い中で、温泉の●だけは味わい深い。地図上、山峡などにこの記号を見つけると、ランプの宿のひなびた風情が思い浮かんだりする。  k, G4 j. ~+ X6 B, @
2 p# c" x+ f" ~* b5 V9 w& n
 ビルの密集する姿からは想像しにくいけれど、東京にも温泉はある。深く掘りさえすれば湧(わ)くらしい。名うてのストレス都市である。癒やしを求める人は多いとみえ、娯楽やマッサージを備えた「都市型温泉」が急増している。
# Q& X' n8 K+ e: m! }" t
6 a+ Z' Y' r: k6 y2 K7 o& ` その一つで惨事が起きた。従業員休憩室などのあった施設が、ごう音とともに爆発した。温泉水に含まれていた天然ガスが充満して引火したらしい。女性3人が犠牲になった。冥福を祈りつつ、入浴客のいる建物だったらと思うと、背筋はさらに冷たくなる。
: {, J7 _, s1 E
: v# \' a" N! P" b 湯けむりの中に日常を沈めるのが、温泉の醍醐味(だいごみ)だろう。温泉好きで知られるドイツ文学者の池内紀さんは、それを「再生のいとなみ」だと言う。湯につかって、よみがえる。そう実感するには、温泉物質がほどよく溶けた素朴な湯でなくてはならないそうだ。+ y$ P) N: h: O' N- B
$ s1 n9 Y. E5 ?# O
 事故のあった温泉では、地下1500メートルから温泉水をくみ上げていた。あまりの深さに、SF小説の古典『地底旅行』を思い出す。物語ではアイスランドの火山に地球内部への道があった。当節は東京の各所が「地底」とつながっている。そこから危険なガスも上がってくる。
% E2 C2 ^6 I- `# c2 w1 ^7 k+ W3 f4 x; X/ I; ^2 D" }9 n& z
 首まで湯につかれば体重は約9分の1になるという。疲れも憂いも忘れられるリフレッシュの場だ。安全への備えに怠りのない、やすらげる●であってほしい。 , O. l: R$ h5 j, l+ Q2 n
9 o3 F5 Y; ~! I
 ●は温泉マーク
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发表于 2007-6-22 11:29:00 | 显示全部楼层
2007年06月22日(金曜日)付' G, w$ p# T; R" `

6 L$ m2 Y$ h$ Y$ C4 W( ~+ M! w 沖縄はきのう梅雨明けの空が広がった。その空へ向けて、米軍嘉手納基地から訓練の戦闘機が盛んに飛び立つ。基地を見渡せる、通称「安保の見える丘」に立つと、ごう音で空気が震えていた。
/ c0 m( L8 K! J1 p( E! I8 E& z$ Z" u* U& G! S
 朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争……。基地を通じて、沖縄はいくつもの戦争にかかわってきた。憲法9条に庇護(ひご)された本土とは異なる戦後を、島は生きてきた。目下のイラク戦争でも、兵員や兵器が、ここから戦場へ向かっている。
% L6 [8 x, x! |; G0 B, Y9 {0 v
8 d. U$ O4 K7 z7 B' }5 t" u 「基地の島」の象徴が嘉手納である。先月、周囲17.5キロを手をつないで包囲し、平和を訴える「人間の鎖」があった。だが参加者が3キロ分ほど足りず、鎖は途切れた。80年代から4度目だが、初めてのことという。「平和への思いが薄れたのか」と、多くが落胆したそうだ。
8 o4 T  ~0 j8 i! `9 B9 d. Z& D5 ?  J: b$ ?6 O; o2 W4 O
 太平洋戦争の末期、沖縄は本土を守る「捨て石」になった。戦争が終わると、今度は米国の世界戦略の「要石(かなめいし)」とされた。沖縄生まれの詩人、山之口貘(ばく)は、虐げられる島を悲しんだ。〈戦禍の惨劇から立ち上り/傷だらけの肉体を引きずって/どうやら沖縄が生き延びたところは/不沈母艦沖縄だ……〉。' c; z; S& J9 l0 e) [( A- j
) w: B  o4 ]  i6 ?! z* s7 n
 沖縄県の面積は国土の1%に満たない。そこに国内の米軍専用施設の75%がひしめく光景は異様だ。「基地の中に沖縄がある」状況は、本土復帰から35年たっても変わらない。
9 P. Q2 D( w0 o# o& ?7 z
/ k' d1 w8 ~; F- V 失業率は全国平均の2倍近く、とりわけ若い世代を苦しめている。平和を願いつつも、基地の経済的恩恵に頼らざるをえない。相克の中で、沖縄はあす62回目の「慰霊の日」を迎える。
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发表于 2007-6-23 12:26:24 | 显示全部楼层
2007年06月23日(土曜日)付5 h7 R7 h& y/ R' _: z4 {" T

4 N" n( q7 k. K! `! Z+ C5 Y4 [ 沖縄戦の激戦地となった本島南端に、20万人余の死者の名を刻んだ「平和の礎(いしじ)」がある。青い海へまっすぐ伸びる中央の園路に立つと、円錐(えんすい)のモニュメントが見える。その突端から、「慰霊の日」である6月23日の太陽は昇ってくる。$ c/ O- _. x4 t$ S" \
. b3 U! m+ G% \; b" Q- ~! M
 この日の太陽が沈む方位に向けて、宜野湾市にある佐喜真美術館が立っている。屋上のコンクリート壁に20センチ四方ほどの「窓」が開けてある。そこへ、東シナ海に没する夕日が正面から差し込む設計だ。きょうは沖縄にとって、重い一日である。3 ~; v. T: p, X8 V6 {2 T. D1 ?
- x7 @. O+ C- S% U( ]
 美術館にはいま、約400人もの、おじい、おばあの顔写真が張り巡らされている。沖縄の方言である「島クトゥバ(言葉)」で、悲惨な地上戦の証言を残したお年寄りたちだ。
' L/ v- E* f" N4 A% @9 W
& \! V: ]' \. T/ S2 p- @ 証言する姿を、字幕つきの映像で見ることもできる。弾雨の中の逃避行、累々たる死者、集団自決……。つらい回想である。だが使い慣れた島の言葉で話すと、心を許し、表情まで豊かになるようだ。伝えたいという「熱」が、画面から感じられる。9 D  h- _3 d! L! ]

+ o" s& ?( Z5 I! q6 i- b& U 写真も映像も、地元の写真家比嘉豊光さん(57)が手がけてきた。80代や90代なら、伝聞ではなく体験をじかに語れる。残り時間と競争しながら、とにかく、とりあえず聞いてきた。「一人の声はか細くても、集まれば確固とした全体像が見えてくる」という。
+ _8 l! _, G: x2 p3 P! B, W" B1 s: y
" `) N1 e: w4 R; h3 Z# q 比嘉さんだけではない。多くの研究者や志ある人々が、「沖縄戦の実相」を営々と積み上げてきた。悲惨な歴史から見えてくる教訓は何か。沖縄の重い一日を沖縄だけのものとせず、考えをめぐらせたい。
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发表于 2007-6-24 08:55:59 | 显示全部楼层
2007年06月24日(日曜日)付
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8 i1 i( _; i! {. |3 v 肥満の大敵だが、揚げ物はうまいから困る。熱した油をくぐらせるだけで、食材は滋味を増す。タマネギに優しい甘さが満ちる様子などは神秘的だ。自作となると意外に難しいのがコロッケで、具の水気、パン粉のつき、油温のどれを間違えても衣が破れる。
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* C6 m) t4 x& [% X7 J$ a 北海道の食肉業者が豚肉入りの「牛ミンチ」を出荷し、全国の生協で冷凍の「牛肉コロッケ」として売られていた。牛肉の赤みを出すため、内臓や血液も混ぜたという。産地や鮮度の偽りなど、疑惑が次々と解凍されている。
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 「混ぜれば分からない」(社長)の読み通り、偽ミンチ入りのコロッケはなかなかの人気だったという。たいていのものをうまくする揚げ衣の中の、ジャガイモに紛れた肉片だ。ソースもついたホクホクを口にして、なお「豚じゃないか」と見破れる舌は多くない。" q& Q+ q) Y/ Z' J; r4 v7 m0 m
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 店頭から撤収された冷凍食品の袋には「牛肉」の文字が「コロッケ」の何倍もの大きさで表示されていた。偽ミンチは、そんな日本人の牛肉信仰につけ込む悪知恵でもある。
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 牛は豚より上という肉の序列は、簡単に揺るがない。豚肉などを混ぜることは「安くする工夫」(社長)だった。記者会見で言い逃れが尽きたら、身もふたもないことを言う。これでは、ささやかなぜいたくも興ざめだ。豚肉を禁忌とする宗教があることも忘れてはいけない。
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 この醜聞に救いがあるとすれば、豚肉を混ぜた人たちの告発が、「企業秘密」の厚いコロモを内から破ったことだ。人の良心や正義感を侮るなかれ。どちらも舌ほど甘くない。
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发表于 2007-6-25 11:24:22 | 显示全部楼层
2007年06月25日(月曜日)付
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 欧州に住んでいた女性の話である。6年前の夏、日本の母親が信号無視の車にはねられ、急死した。一番早い飛行機と新幹線で帰郷し、スーツケースを引きずって斎場に駆け込むと、火葬が始まっていた。後日、実家の洗面所で母を見つけ、そっとティッシュにくるむ。ブラシの毛髪だ。0 J9 n" G/ Q/ C3 y

+ e3 `* K: ^9 K1 T0 G- p( Q 横浜市で開かれた葬祭見本市で、「手元供養」の商品群を見た。たとえば、遺骨や遺髪から合成するダイヤモンドは、炭素の結合力を故人とのきずなに見立てる。遺骨と石の原料を溶かして飾りにする業者は、工程を遺族に見せるという。
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 「愛する人たちとの死別に比べれば、他のことはいずれも、人生で取るに足らない」。物理学者の米沢富美子さんは『二人で紡いだ物語』(朝日文庫)で、夫との別れをこう書いた。
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( N5 ^' ]) \/ f$ u 風になると思えば、いくらかは安らぐ。でも、「人の世の悲しみをよそに、自然は容赦なく営みを継続し、春がゆき、夏が来ようとしている」(同書)という心境になれば、愛する人の「かたち」を欲することもあろう。
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 日本の死者は03年に年100万人を超え、葬祭関連の市場も膨らんでいる。一方で、介護や医療の負担もあって、葬儀1件あたりの出費は減る傾向という。都会では、お墓や仏壇が縁遠くなりつつある。6 S4 I. [; Y& @7 P" o
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 死者をしのぶ行為は本来、すぐれて個人の心の問題だ。しきたりや世間体を離れ、簡素でも自分に正直に、気が済むようにすればいいとも思う。私事にわたるが、冒頭の話は今回、手元供養をめぐるやりとりの中で、妻から初めて聞かされた。
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发表于 2007-6-26 09:48:39 | 显示全部楼层

2007年06月26日(火曜日)付

 ストレスの多い職場では「のむ」「うつ」「かう」がはやると聞いたことがある。昔ながらの三拍子ではない。当節、「のむ」のは胃腸薬や胃カメラ、「うつ」は博打(ばくち)ではなく「うつ病」なのだそうだ。$ L8 f0 l  r- r, u' @) u3 e+ p
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 「かう」のは宝くじである。「当たったら辞めてやる」。晴ればれと辞表を差し出す我が姿を、誰でも一度ぐらいは夢見たことがあろう。だが、まずは当たらないから、幸か不幸か今日のレールは明日も続く。/ T' U6 K- ?5 c

* y, Q2 T  a. F  P: b# v# ] うらやましい6億円の大当たりが、それも2本、スポーツ振興くじ(サッカーくじ)で出た。日本のくじ史上で、最高の額という。Jリーグ14試合の勝ち負けが、すべて的中した。確率は約480万分の1というから、針の穴を通り抜けたようなものだ。
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6 q, l( Q/ m. A3 E1 ~) L4 Q 老婆心ながら、在米中の取材を思い出す。くじで当時米史上最高の3億ドル余(約370億円)を当てた男性がいた。満面の笑みが報じられた何カ月か後、風俗クラブで泥酔して約3000万円を盗まれ、再びニュースになった。0 B5 J4 C1 @8 c/ [' u1 J4 }% b3 `

; T7 m. M" {* L6 R 生活が一変したらしい。「大金を持ち歩き、歓楽やギャンブルに入りびたり」と警察はあきれ顔。仏の詩人コクトーの皮肉、「金持ちになった貧乏人は、贅沢(ぜいたく)な貧しさをひけらかすだろう」(「恐るべき子供たち」)が頭をよぎったものだ。3 W' m3 K+ B; i/ w3 C1 _

* o$ [! K* g. d2 G4 _" R1 c2 B 人の幸運を「禍福はあざなえる縄」と見るのは、運つたなき者のひがみか。濡れ手で粟を夢見て筆者も年に何度か買う。だが、これまでの当選金は最高で3000円である。身を持ち崩すような「幸運」に巡り合ったことは、幸か不幸かない。
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