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楼主: Jennifer

[经验方法] 連載《天声人語》想看中文版请去看1590楼最新公告

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发表于 2007-6-27 08:50:35 | 显示全部楼层

2007年06月27日(水曜日)付

 伝わるところでは、日本で初めてボーナスを出したのは、三菱の創始者岩崎弥太郎だったという。三菱史料館によれば、明治9年、英国の船会社と上海航路の覇を競い、勝って相手を撤退させた。% \6 B# p( v1 o" U4 V' l
0 {1 N( |3 }5 S) S! T! v
 弥太郎は喜んだ。「社中各員別(わ)けて勤勉事務を担任し其(そ)の功績を見ること少なからず」。幹部から給仕まで、給料のほぼ1カ月分にあたる報奨金を奮発したそうだ。ボーナスは働きに報いて支給されたものだった。6 B8 Q* ^0 u" |3 F: ]4 [! I+ j
( Z& t5 H0 |/ i8 u% b5 E, F
 「勤勉事務」とは縁遠かった社会保険庁が、全職員にボーナスの自主返納を求めることになった。幹部から末端までを対象とし、退職者にも応分の「寄付」を求めるという。安倍首相や柳沢厚労相も率先して返納する。官邸主導による、政官あげての「総ざんげ」の趣だ。
0 f' c$ M4 p6 N( [3 W" P4 e! c3 P7 m1 R
 「当然だ」と言う人、「まだ甘い」と収まらない人、さまざまだろう。だが、国民の不満をそらす演出を感じる人も、少なくないのではないか。参院選は1カ月の後に迫っている。
- y3 o/ O9 v; Q; I# ^$ r
. L  U. C; c) U! b0 R 総ざんげの元祖といえば、終戦直後の「一億総ざんげ」である。その正体を、「緊急の場面に直面した支配層の放ったイカの墨」と突いたのは政治学者の丸山真男だった。今度のざんげも選挙前の目くらましではないのか。いぶかる声も聞こえてくる。
* X* L) P( L+ E) ^; [) h5 o$ B. o& y$ h, T$ @7 [( ]) {' ]+ ]# l
 弥太郎は、英国会社との競争の際、経費節減のために自らの報酬を半分にした。社員もならって3分の1を返上したという。目的のある返納なら張り合いもあろう。だがイカの墨となってやがて消えるなら、国民にも職員にも、残るのはむなしさだけである。
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发表于 2007-6-28 10:21:29 | 显示全部楼层
2007年06月28日(木曜日)付
4 ]8 k/ W# L0 h# E8 O
3 D- K6 d3 q& ^1 c' t. R' }: N! k4 j しばらく前のことだが、NHKの「みんなのうた」で『ねっこ君』という愉快な曲が流れていた。地中で踏ん張って大木を支える根っこの歌だ。切ってしまえば、桃栗3年柿8年、木がまた育つには長い時間がかかります――。掛け合いの歌声を面白く聞いた。
; y9 ^' I# X* H# j- o1 O
' y  b" m3 f: Y4 D9 x2 _# c8 d+ @ 思い出したのは、仙台のケヤキ並木の「処遇」について先日書いたら、多くの便りをいただいたからだ。「切らずに残して」がほとんどだった。人が樹木に寄せる愛着のほどを、あらためて思った。
/ O, U6 ]+ M  m7 h# c  R6 V. ^/ }: B* w& I' w( y# l
 その割には、ほうぼうで簡単に切られることが多い。開発ばかりではない。近ごろは、薄暗い、目が届かないといった防犯上の理由で、公園や校庭の木が切られている。) h" I$ p. `$ e/ h2 P
7 `0 a" |% Y  I8 H- O" z
 『私たちは本当に自然が好きか』。問いかけをそのまま題名にした本を、塚本正司さんが著した(鹿島出版会)。住宅地の計画に長く携(たずさ)わった人で、冷遇される木々に心を痛めてきた。新緑、万緑と愛(め)でられる。その一方で、落ち葉が邪魔、虫が多い、など人の都合で厄介者にされてきたからだ。# [# Q" n6 g2 k! M4 p% Z) R5 J% K

  \5 f9 i+ A! K9 C& I 桜に生涯をささげ、岐阜の荘川(しょうかわ)桜の移植を手がけた故・笹部新太郎も、樹木の生命を軽んじる人間の身勝手を憤った。植物は動物と違い、死ぬのと殺されることに区別を付けにくい。「木を殺す意味の漢字を一字だけ作ってほしい」と、たぎるような言葉を残している。塚本さんの思いにも通じるものがあろう。
% O& m4 N0 A; N0 Y3 s  J* m* D. L& E9 Z) l
 『ねっこ君』の歌には、近ごろ森が少なくなったと嘆くモグラが登場する。一本の木に育まれる生命の多彩さにも思いをめぐらせたい。
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发表于 2007-6-29 09:28:48 | 显示全部楼层

2007年06月29日(金曜日)付

 大正の流行作家、田村俊子の代表作に「木乃伊(みいら)の口紅」がある。一人の女性が夢で、唇に鮮やかな紅をさしたミイラを見る話だ。言われてみればミイラは、冷徹な「死」の中にも「生」を引きとめて離さない、不思議な表情を持っている。
+ G" N7 L) ~9 Z& u' D+ ]8 K* b3 E$ U
 エジプトで確認されたハトシェプスト女王のそれも、幽明の境に漂うような、生の名残を宿している。紀元前15世紀に栄華を極めたという女帝である。「ツタンカーメン王以来の重要な発見」と考古学界は興奮気味らしい。
1 q# f; s! x4 y0 o" Y# _/ c7 p
* |: |$ y- X" d. v0 D4 M ツタンカーメンの墓を1922年に発見した英国の考古学者カーターらが、それより前の03年に発見していた。だが誰だかわからず、1世紀余を身元不明で過ごしてきた。DNA鑑定の進歩によって素性が明らかになった。
7 M3 \& x! V& o( Q6 O5 V6 V9 p* G: `4 l. @
 「この光景を前にしては、人間のはかない命を基準にした時間など展望を失ってしまう」。ツタンカーメンの棺を開けたカーターの回想である。古代エジプト人は霊魂の不滅を強く願った。その宿る所として、肉体にも永遠を与えようとした。" Y' i# E* Z- Y# Q  q# v) W& j9 J, I

6 y1 J) x# H) Q) {$ j カンヌ国際映画祭で受賞した河瀬直美監督の「殯(もがり)の森」を思い起こす。殯とは、死者の本葬前に霊の復活を願いつつ鎮める、古代日本の風習だった。河瀬さんは、殯という「死者と生者の間にある結び目のような時空」を、深い森に求めて、現代の物語を撮った。
: f3 i# U3 j5 O% \/ i+ v) g+ W* }# l0 i* a% [' m& f/ g5 d
 女王は3500年のあいだ霊魂を待ち続け、死者として存在してきた。それ自体が「結び目」のようなものだろう。荘厳さの漂う面ざしには口紅よりも、王冠の方が似合うようである。
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发表于 2007-6-29 10:26:42 | 显示全部楼层
楼主太好了,早听朋友介绍朝日新闻中的这个栏目了,对学习日语非常有帮助,可惜每天都忙忙碌碌没有时间看,今天可以好好看看了,在这里谢过了。
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发表于 2007-7-2 09:39:28 | 显示全部楼层

2007年06月30日(土曜日)付

 亡くなった宮沢喜一さんが、日米学生会議の一員として初めて渡米したのは昭和14年だった。日中戦争のさなか、日米の空気は険悪の一途である。往路の船中、日本の立場を弁護しようと、仲間と盛んに意思統一をはかった。
" t: f# z: R( V3 e/ T( J( l2 u& w" w! Y7 g! R& z+ q
 会議に臨むと、向こうの学生は思い思いに意見を述べた。日本を悪く言う者もいるが、自国を批判する者も随分いる。「言論の自由というのはこれか」。知米派で聞こえた元首相の、原風景になった。+ G9 `+ B) Z/ F5 I- d4 k
8 s6 O# W9 T" E/ Q& j+ }
 そうした体験をへて身についた「冷静な合理主義」が、政治家としての持ち味になり、弱みにもなる。期待株と目されながら、初入閣から首相就任までに29年かかった。田中角栄氏ら親分肌のボスに疎まれたためである。「泥田をはいずり回れない」といった陰口もついてまわった。
3 [% g  c3 p% b5 @- F& K: C$ L8 ]& D# x4 |  u! z' p
 首相時代、指導力に疑問符がついたこともある。だがハト派の象徴としての存在感は、最後まで揺るがなかった。自衛隊のイラク派遣に反対し、憲法9条の改正には慎重であり続けた。' ]( b8 c. H. N9 u, ]: z0 J+ Y

: c9 {+ f% Q; a, {- b' f8 W0 E 〈どの論理も〈戦後〉を生きて肉厚き故しずかなる党をあなどる 岡井隆〉。ふと胸をよぎるのは、この歌だ。宮沢さんのような「しずかなる民主主義者」をあなどる、粗っぽい空気が、いまの政界を覆ってはいないだろうか。& C: I" d, p. C. \6 }

: a  r9 |) r2 a9 M. S0 h 「総理大臣が刀を抜いて、『進め、進め!』なんていうのは戦国ドラマの見過ぎ」と、宮沢さんは言っていた。民主主義は、ときに遅々としてじれったいものだ。初入閣から1年で首相の座に就いた現職には、その辺の理解がないのかもしれない。
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发表于 2007-7-2 09:39:53 | 显示全部楼层

2007年07月01日(日曜日)付

 熱帯魚店の水槽の底で、白黒太じま模様の生き物が漂っていた。えさを探しているのか、せわしなく脚が動く。香港から広まった観賞用ヌマエビの仲間だ。柿の種ほどしかなく、水質や水温が急変すると死ぬ。購入したら、時間をかけて水を合わせるのが長生きさせるコツという。+ N% f# h! U/ q
6 ]& S4 K& s- @+ v3 u* n0 R
 香港が中国に返されて、きょうで10年になる。一国二制度という「水合わせ」は、返還から50年続く約束だ。2割の水が入れ替わった計算にしては、それ以上の中国化らしい。
1 c9 h% ?$ k+ g7 k% S
4 O2 A1 s- D$ S9 d( t  t 今、香港人の4割が本土の人と結婚する。香港株式市場の時価総額の半分は大陸銘柄で、観光客も半数が本土から訪れる。他方、中国政府を意識するメディアは自己規制に傾き、香港人による自治を意味する「港人治港」の展望も心細い。
+ U2 k( @! K4 ]
. d# N0 p' v( ~) V5 \3 |, I( r+ _, j 香港は「蒸し暑い真夏の夜、青緑色の南シナ海をフワフワ揺れる、宝石とガラクタと人を詰め込んだ小さな船」(上村幸治『香港を極める』朝日文庫)。であれば、もやい綱の片端を北京が握り直し、ぐいと引き込んだ図が浮かぶ。
3 j$ |% l) n0 {  u' q3 W4 X0 B% U
. y0 S. ]/ j6 U5 R かの地を体感したのは返還前年の夏だった。突き出し看板の満艦飾、生ゴミと香辛料の異臭、汗も凍るかというビル冷房。それらは、資本主義の水で育った「東洋の真珠」の、虫の息にも思えた。されど真珠は呼吸を続ける。
& @8 X; f, E# p$ n# @. ^9 R2 x+ O# I' v0 i* s' h4 G
 淡水エビは、もともと海にいた種が陸封されたものだという。鳥などから身を守るため、多くは地味な色合いになった。さて香港はどんな色で生き残るのか。さしずめ経済というえさは安泰だ。気がかりは政治の水である。
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发表于 2007-7-2 09:40:16 | 显示全部楼层

2007年07月02日(月曜日)付

 喜怒哀楽のうち、表情や動作で示しにくいのは「怒」かもしれない。だから人はそれを語り、書く。詐欺で捕まる元公安調査庁長官、原爆投下を「しょうがない」と表現する現職防衛相。とろける日本社会に憤りの文字が並んだ6月の言葉から。
' S# w1 Z% g# Z. c4 ]# C" u" m" R# C% i7 w# U; f! u
 牛ミンチ偽装のミートホープ社は「悪知恵のデパート」の様相。「どの社も品質保持をぎりぎりのコストでやっている。肉をごまかすという安易な手段に強い怒りを感じる」と、取引をやめたアスカフーズ(秋田県横手市)の営業部長。
& x+ v; ]( V1 M& `) Y5 ]$ Q0 n* z* X2 r3 Z) \0 d- ]+ g; b+ I
 「女の子なので、たとえこんなことになるとしても、きれいな顔で見送ってやりたかった」。東京・渋谷の繁華街近くで温泉施設が爆発。娘の遺体と対面した千財信行さんは言葉を失った。
) S$ P, P: S* G; Y5 `- \# I. `2 E8 |
 山口県光市の母子殺害事件で差し戻し後の控訴審集中審理。被告の元少年は改めて殺意を否認し、遺体を押し入れに入れた理由を「ドラえもんが何とかしてくれると思った」。妻子を殺された本村洋さんは「聞くに堪えない3日間だった」2 V1 j" a" K1 b4 \

( w* _: u$ Y9 m* ? 6月から上がった住民税に問い合わせが殺到。大阪市城東区役所を訪れた無職の女性(79)は「もう食べていけない。なんで年寄りからこんなに取るのか」/ d) h6 ~0 L0 Z# I- q) @
3 h1 g/ t& b) c( @% j7 ]
 無理を重ねた「強行国会」の終幕にふさわしく、与党だけの賛成で重要法案が次々と成立した。「延長してその結果、混乱が阻止できれば意味があるが、延長でも混乱だと意味がない」(扇千景参院議長)。
  l% d9 l% u3 W; _" {, r5 q2 N, b! x( |3 v
 政治に抱く喜怒哀楽については、行動で示す場が国民に等しく用意されている。投票まであと27日。
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发表于 2007-7-3 08:45:10 | 显示全部楼层
役に立って、ありがとうございます
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发表于 2007-7-3 08:58:36 | 显示全部楼层

2007年07月03日(火曜日)付

 「しょうがない」とは、手の打ちようがないということだ。例えば天変地異である。軽いところでは「しょうがない/雨の日はしょうがない」(『雨が空から降れば』別役実作詞、小室等作曲)のように使うのが正しい。
0 n* V$ G, e8 p( {' _+ A  L4 k# r
, t$ T3 i; p* l: I, a) W 久間防衛相が、出身地でもある長崎への原爆投下について「あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今、しょうがないなという風に思っている」と語った。「選択肢としてはあり得るのかな」と。6 _! g5 s  f, x" t1 x
+ W5 ]& }6 T. N" E; Z+ H9 t, c5 R
 本人は「説明の仕方がまずかった」と謝り、安倍首相は「国民に誤解を与える」と注意した。問題はしかし、言い回しではなかろう。人類史に残る無差別大量殺害を、物わかりよろしく「整理」できる神経が問われている。$ ^) c3 i1 J' @# k# L
' P, o! Z! l4 ?
 米国は、2発の原爆が日本の降伏を早め、多数の命を救ったと正当化した。久間氏も、だから「北海道はソ連に占領されずにすんだ」とみる。もっともらしい解説には用心したい。乾いた戦略論にとらわれすぎると、きのこ雲の下に思いが至らないからだ。
' G# R  ^, U0 i6 M+ f
; d8 y* S, U2 {3 x/ q2 z 自らも被爆しながら長崎で救護を続けた永井隆医師は、自宅の焼け跡で、溶けたロザリオが絡まる緑(みどり)夫人の骨を見つける。享年37。まだ温(ぬく)いのをバケツに拾い、歩いた。「私の腕の中で妻がかさかさと燐酸(りんさん)石灰の音を立てていた。私はそれを『御免(ごめん)ネ、御免ネ』と言ってるのだと聞いた」(『ロザリオの鎖』)。
1 i  K* W2 |1 D
0 }/ v' K8 {7 {( _7 u2 y; X9 e% | 核兵器は、勝手に天空から降っては来ない。造る者と使う者と、それを命じる者が必ずいる。ならば止める者になろうではないか。「しょうがない」わけがない。
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发表于 2007-7-4 09:50:07 | 显示全部楼层

2007年07月04日(水曜日)付

 芝居に出てくる馬は、前脚と後脚を別の役者が演じる。何かの拍子に馬がこけ、役者の体や顔がのぞいては興ざめだ。一度でもみっともないのに、あっちでゴロリ、こっちでポロリと続いた日には、もはや進退窮まり、幕を下ろすしかない。6 Q; ~& a9 _* X4 v
0 B6 ?  E2 p) G
 久間防衛相が、原爆投下をめぐる「しょうがない発言」の責任を取って辞める。過去にも不用意なコメントで物議を醸してきた人だ。そういう軽めの人物が初代防衛相となり、自衛隊という重い組織をきょうまで預かっていたかと思うと、何やら背筋がひんやりする。
, ]) G! e, n, U9 g2 j* K+ m
, _( O9 S5 P" s& D* { 安倍内閣では、すでに何人かの閣僚が馬から転げ出て、姿丸見えで右往左往するの図。首相はそんな馬脚大臣たちをかばおうとしたが、もう3人がいなくなった。: [3 Z2 }, C( G7 {

0 p' D7 j6 K6 F1 Q$ X7 D1 P8 z この内閣には、政権誕生までの論功で登用された人も少なくないと聞く。「産む機械」「ナントカ還元水」「しょうがない」。問題発言や問題行動がこう続くと、首相の任命責任に触れざるを得ない。5 @  d& ~1 I! }: j5 h7 P3 ^1 H
3 h7 W3 Q/ e: M
 「投げたことのない人をピッチャーにしたり、三塁手だった人にキャッチャーをやらせたりしたから、うまく回転しなかった」。森元首相はおとといの講演で内閣をそう評した。だが守備位置の前に、そもそも試合に出る資格はあったのか。安倍監督の見る目も問われる。$ P, e$ ?' e. p

/ P. O- ]9 t8 F1 u8 @) F. B 山道が険しくなり、乗ってきた馬を降りなければならない地点を「馬返し」と呼ぶ。富士山や日光の地名にも残る。参院選という尾根を控え、馬は脚から消えていく。自ら挑んだ山登りとはいえ、安倍さん、いよいよの徒歩ですよ。
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发表于 2007-7-5 07:17:02 | 显示全部楼层
2007年07月05日(木曜日)付4 H" I; M4 W) \4 A) t( ]8 H

: B; {) i0 _3 N! y8 D" P 「雑」の字にはいくつもの意味がある。雑種や雑居あたりは色んなものが入り交じる様。雑用、雑音などの含意は、主要でない、余計なというところか。先日公開された国会議員の06年の収入に、雑所得なる項目がある。
* l- X9 r& U, o3 g1 x/ j$ ^. _  _( m2 w6 s1 u& Z
 所得の中で、印税、テレビ出演の謝礼、講演料などが、分類しにくいという意味の「雑」に放り込まれている。様々の実入りが合わさった副収入は、雑のすべての意味を併せ持つ。" _  ^$ W7 L0 s* S. y
: L4 Z+ [! {1 \# r, a
 所得を報告した衆参710人で、雑所得の稼ぎ頭は安倍首相の2616万円だった。去年出版された『美しい国へ』が50万部を超す売れ行きで、印税が膨らんだらしい。続いて民主党の小沢代表。やはり自著の『小沢主義(イズム)』などで2000万円を稼いだ。3 `! s. A' B0 y; g. _; ~+ K
  k& Z/ E( Q5 m: Z" k6 A0 G
 テレビ出演の収入を報告した議員は82人いた。ワイドショーの常連のような顔も思い浮かぶ。経験や見識より、生放送で気の利いたことを言えるテレビ勘が重宝されるようだ。謝礼は1回数万円が相場だという。
$ A$ G6 c& U( T+ Y& C' i0 b' ~7 J
 なるほど、訴える力は政治家の条件だろう。手や口を動かしての収入だから、「雑な所得」も土地売却や株取引よりは労働報酬に近い。ただし、その源泉は肩書だ。上位お二人の本は、与野党の顔でなければあれほどは売れぬ。テレビ議員の大半も、バッジが外れたらお呼びはかかるまい。
9 }  t2 N7 k9 Z7 M" {2 o, r: M! t$ }, M- M. {4 n7 o& u% Z
 政治資金の中では小遣い銭ほどの額でも、肩書ゆえの収入であれば公の色をまとう。慈善に使う細やかさを政治家に期待するのは、おめでたすぎるだろうか。雑には粗いという意味もある。「雑に消える所得」では寂しい。
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发表于 2007-7-6 10:53:32 | 显示全部楼层

2007年07月06日(金曜日)付

 何が暑いってこれほど暑苦しい様はなかろうという戯(ざ)れ歌である。〈西日さす九尺二間(くしゃくにけん)に太っちょう背(せな)で子が泣く飯が焦げつく〉。真夏の夕日がべったり当たる裏長屋で、子守と炊事に追われる肥えた母親。わずか6畳分の空間で「ママ」が二つも熱くなってはたまらない。
4 Z2 `2 l% P: @3 n
$ K  J5 n/ h& E$ g2 ]( C" D2 Z 気象庁の予報では、この夏は暑く、残暑も厳しいそうだ。冷房機器が行き渡っても、日本の盛夏はなお「しのぐ」季節である。とりわけ、ふくよかなご同輩は夜間がつらい。この皮下脂肪を脱いで、枕元に畳んでおくわけにはいかない。
" B; u) K4 ~! c4 h
4 _; f* B! u  d  ?2 k 国立環境研究所によると、20世紀末の東京では、気温が27度を下らない夜はひと夏に4、5回だった。それが、2011~30年には3倍に増えるとみる。気温35度以上の昼も5割増しだ。
; v8 g  I& G, s2 N' f- L: t
! K* y' D1 k" r$ R+ c 極地の氷が解けて沿岸部が水没するといった警告には、実感がわかない人もいよう。しかし、蒸す夜が遠からず3倍になると知れば、話は違う。うだる熱帯夜が嫌なら、今夜から省エネに努め、温暖化を遅らせるしかない。
  ^$ Y1 s/ }7 Y' n! {! T, q/ Q0 u4 l2 K" {; N
 「西日さす」が枕に振られる落語「青菜」では、屋敷で働く植木屋が暑気払いの酒肴(しゅこう)にあずかる。井戸から出した直し酒と、氷に盛ったコイの洗いだ。酒食や怪談で涼が取れた時代はいい。ほかに手がない事情はあろうが、気温も少しは低かったはずだ。; ^9 L3 z! g) z! n3 i) N% V

1 c, m2 {2 R* \* S7 j5 i3 f 環境研は、冬の「零下の夜」は3分の1に減ると予測する。寒がりは助かるなと、のんきなことは言うまい。この夏の冷房を絞れば、来年が少し楽になる。生涯の寝苦しさを均(なら)すつもりで、心したい。
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发表于 2007-7-7 07:52:08 | 显示全部楼层
2007年07月07日(土曜日)付
& P/ W' q2 a; C# t# q; `4 t' J1 l( z5 r8 p
 「大人になったらなりたいもの調査」(第一生命)で、女子の首位は10年続けて食べ物屋さんだという。保育士や看護師の人気も根強い。幼い頃、あこがれの職業を、着せ替え人形と相談した人もいるだろう。" N3 ?4 {/ [" _
: W" r, e" Q: i* p4 \; y
 タカラトミーの「リカちゃん」が、発売40周年を迎えた。累計5300万体。日本の少女文化を担い続ける。50歳前後までの女性なら、多くが一度は彼女と遊んだはずだ。
. [1 ^* t' L8 @! a! t9 H6 d* w+ i8 `
 開発者の小島康宏さん(66)にお会いした。かつてのタカラはビニール用品専門で、業界の空気は「膨らませ屋が何を」だったという。社長は「3年は売る」と意気込み、3年後には「あと10年」に。小島さんは腹を据え、長女の名前を里香とつけた。
0 m. C2 A  |( L6 w6 Q5 d3 H4 q3 J& m" A7 ~9 H0 H$ d9 _
 少女漫画の悲話をまね、リカの父は行方不明という設定。子供が遊ぶ時は、これが地域により「出漁中」や「東京へ出稼ぎ」になった。後に、父親はフランス人の音楽家と「発表」された。その種のあこがれは、双子の妹や白い家具など、膨大な商品群を生んだ。3 h; g) c+ |/ H1 {) K

, B8 V" f* _8 m( Z  p  y この40年で日本女性の寿命は11歳延び、産む子供の数は2.2人から1.3人に減った。自由時間や選択肢は増えたが、幸福感はどうだろう。リカちゃんの購入層は約5歳若返り、幼稚園児が主となっている。おとぎ話で遊べる時期が、昔より早めに終わってしまうのだろう。8 }% Q: U* u2 L3 I4 q) o
$ \) b1 e. i3 t, O
 夢がより現実的になっても、「なりたいもの」が社会に優しく役立つ仕事なのには救われる。その情操を育むのに、リカちゃんも一役買ったのか。「永遠の11歳」は目に星を浮かべ静かにほほ笑むだけだ。
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发表于 2007-7-9 07:46:25 | 显示全部楼层
2007年07月08日(日曜日)付3 Q' T; X1 i: R5 Q! U

5 R$ U; ?0 Q7 |$ d" o7 d7 }* J3 P& o 日照りが続いた後なら、「喜雨」「慈雨」と歓迎される。しかし雨は、やはり疎まれがちだ。日々のあいさつでも、「あいにくの空模様」「足元の悪い中」などと、忌むように言い交わされることが多い。. ]1 m3 ^/ B* h$ j( D

9 |; p- g7 o. r だが雨好きもいる。詩人の薄田泣菫(すすきだ・きゅうきん)は、梅雨の雨がしとしと降る日を、「好きな本を読むのすら勿体(もったい)ない程の心の落ち着きを感じます」と随筆に述べている。そんな日は、静かに心の深みに降りていって、独を遊ばせ、独を楽しみたいと言う。& G! |' O' s1 O- |; P% V+ q& M

* g/ p6 q4 u( U6 g 仏文学者の辰野隆(ゆたか)も、降りはじめると、雨を眺めながら、聴きながら、いつも気分が快かった。「雨。雨。雨。……雨滋(しげ)き国は何処かにないであろうか」と記し、自分の前世は田んぼの蛙(かえる)か田螺(たにし)だったらしいと言っている。
2 t% n' B$ v4 }- j. j. p- r8 o) Z
* T9 \9 K4 f, E* \ 静かな感傷を許さない「暴れ雨」が、近ごろは目立って増えている。短時間に滝のように降り、瞬く間に冠水や浸水をもたらす雨だ。気象庁によれば、1時間に80ミリ以上だと「圧迫感があり、恐怖を感じる」という。とても心の深みで独を遊ばせるどころではない。
3 W% t; b7 U0 m( |! P3 ^' M$ U/ r8 F4 {) |" y7 H9 |5 ?
 片や、数日から1カ月ほど、ほぼ雨無しが続く頻度も増えている。つまり「降らないか、降ったら土砂降り」という二極化が進んでいる。渇水を案じて待ち望んだ慈雨が、たちまち災いの雨に変わる。これもやはり、温暖化と無縁ではないらしい。
5 k" ]" S! w( W! |3 N/ U9 C' p8 N4 X4 d
 大雨に見舞われた九州でも、短時間に猛烈な雨の降った所が多い。凶暴な雨である。しかし「人為の故なきにしもあらず」なら、これを「天災」と忌むだけでは事足りないのかもしれない。
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发表于 2007-7-9 07:47:36 | 显示全部楼层
2007年07月09日(月曜日)付
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 時代小説を読んでいると「口入れ屋」という稼業が時おり出てくる。奉公口や日雇いの仕事を斡旋(あっせん)する業者である。店に来る町人や浪人者の人物を瀬踏みしつつ、職をあてがう。小説のこと、情に厚い善人もいれば、腹の黒いのも登場する。. c3 x6 d) K9 u: b4 x4 t
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 当節は代わって、人材派遣会社である。和紙に筆の時代と違って、日雇いの場合だと、携帯電話やメールで働き手を指図して派遣する。規制緩和の波に乗って、業界全体で大きく売り上げを膨らませている。# A- T, L0 l$ e! C

" r# G  |* w$ ?  V 腹の「黒っぽい」業者もあるようだ。日雇い派遣者からの不透明な天引きが、業界あげての問題になっている。一度の勤務ごとに数百円。名目は「業務管理費」「データ装備費」などさまざまだが、使途ははっきりしない。
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* L  Y' h; a& p' Y* o- N7 A% r 保険料だと説明されたのにケガをしても出ず、「詐欺」と怒る人もいる。厚生労働省は一斉指導に乗り出すことになった。全額返還を決めた大手もあるが、業界全体の総額は100億円を超すと見られる。ちりも積もればと言うが、取りも取ったりである。! [& c/ f$ A. a0 S

3 ~, g; ?& r% g  p4 ^ 〈搾取した金は善窃取した金は悪〉と、川柳家の井上剣花坊(けんかぼう)は詠んだ。昭和初期に川柳を「社会詩」と言った人だ。「搾取が善」とは無論、資本家への痛烈な皮肉である。ひそみに倣って、不透明な天引きをどんな種類の「取」とみなすべきか。7 ^) N5 s- U6 k" z% @
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 〈明日と云(い)ふ希望を暗い国に置き〉という、やりきれない句も剣花坊にある。日雇い派遣者には、低賃金に悩む若い世代も多いという。希望まで失うことのないよう、国にはきっぱりした姿勢がほしい。
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