第三話
鵜飼良一医学部長(伊武雅刀)に、贈った油絵を「預かったことにしておく」と微妙な言い回しをされた財前五郎(唐沢寿明)。たじろぐ財前だが、報告を受けた舅の又一(西田敏行)は、財前をなだめながら地区医師会長の岩田重吉(曾我廼家文童)を紹介する。岩田は医学部長選の折、医師会をまとめて鵜飼を学部長にすべく奔走、さらに鵜飼の浪速大の同期でもある。鵜飼にとっておろそかにできぬ人物だ。岩田は、財前の教授選応援が、医師会と自分の権益に繋がるとふんで、援助を約束する。
同じ頃、東教授(石坂浩二)の家には東都大の船尾悟教授(中原丈雄)から、教授推薦者の履歴書が届いていた。
翌日、東は里見脩二(江口洋介)を呼び、財前が執刀した膵臓がん手術について尋ねる。緊急オペの必要があったのか? 功名心から東の留守中に手術したのではないか? 答えに詰まった里見は、玉虫色の返答をするが、東は “緊急性なし”と受け取り、教授会で財前を査問するよう鵜飼医学部長に申請。鵜飼は、一任して欲しいと答えるに留めたが、これを承諾と解釈した東は、財前を呼び出し、査問教授会への出席を命じる。
医局長の佃友博(片岡孝太郎)は、財前に、東に手術について知らせたのは里見であると告げる。財前は里見とクラブ『アラジン』で会う約束をする。愛人・花森ケイ子(就─い毳ⅴ楗弗螭恰⒇斍挨蠔藛枻摔堡椁欷毪韦侠镆姢韦护い坤蓉煠幛搿U鎸gを報告するべきだと主張する里見に、財前は土下座までして報告書の提出をしないよう懇願するが、里見は受け入れない。
家に戻った財前の荒れた様子から、教授選がらみで何かあると察した妻の杏子(若村麻由美)は、翌日、東教授邸へ挨拶に行く。財前に嫌悪感を抱く東の妻・政子(高畑淳子)は、とりつくしまもないが、杏子もひるまない。
岩田ら地区医師会は、講演会に鵜飼を招いた。終了後、岩田と又一は『扇屋』で鵜飼を接待する。鵜飼は、絵を返すと切り出すのだが、又一は口八丁に譲らず、鵜飼の言葉尻をとらえて“財前を次期教授に”ということを既成事実化しようとする。又一と岩田のペースにはまった鵜飼が、絵をもらうとうなずくと、又一は隣室に控えていた財前を呼び入れた。
翌朝財前は、徹夜で査問会への報告書を作成していた里見に、査問が中止になった旨を告げる。財前は、ケイ子にも次第を連絡するが、楽観的な財前をケイ子はたしなめる。査問中止を鵜飼から聞いた東は、財前が裏で手を回したことを感じ取り、怒りに燃えるのだった。
つづく |