リン へぇーずいぶんいいのくれたじゃん。
- x, W0 B. Q$ h1 K: Dこれがさ、釜爺のとこへ行くんだ。混んでないからすぐ来るよきっと。
9 l+ t) B% o) _+ y. u3 P' F$ yこれを引けばお湯が出る。やってみな。
' a |0 R" C `5 P; i0 l9 @千 うわっ！… 9 ~) |2 ^# v6 y' K' S. k. {
リン 千てほんとドジなー。 8 R2 d+ ^4 G! A: T/ g g
千 うわ、すごい色… 5 o6 C# `" A' ?2 a0 ~! z; S
リン こいつにはさ、ミミズの干物が入ってんだ。こんだけ濁ってりゃこすらなくても同じだな。 + w0 c) Z8 Z+ t- a6 x
いっぱいになったらもう一回引きな、止まるから。もう放して大丈夫だよ。おれ朝飯取ってくんな！
2 K5 c; E7 R! L: I千 はぁーい。…あっ。
( R- F9 v) T2 l& w1 @. k) h ! T5 o% @$ k* \* x7 r0 I: s
カオナシを見つける。風呂の縁から落ちる千。
6 _* Z2 U$ o6 }- {2 e: \
% g4 s+ M9 @9 \4 [4 I, ^千 うわっ！…いったぃ…った…
- {; f& }, c* x* z4 M/ qあの、お風呂まだなんです。 9 H' R% b/ T5 A+ W9 w
わ…こんなにたくさん… , z; r* z7 \$ L: B
えっ、私にくれるの？ : |. U3 ~/ t/ S- }* i
カオナシ あ、あ、… + f3 Q/ C( [# M/ N' H$ t
千 あの…それ、そんなにいらない。
" m; p9 b$ l' f9 b$ [4 bカオナシ あ、…
3 `3 p9 {( E X U! h5 Q千 だめよ。ひとつでいいの。 . r% V2 x3 {8 o$ C
カオナシ あ…
( M3 W' j( n6 ?' k6 k) G
- b: `4 A M+ F1 p千 え…あっ！ ) R' u' ]* b1 q9 D9 a
8 m2 P9 ?- _$ M釜から水があふれる。 1 D" q* j, M% E( [$ o- j; D
9 v# X1 b. z$ a. m1 u3 r0 E千 うわぁっ！
1 V# Y- z$ g) @9 G" D8 C/ S8 k* s : Q- ?8 t! n @
父役 奥様。
3 z* W0 Y1 J! P3 o$ _ r) k/ }& i8 N* g9 F湯婆婆 クサレ神だって！？ " F3 Z& c& F0 @( |9 |4 i0 _; h
父役 それも特大のオクサレさまです！ . B( b1 J$ w) ~; j( P; V
従業員 まっすぐ橋へ向かってきます！ + q+ |+ f. y H4 S
4 U" M/ `0 t! t% ?# Q
従業員達 お帰り下さい、お帰り下さい！
9 r% ~. p. y4 C: J青蛙 お帰り下さい、お引き取り下さい、お帰り下さい！
7 x5 X6 W: x3 gうっ…くっさいぃ～…！ ! R% A0 `" o1 ?4 w. m& ?' g7 Z
. B# w7 r5 p1 g4 T) |
湯婆婆 ぅう～ん…おかしいね。クサレ神なんかの気配じゃなかったんだが… 6 H, q! H4 u! i c0 A
来ちまったものは仕方がない。お迎えしな！
, R: k( e( P! }: K9 mこうなったら出来るだけはやく引き取ってもらうしかないよ！
- }! y: p* w3 ^8 G% u4 |
z! o) G0 d9 p9 ^' y. e' i: V% z兄役 リンと千、湯婆婆様がお呼びだ。 : Y1 J( v+ G k+ {
千 あ、はいっ！ ; W$ V$ u i! ], `
湯婆婆 いいかい、おまえの初仕事だ。これから来るお客を大湯で世話するんだよ。
1 X1 j8 F" n0 s1 J千 …あの～…
" l U( T$ ~, I$ ~. Z/ ]湯婆婆 四の五の言うと、石炭にしちまうよ。わかったね！ 3 f2 ~7 h- M. r8 A% j- @
父役 み、見えました…ウッ… " t2 K' l. d4 ^1 Z% V2 \. \6 \4 r
: o+ [2 |4 {. ~: x4 E9 Q( K% h湯婆婆?千 ウゥッ…！ }7 T& g1 e: I# A
湯婆婆 …おやめ！お客さんに失礼だよ！
7 B5 n: e# A8 l! P! W5 S: W' pが?が?…ヨク オコシクダしゃいマシタ…
% q, Q% [5 L, {( s$ s2 vえ？あ オカネ…千！千！早くお受け取りな！
2 r* F8 L/ Y1 }9 A千 は、はいっ！
1 A0 Y, T+ T' }/ u4 F5 P6 D（ベチャッ） * _# S) D3 Q3 B# F1 F, l; ?+ c9 B
千 うゥ…！ ( [" X; H/ ~% i( c' R7 A$ \
湯婆婆 ナニ してるんだい…！ハヤク ご案内しな！
! }/ D& }% f$ d6 \ o. Z$ N0 U千 ど どうぞ … ; C1 E6 S, }- T5 G$ q
: b6 X9 [% S" a$ `& Bリン セーーーン！ % y+ `0 m& s1 R. a ~7 n
うぇっ…くっせえ…あっ、メシが！
: ?/ @ |+ a- D, M $ c7 K5 U* b, }! h6 Z
湯婆婆 窓をお開け！全部だよ！ % O. i Q* K! X3 |8 b& L7 a$ {/ u N# v
8 M( C) K7 G" A: o2 e
大湯に飛び込み、千に何かを促すオクサレさま。
$ i9 n+ `5 ]7 O' K0 e( I 8 S' v- H/ D5 S) E' f
千 えっ？ぁ、…ちょっと待って！
) {# a0 H0 p" L8 b9 b# k+ R C9 k& D3 c) z; D9 r& h, W
上から見ている湯婆婆と父役。
9 z, F! h, A% K3 O 9 C) h0 u1 R. m, s
湯婆婆 フフフフ、汚いね。
% \! k( ^' b: R. X, b父役 笑い事ではありません。 ' W3 E @+ S) T$ K% m* [7 b4 h
湯婆婆 あの子どうするかね。
& a7 |: r5 _* {, \8 o$ `…ほぉ、足し湯をする気だよ。
! a; \6 U* ~( D; `1 [* Z# ?) O父役 あぁああ、汚い手で壁に触りおって！
) w: F* \, Y Y8 I& g. ~& n 0 \- d0 H* S, h
千 あっ…あっ！
. K- k. V8 j: L1 b9 m* H
/ k! ^7 p/ I, L& j: s9 B* l札を下げようとして落とす千。他の札を取って釜爺に送る。
8 o8 P1 a( P# r6 Y
, V* D" B+ W& ]湯婆婆 んん？千に新しい札あげたのかい？
, I' j) B5 w% e/ G父役 まさかそんなもったいない… " a2 [6 U O4 {" M& S2 b
8 N( H9 d. h: k, F& @" E- Z# _千 わっ！
8 N* M! u/ P' T. x7 p/ K/ w. H9 z * E) a: C2 k0 S; f! e
湯の紐を引きながら落ちる千。ヘドロにはまる。 & o6 S3 Z* n/ R' G- y9 a$ J; J
% u$ `/ m& ]- Y8 s" d父役 あああーっ、あんな高価な薬湯を！
2 l3 P- b' B0 P$ H5 `* O) |2 V9 [
5 W2 T+ t% E* Y& Cオクサレさまに引っ張り出される千。何かに手を触れる。
8 w2 \1 u+ M: T& T, b
5 Y( Q2 C* Y% ?0 g千 …？あっ？
7 }+ a; T! p) s& _' d
; W( ?; R7 n9 M, M/ Yリン セーーーン！千どこだ！ # S% W+ Q, b' p( F, d
千 リンさん！
9 g! f* e) y b( J/ y! {9 T8 Z, Wリン だいじょぶかあ！釜爺にありったけのお湯出すように頼んできた！最高の薬湯おごってくれるって！ 1 p: s( L6 Z3 S9 x6 r% e( s' V/ w1 M
千 ありがとう！あの、ここにトゲみたいのが刺さってるの！ 7 L# f% W# o5 L- o
リン トゲーー？ 7 \+ B X- k4 d) u# z0 g% V7 L
千 深くて取れないの！ ) Z- G* W/ L" r- G& M7 {& B) ]+ V
4 l2 y; c! Q* J
湯婆婆 トゲ？トゲだって？…ううーん…
: T' o9 w2 } a" e下に人数を集めな！ " m9 p8 S8 O5 y2 }
父役 えぇっ？
# S% j+ S, K4 F4 _" P& s- U( s湯婆婆 急ぎな！ 7 c* a3 D% e) }% K
千とリン、そのお方はオクサレ神ではないぞ！
, C# H7 o' @. A* Qこのロープをお使い！ ( N# E, n& `) |$ u
千 はいっ！
* I2 k% a, \0 W/ t7 Kリン しっかり持ってな！ 2 t E% A. V, h( j2 \4 k$ m
千 はいっ！ 9 y( U' C1 ~& \& i
湯婆婆 ぐずぐずするんじゃないよ！女も力を合わせるんだ！
( w! f8 S* ]9 y C3 h千 結びました！ * ?$ m1 S7 z4 C, L" T% ]
湯婆婆 んーーー湯屋一同、心をこめて！エイヤーーーーソーーーーレーーーー
. c( Y& O p& c' u+ m一同 そーーーれ、そーーーーれ！ 4 Q8 @5 f" I& r( I ]: D" x
そーーーれ、そーーーーれ！ 1 f' d# j& [9 i) g1 I
千 自転車？
5 _: E6 K- l3 j9 j湯婆婆 やはり！さぁ、きばるんだよ！
7 u! i* N+ a- f, E9 h; g w 9 @& w: t5 V4 l: Q. Q
オクサレさまからたくさんのゴミが出てくる。 ' c/ r1 q/ T; \4 f: t& M
, ~1 [- t1 U- U
河の主 はァーーー…
( a7 Y3 A' @3 Q' ^2 S
/ q$ R) `! v7 e# n4 s: H千 うっわっ…わあっ！ - p1 \# U, f. t# J6 m5 J! ^
. t# X2 O: I8 X! {! y1 s水の流れに包まれる千。
; S' U6 c8 {+ G3 p0 M ) E! k! O2 n' }0 V
リン セーーーン！だいじょぶかあ！？
: h% @) B% T2 D& m
, @6 k# ?, u! T6 E! Q) l9 Y河の主 …佳き哉… 5 T; r, G% J7 t0 L; v
千 あっ…
: X" F2 b O9 K
- ~6 l! ^+ Z8 c- U' k% }* |9 f& j4 \千の手に残る団子。
/ r! V, P* ~9 j1 V1 G2 { g0 @0 G5 ^: d
湯婆婆 んん…？
9 o% D: Z, a1 Q3 e. i従業員 砂金だ！
; t/ q' T& _- I2 D. B砂金だ！わあーっ！ 3 ]! O$ E# k+ @) k1 h
湯婆婆 静かにおし！お客さまがまだおいでなんだよ！
1 M9 n4 U- z0 ~) ^千！お客さまの邪魔だ、そこを下りな！
' b; U: o" ~2 y大戸を開けな！お帰りだ！ , c3 z8 c0 j+ G Q2 `. T
5 t/ u: j* t) M+ \$ h
河の主 あははははははははは…
3 G/ s1 t, x4 P4 J* Y* l8 O 9 t7 p) l9 s9 a% |$ h! P+ g) |
神様達 やんやーーやんやーー！ 0 g& |' B' V* ]/ ^
湯婆婆 セーン！よくやったね、大もうけだよ！
% F: Q! Z. s( U' V! mありゃあ名のある河の主だよ～。みんなも千を見習いな！今日は一本付けるからね。 8 f: t/ t b- I# W) G
みんな おぉーー！
4 a( u0 \- P# b @湯婆婆 さ、とった砂金を全部だしな！
# Z! v) V, J0 Vみんな えぇーーっ！そりゃねえやな…3 ~9 W. U' U& U- }, W5 ~! f8 Z
4 ]2 T) H" W8 G3 h* G. J
$ w$ U5 R2 A; _
+ b/ ^4 p7 ^; g) t「仕事が終わって、部屋の前でくつろぐ千。」( r8 U" d% x: ~" |
! R1 C. d- N# A9 Xリン 食う？かっぱらってきた。
5 f/ m1 h0 V' E/ S千 ありがとう。0 c+ r7 @4 l `/ h2 i8 H+ v
リン あー、やれやれ……( k M' h3 Y i' e
千 ……ハク、いなかったねー。
, l$ L+ X# Q! @. l4 k3 }* j, P! pリン まぁたハクかよー。……あいつ時々いなくなるんだよ。噂じゃさぁ、湯婆婆にやばいことやらされてんだって。9 ]! p" O- G+ A) J' L$ U, n
千 そう……
% ]8 }; V& o5 u' g' y& J女 リン、消すよー。# w$ Y' ^+ Z/ p0 O
リン あぁ。
8 v3 J6 i0 _, w' n8 g千 街がある……海みたい。4 ^: e, X4 a7 F. i, z
リン あたりまえじゃん、雨が降りゃ海くらいできるよ。
+ g, a: S% w; t9 Z) Pおれいつかあの街に行くんだ。こんなとこ絶対にやめてやる。
8 g1 C! r0 ]: m; N& ~ |1 H
% b9 ]* M4 z% f2 ], n+ U$ u: @/ L「ふと、団子をかじってみる千。」
2 O$ N& Q5 M7 d, O# K
+ {! ^" y8 m- u5 n6 h1 `千 ヴッ…うぅっ……
" q- e- M- S) C, c+ jリン ん？……どうした？
$ x2 _6 ~( N/ ?6 c5 l
% Y4 @/ R; B- S% a「人気のない大湯に忍び込む青蛙。」5 W6 \% ~3 S" b
2 J. I. R# n9 V# M$ z i5 g' X7 A: M
青蛙 ん？んんーーっ……( U$ N# Y6 ~, A# t. g9 s
……砂金だ！……あ。" U {2 P% w" A$ N) x9 e9 ?7 s8 t1 k5 }
おぬし！何者だ。客人ではないな。そこに入ってはいけないのだぞ！1 a. ^4 a6 V# {: {. L* T
……おっ！おっ、金だ金だ！こ、これをわしにくれるのか？8 |' J3 V1 A. a: W: _. C
カオナシ あ、あ……
6 V# [; F6 O. B" r, \青蛙 き、金を出せるのか？. d6 U4 M8 X6 z: l, M, \, k" z
カオナシ あ、あ、……
1 O; f- W ~. W! Z' s青蛙 くれ～っ！！5 ?- s4 c* \! f& |2 B
1 U4 e9 [) t r! w4 U青蛙 わあっ！！！
" f1 r; ]) K# y# J, i7 P
( {! T# X( W* v2 W) [「カオナシにひとのみにされる青蛙。」
( S( g1 ?/ m6 Q( `) g3 g1 Y8 E# W" u H( v" H9 z6 Y1 H
兄役 誰ぞそこにおるのか？消灯時間はとうに過ぎたぞ。* k5 v% _8 j B
うっ……？
^8 p8 s+ Y, Mカオナシ 兄役どの、おれは腹が減った。腹ぺこだ！5 o) E$ m( k0 B4 g
兄役 そ、その声は……8 U9 \: V7 _2 v# ~* m( A1 [# d8 z
カオナシ 前金だ、受け取れ。わしは客だぞ、風呂にも入るぞ。みんなを起こせぇっ！5 x7 t6 r0 p: U5 _5 r. _7 m% A/ A
- F+ o' A9 a8 x9 X
千 お父さんお母さん、河の神様からもらったお団子だよ。これを食べれば人間に戻れるよ、きっと！
( W, A: ]9 ~% b+ v* ~5 b# P8 Q7 [/ O7 P, _8 A9 C6 v
「たくさんの豚が一斉にこっちを見る。」
' K5 `" B1 ]( ]7 g/ X4 }! |9 n* o1 w
千 お父さんお母さんどこ？おとうさーん……6 L3 N4 ~7 g. d% Y
) I& W4 Z6 R5 ]4 W
千 ハッ！……やな夢。& \5 k' z/ _ k& ]9 Z
……リン？……誰もいない……" I8 P7 {2 @5 a0 o0 n
7 J" P' i8 Z& `( U; ]! M1 P( T6 c千 わぁっ、本当に海になってる！% _6 x4 t- U# P( M' E
ここからお父さんたちのとこ見えるんだ。
, U* P2 D$ F, ` @& ~& ~釜爺がもう火を焚いてる。そんなに寝ちゃったのかな……
3 l" `1 Y9 W: z8 ?- k# B2 `1 B$ u' v, m# `
兄役 お客さまがお待ちだ、もっと早くできんのか！？
% e# z9 c( q2 t9 b& \父役 生煮えでもなんでもいい、どんどんお持ちしろ！* {# l6 ^" B. @$ H) J
リン セーン！
( k( u+ g$ d3 i+ Z! i# t千 リンさん。
$ ], a. g% [6 Q1 Q% H' M3 Fリン 今起こしに行こうと思ったんだ。見な！; } N, w' b0 b& [* Q7 S
本物の金だ、もらったんだ。すげー気前のいい客が来たんだ。% M5 f+ |3 x/ `) ~' F; N8 v, f' J
1 c6 N4 Y* j/ v# m
「大湯に浸かってごちそうを食べまくるカオナシ。」9 a0 T) N! a( d; y7 l- a
$ ]3 {! ~0 T- B) u
カオナシ おれは腹ぺこだ。ぜーーんぶ持ってこい！
1 m6 M" q+ N7 ^& K+ U4 i7 I; E: u) }% I r$ x% o2 ]9 O H* N1 Y; ^/ |
千 そのお客さんって……
, X8 k, j2 l d/ S" eリン 千も来い。湯婆婆まだ寝てるからチャンスだぞ。! t% M, |- j/ q4 w6 w& [
千 あたし釜爺のとこ行かなきゃ。
6 ]; A; ?3 G0 L/ h6 Sリン 今 釜爺のとこ行かない方がいいぞ、たたき起こされてものすごい不機嫌だから！
- Y" t7 i' _) A. c/ V+ ^女たち リン、もいっかい行こ！: a _ Q* u; p$ L5 {( k
リン ああ！( t2 _) `& ^- n% B N: C2 x. _3 d! Y
0 ?0 Y( [. T% `0 E5 Z+ ~3 i, t# P* `
「部屋に戻る千。」& \% [1 z7 S% ]+ |6 [. l% [
& g1 c+ d* a: w千 ……おとうさんとおかあさん、分からなかったらどうしよう。おとうさんあんまり太ってたらやだなー。# l" L# n4 b9 K, E# S& u
はあ……
4 s: x/ X" o9 |/ R/ i" x* P7 g8 Q, V `
「海の中を白い竜が式神に追いかけられていく。」
1 p, R4 h3 f) _, ~8 D7 h/ R. \( i( B; d( ~
千 ん？……あぁっ！# k4 [8 E3 a3 J3 i5 e$ Q
橋のとこで見た竜だ！こっちに来る！
4 g5 Q* Y8 Z. a D/ Nなんだろう、鳥じゃない！……ひゃっ！
2 }( e* a( ?- Xハクーっ、しっかりーっ！こっちよーっ！！……ハク！？/ F# V: Q' X2 l6 w# n; J7 L
ハクーっ！！5 M' u$ t0 |$ B: ?
6 m+ [% k6 D" B4 N6 H, ?「部屋に竜が飛び込む。窓を閉めようとする千に、式神が飛びかかる。」
( p9 t' x" g* ?4 m, a/ _
& j* T$ r) {. D! y9 r千 うわぁっ！わぁああーっ！！……あっ？' r6 X ~. o+ n$ W
……ただの紙だ……
( v/ t$ F6 x/ j% i5 t3 K$ p7 P3 @# `
千 ハクね、ハクでしょう？
1 R+ {5 {6 b% P7 @1 T+ E$ z8 ?: Kケガしてるの？あの紙の鳥は行ってしまったよ。もう大丈夫だよ。……わっ！ r8 C& I6 z8 N- Q: P, [
湯婆婆のとこへ行くんだ。どうしよう、ハクが死んじゃう！! `+ y- c. D4 V' c+ T7 M e4 y
+ [: Z7 w! k2 T0 h: D' ]0 y+ S「竜を追って走り出す千の肩に式神が張り付く。」' D/ Q" E" |% w C
1 W5 \. P) D2 {( r6 B) H j9 x$ ~
兄役 そーれっ、さーてはこの世に極まれる?お大尽さまのおなりだよ?そーれっ2 u. T8 _# {7 s( C
みんな いらっしゃいませ！！
5 V! ^( c! V; P' [/ ^! E) F4 R: L3 j兄役 それおねだり?あ、おねだり?おねだり?
& r/ `: o4 d& Q# [7 K# _9 W
2 o( n% f' k B/ ^) Z1 S「騒ぎの中をエレベータへ駆けていく千。」
: B2 U1 `; o$ G$ R# n/ ?2 n: A; F" H, A* \: h" ^
蛙男 おっ…と。こら、何をする。: l" ~# m, e' s: E. P
千 上へ行くんです。" w& M" h4 V% I- n% n& p4 n
蛙男 駄目だ駄目だ。……ん？あっ！血だ！！
' F5 S4 G& v, y. {# u! n( l% j! j$ C: P4 D c# t5 F
千 あっ……+ D+ O0 {4 ^0 t; `- ?- R
兄役 どけどけ！お客さまのお通りだ！! ]0 U# t$ N! W! M3 z2 Z/ x8 G Z' Y
千 あ、あのときはありがとうございます。
" B$ ]% A5 E: N6 `( O8 L* K- V兄役 何をしてる、早ぅど……うっ！？, A0 [9 A& o" K0 G6 f/ ?
カオナシ あ、あ、あ……2 J9 n0 p3 N+ Q3 x" \: T% r; X
. _- L/ P1 e% d) C; x( d: ]" i/ u
「千に両手いっぱいの金を差し出す。」. l) Y: ~3 I- g' V a
. D" Y+ E$ C* ~% Y* n5 _# W6 V/ l
カオナシ え、え、……0 F9 s6 W1 Y1 {/ v" ]7 y2 L
千 ……欲しくない。いらない！
! E3 p# l g2 w& a$ D9 { Yカオナシ え、え……( w0 p; s7 S# j4 D! h G
千 私忙しいので、失礼します！
$ h+ N" a" s' B9 b7 [4 r6 O3 v8 {: b7 U) @9 {* r
「こぼした金に群がる群衆をすり抜けて千が出ていく。」
6 O! |( Z% K& q4 a! W v: h! b# k% P0 K
兄役 ええい、静まれ！静まらんか！！下がれ下がれ！
9 B1 j3 i4 f9 w: M% e' eこれは、とんだご無礼を致しました。なにぶん新米の人間の小娘でございまして……
* a6 W# w# ~4 H- Z9 [8 R4 G ?6 yカオナシ ……おまえ、何故笑う。笑ったな。7 D4 a: L, [! Y1 M' }5 ]
兄役 ぇえっ、めっそうもない！
" i) W# n8 ]+ g兄役?湯女 わっ、わっ、わああっ！9 u+ \- @+ ~& U# i
% Q* w% @/ i5 M. _$ I) J「丸呑みにされる兄役と湯女。皆がパニックで散っていく。」
1 G, Y1 A |- B/ p) H% k9 T4 A2 A" q" q
「窓からパイプづたいにはしごへ行こうとする千。走り出すと、パイプが外れて崩れていく。」% ]6 K5 r! B8 B6 U# h5 D3 C
: o; Y- I; Q* k1 D/ u5 k千 わっ、わっ、わっ、わあっっ！！
/ U- h9 @: K; P
3 s, |. u3 B( Z ^& Y- z2 s9 M9 P* N「かろうじてはしごに飛びつく千。はしごを登り出す。」
# e* X. Y+ e _) M6 g* y' j# N1 R7 q0 p2 T* T$ _0 U( I
千 はぁっ、はぁっ……あっ！湯婆婆！
% P! P* }- H( x' X# tうっ、くっ……くっ！くっ…あぁっ！. P) e+ z; H& ?7 M5 e# [8 E# z
+ w: h( ^ C2 _, b7 k$ M4 D
「窓を押し開けようとする千。式神がカギを外して中に落ちる。坊の部屋へ。」
1 F. R# d5 _4 ~" W; V/ ~+ Z9 t5 p! O! [$ I/ U3 c) I. B
湯婆婆 全くなんてことだろねぇ。) \# G9 R& H2 r) z' q
千 ！
5 E6 _; ~& B- I' f湯婆婆 そいつの正体はカオナシだよ。そう、カ オ ナ シ！- v* D R/ O' S
欲にかられてとんでもない客を引き入れたもんだよ。あたしが行くまでよけいなことをすんじゃないよ！
- [' J. J1 Q6 |) L…あぁあ～、敷物を汚しちまって。おまえたち、ハクを片づけな！5 N# Z8 H. R1 w1 w3 r
千 はっ！! V$ T a6 d5 l1 N# M: e
湯婆婆 もうその子は使いもんにならないよ！
4 l2 L9 n& [7 H0 V千 あっ……あ、あ、あ……% I" ^3 R. ]- ]0 e
. p( ?- u2 R p! W$ s
「クッションの中に隠れる千。湯婆婆が来てクッションを探る。」
) _- M0 ~' |9 j
+ F1 k; {/ A ?3 G- Q, _! B湯婆婆 ばぁ～。2 u5 M, e3 i n' ^2 |: t
坊 んんーー、ああー……ああーー……; D3 i: X0 }1 Z/ t+ }4 d9 N" |0 f
湯婆婆 もぅ坊はまたベッドで寝ないで～。+ g5 N$ R& K( N4 A0 L
坊 あ…あああーーーん、ああーん……
/ [' Q# n, j) X3 F0 b# w湯婆婆 あぁああごめんごめん、いい子でおねんねしてたのにねぇ。ばぁばはまだお仕事があるの。1 l1 N2 Q& j! ^# V/ r
（ブチュ）" E" G- `- l+ f. M
いいこでおねんねしててねぇ～。) C: P! }, \. t A! U
2 H4 i# W. a( b9 @$ f5 j% C9 ^
千 ……あっ！…ぅう痛い離してっ！あっ、助けてくれてありがとう、私急いで行かなくちゃならないの、離してくれる？
8 r3 ?0 t& o8 u! ^坊 おまえ病気うつしにきたんだな。: ^( Y4 H/ y! P& [( |6 y6 n5 b: W) i
千 えっ？( C1 h# q4 C6 U& ^8 R4 |
坊 おんもにはわるいばいきんしかいないんだぞ。- u! ]6 h% w' _2 x1 {( m. H8 m
千 私、人間よ。この世界じゃちょっと珍しいかもしれないけど。
3 r" [/ w Q+ |5 n坊 おんもは体にわるいんだぞ。ここにいて坊とおあそびしろ。( h0 l% V; A+ q
千 あなた病気なの？
% a3 \2 G8 e b+ z3 e坊 おんもにいくと病気になるからここにいるんだ。
- U- s9 @, L4 N6 M千 こんなとこにいた方が病気になるよ！……あのね、私のとても大切な人が大けがしてるの。だからすぐいかなきゃならないの。お願い、手を離して！
/ @; I# L* T, i, w( {/ m0 A坊 いったらないちゃうぞ。坊がないたらすぐばぁばがきておまえなんかころしちゃうぞ。こんな手すぐおっちゃうぞ。
+ d S/ w$ {4 \9 X千 うぅ痛い痛い！……ね、あとで戻ってきて遊んであげるから。! `! x7 a- r- ^8 H1 T4 d$ L# _
坊 ダメ今あそぶの！
% w% d6 B7 q8 S+ [千 うぅっ………7 w3 ^8 s& f# J! g4 W. M
坊 ……あ？; |& L; P+ R' O" R: S' t
千 血！わかる？！血！！
# L$ s6 y/ |8 u! `坊 ……うわぁあーーああぁあぁあーーーー！！！！ |
发表于 2006-10-10 00:17:23
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