きのうの朝、通勤の駅にいく道端に、幼い女の子の物らしいピンクの手袋が片方、落ちていた。拾い上げ、そばの生け垣に置いた。ひと冬に何度かは拾う
5 R8 d1 C" b! I昨天早上,在去车站乘车上班的路上,我发现一只粉红色的手套掉落在路边,大概是一个小女孩的东西。我捡起手套,放在旁边的篱笆上。一个冬天里捡到过好几次。) o6 x! N! g. S# ? E9 U. t% ^) }
作家の山口瞳さんはある随筆に、「道に落ちている手袋の片方を見ると怖くて仕方がない」と書いている。きのうの手袋もおそらくはポケットからこぼれたのだろうが、不安が胸をよぎらぬでもない。山口さんの感じた怖さは分かる. Q' ^% m) \' V$ D5 Q. c! S2 r
作家山口瞳在某个随笔中写道:“一看见掉在路上的单只手套,就非常害怕”。昨天的手套大概是从口袋里掉出来的,但也不是没有不安从心中闪过。我了解山口感到的恐惧感。
+ V5 H, z# X: f# u# bそうだった、あの事件も、木枯らしが吹き、子供たちが手袋をするころに起きたのだと、記事を読みながら思い出した。栃木県今市市(現・日光市)で当時7歳、小学1年生の吉田有希ちゃんが何者かに殺害されて丸2年になる" y4 h/ ~& y9 o" C3 V1 b
我读新闻时,想起来了:对了,那件事也是在吹起初冬的强风,孩子们戴起手套的时候发生的。在枥木县今市市(现在的日光市),当时7岁的小学1年级学生吉田有希被某人杀害,至今正好两年整。2 f9 B6 E8 S. s2 _5 Y1 A$ Q
「思い出した」と書いたが、遺族の胸には冷たく響くことだろう。片時も忘れない人たちには思い出すという行為もない。ご両親が公表した手記に、「あの日以来、時間が止まったままです…」とあった0 p+ R: r# u7 A0 y& {1 u
我写下了“想起来”这几个字,但在遗属的心中听起来肯定很冰冷吧。对于片刻都不曾忘怀的人来说,没有“想起”这样的行为。有希的双亲公开的手记里,有这样一句话:“自那天以来,时间一直是停顿不前的……”。
' I1 n( i/ n+ G- V残忍な犯人はこの瞬間も、どこかでのうのうと暮らしている。日光市内にある墓碑には「笑顔」の二文字が刻まれているが、ご両親の瞼(まぶた)に映る有希ちゃんはいまも悲しい泣き顔をしているに違いない
- N5 o" K ?( N8 G9 Q残忍的罪犯在这一瞬间仍然在某个地方悠然自得地生活。位于日光市内的墓碑上刻着“笑脸”两个字,但有希父母眼里所看见的有希,此刻肯定是一副悲伤地哭泣的表情。 s; \6 s. V& ]1 I2 h6 [! \
この冬、手袋をいくつ拾うだろう。仕事柄、日々の新しい事件に次々と目を奪われていく薄情の身ながら、せめて道ばたで心ひそかに手を合わせようと思っている。
1 X1 ?- F1 R1 {, h: L: X今年冬天,会捡到多少只手套呢?虽然我总是被工作上的事情以及每天发生的新事情接二连三地吸引注意力,是个无情的人,但至少在路边时,心中暗自想要为有希合掌祈祷。 |