|
楼主 |
发表于 2004-1-21 23:00:00
|
显示全部楼层
二一 清涼殿の丑寅の隅の、
清涼殿の丑寅の隅の、北の隔てなる御障子は、荒海の絵(かた)、生きたるものどもの恐ろしげなる、手長、足長なろをぞ、描きたる、上の御局の戸おしあけたれば、常に目に見ゆるを、にくみなどして笑ふ。
高欄のもとに、青き瓶(かめ)のおおきなるを据ゑて、桜のいみじうおもしろ枝の五尺ばかりなるを、いと多くさしたれば、高欄の外まで咲きこぼれたる昼つ方、大納言殿、桜の直衣のすこしなよらかなるに、濃き紫の固紋(かたもん)の指貫、白き御衣ども、上には濃き綾のいとあざやかなるを出だしてまゐりたまへるに、上の、こなたにおはしませば、戸口の前なる細き板敷に居たまひて、ものなど申したまふ。
御廉の内に、女房、桜の唐衣どもくつろかに脱ぎ垂れて、藤、山吹など、色々このましうて、あまた、小半蔀(こはじとみ)の御廉よりおし出でたるほど、昼の御座(おまし)の方には、御膳(おもの)まゐる足音高し。警蹕(へいひち)など、「をし」と言ふ声聞こゆるも、うらうらとのどかなる日のけしきなど、いみじうをかしきに、果の御盤取りたる蔵人まゐりて、御膳奏すれば、中の戸よりわたらせたまふ。御供に、廂より大納言殿御送りにまゐりたまひて、ありつる花のもとに帰り居たまへり。
宮の御前の、御几帳おしやりて長押のもとに出でさせたまへるなど、ただなにとなく、よろずにめでたきを、さぶらふ人も思ふことなきここちするに、「月も日もかはりゆけども久に経る三室の山の」といふ言を、いとゆるるかににうちいだしたまへる、いとをかしうおぼゆるにぞ、げに、千年(ちとせ)もあらまほしき御有様なるや。
陪膳つかうまつる人の、をのこどもなど召すほどもなく、わたらせたまひぬ。「御硯の墨すれ」と、おほせらるるに、目は空にて、ただおはしますをのみ見たてまつれば、ほとど継ぎめも放ちつべし。白き色紙おしたたみて、「これに、ただ今おぼえむ古き言、一つづつ書け」とおほらるる。外に居たまへるに、「これは、いかが」と申せば、「とう書きてまゐらせたまへ。をのこは言加へさぶらふべきにもあらず」とて、さし入れたまへり。御硯とりおろして、「とくとく、ただ思ひまはさで、難波津もなにも、ふとおぼえむ言を」と責めさせたまふに、などさは臆せしにか、すべて面さへ赤みてぞ思ひ乱るるや。
春の歌、花の心など、さ言ふ言ふにも、上臈二つ三つばかり書きて、「これに」とあるに、
年経れば齢(よはひ)は老いぬしかはあれど花をし見ればもの思ひもなし
といふ言を、「君をし見れば」と書きなしたる、御覧じくらべて、「ただこの心どものゆかしかりつるぞ」と、おほせらるるついでに、「円融院の御時に、草子に『歌一つ書け』とおほせられければ、いみじう書きにくう、すまひ申す人々ありけるに、『さらにただ、手のあしさよさ、歌のをりにあはざらむも知らじ』とおほせらるれば、わびて皆書きけるなかに、ただ今の関白殿、三位中将と聞こえける時、
潮の満ついつもの浦のいつもいつも君をば深く思ふやはわが
といふ歌の末を、『頼むむやはわが』と書きたまへりけるをなむ、いみじうめでさせたまひける」など、おほせらるるにも、すずろに汗あゆる心地ぞする。年若からむ人は、さもえ書くまじきことのさまにや、などぞ、おぼゆる。例いとよく書く人も、あじきなう皆つつまれて、書きけがしなどしたる、あり。
古今の草子を御前に置かせたまひて、歌どもの本(もと)をおほせられて、「これが末、いかに」と問はせたまふに、すべて夜昼心にかかりておぼゆるもあるが、け清う申し出でられぬことは、いかなるぞ。宰相の君ぞ、十ばかり、それもおぼゆるかは。まいて五つ六つなどは、たおぼえぬよしをぞ啓すべけれど、「さやは、けにくく、おほせごとを映えなうもてなすべき」と、わびくちをしがるも、をかし。知ると申す人なきをば、やがて皆読み続けて、夾算(けふさん)せさせたまふを、「さてこれは知りたることぞかし。など、かうつたなくはあるぞ」と、言ひ嘆く。なかにも、古今あまた書き写しなどする人は、皆もおぼえぬべきことぞかし。
「村上の御時に、宣耀殿(せんやうでん)の女御と聞えけるは、小一条の左の大臣殿の御娘におはけると、たれかは知りたてまつらざらむ。まだ姫君と聞えける時、父大臣の教へきこえたまひけることは、『一には、御手を習ひたまへ。次には琴(きん)の御琴を、人より異に弾きまさらむとおぼせ。さては、古今の歌廿巻を皆うかべさせたなを、御学問にはせさせたまへ』となむ、聞えたまひける、と、きこしめしおかせたまひて、御物忌なりける日、古今を持てわたらせたまひて、御几帳をひき隔てさせたまひければ、女御、例ならずあやし、と、おぼしけるに、草子をひろげさせたまひて、『その月、なにのをり、その人の詠みたる歌は、いかに』と、問ひきこえさせたまふを、かうなりけり、と心得させたまふも、をかしきものの、ひがおぼえもし、忘れたるところもあらば、いみじかるべきこと、と、わりなうおぼし乱れぬべし。その方におぼめかしからぬ人、二三人ばかり召し出でて、碁石して数を置かせたまはむとて、強(し)ひきこえさせたまひけむほど、いかにめでたくをかしかりけむ。御前にさぶらひけむ人さへこそ、うらやましけれ。せめて申させたまへば、さかしう、やがて末まではあらねども、すべてつゆたがふことなかりけり。いかでなほ、すこしひがごと見付けてをやまむ、と、ねたきまでにおぼしめしけるに、十巻にもなりぬ。『さらに不用なりけり』とて、御草子に夾算さして、大殿护辘踏毪狻ⅳい趣幛扦郡筏贰¥い染盲筏Δⅳ辘破黏丹护郡蓼丐毪恕ⅳ胜郅长韦长取伽霖摛堡胜皮浃蓼护郡悉唷ⅳい趣铯恧贰ⅳ趣啤⑾陇问畮啢颉⒚魅栅摔胜椁小悿颏猡疽姢郡蓼窑ⅳ悉工搿ⅳ趣啤ⅰ航袢斩à幛皮唷护取⒋蟮钣 |
|