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楼主: ophelia

枕草子(清少納言)

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七二 懸想人にて来たるは、



 懸想人にて来たるは、言ふべきにもあらず、ただうちかたらふも、またさしもあらねどおのづから来などもする人の、簾の内に人々あまたありてものなど言ふに、居入りてとみに帰りげもなきを、供なるをのこ、童など、とかくさしのぞき、けしき見るに、斧の柄も朽ちぬべきなめりと、いとむつかしかめれば、長やかにうちあくびて、みそかにと思ひて言ふらめど、「あなわびし。煩悩苦悩かな。夜は夜中になりぬらむかし」など言ひたる、いみじう心づきなし。かの言ふ者は、ともかくもおぼえず、このゐたる人こそ、をかしと見え聞えるつことも失するやうにおぼゆれ。

 また、さいと色に出でてはえ言はず、「あな」と高やかにうち言ひうめきたるも、「下行く水の」と、いとほし。立蔀、透垣(すいがい)などのもとにて「雨降りぬべし」など、聞こえごつも、いとにくし。

 いとよき人の御供人などは、さもなし。君たちなどのほどは、よろし。それより下れる際は、皆さやうにぞある。あまたあらむ中にも、心ばへ見てぞ、率てありかまほしき。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七三 ありがたきもの



 ありがたきもの

 舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁の君。毛のよく抜くる銀の毛抜き。主そしらぬ従者。

 つゆの癖なき。かたち、心、有様すぐれ、世に経るほど、いささかの疵なき。同じ所に住む人の、かたみに恥ぢかはし、いささかのひまなく用意したりと思ふが、つひに見えぬこそ、難けれ。

 物語、集など書き写すに、本に墨つけぬ。よき草子などは、いみじう心して書けど、かならずこそきたなげになるめれ。

 男、女をば言はじ、女どちも、契り深くてかたらふ人の、末まで仲よきころ、難し。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七四 内裏の局は、



 内裏の局は、細殿いみじうをかし。上の蔀上げたれば、風いみじう吹き入れて、夏もいみじう涼し。冬は、雪、霰などの、風にたぐひて降り入りたるも、いとをかし。狭くて、童などののぼりぬるぞ、あしけれども、屏風のうちに隠し据ゑたれば、異所の局のやうに声高くゑ笑ひなどもせで、いとよし。

 昼なども、たゆまず心づかひせらる。夜は、まいて、うちとくべきやうもなきが、いとをかしきなり。沓の音、夜一夜聞ゆるが、とどまりて、ただ指一つして叩くが、その人ななりと、ふと聞ゆるこそをかしけれ。いと久しう叩くに、音もせねば、寝入りたりとや思ふらむと、ねたくて、すこしうちみじろく衣のけはひ、さななりと思ふらむかし。冬は、火桶にやをら立つる箸の音も、忍びたりと聞ゆるを、いとど叩きはらへば、声にても言ふに、かげながらすべり寄りて聞く時もあり。

 また、あまたの声して、詩誦じ、歌など歌ふには、叩かねどまづあけたれば、此処へとしも思はざりける人も、立ち止まりぬ。居るべきやうもなくて、立ち明かすも、なほをかし。

 御簾のいと青くをかしげなるに、几帳のかたびらいとあざやかに、裾のつまうち重なりて見えたるに、直衣の後にほころび絶えすきたる君たち、六位の蔵人の青色など着て、うけばりて遣戸のもとなどに、そば寄せてはえ立たで、塀の方に後おして、袖うち合わせて立ちたるこそ、をかしけれ。

 また、指貫いと濃う、直衣あざやかにて、色々の衣どもこぼし出でたる人の、簾を押し入れて、なから入りたるやうなも、外より見るはいとをかしからむを、きよげなる硯引き寄せて文書き、もしは鏡乞ひて鬢かき直しなどしたるも、すべてをかし。

 三尺の几帳を立てたるも、帽額(もかう)の下にただすこしぞある、外に立てる人と内にゐたる人と、もの言ふが、頭のもとにいとよくあたりたるこそ、をかしけれ。たけの高く短からむ人や、いかがあらむ、なほ世の常の人は、さのみあらむ。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七五 まいて臨時の祭の調楽などは、



 まいて臨時の祭の調楽などは、いみじうをかし。主殿寮の官人の長き松を高くともして、頸は引き入れて行けば、さきはさしつけつばかりなるに、をかしう遊び、笛吹き立てて、心ことに思ひたるに、君たちの、日の装束して立止まり、もの言ひなどするに、供の随身どもの、前駆を忍びやかに短う、おのが君たちの料に追ひたるも、遊びにまじりて常に似ずをかしう聞ゆ。

 なほあけながら帰るを待つに、君たちの声にて、「荒田に生ふるとみ草の花」と歌ひたる、このたびは今すこしをかしきに、いかなるまめ人にかあらむ、すくすくしうさし歩みて出でぬるもあれば、笑ふを、「しばしや。『など、さ、世を捨てて急ぎたまふ』とあり」など言へど、ここちなどya あやしからむ、倒れぬばかり、もし人などや追ひて捕ふると見ゆるまで、まどひ出づるもあめり。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七六 職の御曹司におはしますころ、木立などの遥かにもの古り、



 職の御曹司におはしますころ、木立などの遙かにもの古り、屋のさまも高うけ遠けれど、すずろにをかしうおぼゆ。母屋は、鬼ありとて、南へ隔て出だして、南の廂に御帳立てて、又廂に女房はさぶらふ。近衛の御門より左衛門の陣にまゐりたまふ上達部の前駆ども、殿上人のは短ければ、大前駆、小前駆と付けて騒ぐ。あまたたびになれば、その声どもも皆聞き知りて、「それぞ」「かれぞ」など言ふに、また「あらず」など言へば、人して見せなどするに、言ひあてたるは、「さればこそ」など言ふもをかし。

 有明のいみじう霧りわたりたる庭におりてありくをきこしめして、御前にも起きさせたまへり。上なる人々の限りは、出でゐ、おりなどして遊ぶに、やうやう明けもてゆく。「左衛門の陣にまかりて見む」とて行けば、我も我もと、追いつぎて行くに、殿上人あまた声して、「なにがし一声の秋」と誦じてまゐる音すれば、逃げ入り、ものなど言ふ。「月を見たまひけり」など、めでて、歌詠むもあり。夜も昼も、殿上人の絶ゆるをりなし。上達部まで、まゐりたまふに、おぼろげに急ぐ事なきは、かならずまゐりたまふ。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七七 あぢきなきもの



 あぢきなきもの

 わざと思ひ立ちて、宮仕へに出で立ちたる人の、もの憂がり、うるさげに思ひたる。養子の、顔にくげなる。しぶしぶに思ひたる人を、強ひて婿取りて、思ふさまならずと嘆く。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七八 ここちよげなるもの



 ここちよげなるもの

 卯杖(うづゑ)の法師。御神楽の人長。御霊会の振幡とか持たる者。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
七九 御仏名のまたの日、



 御仏名のまたの日、地獄絵の御屏風とりわたして、宮に御覧ぜさせたてまつらせたまふ。ゆゆしういみじきこと限りなし。「これ見よ、これ見よ」と、おほせらるれど、「さらに見はべらじ」とて、ゆゆしさに、こへやに隠れ臥しぬ。

 雨いたう降りてつれづれなりとて、殿上人、上の御局に召して、御遊びあり。道方の少納言、琵琶、いとめでたし。済政(なりまさ)、筝(しやう)の琴、行義、笛、経房の中将、笙(しやう)の笛など、おもしろし。一わたり遊びて、琵琶弾きやみたるほどに、大納言殿「琵琶、声やんで、物語せむとすること遅し」と誦じたまへりしに、隠れ臥したりしも起き出でて「なほ罪は恐しけれど、もののめでたさは、やむまじ」とて、笑はる。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
八〇 頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて、



 頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて、いみじう言ひおとし、「なにしに人と思ひほめけむ」など、殿上にていみじうなむのたまふと聞くにも、はづかしけれど、「まことならばこそあらめ、おのづから聞き直したまひてむ」と、笑ひてあるに、鼞酩吻挨胜嗓铯郡毪摔狻⑸胜嗓工毪颏辘稀⑿浃颏栅郡啤ⅳ膜嬉姢长护骸ⅳい撙袱Δ摔撙郡蓼丐小ⅳ趣猡Δ庋预悉骸⒁姢馊毪欷沁^ぐに、二月つごもり方、いみじう雨降りてつれづれなるに、御物忌に护辘啤ⅰ浮氦丹工摔丹Δ钉Δ筏长饯ⅳ臁¥猡韦溲预窑浃椁蓼贰护趣胜唷ⅳ韦郡蓼铡工热恕┱Zれど、「世にあらじ」など、答へてあるに、日一日、下にゐ暮してまゐりたれば、夜の御殿に入らせたまひにけり。

 長押の下に火近く取り寄せて、扁をぞつく。「あなうれし。とくおはせ」など、見つけて言へど、すさまじきここちして、なにしに上りつらむと、おぼゆ。炭櫃のもとに居たれば、そこにまたあまた居て、ものなど言ふに、「なにがしさぶらふ」と、いとはなやかに言ふ。「あやし。いつの間に、なに事のあるぞ」と、問はすれば、主殿司なりけり。

 「ただここもとに、人伝てならで申すべきことなむ」と言へば、さし出でて問ふに、「これ、頭の殿のたてまつらせたまふ。御返事、とく」と言ふ。いみじくにくみたまふに、いかなる文ならむと思へど、ただ今、急ぎ見るべきにもあらねば、「去ね。今聞えむ」とて、ふところに引き入れて入りぬ。なほ人のもの言ふ、聞きなどする、すなはち立ち帰り来て、「『さらば、そのありつる御文を賜はりて来』となむ、おほせらるる。とくとく」と言ふが、あやしう、いせの物語なりや、とて、見れば、青き薄様に、いときよげに書きたまへり。心ときめきしつるさまにもあらざりけり。



  蘭省花時鍘は
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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
八一 返る年の二月廿よ日、



 返る年の二月廿よ日、宮の、職へ出でさせたまひし御供にまゐらで、梅壺に残りゐたりしまたの日、頭の中将の御消息とて、「昨日の夜、鞍馬に詣でたりしに、今宵、方のふたがりければ、方違(かたたがへ)になむ行く。まだ明けざらむに帰りぬべし。かならず言ふべきことあり。いたう叩かせで待て」と、のたまへりしかど、「局にひとりはなどてあるぞ。ここに寝よ」と、御匣殿(みくしげどの)の召したれば、まゐりぬ。

 久う寝起きて下りたれば、「昨夜いみじう人の叩かせたまひし、からうじて起きてはべりしかば、『上にか。さらば、かくなむと聞こえよ』と、はべりしかども、『よも起きさせたまはじ』とて、臥しはべりにき」と語る。心もなのことや、と聞くほどに、主殿司来て、「頭の殿の聞こえさせたまふ、『ただ今まかづるを、聞ゆべきことなむある』」と言へば、「見るべき事ありて、上へなむ上りはべる。そこにて」と言ひて、やりつ。

 局は、引きもやあけたまはむと、心ときめきしてわづらはしければ、梅壺の東面の半蔀上げて、「ここに」と言へば、めでたくてぞ、歩み出でたまへる。桜の綾の直衣の、いみじう花々と、裏のつやなど、えも言はずきよらかなるに、葡萄染(えびぞめ)のいと濃き指貫、藤の折枝おどろおどろしく織り乱りて、紅の色、うちめなど、輝くばかりぞ見ゆる。白き、薄色など、下にあまた重なりたり。狭き縁に、片つ方は下ながら、すこし簾のもと近う寄り居たまへるぞ、まことに絵に描き、物語のめでたきことに言ひたる、これにこそは、とぞ見えたる。

 御前の梅は、西に白く、東は紅梅にて、すこし落ち方になりたれど、なほをかしきに、うらうらと日のけしきのどかにて、人に見せまほし。御簾の内に、まいて、若やかなる女房などの、髪うるはしくこぼれかかりて、など言ひためるやうにて、ものの答へなどしたらむは、いますこしをかしう見所ありぬべきに、いとさだすぎ、ふるぶるしき人の、髪などもわがにはあらねばにや、ところどころわななき散りぼひて、おほかた色異なるころなれば、あるかなきかなる薄鈍(うすにび)、あはひも見えぬきはきぬなどばかりあまたあれど、つゆの映えも見えぬに、おはしまさねば、裳も着ず、袿姿にて居たるこそ、ものぞこなひにて、くちをしけれ。

 「職へなむ、まゐる。ことづけやある。いつかまゐる」などのたまふ。「さても、昨夜、明しも果てで、さりとも、かねて、さ言ひしかば、待つらむとて、月のいみじう明きに、西の京といふ所より来るままに、局を叩きしほど、からうじて寝おびれ起きたりしけしき、答へのはしたなさ」など、語りて笑ひたまふ。「むげにこそ思ひうんじにしか。など、さる者をば置きたる」と、のたまふ。げにさぞありけむと、をかしうもいとほしうもあり。しばしありて、出でたまひぬ。外より見む人は、をかしく、うちにいかなる人あらむと思ひぬべし。奥の方より見いだされらむ後ろこそ、外にさる人やとおぼゆまじけれ。

 暮れぬれば、まゐりぬ。御前に人々いと多く、上人などさぶらひて、物語のよきあしき、にくきところなどをぞ、定め、言ひそしる。涼、仲忠などがこと、御前にも、劣りまさりたるほどなど、おほせられける。「まづ、これはいかに。とくことわれ。仲忠が童生ひのあやしさを、せちにおほせらるるぞ」など言へば、「なにか。琴なども、天人の降るばかり弾きいで、いとわろき人なり。御門の御女やは得たる」と言へば、仲忠が方人ども、所を得て、「さればよ」など言ふに、「この事どもよりは、昼、斉信(ただのぶ)がまゐりたりつるを見ましかば、いかにめでまどはましとこそ、おぼえつれ」とおほせらるるに、「さて、まことに常よりもあらまほしうこそ」など言ふ。「まづその事をこそは啓せむと思ひて、まゐりつるに、物語のことにまぎれて」とて、ありつる事ども聞こえさすれば、「誰も見つれど、いとかう、縫いたる糸、針目までやは見透かしつる」とて笑ふ。

 「西の京といふ所の、あはれなりつること。もろともに見る人のあらましかばとなむ、おぼえつる。垣なども皆古りて、苔生ひてなむ」など語りつれば、宰相の君の「瓦に松はありつや」と答へたるに、いみじうめでて、「西の方、都門を去れること、いくばくの地ぞ」と、口ずさみつることなど、かしがましきまで言ひしこそ、をかしかりしか。

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 楼主| 发表于 2004-1-31 23:00:00 | 显示全部楼层
八二 里にまかでたるに、



 里にまかでたるに、殿上人などの来るをも、やすからずぞ、人々言ひなすなる。いと有心に、引き入りたるおぼえ、はた、なければ、さ言はむも、にくかるまじ。また、昼も夜も来る人を、なにしにかは、「なし」とも、かがやき帰さむ。まことにむつましうなどあらぬも、さこそは来めれ。あまりうるさくもあれば、このたび出でたる所をば、いづくとなべてには知らせず、左中将経房の君、済政の君などばかりぞ、知りたまへる。

 左衛門の尉(じよう)則光が来て物語などするに、「昨日、宰相の中将のまゐりたまひて、『いもうとのあらむ所、さりとも知らぬやうあらじ。言へ』と、いみじう問ひたまひしに、さらに知らぬよしを申ししに、あやにくに強ひたまひしこと」など言ひて、「ある事あらがふは、いとわびしくこそありけれ。ほとほと笑みぬべかりしに、左の中将の、いとつれなく知らず顔にて居たまへりしを、かの君に見だにあはせば、笑ひぬべかりしに、わびて、台盤の上に布のありしを取りて、ただ食ひに食ひまぎらはししかば、中間にあやしの食ひ物やと、人々見けむかし。されど、かしこう、それにてなむ、其処とは申さずなりにし。笑ひなましかば、不用ぞかし。まことに知らぬなめりとおぼしたりしも、をかしくこそ」など語れば、「さらに、な聞こえたまひそ」など言ひて、日ごろ久しうなりぬ。

 夜いたくふけて、門をいたうおどろおどろしう叩けば、なにのかう心もなう、遠からぬ門を高く叩くらむと聞きて、問はすれば、滝口なりけり。「左衛門の尉の」とて、文を持て来たり。皆寝たるに、火取り寄せて見れば、「明日、御読経の結願(けちがん)にて、宰相の中将、御物忌に护辘郡蓼丐辍!氦い猡Δ趣韦ⅳ晁辘弧¥い猡Δ趣韦ⅳ晁辘弧护蓉煠幛椁毪毪恕ⅳ氦沥胜贰¥丹椁摔Lし申すまじ。さなむとや聞かせたてまつるべき。いかに。おほせに従わむ」と言ひたる、返事は書かで、布を一寸ばかり紙に包みてやりつ。

 さて後、来て、「一夜は責めたてられて、すずろなる所々になむ、率てありきたてまつりし。まめやかにさいなむに、いとからし。さて、など、ともかくも御返りはなくて、すずろなる布の端をば包みて賜へりしぞ。あやしの包み物や。人のもとにさる物包みておくるやうはある。とりたがへたるか」と言ふ。いささか心も得ざりけると見るがにくければ、ものも言はで、硯にある紙の端に、

  かづきするあまのすみかをそことだにゆめ言ふなとやめをくはせけむ



と書きてさし出でたれば、「歌詠ませたへるか。さらに見はべらじ」とて、扇ぎ返して逃げて去ぬ。

 かうかたらひ、かたみに後見などするうちに、なにともなくてすこし仲あしうなりたるころ、文おこせたり。「便なきことなどはべりとも、なほ契りきこえし方は忘れたまはで、よそにても、さぞとは見たまへ、となむ思ふ」と言ひたり。常に言ふことは、「おのれをおぼさむ人は、歌をなむ詠みて得さすまじき。すべて、仇敵となむ思ふ。今は限りありて絶えむと思はむ時にを、さることは言へ」など言ひしかば、この返りごとに、



  崩れ寄る妹背の山のなかなればさらに吉野の河とだに見じ



と言ひやりしも、まことに見ずやなりにけむ、返しもせずなりにき。さて、かうぶり得て、遠江の介といひしかば、にくくてこそやみにしか。
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发表于 2004-2-18 23:00:00 | 显示全部楼层
请问,后面没有了吗?能说明一下吗?
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发表于 2004-3-12 23:00:00 | 显示全部楼层
感谢大人的说~就是看不懂日文,有点辛苦的说
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